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採用難時代の外国人雇用について
外国人雇用の法的リスクと注意点
日本で働く外国人労働者は増加の一途をたどり、2023年10月時点で約205万人(全雇用者の3.4%)に達しています。しかし、中小企業や派遣業者の中には法的リスクへの認識が浅いケースも見られます。本稿では、外国人雇用に関する主要な法的リスクと注意点を平易な日本語で解説し、特に法的リスクを意識していない層に警鐘を鳴らします。 実際のトラブル事例や制度上の留意点、陥りやすい誤解、そして行政指導・罰則の例も紹介します。
代表的な法的リスク
- 入管法違反(不法就労): 適切な在留資格(ビザ)を持たない外国人を働かせたり、在留資格で認められていない職務に就かせたりすると「不法就労助長」に該当します。近年この取り締まりは厳しくなっており、実際に多くの派遣会社経営者が不法就労助長罪(入管法違反)の疑いで逮捕・送検されています。不法就労助長罪に問われた場合、外国人本人だけでなく雇用主も処罰対象となり、労働者派遣事業の許可取消しといった事業継続上のリスクもあります。法定刑は現行で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」ですが、2025年6月からは「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」に厳罰化されています。
- 労働基準法違反: 外国人労働者であっても労働基準法や最低賃金法など労働関係法令は日本人と同様に適用されます。賃金の未払い、最低賃金を下回る給与、長時間残業や休憩未取得、安全配慮義務違反などがあれば違法です。例えば、厚生労働省が外国人技能実習生の受入企業を調査したところ、約7割に当たる事業場で違法な残業や低賃金など労基法違反が確認され,監督機関は違反企業に是正指導を行い、重大・悪質な場合は書類送検など厳正に対処しています。
外国人だからといって違法な労働条件が許されることは決してなく、企業経営者や担当者も処罰対象となり得る点に注意が必要です。
- 社会保険未加入: 外国人であっても所定の条件を満たす労働者は健康保険・厚生年金保険、雇用保険などの社会保険に加入させる義務があります。「外国人だから社会保険はいらない」という誤解がありますが、国籍に関係なく違法行為となるので注意してください。企業が従業員を社会保険に加入させないままでいると、健康保険法・厚生年金保険法により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される恐れがあります。また未加入だった分について最大2年遡って保険料を納付する義務が発生し、企業・従業員双方に追加負担が発生します。
- 在留資格の不適切運用: 在留資格ごとに認められた範囲を超える就労は資格外活動となり違法です。例えば、技術・人文知識・国際業務ビザの人に工場ライン作業や飲食店の調理・接客など単純労働をさせることはできません。留学生や家族滞在の在留資格で週28時間を超えてアルバイトをさせるのも資格外活動に当たります。また制度上、技能実習生を他社に派遣労働させることは禁止されており、特定技能も原則として受入企業との直接雇用が求められます(農業・漁業分野を除き派遣形態は不可)参考:政府HP。このように在留資格ごとの制約を無視した運用は入管法違反につながります。
実際に起きたトラブル事例
法令違反によりトラブルに発展した実例をいくつか紹介します。どの業種でも起こり得る問題であり、他人事ではありません。
- 飲食業の事例:ある飲食チェーンでは、外国人社員にビザで認められていない調理業務を担当させていました。その結果、入管難民法違反(資格外活動による不法就労助長)で社長と社員数名が逮捕され、法人も書類送検される事態となりました。摘発時、技術・人文知識・国際業務ビザを持つ外国人が厨房で調理をしており、同ビザでは飲食店の調理やホール接客は認められないにもかかわらず働かせていたことが問題視されました。
- 派遣業の事例:人材派遣会社が在留資格のない不法残留の外国人を派遣社員として登録し、製造業の工場へ違法に派遣していたケースがあります。その派遣会社の社長は出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で逮捕されました。調査の結果、その会社には約600人もの派遣労働者が登録されており、その半数近くが外国人でした。人手不足を背景に、不法滞在と知りつつ働かせていた悪質な例であり、派遣会社ぐるみで違法就労を助長していた実態が明らかになっています。
- 建設業の事例:建設現場でも違法就労の摘発例があります。金沢地裁では、不法滞在のベトナム人を工事現場で働かせた会社役員に対し、懲役3年・執行猶予5年および罰金50万円の有罪判決が言い渡されました。わずかな人件費削減のために不法就労を手助けした結果、刑事処分を受けた形です。このケースでは違法就労で得た利益の没収も命じられており、違反が発覚した場合のダメージの大きさが窺えます。
外国人雇用にあたっての制度上の留意点
外国人を雇用する際には、以下のような制度上のポイントを押さえておく必要があります。
- 在留資格ごとの就労範囲を把握する: 外国人が保有する在留資格が、その人に従事させる予定の業務内容に合致しているか確認することが最重要です。就労制限のない在留資格(永住者、日本人の配偶者等、定住者など)の場合は職種制限なく働けますが、それ以外の就労ビザでは認められた職種・業務のみ就労可能です。例えば、「技術・人文知識・国際業務」ビザでは通訳や設計など専門職はできますが、工場のライン作業や飲食店のホール業務などは該当せず許可されません。採用前に在留カードで資格種別と在留期限を確認し、職務内容との適合性を慎重に見極めましょう。
- 資格外活動許可と週28時間ルール: 留学生(在留資格「留学」)や家族滞在など、本来就労が認められていない在留資格の外国人でも、「資格外活動許可」を得れば週28時間以内のアルバイトが可能です。ただし週28時間という時間制限は全勤務先の合計であり、残業も含めて28時間以内に収める必要があります。
例えば2つの事業所で掛け持ちする場合、両方の労働時間を足して週28時間までです。また学業が本分の留学生等に深夜残業や長時間労働をさせることは認められていません。28時間を超えて働かせると企業・本人双方に罰則が及ぶ可能性があるため、シフト設定時には十分配慮してください。 - 技能実習・特定技能制度の理解: 技能実習生は人材育成を目的とした制度であり、「労働力の需給調整の手段」として利用することは禁止されています。
したがって技能実習生を派遣社員のように他社で働かせることはできません。実習計画で定められた受入企業・職種以外で就労させると、技能実習法違反となり実習計画の取消しや受入れ停止処分につながります。一方、特定技能外国人は人手不足分野の即戦力として受入れが認められた在留資格ですが、受入企業との直接雇用が原則ですmhlw.go.jp。特定技能について派遣形態が例外的に許可されるのは農業・漁業の分野に限られておりmhlw.go.jp、それ以外の業種で派遣会社が特定技能の人材を他社に送ることはできません。これら制度の運用ルールを誤解すると違法行為となるため注意しましょう。 - 雇用状況の届出義務: 外国人を雇用した場合、事業主はその外国人の氏名や在留資格などをハローワーク(公共職業安定所)へ届け出る法的義務があります(雇用対策法第28条)。採用時だけでなく離職した場合にも届出が必要です。この「外国人雇用状況届出」を怠ったり虚偽申告したりすると、30万円以下の罰金対象となり得ます。うっかり提出を忘れている企業もありますが、行政からの指導やペナルティのリスクがあるため必ず期限内に届け出を行ってください。
無自覚な派遣業者が陥りやすい落とし穴
外国人雇用の現場では、悪意はなくとも誤解や思い込みから法令違反に陥るケースがあります。派遣業者や中小企業が特に注意すべき落とし穴や勘違いを整理します。
- 在留カード確認の不十分: 「有効な在留資格を持っているはず」と思い込み、在留カードの真偽や在留期限、就労制限内容をきちんと確認しないまま雇用契約を結んでしまうケースです。例えば派遣元が在留資格のチェックを怠り、派遣先で資格外の業務に就かせてしまうと、外国人本人だけでなく派遣元・派遣先も不法就労助長罪に問われる可能性があります。実際に本人が偽造在留カードを所持していて見抜けず違法就労させてしまった例もあります。雇用時には必ず在留カードの表裏をコピーして確認し、必要に応じて入管庁のサイトでカード番号の真偽照合を行うなど万全を期しましょう。
