在留資格「技術・人文・国際業務」について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際国際業務(出入国管理居HP)」について解説します。

事例

Q A国に本社がある化学メーカーの東京支店で、今回新たに研究開発部門の新規事業立ち上げを行うことになりました。
研究開発事業に携わるの技術職の社員を10名をA国から中途採用して東京支店に呼び寄せる予定です。この場合採用した技術職社員を東京支店に受け入れるには、どのような在留手続きが必要でしょうか?また申請にあたりどの様な点に留意したらよいでしょうか?
A 中途採用の技術職社員を海外から日本にある支店に呼び寄せるには、在留資格「技術・人文・国際業務」での手続きとなります。
在留資格「技術・人文・国際業務」とは、日本にある公私の機関との契約に基づいて行われる自然科学の分野若しくは人文科学の分野の専門的技術若しくは知識を必要とする業務に従事する外国人又は外国人特有の感性を必要とする業務に従事する外国人を受け入れるために設けられたものです。

1.「技術・人文知識・国際業務」の該当範囲について

入管法別表第1の2の表の「技術・人文知識・国際業務」の項の下蘭は、本邦において行うことのできる活動を以下の通り規定しています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項から興業の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
「自然科学の分野の属する技術又は知識を有する業務」とは、どのようなものかというと、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務であることを示すものであり、自然科学の分野に属する技術又は知識がなければ出来ない業務であることをいいます。
代表的なものとして、以下の分野があげられます。
数理科学、物理化学、化学、生物化学、人類学、地質化学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核化学、基礎工学、応用物理学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用科学、資源開発工学、造船学、計測、制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、薬学、農学、農芸化学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、地域農学、生理科学、病理化学、内科系化学、外科系化学、社会医学、歯科学、薬科学等です。
A化学メーカー東京支社での採用に関しては、大学等で化学、生物化学、応用科学、化学工学、薬学、農学、農芸化学、畜産学、生理科学、病理化学、内科系化学、外科系化学、社会医学、薬科学等を専攻した人材を中心に募集をかけて選考し採用していくことになるでしょう。

2.在留申請における留意点

(1)従事しようとする業務と専攻科目との関連性について
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、従事しようとする業務と大学等において専攻した科目との関連性が必要です。
ただし、専攻科目と従事しようとする業務が一致していることまでは求められません。
大学卒業者に対しては、大学における学術機関としての社会における役割(学校教育基本法第83条第1項、第2項)から、大学における専攻科目と実際に従事しようとする業務との関連性については比較的緩やかに判断されます。
(2)採用当初に行われる実務研修に係わる扱いについて
外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で在留するためには、当該在留資格に該当する活動に従事することが必要であるところ、企業においては、採用当初に一定の実務研修期間が設けられていることがあります。
実務研修期間に行う活動のみを捉えれば「技術・人文・国際業務」の在留資格に該当しないように見えるとしても、それが日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって、在留期間の大半を占めるようなものでない場合は、相当性を判断したうえで当該活動が許容されます。
3.実務研修での研修期間について
研修期間を含めた在留資格該当性については、在留期間中の活動を全体として捉えて判断します。ここでいう「在留期間中」とは、一回の許可毎に決定される「在留期間」を意味するものでなく雇用契約書や研修計画に係わる企業側の説明資料等の記載から、申請人が今後日本で活動することが想定される「技術・人文・国際業務」の在留資格をもって在留する期間全体を意味します。
そのため、例えば、今後相当期間、日本において「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動に従事することが予定されている者が、在留期間「1年」を決定された場合、決定された1年間全て実務研修に従事することも考えられます。
他方で、例えば、雇用契約期間が3年間のみで、契約更新も予定されていないような場合、採用から2年間実務研修を行う、といった雇用契約は認められません。
なお、採用から1年間を超えて実務研修に従事するような申請については、研修計画の提出を求め、実務研修計画の合理性を審査することがあります。

以上、在留資格「技術・人文・国際業務」について、採用と採用後の留意点の観点から解説しました。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在留資格「技術・人文・国際業務」を取り扱っております。

海外から在留資格「技術・人文・国際業務」での呼び寄せをご検討の際は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問合せください。

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