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日本で就職した時のビザの変更手続き

2024-03-05

「留学の在留資格から就労のための在留資格への変更」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

外国人が日本に在留するには、活動内容に応じた在留資格が必要になります。

大学や専門学校で学ぶなら留学の在留資格、日本の会社で働くなら職種や職務に合った就労の在留資格を取得しなければなりません。

つまり、現在は大学に通っている外国人も、卒業して就職するなら留学の在留資格から就労の在留資格に変更しなければなりません。

留学の在留資格から就労の在留資格に変更申請する時期や手続の流れは、会社から内定をもらうタイミングによって異なります。

在留資格の変更手続きについてはこちらでも解説をしています。

在学中に内定が決定した場合

学校に在学中に内定が決まった場合、就労の在留資格への変更申請は「学校を卒業する前の12月」から行うことができます。

申請の期限については特に定めはありませんが、入社日までに就労の在留資格を取得しなければならず、これに間に合わない場合は入社日を遅らせることになります。

ちなみに、就労の在留資格の一般的な審査期間は約1~2ヶ月ですので、卒業直前の2月中に申請しても間に合うと思う方もいるかもしれませんが、この時期は在留資格の変更申請が集中するため、審査期間は通常よりも長くなる傾向にあります。

また、申請する内容によっても時間がかかる可能性があるため、できる限り早いタイミングで申請することをおすすめします。

こちらの出入国管理庁HPでも、留学生が日本で就職する場合の手続きについては掲載されています。

https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00015.html

卒業後に就活を続ける場合

学校の卒業時点で会社から内定をもらっていない場合、就労の在留資格への変更はできません。

また、学校を卒業する以上、留学の在留資格を更新することもできません。

このような場合、いったん「特定活動」というな在留資格に変更した上で、就職活動を継続することになります。

就職活動中に内定をもらった場合は、実際に入社するまで特定活動の在留資格のままとなります。

しかし、この特定活動の在留資格への変更は無条件で認められるわけではありません。

少なくとも、就職活動の継続につき、卒業した学校の推薦をもらうことが必要です。

また、特定活動の在留資格での在留期間は6ヶ月で、1回のみ更新が認められます。

つまり、原則として1年間以内に、就職活動をして内定をもらう必要があります。

留学の在留資格から就労の在留資格への変更申請の審査基準は、以下のような内容です。

① 経歴の要件:

主に学歴が審査され、実務経験などがあれば、それも考慮されることになります。

② 就労内容の要件:

主に大学での専攻や理由科目とこれから就職する会社での事業内容や職務内容の比較され、両者があまりにかけ離れている場合は不許可になる場合もあります。

③ 報酬の要件:

これから就職する会社で日本人と同等以上の給料が提示されているか否かが審査され、日本人よりも給料が低いと判断された場合は不許可となります。

ここで注意が必要なのは、例えば、「資格外活動許可」を受けずにアルバイトをする、「資格外活動許可」を受けていても週に28時間以内の制限を守らない、風俗営業などの禁止されているアルバイトをするというようなことがあれば、就労の在留資格への変更審査に悪影響を与えることになり、程度によっては不許可になることもあります。

上記のように、「留学の在留資格から就労のための在留資格への変更」には、様々な要件や注意点がありますので、「留学の在留資格から就労のための在留資格への変更」についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

特定技能の在留資格とは何か

2024-03-01

在留資格「特定技能2号」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「特定技能」の在留資格は、特定技能1号と特定技能2号の2種類に分類されます。

「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格です。

言葉が似ていますが,特定技能技能実習とは別の在留資格です。

技能実習生制度についてはこちらでも解説をしています。

技能実習生制度,特定技能ビザの外国人の方の受け入れについては,こちらの団体でも支援があります。

【特定技能1号のポイント】
・在留期間:通算で上限5年まで
・技能水準:試験等で確認
 (在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
 (在留資格「技能実習2号」を良好に修了した外国人は免除)
・家族の帯同:原則として認められない
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象

