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在留資格「企業内転勤」について

1.出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(抄)別表第一の二
「企業内転勤」
本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業 所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄 に掲げる活動。
(1)「目的」
企業活動の国際化に対応し、人事異動により外国の事業所から本邦の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられました。
同一企業等内部の事業所から本邦の事業所に一定期間転勤して、「技術・人文知識・国際業務の内部で外国の事業所から本邦の事業所に一定期間転勤して、
「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄に掲げる活動を行う者が該当します。
(2)「該当範囲」
本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄 に掲げる活動
(3)企業内転勤の在留資格に該当する範囲は以下の①、②です。
①「企業内転勤」の在留資格により行うことができる活動内容は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る活動ですが、
同一企業内の転勤者として本邦において限られた期間勤務するものである点で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって在留する外国人と異なります。
②「企業内転勤」の在留資格は、「自然科学の分野に属する技術又は知識」又は「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性」のうち
少なくともいづれかを必要とする業務に従事する活動です。
(4)「留意事項」
① 同一の法人内で異動をして「企業内転勤」の在留資格をもって在留する場合は、改めて雇用等の契約を結ぶ必要はありません。
② 本邦にある事業所は、事業が適正に行われ、かつ、安定的に事業を行っていると認められるものでなければなりません
③ 本邦にある事業所は、施設が確保され、当該施設において事業活動が行われるものである必要があります。
企業内転勤のビザについて,必要となる申請書類等はこちら(法務省 出入国在留管理局HP)
2.上陸許可基準
法別表第一の二の表の企業内転勤の項の下欄 に掲げる活動で申請人が次のいずれにも該当していること。
第1号
申請に係る転勤の直前に外国にある本店,支店その他の事業所において法別表第一の二の表 の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で,
その期間(企業内転 勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に 従事していた期間がある場合には,当該期間を合算した期間)が継続して一年以上あること
第2号
「日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けること。」
「上陸許可基準の内容」
(ア)「技術・人文・国際業務」の項の下欄に規定する業務であれば足り、転勤後本邦において従事する業務と同一又は関連する業務であることまでは必要ありません。
(イ)申請人が本邦の本店、支店、その他の事業所に転勤する直前に1年以上継続して勤務していたことが必要です。
ただし、直前の1年以内に外国の事業所等から転勤して本邦にある事業所に「企業内転勤」の在留資格により在留していた期間がある場合は、その期間を含めることができます。
「申請に係わる転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において・・・
継続して1年以上あること」とは、新たに採用した職員を直ちに本邦に転勤させることは認めないということです。
これは外国企業が本邦における労働力を確保しようという目的だけのために、その企業において何ら在留資格「技術・人文・国際業務」に該当する業務を行ったことがない
新規採用職員を本邦に転勤させることを防止する趣旨です。
「日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けること。」とは、安価な労働力防止による国内労働市場の確保のため、低賃金での業務を認めないという趣旨です。
また同じ職場で同様の業務に従事する日本人が受ける報酬以上であることが必要です。
「立証資料」として
所属機関となる本邦の公私の機関は、カテゴリー1から4に分類され、所属機関がいずれのカテゴリーに属するかに応じて各種申請の際に提出を要する立証資料に差が設けられています。カテゴリー1から4までのうち、1が立証資料の免除が大きく、2,3と少なくなり、1から3までのいずれかのカテゴリーに該当することの立証がなければカテゴリー4に該当するものとして免除は受けられず、入管側が求める全ての立証資料の提出が必要となります。
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「企業内転勤」について解説しました。
海外の事業所から日本国内にある事業所に社員を転勤させたいが在留申請手続きについて不安のある方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
上陸特別許可制度の解説

