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技術・人文知識・国際業務ビザ|職務内容説明で明暗が分かれる理由

「技術・人文知識・国際業務」(いわゆる「技人国」)は、申請者の学歴・職歴だけでなく、実際に日本で何をするのか(職務=活動内容)が審査の中心です。
同じ学歴でも、職務内容説明(職務内容説明書・業務内容説明資料)の仕方で許可/不許可が分かれます。
審査の核心は「学歴」よりも「活動との整合性」
法務省の外局である出入国在留管理庁のガイドライン(平成20年3月策定、最終改定令和6年2月)は、該当性判断を「在留期間中の活動を全体として捉えて判断する」と明示しています。
専門業務が“ごく一部”で、残りが専門性を要しない業務や反復訓練で行える業務だと、該当しないと判断され得ます。
一方、入社当初の研修として一時的に接客・販売等が含まれても、日本人社員にも同様に行われ、在留期間全体の大半を占めない場合は、相当性を判断した上で認め得るとされています。
申請の流れと判断ポイント
(海外から)
内定 → COE申請(国内の代理人可)→ 査証申請 → 上陸
(日本国内)
留学等 → 在留資格変更許可申請
入管が見る主な軸
①職務が「技人国」の範囲か(単純労働ではないか)
②学歴・職歴要件と職務が結びつくか(関連性)
③報酬が日本人と同等以上か
④研修があるなら合理性と期間
上記は実務上の全体像で、COEが査証発給を保証しない点も含めて公式に説明されています。
技術・人文知識・国際業務の要件を運用基準から整理
要件は大きく「活動内容(職務)」と「学歴・職歴(上陸許可基準)」に分かれます。
職務内容説明では、次の3点を“証拠で”示せるかが要です。
• 契約に基づき、継続して行う活動であること(雇用契約/委任等を含む)。
• 自然科学・人文科学の専門知識を要する業務、または外国文化に基づく思考・感受性を要する業務であること。
• 学歴・職歴要件(専攻との関連、実務経験年数)と、職務が噛み合っていること。
要件の整理表
| 観点 | ポイント | 立証資料(例) |
| 契約性・継続性 | 契約(雇用・委任・委託等)に基づき、継続が見込まれる | 雇用契約書、内定通知、組織図 |
| 活動内容(技術・人文) | 学術上の素養を背景とする一定水準以上の専門能力が必要 | 職務内容説明書、成果物例、ツール |
| 活動内容(国際業務) | 翻訳・通訳・語学指導、広報・宣伝、海外取引、デザイン、商品開発等 | 言語・国、企画書、海外向け資料 |
| 学歴・職歴 | 専攻との関連/10年以上(関連科目専攻期間を含む扱い)/国際業務は原則3年以上(大学卒の翻訳・通訳・語学指導は例外) | 卒業・成績証明、職務経歴書 |
| 報酬 | 日本人同等額以上(実費弁償は原則含まない) | 賃金規程、同職種の給与比較 |
「単純労働」判定が出る典型パターン
ガイドラインは「未経験可、すぐに慣れます。」と書けるような業務は対象にならない旨を示し、専門業務がごく一部で、それ以外が反復訓練で習得可能な業務だと「該当しない」と整理しています。
また、ホテル分野の不許可例として「荷物運搬・客室清掃」が主たる業務のケース等が公表されています。
研修(OJT)についても、ガイドラインは「在留期間中」の判断を、1回ごとの許可で決まる在留期間ではなく、雇用契約や研修計画等から想定される就労期間全体で捉えるとしています。
その上で、雇用契約期間が3年のみで更新予定もないのに「採用から2年間研修」といった申請は認められない旨を説明し、研修が長期化する場合は研修計画等で合理性を審査するとしています。
許可されやすい/不許可になりやすい職務の境界(例)
| 区分 | 許可方向 | 不許可方向 |
| IT・エンジニア | 要件定義、設計、開発、品質管理 | 梱包、検品、ライン業務のみ |
| 企画・マーケ | 市場分析、海外向け戦略、翻訳・ローカライズ | 店頭販売、レジ、品出し、清掃中心 |
| デザイン | 主体的創作、設計、ディレクション | 補助作業のみ/接客のみ |
| 研修(OJT) | 期間限定・合理性あり・日本人も同様 | 長期化し在留期間の大半を占める |