- 「ビザがあれば何でもできる」という誤解: 在留資格の内容まで考えず、「とにかく就労ビザを持っているから大丈夫だろう」と安易に受け入れてしまうミスです。重要なのはビザの種類ごとに許可された活動範囲であり(法律上“就労ビザ”という名前のビザは存在しません)、そこから外れる仕事は例え本人が希望しても違法になります。例えば留学生や家族滞在の人をフルタイムで働かせたり、技能ビザの料理人に別業種の作業をさせたりしてはいけません。前述の飲食店の例では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格者に調理業務をさせていたことが逮捕につながりました。このようにビザの内容と現実の業務が合致しているか、常に照らし合わせる意識が必要です。
- 社会保険手続き漏れ: 前述のとおり、外国人であっても一定の勤務形態であれば社会保険への加入が法律上の義務です。しかし一部の事業者には「短期滞在だし年金はかわいそう」「手取り減るから加入させない方が本人のため」といった誤った善意や慣行で未加入のまま働かせているケースがあります。国籍は関係なく社会保険加入は義務であり、加入させないこと自体が法令違反です。後から監督機関に発覚すれば会社として処罰・追徴を受けるだけでなく、従業員本人にも過去分の保険料負担が生じて迷惑をかけてしまいます。外国人にも制度の趣旨を丁寧に説明し、必ず加入手続きを取りましょう。
- 留学生アルバイトの時間超過: 深刻な人手不足から、つい留学生アルバイトに週28時間を超えてシフトに入ってもらうケースがあります。しかし28時間制限は厳守事項であり、1分でも超過すれば資格外活動となってしまいます。中には「複数店舗で28時間ずつ働けば大丈夫」と誤解する例もありますが、28時間は全職場合計です。もし留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は特に慎重に全体の労働時間を把握する必要があります。万一オーバーすれば、学生本人も処分を受け日本での将来を絶たれかねませんし、受け入れ企業側も罰則の対象となります。繁忙期でも28時間以内に抑える工夫(シフトの調整や日本人スタッフとの分担など)を徹底してください。
- 実質的な違法派遣: 派遣業の許可を持たないのに業務委託などの名目で実質的に労働者を他社へ送り出す行為も落とし穴です。特に外国人労働者を別会社で働かせる際、形式上は請負契約にしていても実態が指揮命令を受ける労働者派遣なら労働者派遣法違反となります。先述の事例では、派遣許可の無い会社がSNSで集めた在留不明のベトナム人を各地の職場に派遣し、結果的に社長が逮捕されています。派遣業は許可制であり、特に建設現場や警備業務など派遣自体が禁止されている業種もあります。無自覚に法律違反のスキームに手を染めないよう、疑わしい場合は専門家に相談しましょう。
行政指導や罰則の具体例
最後に、外国人雇用に関して違反が発覚した場合に科される行政指導や処罰の例を整理します。違反内容によって行政上の措置と刑事上の罰則の両面から制裁が科される可能性があります。
- 入管法違反に対する罰則: 不法就労助長罪に対しては、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科せられます。悪質な場合は懲役刑と罰金刑の両方が科されることもあり、法人が違反した場合は両罰規定により法人自体にもより重い罰金刑が科され得ます。実際に京都では、不法就労あっせんを行ったコンサル会社役員らが逮捕され、企業名が報道で公表され社会的信用を失墜する結果となっています。さらに一度摘発されると、既存の外国人受入れが停止されるなど実務面で大きな制裁もあります。
- 行政による事業停止・許可取消: 不法就労が発覚した企業には、行政指導により是正勧告や事業停止命令が出される場合があります。派遣会社の場合、不法就労助長で有罪になれば労働者派遣事業の許可取消しという厳しい処分が下されることがあります。また技能実習生や特定技能外国人の受入企業が入管法違反を犯すと、実習計画の取消しや5年間の受入れ禁止(実習生全員の帰国措置、特定技能は更新不許可)といった行政処分が科されます。これは当該企業にとって事実上の業務停止命令に等しい打撃となりかねません。
- その他の罰則例: 外国人雇用状況の届出を怠った場合は30万円以下の罰金の対象となります。社会保険未加入についても前述のとおり6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されています。労働基準関係法令違反については内容に応じて6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(例えば最低賃金法違反や労基法の罰則規定)などが科せられ、重大な労働違反企業は企業名公表や書類送検の対象となります。行政は監督指導による是正勧告を経ても従わない悪質事案について、積極的に刑事告発を行う姿勢を強めています。
以上のように、法令遵守を怠った場合のペナルティは刑事罰・行政処分・社会的信用の失墜と多岐にわたり、企業経営を揺るがします。外国人材の受け入れにはリスクに見合った慎重さと法令知識が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では外国人の雇用をお考えの事業主の方からの相談も受け付けています。
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「経営・管理」ビザの取得が難しくなる?

「経営・管理」ビザ要件引上げについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
起業外国人のビザ要件引き上げへ…現状は格安「資本金500万円以上」、中国人ら目的外の大量流入抑制 読売新聞オンライン
「出入国在留管理庁は、日本で起業する外国人経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」の取得について、「500万円以上」とする金額要件を引き上げる方向で調整に入った。
諸外国に比べて「格安」とされる要件を厳格化し、制度の趣旨から外れる中国人らの大量流入を抑える狙いがある。同ビザは、「500万円以上の資本金」か「2人以上の常勤職員」を用意し、日本国内に事業所を確保するなどの要件を満たせば、最長5年在留できる。
年齢や学歴、語学力などは問わず、近年は日本への滞在自体を主な目的とする中国人による取得している。家族の帯同が許されることも増加に拍車をかけている。
同庁によると、2024年6月時点で、中国人による取得者は15年の2倍超となる2万551人で、同ビザで在留する外国人全体の半数以上を占める。
大阪府などではビザ取得のために民泊の運営法人を設立し、移住するケースが目立つ。国会でも「手軽に定住できるルートになっている」(有村治子自民党参院議員)として、治安やビジネス環境への影響を指摘する声が出た。
中国の富裕層らが日本の教育や社会保障制度に魅力を感じて来日するケースもあるとみられる。韓国では同様のビザ取得に必要な資本金は3億ウォン(約3000万円)以上で、日本は格安だ。政府は、高度人材向けの在留資格としての役割は維持したい考えで、同庁は今年度中にも議論を開始し、法務省令の改正を目指しています。」
記事の解説
1.そもそも「経営・管理ビザ」とは、外国人が日本国内で事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動をするために必要とされる在留資格のことです。
記事にある「「500万円以上」とする金額要件を引き上げる方向で調整に入った。」とはどのようなことかということですが、在留資格「経営・管理」の審査基準の中で事業規模の要件という基準があり、その基準の中に「資本金の額又は出資の総額が5百万円以上であること」という規定があります。
事業が会社形態で営まれる場合に、株式会社における資本金の額又は合名会社の出資の総額が500万以上の事業であることを要件とするものです。
この規定は「経営・管理」ビザを判断するうえで絶対的な要件ではありませんが、「経営・管理」ビザの審査において重要な考慮要素となります。「法務省令の改正を目指しています。」とは事業規模の要件として規定されている「資本金の額又は出資の総額が5百万以上であること」の「5百万円」の部分を引き上げる方向で法務省令の改正を検討しているということです。
