Archive for the ‘入管法,法改正その他’ Category

「特別高度人材制度」とは?「高度専門職」ビザとの違いは?

2024-03-08

「特別高度人材制度(J-Skip)」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

2023年4月から特別高度人材制度(J-Skip)が導入され、これまでの高度人材ポイント制とは別途、学歴又は職歴と、年収が一定の水準以上であれば「高度専門職」の在留資格を付与し、「特別高度人材」として現行よりも拡充した優遇措置を認めることとなりました。
出入国管理庁HP
新設された制度と,これまでの「高度専門職」の在留資格について比較しながら解説します。

高度専門職の在留資格

在留資格「高度専門職」の対象には、外国人本人が日本にて行う活動に応じて、以下の3つの類型があります。

(1)「高度学術研究活動」 : 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動(例 : 大学の教授や研究者等)

(2)「高度専門・技術活動」 : 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動(例 : 企業で新製品の開発等を行う者、国際弁護士等)

(3)「高度経営・管理活動」 : 本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動(例 : グローバルな事業展開を行う企業等の経営者等)

高度専門職ビザの詳しい解説はこちら

「特別高度人材」に該当する人

「特別高度人材」の要件は、上記の(1)~(3)の活動類型ごとに以下のとおりです。
((1)・(2)の活動類型の方)
 以下のいずれかを満たす方であること。
 ・修士号以上取得かつ年収2,000万円以上の方
 ・従事しようとする業務等に係る実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上の方

((3)の活動類型の方)
 ・事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上かつ、年収4,000万円以上の方

優遇措置の内容

特別高度人材の場合は高度人材ポイント制による優遇措置よりも拡充された、以下の優遇措置を受けられます。

なお、特別高度人材として認められた場合は特別高度人材証明書が交付され、在留カード裏面欄外の余白に「特別高度人材」と記載されます。

① 在留資格「高度専門職1号」の場合
 1. 複合的な在留活動の許容
 2. 在留期間「5年」の付与
 3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
 4. 配偶者の就労
 5. 一定の条件の下での親の帯同
 6. 一定の条件の下での家事使用人の雇用
 7. 大規模空港等に設置されているプライオリティレーンの使用
 8. 入国・在留手続の優先処理

② 在留資格「高度専門職2号」の場合
※「高度専門職2号」は「高度専門職1号」(特別高度人材)で1年以上活動を行っていた方が移行できる在留資格です。
 1. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
 2. 在留期間が無期限となる
 3. 上記3から7までの優遇措置が受けられる

また、永住許可までに要する在留期間は「1年」となります。

申請方法,手続について

①特別高度人材として5年在留し、続けて在留を希望する方は、在留期間更新申請を行ってください。

②高度人材ポイント制によって高度専門職1号の在留資格で在留している方が、特別高度人材としての優遇措置を希望する場合は以下の申請を行ってください。

1 高度専門職1号の在留期間の満了までの期間がおおむね3か月以内の場合
・在留期間更新許可申請において、特別高度人材に該当する旨の申し出を行ってください。
・申請に必要な書類等については添付を御確認ください。

2 高度専門職1号の在留期間の満了までの期間が上記以上の場合 ・就労資格証明書交付申請を行っていただき、当該申請に際して特別高度人材であることの認定をします。(手続についてはこちらを御確認ください。)

3 上記1・2にかかわらず、配偶者や家事使用人が特別高度人材の優遇措置(特定活動告示第2号の4及び第33号の2)に係る在留諸申請を行った場合に、同申請において本体者が特別高度人材であることの認定をします。

以上のように、「特別高度人材」は様々な優遇措置がなされていますので、「特別高度人材」についてご質問のある方はお気軽にお問い合わせください。

外国人技能実習制度に代わる新制度について

2024-02-27

「外国人技能実習制度に代わる新制度」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

現在、有識者会議で検討される方向性としては、技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討するべきであるとしています。

直近の報道においても,技能実習制度について関連する法案が国会に提出される予定です。

人材確保という目的は特定技能に即しており、人材育成という目的は技能実習制度に即しているので、技能実習制度に変わる新制度は、特定技能と技能実習制度を合体させたような制度というイメージです。

技能実習制度と廃止後の新制度をわかりやすく、以下のように比較しました。

なお,現在の技能実習制度についてはこちらでも解説をしています。

① 制度の目的

技能実習制度については人材育成を通じた国際貢献であるのに対して、新制度では人材育成プラスα人材確保をも目的とします。

② 対応している職種

技能実習制度については特定技能と不一致(特定技能より幅広い)であるのに対して、新制度では特定技能の12職種に合わせることを想定されています。

③ 受入れる外国人の人数設定
技能実習制度については人数設定のプロセスが不透明であるのに対して、新制度では人数設定のプロセスを透明化する(〇年間で○○人の受入れといった制度上の受入れ人数設定のこと)ことを想定されています。

④ 外国人の転職の可否

技能実習制度については原則として外国人は転職できないのに対して、新制度では技能実習制度に比べて転職しやすくするようですが、詳細は未定(日本人のように完全に自由な転職はできない)となっています。

⑤ 管理監督や外国人への支援

技能実習制度については不十分な実情であるのに対して、新制度では監理団体や登録支援機関の要件を厳格化し、技能実習制度で不十分だった点を改善することを想定されています。

⑥ 日本語能力の向上施策

技能実習制度については、特に外国人の日本語能力の水準を設定していないため入国直後は日本語を話せない外国人も多いのに対して、新制度では企業での就労開始前に、一定の日本語能力を求めることを想定されています。また、就労開始後は日本語能力が上がるような仕組みを制度として設けられる予定です。