上陸特別許可について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.上陸特別許可とは?
上陸特別許可とは日本への上陸が認められない事情を持つ外国人に対して,法務大臣の裁量により当該外国人が日本に上陸することを特別に認める制度です。
上陸特別許可の根拠となる法律として出入国管理及び難民認定法(以下法)第12条があります。法12条では,以下①~③に該当する場合に,法務大臣は上陸特別許可をすることができると規定しています。
① 再入国許可を受けているとき
② 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に入ったものであるとき。
③ その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき。
特に③の場合に法務大臣に広範な裁量を認めています。
上陸を禁止されている外国人を日本に入国することに人道上の特別な理由がある場合に,上陸特別許可が認められる場合があります。
本来日本への上陸の条件に適合しない外国人は日本に入国することはできませんが,個別的事情によっては例外として上陸を認める必要性のある場合もあり,個々の事情を斟酌して柔軟な対応をすることで上陸拒否の外国人の日本への入国を可能としたのが上陸特別許可の制度です。
従って上陸特別許可を申請したからと言って必ず許可されるものではなく,内容によっては上陸特別許可がされないこともあります。
比較的上陸特別許可が認められやすいケースとして,「上陸拒否となった理由がオーバーステイのみである場合」や「当該外国人の配偶者が日本国籍者で2人の間に日本国籍の子がいる場合」等は比較的上陸特別許可が認められやすいです。
逆に日本で1年以上の有罪判決が確定してから本国に帰国した場合(執行猶予も含む)は無期限に上陸が禁止されるため,上陸特別許可が認められにくいです。
当該外国人が1年以上の有罪判決を受けている場合は,上陸を認めるに足りる「相当の理由」の有無について厳しく問われます。
参考:在留特別許可について
2.上陸特別許可申請の申請方法
上陸特別許可の申請方法については,一般的に在留資格認定証明書による申請に方法がとられています。
認定審査の結果,申請人に日本に上陸を許可することに特別な事情があると法務大臣が認めた場合は在留資格認定証明書が交付されて在外公館で有効な査証(ビザ)を取得した場合は,当該上陸拒否事由に該当すること以外に上陸の条件に適合しないものがなければ,日本への上陸を認められることとなります。
3.上陸特別許可申請の流れ
日本に上陸を希望する外国人は日本国外にいるため,外国人本人が自分で書類を作成して入国管理局に申請することができません。
そこで日本にいる申請人(就職先の代表や外国人の夫・妻等)が外国人本人の代わりに在留資格認定証明書書類を作成して管轄の入国管理局に申請します。
当該外国人を日本に受け入れる必要性や人道上の理由を証拠資料とともに丁寧に説明していくことが求められます。
審査には通常の申請よりも時間がかかることが一般的です。
上陸特別許可は法務大臣の裁量の幅が広く,審査も慎重になされるため一度の申請では許可が出ないこともあります。
何度も繰り返し申請してやっと上陸特別許可が認められる場合も珍しくありません。
こうした点から見て上陸特別許可は非常に難易度の高い在留資格申請手続きになります。
4.在留資格認定証明書交付後の手続きについて
審査の結果,法務大臣(入国管理局)の判断により上陸特別許可が認められると,申請人あてに在留資格認定証明書が申請人が申請した入管から送付されます。
申請人は自分宛てに届いた在留資格認定証明書を国外にいる日本への上陸を希望する外国人本人に送付します。
外国人本人が在留資格認定証明書を受け取ったら自国にある日本大使館又は総領事館で査証(ビザ)発行手続きを行います。ビザが発行されたら,日本にいる申請人の方から管轄の入国管理局に当該外国人が来日する日時・空港名・便名等を連絡します。
連絡を受け取った入管は当該外国人が入国手続きの際,スムーズに入国できるよう関係部署に手配をします。
以上,上陸特別許可について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説しました。
日本滞在中に何らかのトラブルをおこしてしまい上陸拒否となったが日本への入国を再度希望している方はお人で悩まずに,是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

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在留期間中に刑事・行政処分を受けた場合、その後の在留手続きはどうなるのか?

日本に在留している間に刑事処分・行政処分を受けてしまうとビザが取り消されてしまうのでしょうか?
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.刑事処分によってビザが取り消されてしまうケース
在留期間中に刑事事件をおこして無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたケース(執行猶予の言渡しを受けた者を除く)
本ケースでは、例え在留期間中であったとしても、判決確定後は刑務所に移送され服役することになります。服役中に入管審査官が退去強制手続きを進めることがあります。
刑期満了又は仮釈放後は日本人のように刑務所から外に出られるわけではなく、刑務所から出入国在留管理署(以下入管)内にある入管収容施設に直接移送されて収容されます。