【特定技能2号のポイント】
・在留期間:3年、1年又は6か月ごとの更新
・技能水準:試験等で確認
・日本語能力水準: 試験等での確認は不要
・家族の帯同:要件を満たせば認められる(配偶者、子)
・受入れ機関または登録支援機関による支援の対象外

以前は、熟練した技能を要する特定技能2号への移行については、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、建設分野及び造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていましたが、令和5年6月9日の閣議決定により、特定技能1号の12の特定産業分野のうち、介護分野以外の全ての特定産業分野において、特定技能2号の受入れが可能となりました。

具体的には、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てを新たに特定技能2号の対象になりました。

なお、介護分野については、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があることから、特定技能2号の対象分野とはされていません。

特定技能2号は、他の就労ビザと同様に要件さえ満たしていれば期間を更新することが可能となっており、また更新の回数に制限もありませんので、今回の「特定技能2号」の対象分野が大幅に追加されたことは、日本で就労する外国人にとって有益なものになります。

また、特定技能2号においては、家族の帯同が認められていますので、「特定技能2号」の対象分野が追加されたことにより、外国人にとって大きなメリットといえるでしょう。

外国人技能実習制度に代わる新制度について

2024-02-27

「外国人技能実習制度に代わる新制度」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

現在、有識者会議で検討される方向性としては、技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討するべきであるとしています。

直近の報道においても,技能実習制度について関連する法案が国会に提出される予定です。

人材確保という目的は特定技能に即しており、人材育成という目的は技能実習制度に即しているので、技能実習制度に変わる新制度は、特定技能と技能実習制度を合体させたような制度というイメージです。

技能実習制度と廃止後の新制度をわかりやすく、以下のように比較しました。

なお,現在の技能実習制度についてはこちらでも解説をしています。

① 制度の目的

技能実習制度については人材育成を通じた国際貢献であるのに対して、新制度では人材育成プラスα人材確保をも目的とします。

② 対応している職種

技能実習制度については特定技能と不一致(特定技能より幅広い)であるのに対して、新制度では特定技能の12職種に合わせることを想定されています。

③ 受入れる外国人の人数設定
技能実習制度については人数設定のプロセスが不透明であるのに対して、新制度では人数設定のプロセスを透明化する(〇年間で○○人の受入れといった制度上の受入れ人数設定のこと)ことを想定されています。

④ 外国人の転職の可否

技能実習制度については原則として外国人は転職できないのに対して、新制度では技能実習制度に比べて転職しやすくするようですが、詳細は未定(日本人のように完全に自由な転職はできない)となっています。

⑤ 管理監督や外国人への支援

技能実習制度については不十分な実情であるのに対して、新制度では監理団体や登録支援機関の要件を厳格化し、技能実習制度で不十分だった点を改善することを想定されています。

⑥ 日本語能力の向上施策

技能実習制度については、特に外国人の日本語能力の水準を設定していないため入国直後は日本語を話せない外国人も多いのに対して、新制度では企業での就労開始前に、一定の日本語能力を求めることを想定されています。また、就労開始後は日本語能力が上がるような仕組みを制度として設けられる予定です。

技能実習生制度の廃止は現時点では、未だ確定ではありませんが、2023年秋頃に有識者会議にて最終報告を政府に提出し、早ければ2024年の通常国会に関連法案が提出される可能性があります。

このように、技能実習制度については今後大きな変更があることが予想されており、現在技能実習生を受け入れている企業にとっても関心の高いトピックであるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所としても、今後の動向に注目したいと思います。

「定住者」へのビザの変更

2024-02-27

他の在留資格から「定住者の在留資格への変更」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「定住者」とは、法務大臣が特別な理由を考慮して一定の在留期間を指定して居住を認める者をいいます。

この「定住者」は国内に滞在する外国人が身分上の変更に伴い取得する場合と、法務大臣が予め定めた難民や日系人などの地位に該当する外国人が海外から入国する場合の2通りに分けられます。

