在留期間中に刑事処分や行政処分を受けた場合、その後の在留手続きはどうなるのか?弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が1から5までのケースに分けて解説します。
このページの目次
1.在留期間中に刑事事件をおこして無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたケース
このケースでは、在留期間中に刑務所で服役することになります。服役期間中に在留期間が経過すると在留資格はなくなります。
服役中に入管審査官が退去強制手続きを進めることがあります。
どのような場合に退去強制(強制送還)となるのか,また,それはどのような手続きで進むのかは,出入国管理及び難民認定法に規定があります。
刑期満了又は仮釈放後は日本人のように刑務所から外に出られるわけではなく、刑務所から出入国在留管理署(以下入管)内にある入管収容施設に直接移送され収容されます。
収容令書により入管収容施設に収容されたまま退去強制手続きが進行します。
入管収容施設に収容される期間は原則として30日以内であり、収容されてから30日以内に被収容者に対して退去強制処分を出すか否かが決定されます。
被収容者に退去強制処分が出された場合、被収容者がどうしても帰国できない事情があって日本に在留したい場合は、入管の担当部署に在留許可申請(再審情願)を行います。
入管収容施設に収容されて収容施設から外に出て生活したい場合は、収容施設にある入管の担当部署に仮放免又は監理措置の申請をします。
2.出入国管理及び難民認定法(以下法)第24条で定める退去強制に該当する事由により刑事処分を受けたケース
法24条で定める退去強制事由により在留期間中に刑事処分を受けた場合は、仮に1年以下の懲役若しくは禁錮又は執行猶予付きの判決に処せられた場合であっても、法24条で定める退去強制事由以外の罪で無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた場合と同様に、在留期間中に退去強制手続きが始まります。
入管で法24条が定める退去強制事由に該当すると判断された場合、入管収容施設に収容される場合とされない場合があります。
本ケースで引き続き日本に在留したい場合は、入管が退去強制処分を出す前に在留特別許可申請を行い在留許可を得る必要があります。
法24条に該当する事由があると認定され、法務大臣により在留を認めるべき特別の事情があるとの認定がされなければ退去強制処分が確定します。
退去強制処分を受けた者がどうしても日本に残らなければならない事情がある場合は、再度の在留許可申請(再審情願)を行います。
法24条で定める退去強制該当事由として、他人名義のパスポートによる不法入国、不法就労のあっせん、在留カードの偽造又は所持、在留カードの偽造、不法就労、在留期間超過、人身取引、旅券法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、覚醒剤取締法違反等で有罪判決を受けた場合、売春又は売春のあっせん、勧誘等があります。
出入国管理行政の根幹を揺るがしかねない犯罪類型を限定列挙しています。
3.法24条列挙事由以外の罪で、1年以下の懲役若しくは禁錮又は罰金に処せられたケース。
原則として在留期間中に退去強制手続きは始まらず次の在留期間まで在留資格は継続します。刑事処分後の在留更新の時に刑事処分時の在留状況を審査されます。
在留更新の審査で「素行に問題がある」と判断され在留更新が認められない場合があります。
4.法24条列挙事由以外の罪で1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたが執行猶予の言渡しを受けたケース。
3と同様の扱いとなりますが、4のケースでは刑事処分後の在留更新は「素行に問題あり」として更新が認められることはかなり厳しくなります。
5.在留期間中に速度超過や駐停車違反で行政処分を受けたケース。
速度超過や駐停車違反により行政処分を受けた場合、それだけで退去強制手続きに進むことはありませんが、
次の更新申請の時に「素行に問題あり」と判断され在留期間が短縮されることがあり得ます。
以上1から5までのケースに分けて刑事処分・行政処分を受けた後の在留手続きについて解説しました。
上記のケースから分かるように在留期間中に刑事処分を受けるとその後の在留更新手続きは極めて困難となります。
また行政処分のみの場合でも在留期間が従来の5年から1年に短縮したりすることもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は在留特別許可、再審情願の手続きを扱っています。
在留期間中に刑事・行政処分を受けてしまいどうしていいかわからずお悩みの方は、お一人で悩まずに是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。