出入国管理及び難民認定法、以下法)別表一(日本での活動に基づく在留資格)と法別表二(身分又は地位に基づく在留資格)の区別なく適用されます。
入管収容施設に収容されてからは、退去強制事由に該当しないと判断されない限り、原則30日以内に被収容者(入管に収容された外国人、以下被収容者)に対して退去強制処分が決定されます。
被収容者が入管施設に収容されている場合に被収容者の収容を解く手続きとして仮放免と監理措置があります。
仮放免とは、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている被収容者について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるときに、収容を一時的に解除する制度です(法第54条)。
監理措置は令和5年の出入国管理法改正で新たに設けられました。
監理人による監理の下、逃亡等を防止しつつ、相当期間にわたり、社会内での生活を許容しながら、収容しないで退去強制手続を進める措置です。
なお、監理措置は、退去強制令書発付前のもの(法第44条の2以下に規定)と、退去強制令書発付後のもの(法第52条の2以下に規定)とがあります。
健康上、人道上の理由以外の理由で収容の一時的解除を求める場合は監理措置によることになります。入管収容施設に収容された外国人が今後も日本に長期滞在したい場合は、退去強制処分が発付される前に在留特別許可を申請して新たに在留許可が認められる必要があります。
2.特定の犯罪で有罪判決を受けた場合
有罪の判決を受けた場合に法別表第一、法別表第二の在留資格に共通して適用されるケース
本ケースに該当する退去強制該当事由として、他人名義のパスポートによる不法入国、不法就労のあっせん、在留カードの偽造又は所持、在留カードの偽造、不法就労、在留期間超過、人身取引、旅券法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、覚醒剤取締法違反等で有罪判決を受けた場合、売春又は売春のあっせん、勧誘等があります。
出入国管理行政の根幹を揺るがしかねない行為や犯罪、社会的利益を著しく侵害する危険性のある犯罪等を法第24条で限定して列挙しています。
3.特定の刑法犯で執行猶予以上の有罪となった場合
法第24条で定める退去強制事由で、法別表第一の在留資格に該当するケース
法別表第一に記載されている在留資格の外国人は、以下の罪による場合は1年以下の懲役若しくは禁錮又は執行猶予付きの判決に処せられたときでも退去強制該当事由になります。
住居侵入罪、通貨偽造罪、文書偽造罪、有価証券偽造、支払い用カード電磁的記録に関する罪、印象偽造の罪、賭博及び富くじに関する罪、殺人の罪、傷害の罪、逮捕および監禁の罪、略取、誘拐及び人身売買の罪、窃盗及び強盗の罪、詐欺及び恐喝の罪、盗品等に関する罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条の二若しくは第一条ノ三の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開鍵用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの
参考:外国人が逮捕されてしまった場合
4.その他の刑法犯で1年以下の実刑判決を受けた場合
法24条列挙事由以外の罪で1年以下の懲役若しくは禁錮又は罰金に処せられたケース
原則として在留期間中に退去強制手続きは始まらず、次の在留期間まで在留資格は継続します。在留更新時に,刑事処分を踏まえて在留状況を審査されます。
在留更新時の審査で「素行に問題がある」と判断されると,在留更新が認められない場合があります。在留申請更新時に反省文や嘆願書等を提出して在留更新許可が認められるように対策が必要です。
5.その他の刑法犯で執行猶予判決を受けた場合
法24条列挙事由以外の罪で1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたが執行猶予の言渡しを受けたケース
4と同様の扱いとなりますが、本ケースでは刑事処分後の在留更新は「素行に問題あり」として在留更新が認められることはかなり厳しくなります。
法別表一の在留資格の場合はもとより法別表二による在留資格の場合でも、在留資格更新時に滞在中に「素行に問題あり」として在留更新が不許可となる場合があります。
なお本ケースの場合、上陸拒否の特例を受けない限り、いったん日本から出国すると無期限で日本に入国できないので注意が必要です。
6.行政処分を受けた場合
在留更新中に速度超過や駐停車違反で行政処分を受けたケース
速度超過や駐停車違反により行政処分を受けた場合、それだけで退去強制手続きに進むことはほぼありませんが、次の更新申請の時に「素行に問題あり」と判断され在留期間が短縮されることがあり得ます。在留更新時に反省文や理由書等を提出するとよいでしょう。
以上1から6までのケースに分けて刑事処分・行政処分を受けた後の在留手続きについて解説しました。
上記のケースから分かるように在留期間中に刑事処分を受けるとその後の在留更新手続きは極めて困難となります。
また行政処分のみの場合でも在留期間が従来の5年や3年の在留期間から1年の在留期間に短縮されたりすることもあります。
在留期間中に刑事・行政処分を受けてしまい在留更新手続きでお悩みの方は、お一人で悩まずに是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
「再入国許可と上陸拒否の特例」について