なぜ資本金の額又は出資の総額を引き上げることを検討しているのかというと、「経営・管理ビザ」を取得する際の出資金額が低すぎる。という指摘がされていることにあります。
日本の「経営・管理ビザ」と同様のビザを取得するのに韓国やアメリカでは3000万以上必要ですが、日本の場合500万以上あればよいので韓国やアメリカに比べ一桁違います。
近年の円安により円の価値が相対的に低下していることもあり、諸外国に比べて格段に格安でビザを取得することが可能となっている現状があります。
2.記事にある「制度の趣旨から外れる中国人らの流入を抑える目的」とはどのようなことかというと日本での在留を希望する中国人の間で、500万さえ出資すれば日本で在留資格が取得できる、という噂が広まっており、日本で事業をやる気がないのに、単に在留資格を取得する目的でとりあえず「経営・管理」ビザを申請するケースが増加しているということです。
この在留資格を取得して日本で在留する者の中には、本音としては特に日本で事業経営をすることに対して特に興味・関心があるわけではなく、日本で子弟の教育を受けさせるたい、日本の治安の良さや充実した社会保障制度に魅力を感じて日本で生活するために在留資格を取得したいが、そのような需要を直接満たす在留資格は存在しないので、諸外国に比べ格段に費用がかからずリーズナブルな在留資格である「経営・管理」ビザを取得して家族を家族滞在で日本に呼寄る方法を取ることで「経営・管理」ビザを日本在留の隠れ蓑として利用していると指摘があり、こうした考えを持つ外国人の日本への流入を事前に食い止めたいということです。
ここ2~3年経営・管理ビザで入国する外国人の約7割は中国人と圧倒的なシェアを占めていることから、記事では「制度の趣旨から外れる中国人らの大量流入を抑える狙い」という表現になっていると思われます。
3.法務省令の改正により実際にどれくらいの金額に引き上げられるのか?ということですが、類似の事例として、一般貨物運送事業(緑ナンバートラックでの運送事業)を新規で許可を取得するケースが参考になります。
2019年の貨物運送業法改正により、一般貨物運送事業の新規の許可申請では資産要件が500万以上から1500万円以上と一気に3倍に引き上げられました。
こうした前例から「経営・管理」の「資本金の額又は出資の総額」は従来の500万円から3倍程度は引き上げられることも十分想定されます。
いずれにしても近い将来経営・管理ビザの取得は確実にハードルが上がっていくのは間違いないでしょう。
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「後で発覚」では手遅れに:留学生の出席率とビザ更新の関係
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外国人留学生を受け入れている日本語学校にとって、学生の「出席率」は在留資格更新の鍵を握る重要な指標です。
しかし、日々の管理が甘く、出席率の低下に気づくのが遅れた結果、留学生のビザが更新できずに帰国を余儀なくされる事例が後を絶ちません。
本記事では、「出席率の問題が後から発覚した場合の法的リスク」と「学校運営者が今すぐできる具体的な対策」について、事例や法律の根拠を交えて分かりやすく解説します。
出席率とビザ更新の関係
外国人留学生の在留資格、いわゆる「留学ビザ」は、学業を目的として日本に滞在することを前提に付与されています。
このため、入国管理局は「授業に出ていない=本来の目的を果たしていない」と判断し、出席率を厳しく審査します。
一般的には出席率が80%以上あればビザ更新に支障はありませんが、70〜80%では理由書の提出が求められ、60%未満の場合は原則として更新が認められないと考えられています。
また、出席率が悪いと「本来の学習活動をしていないのではないか」,「学業より就労が目的ではないか」と疑念を持たれ、資格外活動(アルバイト)の実態まで精査される可能性があります。
つまり、学生が日々教室に来ているかどうかが、在留継続の可否を左右する極めて重要なポイントなのです。
事例
実際に、出席率が原因で留学生が在留資格の更新を拒否されたり、資格そのものを取り消されたケースは数多く存在します。
例えば、ある日本語学校に通う留学生Aさんは、出席率が約50%と著しく低下していました。
理由を尋ねると、生活費を補うため夜間のアルバイトに励み、朝の授業に出られなかったとのことでした。
更新時には事情を記載した理由書を提出しましたが、入管は「学業より就労を優先している」と判断。
その結果、Aさんの在留期間更新は不許可となり、やむなく母国へ帰国することとなりました。
また別の留学生Bさんは、ほとんど授業に出席せずにフルタイムに近い形で働いていたことが発覚。
その情報が学校から入管へ報告され、ビザの期限を待たずして在留資格が取り消されました。
このような事例は決して例外ではなく、留学生活が一瞬で終わるリスクをはらんでいます。
入管法に基づくリスクと取消し制度
出席率の低下が続くと、単にビザ更新ができないだけでなく、「在留資格の取消し」という厳しい措置が取られる可能性があります。
出入国管理及び難民認定法(入管法)第22条の4では、外国人が在留資格に基づく活動を正当な理由なく一定期間行っていない場合、法務大臣はその在留資格を取り消すことができると定めています。
留学生にとっての「在留資格に基づく活動」とは、当然「学業=授業への出席」です。
したがって、極端な怠学状態が3か月以上続くと、取消事由に該当し得ると解釈されています。
さらに、資格外活動許可(アルバイト)はあくまで学業が順調であることが前提です。
週28時間の上限を超えて働いていた場合や、出席率不良の原因が就労にあると判断されれば、悪質なケースとして在留資格が途中で取り消される可能性があります。
2016年の法改正でこの取消し制度は強化され、「就学せずに就労する外国人」への対応は一層厳格になりました。
学校運営に及ぶ影響
怠学によるトラブルは、学生本人だけでなく学校側にも深刻な影響を及ぼします。
出席率不良の学生を放置していると、入管から「適切に管理していない学校」として警告や行政指導を受けることがあります。
さらに悪質なケースでは、日本語教育機関としての「告示校指定」が取り消されることもあります。
実際、ある日本語学校では、留学生の在留手続に関する不適切な対応が原因で、法務省から告示校指定の取消し処分を受けました。
この処分により、その学校は5年間にわたり留学生を新たに受け入れることができなくなりました。
学校の信用は大きく損なわれ、経営面にも甚大な打撃となります。
怠学の放置は、単なる「一人の学生の問題」ではなく、「学校全体の存続にも関わる問題」だと認識すべきです。そのため、留学生の出席管理と指導体制の強化は、学校運営上の最重要課題といえます。
リスク回避のためのチェックポイント
留学生の怠学によるビザ問題を防ぐには、学校としての管理体制を日常的に整えることが不可欠です。
まず、出席管理は毎日・毎月単位で徹底しましょう。出席率が80%を下回る兆候が見られた段階で、面談などを通じて原因を早期に把握し、改善を促す必要があります。
次に、1か月の出席率が50%未満となった学生については、法務省の指針により翌月末までに地方入国管理局への報告義務が生じます。
この報告を怠ると、学校自体の認定取消しに繋がるおそれがあるため、制度への正確な理解と対応が求められます。
また、欠席理由が病気や家庭事情等であれば、必ず診断書などの証明書類を提出させて保管し、ビザ更新時に説明できるよう準備します。
さらに、学生には入学時や定期的な指導の中で、「出席率の低下=ビザ更新の危機」であることを繰り返し啓発し、自己管理の意識を高めてもらうことも大切です。
日頃からの小さな積み重ねが、大きなリスクの未然防止につながります。
ビザ更新申請時の対応実務
在留期間の更新申請時には、学生本人の出席状況が審査の重要なポイントとなります。
出席率がボーダーライン(70%前後)を下回っている場合には、学校側のサポートが成否を左右するカギとなります。
まず必要なのは、欠席の理由を明確に説明する理由書の作成です。
本人の反省文や担任教員の指導記録、改善計画書などを添えて、入管に誠意と改善の見込みを伝えましょう。
可能であれば、行政書士などの専門家に事前相談し、提出書類の内容を精査しておくことも有効です。
また、今後の進学先の合格通知や学業継続の意思を示す文書がある場合は、それも添付資料として活用できます。