例えば、現在、家族滞在の在留資格を持っているとします。
この家族滞在の在留資格は、入管法別表第一の一の表の教授、芸術、宗教、報道、二の表の高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、三の表の文化活動又はこの表の留学の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動をする外国人に付与される在留資格です。

しかし、例えば、技術・人文知識・国際業務の在留資格を持っている夫の配偶者として家族滞在の在留資格を持っている妻や子が日本で在留している間に、夫が病気などで亡くなったとします。
そうすると、妻や子が持っている家族滞在の在留資格は、あくまで夫の技術・人文知識・国際業務の在留資格に紐づいて認められているものになりますので、夫が亡くなったことによって家族滞在の在留資格の元になる在留資格が無くなりますので、引き続き家族滞在の在留資格で日本に在留することが出来なくなってしまいます

そこで、この妻と子は家族滞在の在留資格から「定住者」の在留資格に変更して引き続き日本に在留することが考えられます。
これは、家族滞在の在留資格で日本に配偶者や子を呼ぶことができる在留資格全般に通じるものです。

例えば、日本人の配偶者等の在留資格を持っている外国人の妻や子として、家族滞在の在留資格で日本に在留している方も対象になります。
もちろん、日本に在留している期間によっては、永住者の在留資格に変更することも考えられますが、家族滞在の在留資格で日本に在留している外国人は、1週間に28時間しか働けない就労制限がありますので、収入要件を充足しない可能性があります。

「定住者」の在留資格に関する手続きの書類は,こちらのHPからも取得できます。

そのため、永住者の在留資格を取得されたい外国人でも、一時的に「定住者」の在留資格に変更して永住者の在留資格への変更を検討されるケースも多いかと思います。
上記のように、突然の不幸により、現在持っている家族滞在などの在留資格から「定住者」の在留資格に変更することが必要になることもありますので、「定住者」の在留資格への変更をお考えの方はお気軽にお問い合わせください。

「定住者」の在留資格の取得についてお困りの方は,弁護士・行政書士などの専門家へご相談ください。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「定住者」ビザの取得手続きについてもご相談いただけます。
HPからは,こちらからもお問い合わせください。お電話の方は03-5989-0843までお電話ください。

2023年6月に成立した入管法改正を解説

2024-02-23

「2023年6月の入管法改正」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

2023年6月に成立した改正入管法についご紹介します。

同年の改正について出入国管理局庁のHPはこちらです。

1.送還忌避問題

不法就労やオーバーステイなどの違法行為をした場合、退去強制すなわち強制送還の対象となります。

退去強制対象者の多数の外国人は問題なく出国するところ、一定数の外国人が出国を拒んでいる状況があり、その数は令和3年12月末時点で約3,200人、このうち約1,100人が前科を有しており、約500人が懲役1年超の実刑の前科を有しております。

このように実刑の前科があるにもかかわらず退去を拒む外国人について、現行法では、以下のような事情が外国人を強制的に退去させる妨げとなっておりました。

① 難民認定手続中の者は、送還が一律禁止

現行法では、難民認定手続中の外国人は送還が一律に停止され、申請の回数や理由等を問わず、重大な罪を犯した者であっても、退去させることができませんでした。

② 退去を拒む自国民の受け取りを拒否する国の存在

日本で、退去強制の対象となった外国人について、その外国人が退去を拒否した場合、自国民の受け取りを拒否する国が一部あり、現行法ではそのような者を母国に強制的に送還する手段がありませんでした。

③ 送還妨害行為による航空機への搭乗拒否

外国人の母国へ送還する際に飛行機の中で暴れたり、大声を上げたり、と送還の妨害をする人もおり、この場合には、機長の指示により搭乗が拒否され、退去させることが物理的に不可能になっておりました。

こうした問題を解決するために、以下のように改正がなされました。

① 難民認定手続中の送還停止効に例外規定を創設

難民認定手続中は一律に送還が停止される現行入管法の規定(送還停止効)を改め、以下の者については、難民認定手続中であっても退去させることが可能となりました。

・3回目以降の難民認定申請者の取り扱いについて
・3年以上の実刑に処された者
・テロリスト等

ただし、3回目以降の難民認定申請者でも、難民や補完的保護対象者と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出すれば、送還は停止できることになっています。