(架空の事例)
永住者のAさんは現在外資系企業の日本支店で働いています。
Aさんは3年前に窃盗事件をおこし懲役1年、執行猶予3年の罪に処せられました。
判決後は幸い勤務先からの懲戒解雇は免れました。Aさんは事件後心機一転し仕事を頑張った結果、先日海外にある本社の管理職として異動の内示がでました。
Aさんは妻と子供を日本に残し単身で海外に赴任することを考えていますが、自分が以前おこした事件の影響で、日本出国後再び日本に再入国できるのかについてとても心配しています。
日本で有罪判決に処せられたAさんは、海外勤務修了後再び日本に戻ってくることは出来るでしょうか?
1.再入国許可
Q 再入国許可申請とは何ですか?
A 在留資格を取得した外国人は、当該在留資格に基づいて日本に滞在する法的資格がありますが、この資格は当該外国人が日本から出国することにより失われます。
そこで日本に在留する外国人が日本を出国後もこの法的資格を維持するための許可を受ける必要があります。この許可申請手続きを再入国許可申請といいます。
再入国許可を受けた場合は、従前の在留資格がそのまま維持されるので、日本出国後、再度日本に入国する際に改めて在留資格申請手続きをする必要がありません。
再入国の有効期間は現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。再入国許可を受けて出国している外国人は、その有効期間内に再入国することができない事情がある場合には、有効期間の延長を申請することができます。この場合の延長をすることができる期間は1年をこえず、かつ、当初の再入国許可が効力を生じた日から6年(特別永住者の場合は7年)を超えない範囲内です。
この有効期間の延長の許可は旅券又は再入国許可許可書にその旨を記載することによって行われ、その事務は、在外に日本国領事館等の委任するものとされています。
2.前科があっても再入国許可申請ができるのか
Aさんが海外勤務後日本に戻るためには、日本の在留資格を失わないために管轄の入管で再入国許可申請を行い再入国許可を受ける必要があります。
再入国許可申請にあたり、Aさんは3年前に窃盗事件をおこし懲役1年以上の有罪判決に処せられていますが、この場合Aさんの再入国はどうなるのでしょうか?
出入国管理及び難民認定法(以下法)第5条では日本への上陸拒否にあたる場合を例示しており、法5条1項4号では無期限上陸拒否にあたる場合として、
「日本国又は日本国以外の国に法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。」
と規定しています。
「1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられた」場合に執行猶予も含むとして運用されています。
Aさんには法5条1項4号が適用され、日本から出国すると日本への入国を拒否されAさんは海外転勤をすると永久に日本に戻ってこれないことになりますが、法5条1項4号には例外がないのでしょうか?
再入国許可が認められる場合もある
法5条1項4号に該当する場合、原則として永久に日本に入国することは禁止されますが、事情によりどうしても日本を出国して海外に行かなければならない場合もあります。
法5条1項4号に該当する場合は全て一律に上陸拒否とすることは人道的に問題生じるおそれがあります。そこで法5条の2では上陸拒否の特例を規定し、無期限上陸拒否の例外について規定しています。
法5条の2「当該外国人に第26条第1項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができる。」
法5条の2が適用される典型的な事例として、「上陸特別拒否事由に該当することになる特定の事由と同じ事由に基づく退去強制手続きにおいて在留特別許可を受けた者に対して、再入国許可を行った場合」があります。
Aさんは再入国手続き申請の際に、自分が出国後に日本への再入国が必要であることについて法務大臣に相当の理由を示して、上陸拒否の特例を受けることができればAさんは海外転勤ができます。
3.通知書について
Aさんに上陸拒否の特例が認められると、「法5条1項4号のみを理由として上陸を拒否しない」との趣旨を記した通知書が発行されます。
入管法施行規則第4条の2第2項「特定の事由のみによっては上陸を拒否しないこととしたときは、その外国人に通知書を交付するものとする」
通知書には以下の記載があります。
氏名
生年月日
国籍・地域
住居地
期限
事由(法5条〇項〇号に規定された上陸拒否の対象となる事由)
この通知書を、入国の際に携行(通常はパスポートに添付)して、入国審査官に提示することで日本への入国が可能となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では上陸特別許可申請について取り扱っています。
日本への上陸許可についてお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。
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日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
日本人の実子をもつ外国人親の在留資格
「日本人の実子をもつ外国人親の在留資格」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.事例
日本に滞在する外国人女性Aさんは、日本滞在中に内縁関係にある日本人男性との間に子どもをもうけました。子どもは日本人男性の認知を受けて現在Aさんが日本で育てています。
Aさんがこの先日本で仕事をして子どもを育てていくためにはどのような在留手続きが必要となるでしょうか?
2.どのようなビザが取れるのか
上記のケースについて,「日本人の実子をもつ外国人親が日本に滞在するのに必要な在留資格の扱いについて」という法務省からの通達が出ています。
平成8年7月30日通達(法務省入国管理局長通達第2565号「日本人の実子を扶養する外国人親の取扱について」
「表記(引用者注:日本人の実子を扶養する外国人親の取扱い)については、地方入国管理局長が諸般の事情を考慮して「定住者」と認めることが相当と判断した場合には本省に通達し、本省で個々に拒否の判断を行い、許可されたときに限り当該外国人親の在留を認めてきたところですが、日本人の実子としての身分関係を有する未成年者が我が国で安定した生活を営めるようにするために、その扶養者たる親の在留資格についても、なお一層の配慮が必要と考えられます。ついては、扶養者たる外国人親から在留資格の変更申請があったときは、下記のとおり取り扱うこととされたく、通達します」
と記載され記書きとして「未成年かつ未婚の実子(注1)を扶養するため本邦在留を希望する外国人親については、その親子関係、当該外国人が当該実子の親権者であること、現に相当期間当該実子を監護養育していることが確認できれば、地方入国管理局(支局を含む。以下同じ。)限りで「定住者」(1年)への在留資格の変更を許可して差し支えない。」と規定しています。
注1「日本人の実子とは、嫡出・非嫡出子を問わず、子の出生時点においてその父又は母が日本国籍を有しているものをいう。実子の日本国籍の有無は問わない。日本国籍を有しない有しない非嫡出子については、日本人父から認知されていることが必要」
通達の趣旨は「日本人と外国人との間の婚外子出生子が増加していることを踏まえこれら日本人の実子が外国人親とともに本邦で生活を営めるようにするため、未成年かつ未婚の日本人の実子が監護養育する外国人親について、法務大臣が特別な理由を考慮し「定住者」の在留資格により在留資格を認めることとした」ものです。
定住資格とは「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」に付与される在留資格です。
あらかじめ定住者告示をもって定められた活動(定住者告示)と定住者告示に定めがないもの(告示外定住)の2種類があります。
本ケースで取り上げている「日本人の実子をもつ外国人親に定住資格を認める場合」は定住者告示に定めがないもので「告示外定住」と呼ばれるものです。
3.具体的な手続きは?
日本人の実子をもつ外国人親が、入管法別表第1の在留資格で在留している場合、今後も子と日本で暮らすことを考えているケースではどの様な手続きをすべきでしょうか?
現在の在留資格から定住資格に在留資格変更手続きをすることができます。
「定住者資格」は就労制限がなく、身分による在留資格なので就労による在留資格よりも安定的・継続的に日本に滞在することが可能となります。
「定住者資格」で継続して5年日本に滞在することで、永住申請の要件の一つである国益要件を充足することができます。
定住者の在留資格に関する手続き,書式についてはこちらから。
4.オーバーステイにより在留資格がないケースでは、どの様な手続きが必要ですか?
オーバーステイの状態では,そもそもの在留資格が無いので、このままでは強制送還となります。
日本で生活していくためには退去強制処分が発令される前に在留特別許可申請をして
法務大臣に自分が在留を許可すべき特別な事情があること示して定住者資格を認めてもらう必要があります。
法務省では在留特別許可をするかどうかの判断において、審査の透明性を図る目的で在留特別許可のガイドラインを作成しています。
ガイドラインによれば、在留特別許可認める方向での積極的要素として「家族とともに生活する子の利益の保護の必要性」をあげています。
在留特別許可の判断において在留許可を認める方向で特に考慮する積極的要素として
①子が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子であること
②外国人親が子を扶養していること
③子が未成年かつ未婚であること
④外国人親が子と相当期間同居し、子を監護及び養育していること
①~④全ての事情を満たす場合には、法務大臣が在留を許可すべき特別な事情を判断するうえで、在留特別許可を認める方向で特に考慮する積極的要素となります。
5.「定住者」への在留資格変更申請手続き・在留特別許可申請手続きに関して必要となる資料はどのようなものがありますか?
子の戸籍謄本、住民票、子の在園証明書、在学証明書、子の扶養者の在職証明書、
外国人親の在職証明書、納税課税証明書、本邦に居住する身元保証人の身元保証書等
があります。これらの資料を元に「定住者」への在留資格変更申請手続き・在留特別許可申請手続きを行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、日本人の実子を監護・養育する外国人親の在留申請手続きを扱っています。
日本人の実子を監護・養育するために必要な在留申請手続きでお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。
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日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
日本で働く外国人の状況

