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在留期間中に刑事・行政処分を受けた場合、その後の在留手続きはどうなるのか?

2025-03-25

日本に在留している間に刑事処分・行政処分を受けてしまうとビザが取り消されてしまうのでしょうか?

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.刑事処分によってビザが取り消されてしまうケース

在留期間中に刑事事件をおこして無期又は一年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたケース(執行猶予の言渡しを受けた者を除く)

本ケースでは、例え在留期間中であったとしても、判決確定後は刑務所に移送され服役することになります。服役中に入管審査官が退去強制手続きを進めることがあります。

刑期満了又は仮釈放後は日本人のように刑務所から外に出られるわけではなく、刑務所から出入国在留管理署(以下入管)内にある入管収容施設に直接移送されて収容されます。

出入国管理及び難民認定法、以下法)別表一(日本での活動に基づく在留資格)と法別表二(身分又は地位に基づく在留資格)の区別なく適用されます。

入管収容施設に収容されてからは、退去強制事由に該当しないと判断されない限り、原則30日以内に被収容者(入管に収容された外国人、以下被収容者)に対して退去強制処分が決定されます。

被収容者が入管施設に収容されている場合に被収容者の収容を解く手続きとして仮放免と監理措置があります。

仮放免とは、収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている被収容者について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるときに、収容を一時的に解除する制度です(法第54条)。

監理措置は令和5年の出入国管理法改正で新たに設けられました。
監理人による監理の下、逃亡等を防止しつつ、相当期間にわたり、社会内での生活を許容しながら、収容しないで退去強制手続を進める措置です。

なお、監理措置は、退去強制令書発付前のもの(法第44条の2以下に規定)と、退去強制令書発付後のもの(法第52条の2以下に規定)とがあります。

健康上、人道上の理由以外の理由で収容の一時的解除を求める場合は監理措置によることになります。入管収容施設に収容された外国人が今後も日本に長期滞在したい場合は、退去強制処分が発付される前に在留特別許可を申請して新たに在留許可が認められる必要があります。

2.特定の犯罪で有罪判決を受けた場合

有罪の判決を受けた場合に法別表第一、法別表第二の在留資格に共通して適用されるケース

本ケースに該当する退去強制該当事由として、他人名義のパスポートによる不法入国、不法就労のあっせん、在留カードの偽造又は所持、在留カードの偽造、不法就労、在留期間超過、人身取引、旅券法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、覚醒剤取締法違反等で有罪判決を受けた場合、売春又は売春のあっせん、勧誘等があります。

出入国管理行政の根幹を揺るがしかねない行為や犯罪、社会的利益を著しく侵害する危険性のある犯罪等を法第24条で限定して列挙しています。

3.特定の刑法犯で執行猶予以上の有罪となった場合

法第24条で定める退去強制事由で、法別表第一の在留資格に該当するケース

法別表第一に記載されている在留資格の外国人は、以下の罪による場合は1年以下の懲役若しくは禁錮又は執行猶予付きの判決に処せられたときでも退去強制該当事由になります。

住居侵入罪、通貨偽造罪、文書偽造罪、有価証券偽造、支払い用カード電磁的記録に関する罪、印象偽造の罪、賭博及び富くじに関する罪、殺人の罪、傷害の罪、逮捕および監禁の罪、略取、誘拐及び人身売買の罪、窃盗及び強盗の罪、詐欺及び恐喝の罪、盗品等に関する罪、暴力行為等処罰に関する法律第一条、第一条の二若しくは第一条ノ三の罪、盗犯等の防止及び処分に関する法律の罪、特殊開鍵用具の所持の禁止等に関する法律第十五条若しくは第十六条の罪又は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第二条若しくは第六条第一項の罪により懲役又は禁錮に処せられたもの

参考:外国人が逮捕されてしまった場合

4.その他の刑法犯で1年以下の実刑判決を受けた場合

法24条列挙事由以外の罪で1年以下の懲役若しくは禁錮又は罰金に処せられたケース

原則として在留期間中に退去強制手続きは始まらず、次の在留期間まで在留資格は継続します。在留更新時に,刑事処分を踏まえて在留状況を審査されます。
在留更新時の審査で「素行に問題がある」と判断されると,在留更新が認められない場合があります。在留申請更新時に反省文や嘆願書等を提出して在留更新許可が認められるように対策が必要です。

5.その他の刑法犯で執行猶予判決を受けた場合

法24条列挙事由以外の罪で1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたが執行猶予の言渡しを受けたケース