一方で、出席簿の改ざんや虚偽の報告は絶対にいけません。
不正が発覚すれば、学校全体の信頼が失われるばかりか、関係者が入管法違反に問われる可能性すらあります。
更新申請は、正確な記録と誠実な説明に基づくことが、最も重要な対応となります。
最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、外国人の在留資格問題や入管手続に精通した専門家が多数在籍する、刑事事件と入管法務を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、出席率不良によりビザ更新が困難となった留学生の代理申請支援をはじめ、在留資格取消処分に対する不服申立てや異議申請、さらには学校運営者への法務アドバイスにも積極的に対応しています。
また、入国管理局との対応に不安を抱える方には、事情説明書の作成や提出書類のリーガルチェックを通じて、的確かつ実務的な支援を行っています。
留学生を受け入れている日本語学校や専門学校からの相談にも対応しており、法務省告示校の認定維持に必要な管理体制構築のアドバイスも提供しております。
出席率やアルバイトの問題で在留資格の継続が危ぶまれる場合や、学校としての体制に不安がある場合には、ぜひ一度ご相談ください。
私たちは、学校と留学生双方が安心して学びの環境を築けるよう、法的な側面から全力で支援いたします。
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在留資格「経営・管理」とは?取得に必要な資本金・事務所要件・審査のコツを弁護士が解説

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「経営・管理」について解説します。
1.中国で大人気「経営・管理」ビザについて
近年富裕層を中心に中国国外への移住者が増加しています。2024年度の中国から国外への移住者数は過去最高でした。最近富裕層の移住先として、日本が人気になっています。
人気の理由として、地理的に日本が中国と近い、日本の教育環境が良い、治安が良い、円安で物価が低い、教育環境が良い等の点があげられています。
外国人が日本に移住するためには在留資格が必要ですが、最近中国で特に人気があるのが「経営・管理」ビザです。
2.申請人の割合
(最近7年間の「経営・管理」での新規入国者数とそのうち中国国籍者の人数と割合、2025年度は3月31日まで)
年度 新規入国者総数 うち中国 割合
~2025.3 1,792 1,242 70%
2024 4,483 2,976 66%
2023 5,295 3,745 70%
2022 4,346 2,576 59%
2021 474 269 56%
2020 1,537 864 56%
表にあるようにコロナ禍での入国拒否が解禁されて以降、経営・管理での入国が増加しており、2025年は過去最高のペースで入国しています。
新規入国のうち7割が中国となっており、特に中国からの申請者が増えています。
3.「経営・管理」ビザとは何か?
「経営・管理」ビザとは、外国人が日本に投資または人を雇用することにより事業経営を行うか又は事業の管理に従事するための在留資格です。
具体的には、会社の社長・取締役等の事業運営の意思決定者層や、事業所の支店長・工場長・部長等の管理者が該当します。
事業規模として資本金など500万円以上を投資するか又は常勤職員2名以上を雇用することが必要です。
4.なぜ中国で経営・管理の人気が高いのか?
経営・管理ビザが中国で人気の理由は、日本の在留資格の中でが比較的取得しやすい(と思われている)ことです。
「経営・管理」ビザの取得には、事業規模の要件としてとして500万以上の出資が必要ですが、米国で同様のビザ(投資駐在員ビザ)を取得するに20万~30万ドル(3000万~4500万)程度の投資が必要とされるのと比較すると、日本の場合アメリカの6分の一から8分の一の投資金額で済むことから大変リーズナブルになっています。
また「経営・管理」ビザを取得できれば、配偶者や子供を家族滞在という在留資格で呼寄せて日本の社会保険加入が可能となります。
5.経営・管理ビザの申請に重要な書類について
「経営・管理」ビザの呼び寄せでは、500万円以上の出資の他に事業計画書の提出が必須となっています。
具体的には事業内容や収支見通しをまとめた詳細な事業計画書を作成し合わせてオフイスや店舗となる物件の確保を行います。
事業計画書には今後の売上・経費計画やマーケティング戦略、組織体制などを盛り込み、事業の安定性・継続性を明らかにします。また飲食業など許認可が必要な事業は各種営業許可の取得が必要です。
6.審査のポイント
在留審査で重視されるポイントとして、事業の安定性・継続性があげられます。
事業の安定性・継続性とは、申請人のビジネスが日本で継続的に運営されて収益をあげていけるかということです。
入管の審査官は提出された事業計画書や資金計画を精査し、計画に無理がないか、十分な資金のバックアップがあるか、市場環境や集客見込みは妥当かという点をチェックします。例えば売上予測が非現実的だったり、競合調査が不十分な計画は信頼性を欠きます。
次に事業所に実態があるかが重要な審査ポイントになります。
バーチャルオフィスや月契約のレンタルスペースは不可とされており、事業所用や店舗用の事務所であることが必要です。自宅件事務所は原則NGですが、やむを得ず自宅を使う場合は戸建ての一部を明確に事業所と区切るなどの措置が必要です。
7.資金の確実性と出所
資本金500万以上を出資する場合、その資金の出所が審査されます。
申請人や出資者がどの様にしてその資金を用意したのか、銀行送金記録や預金残高証明書等で立証することが求められる場合があります。
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「経営・管理」ビザについて解説しました。
「経営・管理」ビザに興味・関心のある方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。
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「経営・管理」の在留申請に必要な事業計画書の作成について
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「経営・管理」申請の際に必要な事業計画書について解説します。

在留資格「 経営・管理」の在留資格認定証明書申請に必ず必要な書類の一つに事業計画書があります。
事業計画書とは事業概要、事業立案、事業戦略、収支計画などから今後の事業方針を明らかにしていく計画書のことです。
事業計画書は、開業後事業の方向性を決めるうえでの羅針盤となります。
既に自分の頭にある事業計画を書面化にすることで、これまで漠然としていた計画が整理されスムーズに事業をすすめていくことが可能となります。
また開業後に融資を受ける際は、多くの金融機関で事業計画書の提出が求められています。
1.「経営・管理」の在留申請の際に事業計画書が必要なのはなぜか?
事業計画書はビジネスの継続や拡大を目的として作成する計画書ですが、なぜ「経営・管理」の在留資格認定申請の際に必ず提出しなければならないことになっているのでしょうか?
在留資格「経営・管理」とは、日本で貿易その他の事業活動を行い又は当該事業の管理に従事するために認められた在留資格です。
そのため「経営・管理」の在留資格が交付された後に事業活動が途中で立ち行かなくなれば、在留資格に該当する活動を行っていると認められず、在留資格取消、在留更新不許可となる場合があります。
そこで「経営・管理」の在留資格を審査する段階で、申請人の日本での事業に継続性があるか否かを判断する必要があり、そのための判断資料の一つとして「事業計画書」が用いられるのです。
2.事業計画書には何を記載すればよいか?
事業計画書にはおよそ以下1~10までの事項を記載します。
(1)事業計画書の記載内容
(2)事業の概要
(3)会社・事業所の紹介
(4)サービス内容の説明
(5)年間の収支計画
(6)申請人(社長や代表として経営に当たる者)の1日のスケジュール
(7)申請人(代表者)が担当する業務の内容
(8)管理者がいる場合、管理者が担当する業務の内容
(9)従業員を採用する場合、従業員が担当する業務の内容
(10)経営者の経歴
3.事業計画書にはどれくらいのレベルが求められるか?またどのくらいの分量があればよいか?