② 強制的に退去させる手段がない外国人に退去を命令する制度を創設

退去を拒む外国人のうち、次の者については、強制的に退去させる手段がなく、現行法下では退去させることができないので、これらの者に限って、日本から退去することを命令する制度が創設されます。

・退去を拒む自国民を受け取らない国を送還先とする者
・過去に実際に航空機内で送還妨害行為に及んだ者

さらに、罰則を設け、命令に従わなかった場合には、刑事罰を科すことができるようになります。

③ 退去すべき外国人に自発的な帰国を促すための措置を講ずる

退去すべき外国人のうち一定の要件に当てはまる者については、日本からの退去後、再び日本に入国できるようになるまでの期間(上陸拒否期間)が短縮されるようになります。

2.収容の長期化と仮放免制度の悪用

現行法では、退去が確定した外国人は原則退去までの間、収容施設にて収容されることになります。

収容された外国人が退去を拒否したり、難民申請の繰り返し、母国側の受け入れ拒否などで、収容期間の長期化が問題となっておりました。

このような収容期間の長期化を防止するには、収容を一時的に解除する「仮放免」制度を活用するしか方法がなく、「仮放免」が許可された外国人が逃亡するケースも多数発生し、令和3年12月末時点で約600人も逃亡しているという状況です。

こうした問題を解決するために、以下のように改正がなされました。

・収容に代わる「監理措置」制度を創設

入管法の「原則収容」制度を改め、外国人の監督をできる者を「監理人」として選任し、当該「管理人」の監理の下で、逃亡等を防止しつつ、収容しないで退去強制手続を進める「監理措置」制度が創設されます。

これにより、収容期間の長期化及び「仮放免」を受けた外国人の逃亡を防ぐことが可能となっております。

3.難民を確実に保護する制度が不十分

難民条約上、「難民」に該当するには、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、政治的意見のいずれかの理由により迫害を受けるおそれがあることが必要となっています。

しかし、紛争避難民については、迫害を受けるおそれがある理由が、この5つの理由に必ずしも該当せず、条約上の「難民」に該当しない場合があります。

現行法では、こうした条約上の「難民」ではないものの、「難民」に準じて保護すべき紛争避難民などを確実に保護する制度がありませんでした。

こうした問題を解決するために、以下のように改正がなされました。

なお,難民認定手続きについてはこちらのページでも解説をしています。

・補完的保護対象者の認定制度の創設

紛争避難民など、難民条約上の難民ではないものの、難民に準じて保護すべき外国人を「補完的保護対象者」として保護する手続を創設し、補完的保護対象者と認定された者は、難民と同様に安定した在留資格(定住者)で在留できるようになります。

以上のように、これまでは、難民認定申請中は送還が認められていませんでしたが、今回の法改正により、3回以上難民申請をした人について「相当の理由」が説明されなければ、送還が可能となりました。

このように、難民ではない人が送還を免れるために難民申請を繰り返すという難民申請の「濫用」を防ぐということが、今回の法改正の最大の目的となっています。

どのような場合に強制送還されるのか?

2024-02-20

「退去強制事由」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

退去強制手続とは、外国人が日本国内で法的に許可された在留資格や期間を超えて不法滞在する、または他の法律違反を犯した場合に、その外国人を日本から退去させるための手続きのことをいいます。
また退去強制事由とは、外国人が入国や在留に際して日本の法律や規定に違反した場合に、彼らを日本から退去させることができる理由や事情のことをいいます。

「出入国管理及び難民認定法」の第24条に退去強制事由についての記載があります。条文では、一号から十号までの事由が列挙されていますが、ここでは代表的なものを以下にてご説明いたします。

① 不法入国者

有効なパスポートなどを持たずに日本に入国した人が該当します。
また、外国人が他人のパスポートを使って入国した場合や偽造パスポートによる入国も不法入国に該当します。