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「厚労省の発表 日本で働く外国人労働者が過去最多。」について解説します。
厚労省が1月31日に公表した外国人雇用状況によると、令和6年10月末時点で日本で働く外国人労働者は2,302,587人でした。前年比で253,912人増え、率にして12,4%の増加、2013年から12年連続で過去最多を更新しました。
厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
これを基に,外国人の雇用状況を解説していきます。
1.在留資格別外国人労働者の割合
1位~5位までは以下の通りとなっています。
①専門的・技術的分野の在留資格 718,812人、31,2%
②身分に基づく資格629,117人 27,3%
③技能実習470,725人、20,4%
④資格外活動398,167人17,3%
⑤特定活動85,686人3,7%
2.日本で働くことが認められる在留資格について
①専門的・技術的分野
教授、芸術、宗教、報道、専門職1号、2号、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文・国際業務・企業内転勤、介護、興行、技能、「特定技能1号、2号」
の在留資格が専門的・技術的分野の在留資格に含まれます。
このうち「技術・人文・国際業務」と特定技能の2つで専門的・技術的分野全体の外国人労働者数の約90%を占めています。
最近の傾向として、特定技能の外国人労働者数206,995人(前年比で68,477人(49,4%)増加しており「特定技能」の増加分だけで専門的・技術的分野全体の増加分の56%を占めています。「特定技能制度」とは、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。
2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。*JITCO HP
特定技能では「転職」は他の専門的・技術的分野における在留資格よりも大きく宣言されており、「同一の業務区分内又は試験等により
その技能水準の共通性が確認されている業務区分間」においてのみ転職が認められる場合があるという条件があります。
②身分に基づく在留資格
日本において有する身分又は地位に基づいて認められる在留資格です。
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の在留資格です。
身分に基づく在留資格の特徴として、就労について制限がないことがあげられます。
③技能実習
外国人技能実習制度により海外から日本の技術を修得するため日本に在留する外国人のために設けられた在留資格です。技能実習制度は、
我が国で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として1993年に創設されました。
2017年11月、「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。*JITCO 「外国人技能実習制度とは」HP
2024年6月現在約39万人の外国人が「技能実習」で日本に在留しています。技能実習には1号から3号まであります。コロナ禍で一時減少しましたが、コロナ禍以降大きく回復傾向にあります。
④資格外活動
資格外活動許可とは、現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。
出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます。)別表第一に掲げる在留資格の方(就労資格を有する方や留学生等)が対象です。*入管HP
例えば留学の在留資格で日本の専門学校や大学に通う外国人が授業後や長期休暇の間アリバイトをするときに資格外活動許可が必要となります。
3.外国人労働者数上位3国について
国籍別上位3か国はベトナムが570,708人(全体の24,8%)、中国が408,805人(17,8%)、フィリピンが245,565人(10,8%)となっています。
対前年増加率が大きい上位3か国は、ミャンマーが114,618人(前年比61,0%増の43430人増加。インドネシアが169,539人(39,5%増)48032人増加、
スリランカが39,136人(33,7%増)9863人の増加となっています。ミャンマーとインドネシアでの増加率が大きい理由として、
特定技能 留学 技能実習が前年度と比較して大きく増加していることが挙げられます。
最近の傾向として、特定技能の外国人労働者数206,995人(前年比で68,477人(49,4%)増加しており「特定技能」の増加分だけで専門的・技術的分野全体の増加分の56%を占めています。「特定技能制度」とは、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。*JITCO HP。特定技能では「転職」は他の専門的・技術的分野における在留資格よりも大きく宣言されており、「同一の業務区分内又は試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間」においてのみ転職が認められる場合があるという条件があります。
4.外国人労働者数が多い上位3都府県
・東京585,791人(全体の25,4%)
・愛知県229,627人(10,0%)
・大阪174,699人(7,6%)
専門的・技術的分野と資格外活動(留学)は東京が一番多く、技能実習は愛知県が一番多くなっており、地域により外国人労働者の在留資格に地域性が現れています。
外国人の雇用に関して分からないことがある方やご不安なことがある方はこちらからお問い合わせください。