全く予備知識のないビジネスの専門家ではない人たちが事業計画書を読んで、この事業計画ならおそらく今後申請人の日本での事業活動の継続が可能であろうと認識できるレベルまでは求められます。
また審査官はビジネスの専門家ではないので、業界の専門用語をふんだんに用いて数十ページに及ぶような詳細な計画書を作成するよりは、素人が読んでもわかる平易な表現を用いて、読みやすく理解しやすい計画書を作成することを念頭に置くべきでしょう。
「事業計画書」の分量としては、3ページから10ページ以内で必要十分です。
4.具体的には何を書くのか?
事業計画書の作成にあたり以下の6W2Hを活用するとスムーズに進みます。
事業計画書作成における6W2Hとは、以下の8つです。
(1)What 自社が扱う商品は何か?自社が扱う商品の特徴は何か?
(2)Who 誰が事業を行うのか?事業を行うのは申請人だけなのか?それとも他にパートナーいるのか?従業員は雇用するのか?
(3)Whom 顧客の対象となるのは誰か?個人か法人か?
(4)When いつ開業するのか?いつ、どのタイミングで何をするのか?スケジューリングは出来ているか?
(5)Where どこで開業するのか?開業場所は自宅か貸事務所か?独立した事務所は確保出来るか?マンション、アパートを事務所にする場合、所有者の許可を得ることが出来るか?
(6)How どの様な事業戦略をもって事業に取り組んでいくのか?
(7)Why なぜこの事業を行うのか?社会的意義や理念
(8)How much どれくらい売上が見込めるのか?どれくらい経費がかかるのか?
6W2Hを活用して1~10までの事業計画書の項目を作成してみましょう。
最後に作成した事業計画書を6W2Hでチェックして記載内容に矛盾がないか確認してみましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では在留資格「経営・管理」の申請手続きを取り扱っております。在留資格「経営・管理」の取得をお考えの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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監理措置制度とは何か,申請できる人はだれ?
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「監理措置」について解説します。

ケース紹介(架空の事例です)
日本国籍のA子さんには結婚を前提に交際している外国人の恋人Bさんがいます。
A子さんがBさんから聞いた話によると、Bさんは難民申請者で現在「仮滞在」の資格で日本にいるということでした。
最近Bさんから連絡がないのでどうしているのか心配していたところ、突然Bさんから「今入管に収容されているので面会に来てほしい、
外に出るために手助けしてほしい」と連絡がありました。A子さんはBさんから「自分は適法に日本に滞在している」と聞いていたので、
なぜBさんが入管施設に収容されているのか事情がさっぱり分からず一時パニックになりましたが、気を取り直しなんとかBさんを入管施設から外に出してあげたいと考えています。
A子さんがBさんを入管収容施設から外に出すにはどの様な手続きをとればいいでしょうか?
1.そもそもなぜBさんは入管施設に収容されたのか。
Bさんが入管施設に収容されたこととBさんの滞在資格である「仮滞在」には大きな関係性があります。
「仮滞在」とは不法滞在者等で在留資格のない外国人から難民認定申請があったときは、その者の法的地位の安定を図るため、
当該外国人が日本に上陸した日(日本にある間に難民となる事由が生じた者にあっては、
その事実を知った日)から6か月以内に難民認定申請を行ったものであること又は難民条約上の迫害を受けるおそれのあった領域から直接日本に入ったものであることなどの一定の要件を満たす場合には、一定期間日本に滞在することを許可し、その間は退去強制手続が停止されるというものです。
仮滞在の期間は原則6か月です。Bさんは30日間の在留期間経過後6か月以内に難民申請をしており、本来ならオーバーステイで退去強制手続きが進められますが、「仮滞在」の要件を満たすとして「仮滞在」許可が認められたため適法に滞在することができました。
Bさんの[仮滞在」は「難民認定申請」手続きとセットになっており、「難民認定申請」が不認定になると同時に「仮滞在」も不許可となります。
Bさんは難民認定が不認定となったため「仮滞在」の更新も不許可となりました。
「仮滞在」が不許可になると適法に日本に滞在する事が出来なくなるため、正当な理由なく「仮滞在」不許可後も日本に滞在すると不法滞在となり、入管施設に収容される場合があります。
2.入管収容施設に収容された場合に、一時的に収容を解除され入管から外に出るための方法としてどの様な方法があるか
不法滞在その他の理由で入管収容施設に収容された人が一時的に収容施設外に出る方法として、監理措置と仮放免があります。監理措置は令和5年の入管法改正で新設されました。
監理措置とは監理人による監理の下で逃亡等を防止しつつ、相当長期間にわたり収容しないで退去強制手続きを進める措置です。
ここで注意すべき点として、監理措置の決定と在留特別許可は別の手続きであることから、監理措置の継続中も退去強制手続きは進行していきます。
仮放免とは,収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている被収容者について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるときに、収容を一時的に解除する制度です(出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第54条)。
監理措置制度が設けられる以前は、収容者を一時的に収容を解除する場合は、健康上、人道上問題が無くても仮放免で対応していましたが、令和5年の法改正以降は、健康上、人道上の理由から一時的に収容を解く場合は「仮放免」それ以外は「監理措置」が取られることになりました。
3.監理措置を受けるためにはどうすればいいか
監理措置の申請は、原則として、監理措置決定を受けようとする外国人本人が行うこととされています(法44条の2第4項又は第52条の2第4項)。
必要書類をそろえて地方出入国在留管理官署の窓口に提出します。(施行規則第36条の2第8項)監理措置決定を受けようとする外国人本人が入管施設に収容されている場合は、施設内の担当職員に本人が直接提出します。
監理措置の申請をするためには監理人が必要です。
監理人とは、入管からの収容を一時的に解除された者(以下被監理者)の生活状況を把握したり、被管理者と定期的に連絡を取り合って、被監理人が入管への届出書類を提出しなければならないときに届け出しているか、被監理人が監理措置条件を守っているかを確認したりするなど被監理人の監督者の役割を担う人です。
監理人が決まらなければ監理措置は認められないので、監理人は「監理措置決定において大変重要な役割を担っています。
監理人は誰でもなれるわけではなく、監理人の犯罪歴や行政処分歴、資産状況、納税状況等の点から、監理人になろうとする者が監理人にふさわしいか判断されます。
本ケースではBさんの収容を解除するためにA子さん自らが監理人となり、被監理人であるBさんの指導・監督、相談、援助、入管への届出、報告を行うことで、Bさんの監理措置がスムーズに進んでいくでしょう。
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報道解説 民泊経営による経営管理ビザの取得について

「民泊経営が移住の手段に」――。大阪で中国系民泊急増、SNSに「ビザ取得は簡単」
読売新聞オンライン
こちらの報道を踏まえて,経営管理ビザについて解説します。
■日本のビザは「安すぎる」
「在留外国人統計によると、日本で暮らす中国人は2024年6月末時点で84万4187人で、過去10年間で約20万人増えている。特に経営・管理ビザで滞在する中国人は急増し、2024年 6月末時点で2万551人で、同ビザが設けられた2015年の2・8倍に増えた。
移住する中国人が増える背景には、ゼロコロナ政策への反発や経済状況の悪化に伴う将来不安がある。
中国では海外移住を意味する「潤(ルン)」という隠語も広がっている。発音表記が英語「run」と同じことから「逃げる」の意味で使われているという。
日本が人気を集める理由には、生活環境や中国からの近さがあるが、条件面もある。
海外移住コンサルティング会社「アエルワールド」(東京)の大森健史社長(50)は経営・管理ビザの要件「資本金500万円」について「格安だ」と言う。
大森氏によると、米国の同様のビザ(投資駐在員ビザ)を取得するには、20万~30万ドル(約3000万~4500万円)程度の投資が必要とされ、永住するには最低80万ドル(約1億2000万円)以上の投資が求められるという。
2022年に上海から経営・管理ビザで来日した王紅運さん(40歳代、男性、仮名)は、大阪市内にタワーマンションなど複数の不動産を持つ富裕層だ。「500万円で移住できる日本は安すぎる」と言い切った。
松村教授は「経営・管理ビザは、日本で事業を行う外国人のための在留資格だが、移住のために安易に使われているのではないか。
今後も移住する中国人が増えるとみられ、日本社会とのあつれきをうむ可能性もある。民泊を含め、事業の実態があるのかしっかりとチェックすることが必要だ」と指摘している。」
1.「経営・管理」ビザとは