4と同様の扱いとなりますが、本ケースでは刑事処分後の在留更新は「素行に問題あり」として在留更新が認められることはかなり厳しくなります。
法別表一の在留資格の場合はもとより法別表二による在留資格の場合でも、在留資格更新時に滞在中に「素行に問題あり」として在留更新が不許可となる場合があります。
なお本ケースの場合、上陸拒否の特例を受けない限り、いったん日本から出国すると無期限で日本に入国できないので注意が必要です。

6.行政処分を受けた場合

在留更新中に速度超過や駐停車違反で行政処分を受けたケース

速度超過や駐停車違反により行政処分を受けた場合、それだけで退去強制手続きに進むことはほぼありませんが、次の更新申請の時に「素行に問題あり」と判断され在留期間が短縮されることがあり得ます。在留更新時に反省文や理由書等を提出するとよいでしょう。
以上1から6までのケースに分けて刑事処分・行政処分を受けた後の在留手続きについて解説しました。
上記のケースから分かるように在留期間中に刑事処分を受けるとその後の在留更新手続きは極めて困難となります。
また行政処分のみの場合でも在留期間が従来の5年や3年の在留期間から1年の在留期間に短縮されたりすることもあります。
在留期間中に刑事・行政処分を受けてしまい在留更新手続きでお悩みの方は、お一人で悩まずに是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

「再入国許可と上陸拒否の特例」について

2025-03-18

(架空の事例)

永住者のAさんは現在外資系企業の日本支店で働いています。 
Aさんは3年前に窃盗事件をおこし懲役1年、執行猶予3年の罪に処せられました。
判決後は幸い勤務先からの懲戒解雇は免れました。Aさんは事件後心機一転し仕事を頑張った結果、先日海外にある本社の管理職として異動の内示がでました。
Aさんは妻と子供を日本に残し単身で海外に赴任することを考えていますが、自分が以前おこした事件の影響で、日本出国後再び日本に再入国できるのかについてとても心配しています。
日本で有罪判決に処せられたAさんは、海外勤務修了後再び日本に戻ってくることは出来るでしょうか?

1.再入国許可

Q 再入国許可申請とは何ですか?
A 在留資格を取得した外国人は、当該在留資格に基づいて日本に滞在する法的資格がありますが、この資格は当該外国人が日本から出国することにより失われます。
そこで日本に在留する外国人が日本を出国後もこの法的資格を維持するための許可を受ける必要があります。この許可申請手続きを再入国許可申請といいます。

再入国許可を受けた場合は、従前の在留資格がそのまま維持されるので、日本出国後、再度日本に入国する際に改めて在留資格申請手続きをする必要がありません。

再入国の有効期間は現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。再入国許可を受けて出国している外国人は、その有効期間内に再入国することができない事情がある場合には、有効期間の延長を申請することができます。この場合の延長をすることができる期間は1年をこえず、かつ、当初の再入国許可が効力を生じた日から6年(特別永住者の場合は7年)を超えない範囲内です。

この有効期間の延長の許可は旅券又は再入国許可許可書にその旨を記載することによって行われ、その事務は、在外に日本国領事館等の委任するものとされています。

参考 再入国許可手続きについて 出入港在留管理局HP

2.前科があっても再入国許可申請ができるのか

Aさんが海外勤務後日本に戻るためには、日本の在留資格を失わないために管轄の入管で再入国許可申請を行い再入国許可を受ける必要があります。

再入国許可申請にあたり、Aさんは3年前に窃盗事件をおこし懲役1年以上の有罪判決に処せられていますが、この場合Aさんの再入国はどうなるのでしょうか?

出入国管理及び難民認定法(以下法)第5条では日本への上陸拒否にあたる場合を例示しており、法5条1項4号では無期限上陸拒否にあたる場合として、

「日本国又は日本国以外の国に法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。」

と規定しています。

「1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられた」場合に執行猶予も含むとして運用されています。

Aさんには法5条1項4号が適用され、日本から出国すると日本への入国を拒否されAさんは海外転勤をすると永久に日本に戻ってこれないことになりますが、法5条1項4号には例外がないのでしょうか?