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永住許可申請におけるセルフチェックシート

永住許可申請での永住許可セルフチェックシートの提出について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
令和6年12月から永住許可申請で永住許可セルフシートの提出が求められるようになりました。
出入国在留管理庁HPには、永住許可セルフチェックシートに関して以下のような内容が記載されています。
(重要1)
提出書類は、在留資格や身分・地位によって異なります。以下のチェックシートで在留資格や身分・地位に応じた資料を確認の上、提出してください。
・ 提出書類チェックシート(日本人の配偶者)
・ 提出書類チェックシート(日本人の実子)
・ 提出書類チェックシート(永住者又は特別永住者の配偶者)
・ 提出書類チェックシート(永住者又は特別永住者の実子)
※ 提出書類が不足していた場合は、追加資料を求めることとなり、資料が揃うまで審査を進めることが困難となります。
そのような場合は、書類が揃っている方の審査を優先的に行うこととなりますので、御承知おき願います。
(重要2)申請前に、永住許可の要件に該当するか、以下のチェックシートで確認してください。
・ 永住許可申請セルフチェックシート(「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」用)
※ 1つでも「いいえ(No)」に該当した場合、永住許可申請は「不許可」となる可能性が高くなります。
※ 「いいえ(No)」が1つもなかったとしても、永住許可申請の「許可」を約束するものではありません。
※ 申請に際しては、審査を円滑に行う観点から、本チェックシートも以下の書類と合わせて提出いただきますようお願いいたします。
セルフチェックシートの内容
チェックシートの内容は概ね次の通りです。
永住許可申請セルフチェックシート【在留資格「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の方】
・永住許可の要件に該当するか、事前に確認していただくためです。
・以下の質問について、「はい(YES)」か「いいえ(NO)のいずれかに「〇」をつけてください。
* 一つでも「いいえ(NO)」に該当した場合、永住許可申請は「不許可」となる可能性が高くなります。
(「いいえ(NO)が一つもなかったとしても、永住許可申請の「許可」を約束するものではありません。
1.(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の配偶者である場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、)日本に引き続き1年以上在留している。
はい(YES) いいえ(NO)
2.直近3年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、
住民税を適正な時期に納税している。 はい(YES) いいえ(NO)
*未納や当初の納税期間を超えて納税したことがある場合は、あなたの扶養者の納税状況を回答してください。 はい(YES) いいえ(NO)
3.国税(源泉所得税及び復興所得税特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税)の未納がない。 はい(YES」) いいえ(NO)
4.直近2年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、
、年金保険料(国民年金及び厚生年金)を適正な時期に納付している。 はい(YES) いいえ(NO)
5.直近2年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、医療保険(健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療保険)を適正な時期に納付している。
はい(YES) いいえ(NO)
6.現在の在留資格について、在留期間「3年」又は「5年」が決定されている。
はい(YES) いいえ(NO)
7.過去に、日本国の法令に違反して罰金刑・懲役刑・禁固刑を受けたことがない。
はい(YES) いいえ(NO)
これら1から7の項目に「はい」または「いいえ」をチェックして年月日を記入・署名の上、他の永住申請書類と一緒に入管に提出します。
1から7の項目の中で、従来の永住申請からの変更部分として2.4.5に(適正な時期に)の文言が追加されています。
住民税、年金保険料、医療保険料の支払いについての必要納付期間については従来通りですが、これらの「公租公課」を「適正な時期に納付していること」が追加され、住民税や年金保険料といった「公租公課」の支払いが例え一回でも納付期限に遅れると永住申請が不許可になる可能性が高くなるということが明記されました。
なぜチェックシートが導入されたのか?
永住許可セルフチェックシート導入の背景として以下の2点が考えられます。
①永住許可申請の審査期間長期化の解消
現在品川にある入管では永住申請から審査結果が出るまでに1年以上かかっています。コロナ禍での自粛期間が終了したことに伴い首都圏を中心に永住申請が増加しており、入管での永住審査が追いついていかないことが原因と考えられます。そこで申請人が永住申請をする前に自分の申請内容をチェックしてもらい、自ら許可の見込みがないと判断した場合は申請を控えてもらい、
許可の見込みのない申請を減らすことで永住審査をスムーズにすることがあげられます。
②2024年入管法改正での公租公課未払いによる永住資格取消事由追加との整合性
2024年入管法の改正で入管法第22条の4第1項8号の「故意に公租公課の支払いをしないないこと」が永住資格取消事由に追加されました。
この改正と連動して、永住申請における税金の支払いに対して従来よりも要件を厳しくして、対象期間中一度でも納付遅れがあると永住許可が困難であることを永住許可申請者に事前に周知する目的があげられます。
参考:永住許可での「公租公課」の支払いについてのQ&A:永住許可制度の適正化Q&A(出入国在留管理庁HP)
Q 公租公課の不払いが問題なのであれば、日本人と同様に催促や差押えで対応すれば十分であり、在留資格の取消しは永住者に対する過剰な措置ではないでしょうか?
A 永住者については、我が国で生活する上で最低限必要なルールを遵守することが見込まれる者として永住許可を受けているところ、今般の措置は、公的義務を適正に履行せず、在留状況が良好とは評価できないような場合に適切な在留管理を行うことを目的とするものであって、過剰な措置であるとは考えていません。
Q 改正後の入管法第22条の4第1項8号の「故意に公租公課の支払いをしないこと」とは、具体的にどのような場合を想定していますか?
病気や失業などでやむを得ず支払ができない場合にも、在留資格が取り消されるのですか?
A 「公租公課」とは、租税のほか、社会保険料などの公的負担金のことをいいます。そして、「故意に公租公課の支払をしないこと」とは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないことをいい、例えば、支払うべき公租公課があることを知っており、支払能力があるにもかかわらず、公租公課の支払をしない場合などを想定しています。このような場合は、在留状況が良好とは評価できず、「永住者」の在留資格を認め続けることは相当ではないと考えられます。
他方で、病気や失業など、本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず公租公課の支払ができないような場合は、在留資格を取り消すことは想定していません。取消事由に該当するとしても、取消しなどするかどうかは、不払に至った経緯や督促等に対する永住者の対応状況など個別具体的な事情に応じて判断することとなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では永住許可申請を取り扱っています。永住許可申請をお考えの方はぜひ弁護士法人あいち検事事件総合法律事務所までお問合せください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