外国人が日本でビジネス目的で滞在するための在留資格の一つとして「経営・管理」があります。
外国人が日本で事業活動を行う際に必要となる在留資格で2014年までは「投資・経営」と呼ばれていました。
「経営・管理」ビザの特徴として、年齢、学歴、職業経験、言語能力、婚姻状況、納税状況、資産、収入等の要件がないことがあげられます。
経営管理ビザを取得できれば、配偶者や子を家族滞在で呼寄せることができ,社会保険にも加入できます。
中国人の間では500万円以上のお金を日本に投資をすれば「割と簡単に取得できる在留資格」として人気が高く、2023年12月末の段階で、「経営・管理」ビザ全体の37,510人のうち中国籍19,334人で全体の51,5%が中国籍となっています。
近年「経営・管理」の在留資格で日本に滞在する外国人の中には、元々日本での経営活動にはあまり興味関心がなく、日本に移住する目的で「経営・管理」の在留資格を取得するケースも見受けられることが指摘されています。
2.「経営・管理」ビザの審査基準について
上記記事には経営・管理ビザを取得して「500万で移住できる日本は安すぎる」との記述がありますが、実際には500万を出資しただけでは「経営・管理」ビザを取得することはできません。
「経営・管理」の規模の要件における審査基準として第1号から第2号まであげられています。
(入管審査要領)以下解説します。
第1号
「事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし、当該事業が開始されない場合にあっては、当該事業を営むための事業として使用する施設が本邦に確保されていること。」
事業所は単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われることが必要です。
いわゆるバーチャルオフイスは認められません。独立した事業所を賃貸するか取得する必要があります。
また経営活動において人及び設備を有していて、継続的に行われている必要があります。
第2号
「申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤職員(法別表第1の上覧の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。
第2号は外国人が経営又は管理に従事する事業の「規模」について定めたものです。
第2号イは、経営又は管理に従事する外国人以外に本邦に居住する常勤の外国人職員が2人以上勤務する事業であることを要件とするものです。
この要件を満たす場合は500万以上の出資は必要ありません。
第2号ロは、事業が会社形態で営まれる場合を前提とする規定であり、株式会社における払込済み資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社又は合同会社の出資の総額が500万以上の事業であることを要件とするものです。
第2号ハは、イ又はロのいずれにも該当しない場合に、イ又はロに準じる規模であることを要件とするものです。
基準1号、2号から見てわかる通り、500万円以上の出資の他に事務所賃貸又は購入費用、法人設立費用等が必要であり、日本の都市部で「経営・管理」ビザを取得するには少なくとも初期費用として700万円から800万円はかかると思われます。
もっとも富裕層で日本の経営・管理の取得を考えている方々から見ると500万も800万もさして違いはなく、おなじ条件の在留資格を取得するのにアメリカでは日本の3,5倍程度かかることを考えると確かに日本の「経営・管理」ビザはリーズナブルでお得な在留資格であることは否定できません。
しかしながら経営・管理の在留資格が費用面で比較的リーズナブルに取得出来ても、事業の継続が難しくなれば次回の在留更新が難しくなる場合があるので注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「経営・管理」ビザの手続きを取り扱って降ります。
「経営・管理」ビザについて興味・ご関心のある方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問合せください。
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日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
外国人が日本で働くために必要な就労資格 その2

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が外国人が日本で働くために必要な「就労資格」について解説します。
外国人が日本で働くために必要な就労資格は、入管表別表第一の上覧の在留資格(活動資格)一の表と二の表にあげられています。
当ブログでは、入管法別表第二の表のうち「教育」「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能」「技能実習」について、
対象職種・業種、取得条件、在留期間、その他要件・注意点について解説します。
二の表(就労資格、上陸基準の適用あり)
教育(Instructor)
主な対象職種・業種: 小学校・中学校・高等学校等の教員、専修学校・各種学校の教師、語学指導助手(ALT)など。インターナショナルスクールの教師等も含まれます。
取得条件: 原則として大学卒業以上の学歴、または教員免許状等その教育職に必要な資格を有すること。
語学(外国語)教師の場合は、教えようとする外国語により12年以上教育を受けたことが必要です。
雇用先となる教育機関からの雇用契約が必要です。
在留期間: 5年、3年、1年又は3か月
その他: 「教育」ビザは大学相当未満の教育機関での教職が対象であり、大学で教える場合は「教授」ビザとなります。
また企業経営の英会話学校等で働く場合はこの在留資格ではなく「技術・人文知識・国際業務」が適用されます。
技術・人文知識・国際業務(Engineer/Specialist in Humanities/International Services)
主な対象職種・業種: いわゆる一般的なホワイトカラー職種が幅広く該当します。
例えばシステムエンジニア、プログラマー、通訳・翻訳、貿易営業、マーケティング、デザイナー、語学講師(民間語学学校)など多岐にわたります。
理工系・人文系の専門知識や国際業務スキルを活かす職種が対象です。
取得条件: 学歴要件として「業務に関連する分野の大学卒業(学士)以上又はこれと同等の教育を受けたこと。」「業務に関連する分野の専修学校の専門課程を修了したこと。」または職歴要件として「実務経験10年以上」が基本条件です。
。近年の制度緩和により、日本の専門学校を卒業し「専門士」「高度専門士」の称号を得た場合も関連業務で就労ビザ取得が可能となりました。
。職務内容と専攻分野との関連性が重視され、かつ給与水準が日本人と同等以上である必要があります。
在留期間: 最長5年(通常1年または3年での更新。更新回数に制限なし)
その他: 就労資格の中で日本で働く外国人に最も利用されている在留資格です。
製造業のライン作業や単純労働は認められず、あくまで専門知識・技能を要する職種に限られます。
専攻と職務のミスマッチがある場合は不許可となるため、採用時には職務内容の適切性に注意が必要です。
企業内転勤(Intra-company Transferee)
主な対象職種・業種: 外資系企業や多国籍企業の社員が、本社・支社間の人事異動で日本に一定期間赴任して働くケースが該当します。
。例えば海外の親会社・子会社から日本支店へ転勤してくる社員などが代表例です。
職種としては上記「技術・人文知識・国際業務」に該当するような専門的業務(技術者、管理部門スタッフ等)が中心です。
取得条件: 転勤前に海外の本店・支店等において少なくとも1年以上継続勤務していること。
日本で従事する業務が、転勤元で行っていた業務と同種であること(専門的分野の業務)も条件です。
転勤元・転勤先企業の資本関係(親子会社・支店関係)が明確である必要があります。
在留期間: 5年、3年、1年等(更新可)。
その他: 日本法人での雇用契約は不要で、在籍会社からの派遣という形になります。
同一企業内の異動であるため、学歴や職歴の要件は問われません(1年以上の勤務実績が要件となります)
介護(Nursing Care)
主な対象職種・業種: 介護福祉士として介護施設や病院等で介護業務に従事する介護士。高齢者介護施設の介護職員などが該当します。
取得条件: 日本の国家資格である介護福祉士の資格取得者であること。
通常は日本の介護福祉士養成施設を卒業し国家試験に合格するか、EPA(経済連携協定)による来日後に試験合格することで資格を得ます。
法律上日本語能力の明確な基準はありませんが、介護福祉士資格取得には専門学校入学時点でN2程度の日本語力が事実上必要であり、利用者とのコミュニケーションにも必須なため実際には日本語能力試験N2相当以上が望まれます。
在留期間: 5年、3年、1年等(更新可)
その他: 同じ介護分野でも「特定技能(介護)」やEPA介護候補者とは異なる在留資格であり、要件も大きく異なります。
(特定技能は資格不要・N4程度の日本語で可だが介護ビザは有資格者のみなど)。資格維持のため業務に就き続ける必要があり、介護職以外の仕事はできません。
興行(Entertainer)
主な対象職種・業種: 芸能やスポーツ分野で報酬を得て活動する者が対象です。