② 不法上陸者

手段や方法は問わずに、上陸の許可などを受けることなく日本に上陸した人が該当します。
不法上陸者には、2つのパターンがあり、1つ目は上陸許可の証印や記録を受けないで日本に上陸した者、二つ目は寄港地上陸や通過上陸などの特例上陸許可を受けなければならない状況であるにも関わらず、これを受けないで入国した者となっています。

③ 偽造・変造文書を作成・提供した人

不正に上陸や在留するために、組織的・専門的に偽物のパスポートや書類を作成したり提供した人を指し、外国人ブローカーなどを日本から退去強制することが目的とされています。
なお、偽造文書の作成や提供だけでなく、それを幇助した者も含まれます。

④ 資格外活動者

「収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動」などを行い、在留資格で定められた活動以外のことを行なっている人をいいます。
外国人留学生が学校に通うことなく本格的に就労している場合や就労のための在留資格を持つ人が許可を得ることなく、他に深夜にアルバイトをしている場合などには資格外活動に該当することがあります。

⑤ 不法残留者(オーバーステイ)

在留期間の更新又は変更を受けずに、日本に滞在することを許された期間をすぎて滞在している人が該当します。
親族訪問の目的で「短期滞在」で入国後にそのまま在留期限が経過してしまった場合などが代表的な例です。

⑥ 刑罰法令の違反者

住居を犯す罪、通貨偽造の罪、文書偽造の罪、有価証券の偽造の罪、支払い用カードの電磁的記録に関する罪、印象偽造の罪、賭博及び富くじに関する罪、殺人の罪、傷害の罪、逮捕及び監禁の罪、脅迫の罪、略取、誘拐及び人身売買の罪窃盗及び強盗の罪、詐欺及び恐喝の罪、盗品等に関する罪などにより懲役または禁錮に処せられた人が該当します。
刑罰法令の違反の場合,当該外国人の在留資格の種類によっても,強制送還されるかどうかが変わってきます。

⑦ 売春関係業務の従事者

売春関係の業務に従事したという事実があれば該当し、売春防止法などに違反して刑に処せられたかどうかは要件とされませんので、注意が必要です。

⑧ 退去命令違反者

一度は退去命令を受けたにも関わらず日本から退去しない者であり、出向命令制度などにより既に退去命令が出ているにも関わらずそのまま日本から退去しない場合などが該当します。

まとめ

上記のように、一言で「退去強制事由」といっても、数多くの「退去強制事由」が存在します。
退去強制事由に該当する人が引き続き日本で在留することを希望する場合には,その手続の中で「在留特別許可」を受けなければなりません。在留特別許可がなされるかどうかについて明確な基準はなく,法務大臣及びその委任を受けた各地方の出入国管理局長の判断によることになりますが,出入国管理庁はガイドラインを策定しており,このガイドラインに沿った判断がなされる傾向にあります。

特に、上記⑥については、どれくらいの刑罰を受けることになるのかによっても、「退去強制事由」に該当するか否かが変わります。「退去強制事由」の手続きに不安がある方は,弁護士・行政書士などの専門家へご相談ください。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「退去強制手続き」「在留特別許可」についてもご相談いただけます。HPからは,こちらからもお問い合わせください。お電話の方は03-5989-0843までお電話ください。

老親扶養の在留資格を取得するための手続

2024-02-16

「特定活動(老親扶養)」ビザ取得のための手続

「老親扶養の在留資格」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

母国で生活する老親を日本に呼び寄せるためには、まず日本へ入国しないことには在留資格変更許可申請に進めませんので、この査証発給申請が最初に重要となります。

この査証発給のための手続先は、日本国外に在る日本大使館、領事館(指定出先機関含む)などです。

この際に、求める在留資格は「短期滞在」になると思いますので、当然その期限を超える前に日本を発ち戻ってくる事が前提になります。

つまり、この査証発給申請の滞在目的などに、日本で子供と同居して永住するなどと記載することは推奨できません。

したがって、老後の生活面を日本で暮らす子供と話し合う、持病の治療などで本国よりも優れた医療サービスを探すなど、その後の日本滞在理由にも繋がる内容を記載する方が良いでしょう。