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再入国手続きと転出入届について

「再入国手続きと転出入届について」弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
東海地方に住む日系ブラジル人のAさんは永住者です。Aさんは日本で株式会社を設立し代表取締役として自動車部品輸出関連の会社を経営しています。
最近Aさんは事業拡大のため、出身国のB国で新たに日本からの自動車関連部品輸入事業を立ち上げる予定です。AさんはB国で新規事業立ち上げにあたり、
事業を立ち上げ経営が軌道に乗るまでのおよそ3年~4年の間、B国に生活の拠点をおいて生活したいと考えています。Aさんは今後B国に拠点をおいて生活するにあたり、
事前に日本でどのような手続きをする必要があるでしょうか?
1.再入国許可手続きについて
再入国許可とは「我が国に在留する外国人が一時的に出国し再び我が国に入国しようとする場合に、入国・上陸手続を簡略化するために法務大臣が出国に先立って与える許可」です。
再入国許可には、1回限り有効のものと有効期間内であれば何回も使用できる数次有効のものの2種類があり、その有効期間は、現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。
手続き対象者は「我が国に在留する外国人で在留期間(在留期間の定めのない者にあっては、我が国に在留し得る期間)の満了の日以前に再び入国する意図をもって出国しようとする外国人」です。
出入国在留管理庁HPより
まず最初にAさんは出国前に管轄の出入国在留管理局に行って「再入国許可」の手続きを行います。
Aさんは今後数年にわたりB国に生活の拠点をおいて日本とB国を行き来する生活を送る予定なので、
有効期間内であれば何回でも使用できる「再入国許可」の申請を行い「再入国許可」を取得します。手数料は1300円です。
手続きに必要なものはパスポートと在留カードで,窓口に提示します。
*再入国許可手続き又はみなし再入国許可手続きをしないまま日本から出国すると出国した時点でこれまでの日本での在留資格が失われてしまいます。
在留期限内に再び再入国を希望する場合は、必ず再入国許可またはみなし再入国許可を取得してから出国してください。
2.海外転出届とは:住民票は「除票」扱い。
海外転出届とは、日本の居住地から国外に移住、または長期間滞在する際に必要な届出です。この届け出が必要になるのは、1年以上の海外出張や海外旅行などで日本を離れるときです。
日本国籍者だけでなく、日本で住民登録されている外国籍者も届出の対象となります。出国の2週間前から手続きできます。
海外転出届を出すと、現住所での住民票は「除票」となり、住民ではなくなり住民税の支払いの対象外となります。住所地にある市町村役場に行って海外転出届を提出します。
この手続きにより日本での住民税の支払いを免除されます。Aさんの住民票は「除票」扱いとなります。Aさんが海外から戻って日本で生活を再開するときは、引っ越し先の市町村役場に「転入届」を海外から転居後2週間以内に提出します。
特に出国前に管轄の出入国在留管理局で「再入国許可」を取得することが重要です。
日本に在留資格のある外国人の方で1年以上日本を離れて生活するときは、必ず管轄の入管で「再入国許可」を取得し、住民票のある市町村役場で「海外転居届」を提出するのを忘れないようにしましょう。
具体的な手続きやご相談はこちらからどうぞ。