例えば俳優、歌手、ダンサー、演奏家などの芸能人やプロスポーツ選手、モデル等が該当します。
興行イベントへの出演者や、それに付随する重要なスタッフも含まれる場合があります。取得条件: 日本で行う興行(公演・興行イベント)に関する契約があることが前提です。
申請人本人に関する要件として、外国の教育機関で当該芸能活動に関する科目を2年以上専攻しているか、または外国で2年以上の実績(経験)があることのいずれかを満たす必要があります。
。また受け入れ機関(招聘元)に関する要件として、興行主に十分な経営基盤があることや報酬が適正であること等が審査されます。
在留期間: 最長3年(活動内容に応じて1年や3ヶ月など短期の許可も多く契約期間に合わせて在留期間が決定されます。)
その他: 興行ビザでは契約された興行活動以外での収入活動は認められません。興行内容によっては風俗営業法等他法令の遵守も求められます。
興行ビザには細かい区分があり(興行1号・2号など)、活動内容ごとに要件が定められています
技能(Skilled Labor)
主な対象職種・業種: 調理師(外国料理のシェフ)、ソムリエ、宝石・貴金属加工職人、衣料・織物職人、家具工芸職人、動物調教師、スポーツ指導者・トレーナー、航空機パイロットなど熟練した技能を要する職種。
日本には少ない特殊技能(例えば各国料理の調理など)に従事する外国人が対象です。
取得条件: 職種ごとに定められた相当年数の実務経験や資格が必要です。多くの場合少なくとも3~10年以上の実務経験が求められます。
例えば外国料理のコックは通常10年以上の調理実績が必要ですが、タイ料理人の場合は一定の技能証明書と直近1年の本国での調理経験があれば5年の経験でも認められる特例があります。
このように職種により要件が異なるため、事前に各技能分野の基準を確認する必要があります。
在留期間: 最長5年(更新可能。通常1年または3年ごと)
その他: 対象となる技能職種は法律で限定的に列挙されています。
技能実習を経て培った技能を実務として活かすケースもあります。技能ビザで認められる範囲外の単純労働はできません。また、日本人と同等以上の報酬が支払われる必要があります。
特定技能(Specified Skilled Worker)
主な対象職種・業種: 人手不足が深刻な産業分野における即戦力労働者を受け入れるための在留資格です。2019年に創設され、現在16分野(外食、介護、建設、農業、製造業など計16産業分野)で受け入れが可能です。
取得条件: 特定技能1号(中級技能者)と2号(熟練技能者)に分かれます。
1号は各分野ごとの技能試験及び日本語試験(一般に日本語能力試験N4相当)に合格することが必要です。
一方、特定技能2号は1号修了者等でさらに熟練した技能を持つ人が対象で、より高度な試験合格や実務経験が求められます。
在留期間: 1号は通算で最長5年まで(1年・6ヶ月等の在留を更新、合計5年で上限)
2号は在留期間の上限はなく、継続的に更新可能です(在留期間は最長3年までで更新回数無制限)
その他: 1号では家族の帯同は原則不可ですが、2号になると配偶者や子の帯同が認められます。
特定技能制度は技能実習で培った人材の受け皿としての側面もあり、技能実習からの移行も可能です。人手不足解消を目的とした制度のため、
待遇は日本人同等以上とすることや支援体制の整備(1号の場合、登録支援機関による支援が必要)などの条件も付されています。
技能実習(Technical Intern Training)
主な対象職種・業種: 開発途上国等の外国人が日本で技能移転を受けるための実習生制度です。海外の子会社から受け入れる企業単独型実習生や、送出機関・監理団体を通じて受け入れる団体監理型実習生が対象となります。
。職種は農業、建設、製造業など多数(91職種)168作業が指定されており、日本の企業等でOJTを通じ技能を習得します。
取得条件: 自国の送出機関などを通じ、日本の受入企業と技能実習契約を結ぶ必要があります。
入国時は技能実習1号(原則1年)から開始し、所定の試験合格など要件を満たせば2号・3号へと段階的に移行して最長5年間の実習が可能です。
各段階で技能検定の合格など一定の成果が求められます。また実習終了後は原則として習得技能を活かすため帰国することが前提ですが、優良修了者は特定技能への移行も認められています。
在留期間: 最長5年(技能実習1号=1年以内、2号=2年、3号=2年の合計)
通常は1年ごとに在留資格更新・段階変更しながら進みます。
その他: 技能実習は労働力の受入れではなくあくまで国際貢献・人材育成を目的とする制度です。
そのため転職や実習職種の変更はできず、実習計画に沿った業務のみが許可されます。近年制度見直しの動きもあり、2027年以降「育成就労」へ一本化検討されます。
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、日本で働ける就労資格の中から「教育」「技術・人文・国際業務」「企業内転勤」「介護」「興行」「技能」「特定技能」「技能実習」について、対象職種・業種、取得要件、在留期間、その他の要件・注意点について解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、外国人の就労資格に関する在留申請手続きを取り扱っております。
日本で働きたい外国人の方や外国人の採用をお考えの方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
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外国人が日本で働くために必要な就労資格

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が外国人が日本で働くために必要な「就労資格」について解説します。
在留資格とは何か
外国人が日本で働くためには在留資格が必要です。
日本で働くことを目的として認められた在留資格を就労資格といいます。
外国人が日本で働くために必要な就労資格は、入管法別表第一の上覧の在留資格(活動資格)のうち、一の表と二の表にあげられています。
当ブログでは、入管法別表第一の表と二の表の就労資格に掲げられている就労資格のうち「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」
「法律・会計業務」「医療」「研究」について、対象職種・業種、取得条件、在留期間、その他の要件・注意点について解説します。
一の表(就労資格)
・教授(大学教授など)
主な対象職種・業種: 大学の教授、准教授、助教など高等教育機関での教育・研究職等。
取得条件: 日本の大学や高等専門機関との雇用契約が必要です。
法律上は学歴要件は明記されていない(博士号等は必須条件ではない)ものの、通常は博士号取得者やそれに相当する研究実績があることが望ましいです。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月
・芸術
主な対象職種・業種: 作曲家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など、芸術分野の創作活動従事者。
取得条件: 特定の学歴要件はありませんが、自身の芸術作品や受賞歴など十分な実績が重視されます。
収入を伴う芸術活動であることが前提です。商業目的ではない純粋な芸術活動は「文化活動」となります。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月
その他: 活動の継続性や収入が審査で考慮され、芸術活動以外の報酬を伴う仕事は認められません。
・宗教(Religious Activities)
主な対象職種・業種: 僧侶、司教、宣教師など宗教活動に従事する者。
例えば海外の宗教団体から派遣され日本で布教活動を行う宣教師などが該当します。
取得条件: 本国または所属先の宗教団体から派遣されていること。特定の資格や学歴要件はなく、日本で行う布教・宗教活動の内容が明確であることが求められます。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月。
その他: 純粋な宗教上の職務に従事する必要があります。家族の帯同が可能です。
その場合、帯同する家族は在留資格「家族滞在」になります。
・報道(Journalist)
主な対象職種・業種: 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動で外国の報道機関の新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、
アナウンサーなど報道機関の職員。
取得条件: 外国の報道機関に雇用されている者、またはフリーランスで契約を結んだ上で取材・報道のために来日する者が対象です。
国営か民間かは問われません。継続的な契約が必要です。
在留期間: 5年、3年、1年または3月
その他: 報道目的以外の収益活動は認められません。
二の表(就労資格、上陸許可基準の適用あり)
・高度専門職(Highly Skilled Professional)
主な対象職種・業種: 学術研究、専門技術、経営分野の高度人材(研究者、技術者、経営者など高度な専門能力を持つ人材)。
取得条件: ポイント制(ポイント表はこちら)による評価で70点以上を取得すること。
学歴、職歴、年収、年齢、日本語能力などの項目でポイントが与えられ、学歴(最大30点)、職歴(最大25点)、年収(最大50点)、年齢(最大15点)、