次に、「短期滞在」の在留資格にて無事に日本に入国できた後の在留資格変更申請についてご説明いたします。

老親扶養の在留資格申請において準備すべき申請書類は、大きく分けて以下の3種類になります。

まず、作成する申請書類、在留資格変更許可申請書、申請理由書、身元保証書などです。

次に、申請人(親)に関する資料です。

最後に、身元保証人(扶養する子供)が準備すべき資料です。

これらの資料以外にも、その他個々の状況に応じて勘案する資料を提出することが必要となります。

この在留資格変更手続については、告示外の在留許可を受けようとするものであり、出入国在留管理局(入国管理局)サイトにも詳細な案内などはありません。

申請が不許可となるリスクも高いですが、きちんと現状を認識してもらい、許可されるよう最善を尽くしましょう。

その他老親の健康問題や自身以外に他に扶養可能な親族が存在しない事実、経済的状況などの準備する申請書類は数多くあります。

ビザが認められるためのポイント

この「老親扶養」の在留資格の取得に際して、大切なポイントとなるのは申請理由書に記載する内容です。

内容は個々の状況で異なりますが、ポイントは日本で面倒を見てもらう以外に選択の余地が無いという現状を理解してもらうことです。

そのために過去の許可された事例から導き出されている条件をクリアしていることを一つずつ丁寧に説明することを推奨いたします。

また、老親と日本で同居する理由、合理的な説明が必要となります。

老親と日本で同居する理由、同居したい理由ではなく、老親と日本で同居せざるを得ない理由の説明が必須です。

老親扶養の在留資格についてはこちらのページ①ページ②でも解説をしています。

以上のように、「老親扶養」の在留資格の取得については、準備する書類も多く、申請理由書の記載内容が重要なポイントとなりますので、正確な状況把握、丁寧な理由説明の作文が苦手な方はお気軽にお問い合わせください。

「永住者」と「定住者」どちらの方が有利?

2024-02-13

在留資格「定住者」と「永住者」の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

永住者として認められる要件

「永住者」とは、原則として10年以上継続して日本に在留して、以下の3つの要件を充足する必要があります。

① 素行が良好であること

② 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

③ その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ただし、日本人と結婚している場合は、3年以上継続して日本に在留することで要件を充足します。

「永住者」は在留期間が無期限であり、出入国管理局及び難民認定法の定める職業に就く限り制限はありません。

また、定期的に在留期間更新許可申請を行う必要もありません。

基本的に、素行が善良であり、犯罪などを起こさなければ、ずっと日本で生活することができます。

ただし、「永住者」の場合も在留カードの期限はあり、在留カードの有効期間の満了日の2か月前から有効期間満了日までに更新が必要になります。

永住資格の申請手続についてはこちらのページでも解説をしています。

定住者として認められる要件

次に、「定住者」とは、日系人やその方と結婚(入籍)した方、定住者の実子、日本人や永住者の配偶者の実子(いわゆる連れ子)、日本人や永住者・定住者の6歳未満の養子、中国残留邦人やその親族、難民認定を受けた外国人等、日本人や永住者と結婚(入籍)後3年以上経過して離婚した方などが該当します。

「定住者告示」は1号から8号まで規定されており、それらに該当する外国人は以下のとおりです。

① タイ国内において一時的に庇護されているミャンマー難民(1号)

② 日系2世、3世(3号)

③ 日系3世(4号)

④ 日系2世、3世である定住者の配偶者(5号)

⑤ 未成年、未婚の人で実親から扶養を受けており、その実親が日本人、永住者、定住者、日系人、日本人の配偶者又は永住者の配偶者である人(6号)

⑥ 6歳未満の者で養親が日本人、永住者又は定住者であるもの(7号)