職務内容説明書が「許可/不許可」を決める理由
基準は抽象度が高く、職名や求人票だけでは、業務が専門的かを判断できないことがあります。
研修を含む場合、入社後のキャリアステップと各段階の具体的職務内容等の資料提出を求めることがある、とガイドラインは述べています。
だから職務内容説明書は、法的評価を支える“証拠の設計図”になります。
書き方で失点しやすいポイント
| 失点パターン | 危険性 | 改善 |
| 「接客・販売など幅広く担当」 | 主業務が見えず単純労働疑い | 業務を分解し比率と成果物で示す |
| 「現場研修を1〜2年」 | 非該当活動が主となり得る | 目的・期間・研修計画を明記 |
| 「未経験可」前提 | 専門性否定に読まれる | 必要スキルを明記 |
| 専攻との接続がない | 関連性不足が直撃 | 科目→業務→成果物を線で結ぶ |
| 報酬根拠が薄い | 同等報酬で失点 | 日本人賃金根拠を添付 |
モデル記載例(短縮版)
| 目的 | 許可方向の書きぶり(モデル) | 不許可方向の書きぶり(モデル) |
| 「専門業務が主である」こと | 「海外取引先向け提案資料の作成(英語)、市場分析、契約条件交渉補助。週の業務比率:海外取引70%、翻訳・資料作成20%、社内調整10%」 | 「接客・販売等、必要に応じて幅広く対応」 |
| 「専攻との関連」 | 「大学で履修した○○(例:統計・マーケティング)を用い、KPI設計と広告効果分析を実施」 | 「大学で学んだ内容は業務に特に関係しない」 |
出典:不許可例(清掃・配膳中心、同等報酬、関連性不足等)を踏まえた留意点
公表事例と裁判例が示す「線引き」
許可例として、海外広報人材として採用後に「3か月の販売・接客研修」を経て本社の海外広報へ配属されるケースが示されています。
他方、不許可例として、ホテルで主たる業務が「荷物運搬・客室清掃」であれば不許可、採用後最初の2年間が「専ら配膳・清掃」で在留期間の大半を占めるなら不許可、などが示されています。
クールジャパン分野でも、主体的創作を伴わない補助作業のみ、接客・販売のみといったケースが不許可例として示されています。
名古屋地方裁判所平成28年2月18日判決(在留資格「技術」の事案)でも、機械製作について「設計」や「組立てを指揮」する活動は該当し得る一方、「単に機械の組立作業」は該当しない、という整理が示されています。
行政書士の業務範囲と、弁護士に依頼するメリット
行政書士は、官公署に提出する書類等の作成を業とし、提出手続の代理や書類作成に関する相談にも応じられます。
ただし行政書士法は、聴聞等での代理について弁護士法72条の「法律事件に関する法律事務」に該当するものを除く、と線引きしています。
弁護士は、訴訟事件だけでなく、審査請求等の行政不服申立事件を含む「一般の法律事務」を職務とし、弁護士でない者が報酬目的で法律事件に関する法律事務を業とすることも禁止されています。
手続支援の違い(概要)
| 争点 | 行政書士 | 弁護士 |
| 申請書類の作成・添付資料設計 | 可能(法の範囲内) | 可能 |
| 官公署への提出手続の代理 | 可能(限界あり) | 可能 |
| 不許可後の争訟対応 | 争訟代理は不可 | 申請〜争訟まで一貫 |
出典:行政書士法・弁護士法の規定。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のサポート
当事務所は、職務内容を「実態」「キャリア設計」「学歴・職歴との関連」「報酬水準」の4点から再構成し、職務内容説明書を含む立証パッケージを設計します。
特に、接客・清掃・配膳など「非該当業務」が混在する案件、研修(OJT)の設計を伴う案件、専攻との関連性が説明しにくい案件では、初回の職務内容説明で“誤解の芽”を潰すことが重要です。
COEは、外務省も「査証発給を保証するものではない」と述べています。
※本文は、“””””JassoJapan”出入国在留管理庁による公開資料内のガイドライン等を主な一次資料として整理した一般情報です。
個別事情により結論は変わるため、早期に専門家へご相談ください。