日本語能力(最大15点)といった評価基準があります。
ポイント合計が所定基準に達すれば認定されます。
在留期間: 原則5年(「高度専門職1号」)。
高度専門職として3年活動後は「高度専門職2号」への移行が可能です。
特に80点以上を取得した場合は最短1年で永住許可申請が可能になるなど、永住への優遇措置もあります。
・経営・管理(Business Manager)
主な対象職種・業種: 会社の経営者や役員、事業主など事業の経営・管理に携わる人。
例えば企業の社長、工場長、支店長、新規事業の起業家などが該当します。
取得条件: 日本国内に事業所(オフィス)を確保し、安定的・継続的な事業があると見込まれること。
独立した事業所の確保、事業の継続性・安定性の裏付けがあること、資本金または投資額が最低500万円以上であること、又は常勤社員が2名以上いること等の経営規模要件があります。
個人事業主として申請する場合も上記要件を満たす必要があります。
在留期間: 5年,3年、1年、4月、3月
起業準備段階では短期(4か月など)が付与され、その後事業の実態に応じて更新可能です。
・法律・会計業務(Legal/Accounting Services)
主な対象職種・業種: 外国法事務弁護士及び外国公認会計士の他、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など、日本の法律に基づく国家資格を有する専門職。
取得条件: 業務独占の資格を有する者でなければ行うことができないとされている法律又は会計に関する業務を有していること。
申請の際には、その資格証明書(弁護士登録証、公認会計士証など)を提出し有資格者であることを証明する必要があります。
在留期間: 5年、3年、1年又は3か月
企業に雇用される形でも独立開業する形でも就労可能です。
・医療(Medical Services)
主な対象職種・業種:日本の免許を持つ 医師、歯科医師、薬剤師、看護師など病院や診療所等の医療専門職。医師免許、看護師免許など国家資格の取得(日本の国家試験合格)が必要です。
在留期間: 5年、3年、1年又は3か月
その他: 資格取得が前提のため、来日前に日本の国家試験に合格しているか、日本の医療養成機関を卒業している必要があります。資格に基づく業務のみ許可され、それ以外の兼業は制限されます。
・研究(Researcher)
主な対象職種・業種: 政府機関や民間企業の研究員、調査員など研究活動従事者
(在留資格「教授」に該当する活動を除く)。
取得条件: 日本の公私の機関との契約に基づき研究活動を行うことが必要です。
学歴および研究経験に関する要件があり、大学卒業または同等の教育を受けた後に従事しようとする分野で修士以上の学位もしくは3年以上の研究経験を有すること、
あるいは当該分野で10年以上の研究経験があること等が求められます。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月。
以上、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、日本で働ける就労資格のなかから「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」
「医療」「研究」について、対象職種・業種、取得条件、在留期間、その他の要件・注意点について解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、外国人の方の就労資格に関する在留申請手続きを取り扱っております。
日本で働きたい外国人の方や外国人の採用をお考えの経営者の方は是非ご相談ください。
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日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
在留資格「企業内転勤」について

1.出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(抄)別表第一の二
「企業内転勤」
本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業 所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄 に掲げる活動。
(1)「目的」
企業活動の国際化に対応し、人事異動により外国の事業所から本邦の事業所に転勤する外国人を受け入れるために設けられました。
同一企業等内部の事業所から本邦の事業所に一定期間転勤して、「技術・人文知識・国際業務の内部で外国の事業所から本邦の事業所に一定期間転勤して、
「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄に掲げる活動を行う者が該当します。
(2)「該当範囲」
本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄 に掲げる活動
(3)企業内転勤の在留資格に該当する範囲は以下の①、②です。
①「企業内転勤」の在留資格により行うことができる活動内容は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に係る活動ですが、
同一企業内の転勤者として本邦において限られた期間勤務するものである点で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって在留する外国人と異なります。
②「企業内転勤」の在留資格は、「自然科学の分野に属する技術又は知識」又は「外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性」のうち
少なくともいづれかを必要とする業務に従事する活動です。
(4)「留意事項」
① 同一の法人内で異動をして「企業内転勤」の在留資格をもって在留する場合は、改めて雇用等の契約を結ぶ必要はありません。
② 本邦にある事業所は、事業が適正に行われ、かつ、安定的に事業を行っていると認められるものでなければなりません
③ 本邦にある事業所は、施設が確保され、当該施設において事業活動が行われるものである必要があります。
企業内転勤のビザについて,必要となる申請書類等はこちら(法務省 出入国在留管理局HP)
2.上陸許可基準
法別表第一の二の表の企業内転勤の項の下欄 に掲げる活動で申請人が次のいずれにも該当していること。
第1号
申請に係る転勤の直前に外国にある本店,支店その他の事業所において法別表第一の二の表 の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で,
その期間(企業内転 勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に 従事していた期間がある場合には,当該期間を合算した期間)が継続して一年以上あること
第2号
「日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けること。」
「上陸許可基準の内容」
(ア)「技術・人文・国際業務」の項の下欄に規定する業務であれば足り、転勤後本邦において従事する業務と同一又は関連する業務であることまでは必要ありません。
(イ)申請人が本邦の本店、支店、その他の事業所に転勤する直前に1年以上継続して勤務していたことが必要です。
ただし、直前の1年以内に外国の事業所等から転勤して本邦にある事業所に「企業内転勤」の在留資格により在留していた期間がある場合は、その期間を含めることができます。
「申請に係わる転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において・・・
継続して1年以上あること」とは、新たに採用した職員を直ちに本邦に転勤させることは認めないということです。
これは外国企業が本邦における労働力を確保しようという目的だけのために、その企業において何ら在留資格「技術・人文・国際業務」に該当する業務を行ったことがない
新規採用職員を本邦に転勤させることを防止する趣旨です。
「日本人が従事する場合における報酬と同等額以上の報酬を受けること。」とは、安価な労働力防止による国内労働市場の確保のため、低賃金での業務を認めないという趣旨です。
また同じ職場で同様の業務に従事する日本人が受ける報酬以上であることが必要です。
「立証資料」として
所属機関となる本邦の公私の機関は、カテゴリー1から4に分類され、所属機関がいずれのカテゴリーに属するかに応じて各種申請の際に提出を要する立証資料に差が設けられています。カテゴリー1から4までのうち、1が立証資料の免除が大きく、2,3と少なくなり、1から3までのいずれかのカテゴリーに該当することの立証がなければカテゴリー4に該当するものとして免除は受けられず、入管側が求める全ての立証資料の提出が必要となります。
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「企業内転勤」について解説しました。
海外の事業所から日本国内にある事業所に社員を転勤させたいが在留申請手続きについて不安のある方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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