⑦ 中国残留邦人とその関係者(8号)

「定住者」には在留期間に定めがあり、在留期間の更新申請が必要になりますが、就労活動の制限はありませんので、どんな仕事をすることができます。

「定住者」の在留期間には、6ヶ月、1年、3年、5年があります。

定住者の在留申請について,申請書類は出入国管理局HPで公開されています。

「永住者」と「定住者」の違い

「永住者」は在留期間中の活動内容に関わらず,外国人が希望して申請して認められる在留資格になります。

税金や社会保険料を滞納なく納付し、前科前歴がなく、生計維持の資力があるという状況を10年以上,続けてきた外国人が許可を受けられるものになります。

一方、「定住者」は日系人やその配偶者、日本人や永住者と離婚または死別した方などに認められる在留資格になります。

どちらの在留資格にも、就労制限がなく日本人と同様に働くことができる一方で、どちらの在留資格にも参政権の権限がないなどの似たような特徴がありますが、在留期限の有無や取得の要件などが異なります。

ですので、「永住者」や「定住者」の在留資格の取得についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「技術・人文知識・国際業務」在留資格の取得

2024-02-09

「技術・人文知識・国際業務」のビザが認められる要件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

「技術・人文知識・国際業務」ビザが認められる職種

この「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動としては、日本の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(入管法別表第一の一の表の教授、芸術、報道の項に掲げる活動、二の表の経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、企業内転勤、介護、興行の項に掲げる活動を除く。)です。

「技術・人文知識・国際業務」の該当例としては、機械工学等の技術者・通訳・デザイナー・私企業の語学教師・マーケティング業務従事者等です。

「技術・人文知識・国際業務」の在留期間は、5年・3年・1年又は3月です。

「技術・人文知識・国際業務」の在留申請についてはこちらのページに申請書類等が公開されています。

ビザが認められるための要件

「技術・人文知識・国際業務」の学歴要件以外の要件は、以下の6つです。

1.学歴と職務内容が関連していること

「技術・人文知識・国際業務」の審査では、大学等で学んだ内容と日本で行う仕事が密接に関連していることが求められます。

専門分野と業務内容が一致しない場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は許可されません。

例えば、声優学科の学校を卒業後、外国人客が訪れるホテルにて、フロントスタッフとして翻訳・通訳業務に従事するために在留許可を申請するような場合は、専攻した科目との関連性が認められないため不許可になる可能性が高いです。

2.業務に専門性があること

日本で行う業務の内容に専門性があることが重要な要素ですので、専門知識や専門技術を必要としない単純作業のような場合には許可は受けられません。

例えば、大学の教育学部を卒業後、惣菜の製造・販売業務を行っている企業にて、現場作業員として弁当の箱詰め作業に従事するため在留許可を申請するような場合は、人文科学分野の知識を必要とすると認められないため不許可になる可能性が高いです。

3.日本人と同等以上の報酬であること

日本で行う業務の内容が同じであれば、外国人社員に日本人社員と同等以上の報酬を支払う必要があります。

4.勤務先の経営状態が安定していること

外国人を雇用する企業には、従業員にきちんと報酬を支払える程度の経営状態が求められます。

特に、設立されたばかりの企業や中小企業ほど、より細かい審査を受けるのが一般的です。

5.外国人を雇用する必要性があること

専門技術を持つ外国人を雇用する以上、当該会社には一定の規模や業務内容が求められます。

例えば、少人数の会社であるにもかかわらず、労務管理専門の外国人社員を雇用したり、外国人の顧客がほとんどいないにもかかわらず、通訳として外国人社員を雇用するような場合は、許可が受けられない可能性が高いです。

6.素行が不良でないこと

申請する外国人の素行も重要です。

具体的には、前科前歴があるか否か、納税義務を果たしているか、在留許可に従って行動しているかなどが審査されることになります。

上記のように、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の取得要件には、様々なものがあり、要件の充足性についてもケースバイケースですので、「技術・人文知識・国際業務」についてご相談されたい方はお気軽にお問い合わせください。