技能実習生制度の廃止は現時点では、未だ確定ではありませんが、2023年秋頃に有識者会議にて最終報告を政府に提出し、早ければ2024年の通常国会に関連法案が提出される可能性があります。

このように、技能実習制度については今後大きな変更があることが予想されており、現在技能実習生を受け入れている企業にとっても関心の高いトピックであるといえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所としても、今後の動向に注目したいと思います。

2023年6月に成立した入管法改正を解説

2024-02-23

「2023年6月の入管法改正」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

2023年6月に成立した改正入管法についご紹介します。

同年の改正について出入国管理局庁のHPはこちらです。

1.送還忌避問題

不法就労やオーバーステイなどの違法行為をした場合、退去強制すなわち強制送還の対象となります。

退去強制対象者の多数の外国人は問題なく出国するところ、一定数の外国人が出国を拒んでいる状況があり、その数は令和3年12月末時点で約3,200人、このうち約1,100人が前科を有しており、約500人が懲役1年超の実刑の前科を有しております。

このように実刑の前科があるにもかかわらず退去を拒む外国人について、現行法では、以下のような事情が外国人を強制的に退去させる妨げとなっておりました。

① 難民認定手続中の者は、送還が一律禁止

現行法では、難民認定手続中の外国人は送還が一律に停止され、申請の回数や理由等を問わず、重大な罪を犯した者であっても、退去させることができませんでした。

② 退去を拒む自国民の受け取りを拒否する国の存在

日本で、退去強制の対象となった外国人について、その外国人が退去を拒否した場合、自国民の受け取りを拒否する国が一部あり、現行法ではそのような者を母国に強制的に送還する手段がありませんでした。

③ 送還妨害行為による航空機への搭乗拒否

外国人の母国へ送還する際に飛行機の中で暴れたり、大声を上げたり、と送還の妨害をする人もおり、この場合には、機長の指示により搭乗が拒否され、退去させることが物理的に不可能になっておりました。

こうした問題を解決するために、以下のように改正がなされました。

① 難民認定手続中の送還停止効に例外規定を創設

難民認定手続中は一律に送還が停止される現行入管法の規定(送還停止効)を改め、以下の者については、難民認定手続中であっても退去させることが可能となりました。

・3回目以降の難民認定申請者の取り扱いについて
・3年以上の実刑に処された者
・テロリスト等

ただし、3回目以降の難民認定申請者でも、難民や補完的保護対象者と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出すれば、送還は停止できることになっています。

② 強制的に退去させる手段がない外国人に退去を命令する制度を創設

退去を拒む外国人のうち、次の者については、強制的に退去させる手段がなく、現行法下では退去させることができないので、これらの者に限って、日本から退去することを命令する制度が創設されます。

・退去を拒む自国民を受け取らない国を送還先とする者
・過去に実際に航空機内で送還妨害行為に及んだ者

さらに、罰則を設け、命令に従わなかった場合には、刑事罰を科すことができるようになります。

③ 退去すべき外国人に自発的な帰国を促すための措置を講ずる

退去すべき外国人のうち一定の要件に当てはまる者については、日本からの退去後、再び日本に入国できるようになるまでの期間(上陸拒否期間)が短縮されるようになります。

2.収容の長期化と仮放免制度の悪用

現行法では、退去が確定した外国人は原則退去までの間、収容施設にて収容されることになります。

収容された外国人が退去を拒否したり、難民申請の繰り返し、母国側の受け入れ拒否などで、収容期間の長期化が問題となっておりました。

このような収容期間の長期化を防止するには、収容を一時的に解除する「仮放免」制度を活用するしか方法がなく、「仮放免」が許可された外国人が逃亡するケースも多数発生し、令和3年12月末時点で約600人も逃亡しているという状況です。

こうした問題を解決するために、以下のように改正がなされました。

・収容に代わる「監理措置」制度を創設

入管法の「原則収容」制度を改め、外国人の監督をできる者を「監理人」として選任し、当該「管理人」の監理の下で、逃亡等を防止しつつ、収容しないで退去強制手続を進める「監理措置」制度が創設されます。

これにより、収容期間の長期化及び「仮放免」を受けた外国人の逃亡を防ぐことが可能となっております。

3.難民を確実に保護する制度が不十分

難民条約上、「難民」に該当するには、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、政治的意見のいずれかの理由により迫害を受けるおそれがあることが必要となっています。

しかし、紛争避難民については、迫害を受けるおそれがある理由が、この5つの理由に必ずしも該当せず、条約上の「難民」に該当しない場合があります。

現行法では、こうした条約上の「難民」ではないものの、「難民」に準じて保護すべき紛争避難民などを確実に保護する制度がありませんでした。

こうした問題を解決するために、以下のように改正がなされました。

なお,難民認定手続きについてはこちらのページでも解説をしています。

・補完的保護対象者の認定制度の創設

紛争避難民など、難民条約上の難民ではないものの、難民に準じて保護すべき外国人を「補完的保護対象者」として保護する手続を創設し、補完的保護対象者と認定された者は、難民と同様に安定した在留資格(定住者)で在留できるようになります。

以上のように、これまでは、難民認定申請中は送還が認められていませんでしたが、今回の法改正により、3回以上難民申請をした人について「相当の理由」が説明されなければ、送還が可能となりました。

このように、難民ではない人が送還を免れるために難民申請を繰り返すという難民申請の「濫用」を防ぐということが、今回の法改正の最大の目的となっています。

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