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日本人が外国人配偶者と離婚するときの法の適用について

事例
(架空の事例です)
Aさんは某県に在住している日本人男性です。10年前に会社を定年退職して、現在は年金暮らしをしています。
7年前に前妻と離婚し、5年前にB国籍の女性CとSNSを通して知り合い再婚しました。妻のCさんはA さんと結婚して3年後に念願の永住資格を取得しました。
Cさんは永住資格を取得するとすぐに実母の面倒を見てくると行ってB国に帰国しました。以降年に1回ほど妻はB国から日本に戻ってきますが、
1か月ほど日本に滞在してすぐにB国に戻ります。CさんはB国で現地の男性パートナーDさんと一緒に暮らしているようです。
AさんがCさんにこの件を問い合わせると弟と一緒に暮らしていると言います。しかしAさんがCさんと結婚するまで彼女に弟はいませんでした。
AさんはCさんと離婚したいと考えていますが、離婚にあたって日本の法律は適用されるのでしょうか。
1.適用される法律
日本人と外国人のカップルが離婚した場合、離婚に関してどちらの国の法律が適用されるか、国際結婚のカップルが離婚手続きをするにあたり、離婚手続きに関して日本の法律と配偶者の国の法律のどちらが適用されるかが問題となります。
この場合に日本の法律と海外の法律のどちらを適用させるかは「法の適用に関する通則法」により判断されます。
①法の適用に関する通則法25条(婚姻の効力)
「婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦の最も密接な関係がある地の法による。」
②法の適用に関する通則法第27条(離婚)
「第25条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。」
法の適用に関する通則法27条により、離婚については法第25条の規定が準用され、本ケースでは離婚にあたり夫であるAさんの常居所である日本法が適用されます。
2.離婚の種類
日本の法律では離婚の方法として①協議離婚②離婚調停③審判離婚④裁判離婚の4種類が定められています。
AさんとCさんの間で離婚の合意がまとまれば、戸籍法の定めるところに従い離婚届を提出することによって離婚が成立します。協議離婚(民法763条、739条、戸籍法第76条、第77条)。
AさんとCさんの間で離婚の合意がまとまらず、なおAさんがCさんと離婚を望む場合、Aさんは管轄の家庭裁判所に対して離婚調停の申立てを行うことになります。
逆にCさんの方から日本の法律に従いAさんとの離婚を求めていくことも可能です。
(法の適用に関する通則法第27条)
3.離婚後の在留資格
永住者の場合離婚しても離婚の事実は永住資格に影響しないので、Cさんは離婚しても永住資格は変りません。Cさんは離婚後に再婚することも自由です。
CさんがB国で同棲しているDさんと再婚した場合、CさんはDさんを「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に呼寄せることが可能です。
DさんはCさんと実態の伴った結婚を3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に住んでいれば永住許可申請の居住要件を充足します。
そのためDさんはCさんと結婚して最短で3年で日本での永住資格取得が可能となります。このように「日本人の配偶者等」の在留資格は在留制度上大変有利な資格となっています。
永住資格目的で日本人との国際結婚を望む場合があることも十分予測されます。
本ケースのAさんのように外国人配偶者が永住資格を取得したら急に冷たくなり離婚せざる負えない事態に追い込まれることは決してあり得ないことではありません。
Aさんのような事態にならないためには、特に再婚、再再婚で国際結婚をされている日本人の方は、永住資格は日本で暮らす外国人にとって、今まで自分が認識していたよりもはるかに重要で心強い在留資格であることを再認識する必要があるでしょう。
具体的な手続きやビザの相談,お問い合わせはこちらからどうぞ。

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出国命令制度の法改正,制度はどう変わった?

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和5年6月9日入管法改正による出国命令制度の変更部分について解説します。
令和5年6月9日の入管法改正により「出国命令制度」が一部改正され令和6年6月10日から施行されています。
「出国命令制度」とは、入管法違反者のうち、一定の要件を満たす不法残留者について、収容をしないまま簡易な手続きにより出国させる制度です。」
(出入国管理及び難民認定法、以下法第55条の85)、「出国命令制度」はH16年12月2日に施行されました。
1.出国命令制度設立の背景
出国命令制度が設立された当時不法残留者が219418人いました。
(平成16年1月段階、令和6年1月1日現在では79113人)
不法残留者を減少させることが出入国管理行政における急務の課題でした。
当時からオーバーステイ等を理由に退去強制処分を受けると退去の日から5年は日本に上陸することが認められないとする規定は存在していました。
(退去強制1回目は5年、退去強制2回目以降は10年)
しかしながら不法残留者等を5年又は10年の上陸拒否とする従来からの規定だけでは不法残留者が減少しない状況がありました。
そこで一定の要件を充足し、不法残留の状態にある者が自ら出頭して帰国の意思を示した場合に、上陸特別拒否の期間を5年から1年とすることにより、
不法残留者の出頭を促進し不法残留を減らすことを目的として出国命令制度があらたに制定されました。
2.具体例
具体的に以下の(1)~(5)全てに該当する場合に出国命令が認められます。
(1)ア又はイのいずれかを満たすこと
ア 入国警備官の違反調査の開始前に、速やかに日本から出国する意思をもって自ら出入国在留管理局に出頭したこと
イ 入国警備官の違反調査の開始後、入国審査官の違反調査により退去強制事由に該当する旨の通知を受ける前に、
速やかに出国する意思があることを入国審査官又は入国警備官に表明したこと
(2)不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
(3)窃盗罪等の一定の犯罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
(4)過去に本邦から退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
(5)速やかに日本から出国することが確実と認められること
3.出国命令が認められない場合について
日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた者や麻薬、
大麻、あへん、覚醒剤等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられた者は、上陸拒否期間に定めなく、日本に上陸することができません。
そのため出国命令制度を利用することはできません。
4.出国命令制度の適用を受けるための出頭場所について
原則として全国に8か所ある地方出入国在留管理局(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)又は3か所の地方出入国在留管理局(横浜、神戸、那覇)に出頭します。
5.法改正があった部分
令和5年度の改正では、さらに自発的な出国を更に促す観点から、出国意思をもって自ら出頭した場合に加え、
入国審査官から退去強制事由に該当すると認定される前に速やかに日本から出国する意思を表明した場合にも出国命令の対象が拡大されました。
①(法第24条の3第1項ロ)
「第二十七条の規定による違反調査の開始後、第四十七条第三項の規定による通知を受ける前に、
入国審査官又は入国警備官に対して速やかに本邦から出国する意思がある旨を表明した者であること。」
②その他改正による追加事項として、さらに退去強制を受けた者であっても、自分の費用負担で自ら帰国しようとする場合、その者の素行、退去強制の理由となった事実その他の事情を考慮して相当と認めるときは、上陸拒否期間を1年とする決定をすることができることになりました。(法第52条5項)
参考文献:出入国在留管理局HP
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和5年6月9日改正の出入国管理及び難民認定法における「出国命令制度」の変更部分について解説しました。
具体的な手続きや事件についてはこちらからお問い合わせください。

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