「技術・人文知識・国際業務」のビザについてはこちらのページでも解説しています。

帰化の種類,簡易帰化の要件について解説

2024-02-06

「帰化」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

外国籍の方が日本国籍を取得することを「帰化」といいます。

この「帰化」には、以下の3種類があります。

帰化の種類

①普通帰化

外国で生まれ、日本への留学や就労、日本人との国際結婚を機に来日し、一定期間以上日本に居住し、今後も日本でずっと住んでいくにあたり、日本国籍を取得したいという方が帰化をする場合です。

②簡易帰化

日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、帰化の条件を一部緩和しています(国籍法第6条から第8条まで)。

帰化の条件は緩和されますが、収集する書類の量は変わりませんし、むしろ特別永住者の方などは、一般の外国籍の方が帰化するより集める書類は多くなります。

③大帰化

大帰化とは、国籍法9条にある「日本に特別の功労のある外国人については、国会の承認を得て、帰化を許可することができる」というものです。

日本に特別の功労のある外国人は普通帰化の要件を満たしていなくても日本国籍を取得できますが、今まで大帰化がされたことは一度もありません。

以上のように、通常外国人の方が「帰化」する際は、上記①又は②のパターンになります。

なお,帰化申請のための書類はこちらにも公開されています。

ここでは、「簡易帰化」の要件について説明いたします。

簡易帰化が認められるための条件とは

1.素行条件

「普通帰化」と同様に、素行が善良であることが必要です。

素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されることも「普通帰化」と同様になります。

2.納税状況

これも「普通帰化」と同様に、各種税金をきちんと納税していることが必要です。

納税の有無については、帰化申請する本人だけでなく、同居の家族全員分が見られますので注意が必要です。

最近ケースとして多いのが、株や仮想通貨等で副収入を得ている方は、利益の額によっては自身で確定申告を行うことで納税の義務が発生しますので、株などをお持ちの方はこの点も確認を行いましょう。

また、経営者の方は、個人の税金だけでなく、会社の税金もしっかり納税を行っていることが必要です。

3.年金の支払い

これも「普通帰化」と同様に、税金だけでなく、年金の支払いも帰化申請においては確認をされます。

年金の支払いについては、直近1年分が必要です。

会社員の方で厚生年金に加入しており、給料から天引きされている方は問題ありませんが、国民年金の方で、自身での支払い義務がある方は、直近1年間で支払っていない月がないか確認を行いましょう。

4.交通違反

これも「普通帰化」と同様に、帰化申請前の過去5年間がチェックされます。

おおよその目安としては5回以上過去5年以内に交通違反があると、素行が善良ではないと判断されやすいです。

5.生計条件

これも「普通帰化」と同様に、日本で生活をしていくにあたり、生計を維持することができることが条件です。

この生計条件は生計をともにする同居のご家族を含めて判断されます。つまり、帰化申請人に十分な収入がなくても、帰化申請人と同居しているご家族(配偶者や成人した子ども)に十分な収入があり、世帯として生計を維持することができれば問題ありません。

おおよその収入の目安としては、手取りで月額18万以上あれば世帯として生計を維持することができると判断されやすいです。

なお、扶養者がいる場合には、月額18万円プラスαで考えていきます。

ちなみに、「帰化」については通常の在留資格とは異なり、出入国在留管理庁に申請するのではなく、帰化申請をしようとする者の住所地を管轄する法務局又は地方法務局(国籍事務取扱支局を含む)に申請をしますのでご注意ください。

簡易帰化と普通帰化の大きな条件の違いとして,居住要件(5年以上日本に住んでいること)と日本語能力の点が簡易帰化申請の時の方が緩和されています。

上記のように、「簡易帰化」という名前であることから、「普通帰化」よりも要件が緩和されているようにも思えますが、実際には日本の国籍を取得することに変わりはありませんので、「簡易帰化」の場合であっても、「普通帰化」と同様の審査がなされることとなります。

帰化についてはこちらのページでも解説しています。

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