再入国許可が認められる場合もある

法5条1項4号に該当する場合、原則として永久に日本に入国することは禁止されますが、事情によりどうしても日本を出国して海外に行かなければならない場合もあります。
法5条1項4号に該当する場合は全て一律に上陸拒否とすることは人道的に問題生じるおそれがあります。そこで法5条の2では上陸拒否の特例を規定し、無期限上陸拒否の例外について規定しています。

法5条の2「当該外国人に第26条第1項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができる。」

法5条の2が適用される典型的な事例として、「上陸特別拒否事由に該当することになる特定の事由と同じ事由に基づく退去強制手続きにおいて在留特別許可を受けた者に対して、再入国許可を行った場合」があります。

Aさんは再入国手続き申請の際に、自分が出国後に日本への再入国が必要であることについて法務大臣に相当の理由を示して、上陸拒否の特例を受けることができればAさんは海外転勤ができます。

3.通知書について

Aさんに上陸拒否の特例が認められると、「法5条1項4号のみを理由として上陸を拒否しない」との趣旨を記した通知書が発行されます。

入管法施行規則第4条の2第2項「特定の事由のみによっては上陸を拒否しないこととしたときは、その外国人に通知書を交付するものとする」

通知書には以下の記載があります。

氏名
生年月日
国籍・地域
住居地
期限
事由(法5条〇項〇号に規定された上陸拒否の対象となる事由)


この通知書を、入国の際に携行(通常はパスポートに添付)して、入国審査官に提示することで日本への入国が可能となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では上陸特別許可申請について取り扱っています。
日本への上陸許可についてお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

日本人の実子をもつ外国人親の在留資格

2025-03-11

「日本人の実子をもつ外国人親の在留資格」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.事例

日本に滞在する外国人女性Aさんは、日本滞在中に内縁関係にある日本人男性との間に子どもをもうけました。子どもは日本人男性の認知を受けて現在Aさんが日本で育てています。
Aさんがこの先日本で仕事をして子どもを育てていくためにはどのような在留手続きが必要となるでしょうか?

2.どのようなビザが取れるのか

上記のケースについて,「日本人の実子をもつ外国人親が日本に滞在するのに必要な在留資格の扱いについて」という法務省からの通達が出ています。

平成8年7月30日通達(法務省入国管理局長通達第2565号「日本人の実子を扶養する外国人親の取扱について」
「表記(引用者注:日本人の実子を扶養する外国人親の取扱い)については、地方入国管理局長が諸般の事情を考慮して「定住者」と認めることが相当と判断した場合には本省に通達し、本省で個々に拒否の判断を行い、許可されたときに限り当該外国人親の在留を認めてきたところですが、日本人の実子としての身分関係を有する未成年者が我が国で安定した生活を営めるようにするために、その扶養者たる親の在留資格についても、なお一層の配慮が必要と考えられます。ついては、扶養者たる外国人親から在留資格の変更申請があったときは、下記のとおり取り扱うこととされたく、通達します」

と記載され記書きとして「未成年かつ未婚の実子(注1)を扶養するため本邦在留を希望する外国人親については、その親子関係、当該外国人が当該実子の親権者であること、現に相当期間当該実子を監護養育していることが確認できれば、地方入国管理局(支局を含む。以下同じ。)限りで「定住者」(1年)への在留資格の変更を許可して差し支えない。」と規定しています。

注1「日本人の実子とは、嫡出・非嫡出子を問わず、子の出生時点においてその父又は母が日本国籍を有しているものをいう。実子の日本国籍の有無は問わない。日本国籍を有しない有しない非嫡出子については、日本人父から認知されていることが必要」

通達の趣旨は「日本人と外国人との間の婚外子出生子が増加していることを踏まえこれら日本人の実子が外国人親とともに本邦で生活を営めるようにするため、未成年かつ未婚の日本人の実子が監護養育する外国人親について、法務大臣が特別な理由を考慮し「定住者」の在留資格により在留資格を認めることとした」ものです。

定住資格とは「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」に付与される在留資格です。
あらかじめ定住者告示をもって定められた活動(定住者告示)と定住者告示に定めがないもの(告示外定住)の2種類があります。
本ケースで取り上げている「日本人の実子をもつ外国人親に定住資格を認める場合」は定住者告示に定めがないもので「告示外定住」と呼ばれるものです。

3.具体的な手続きは?

日本人の実子をもつ外国人親が、入管法別表第1の在留資格で在留している場合、今後も子と日本で暮らすことを考えているケースではどの様な手続きをすべきでしょうか?
現在の在留資格から定住資格に在留資格変更手続きをすることができます。
「定住者資格」は就労制限がなく、身分による在留資格なので就労による在留資格よりも安定的・継続的に日本に滞在することが可能となります。
「定住者資格」で継続して5年日本に滞在することで、永住申請の要件の一つである国益要件を充足することができます。

定住者の在留資格に関する手続き,書式についてはこちらから

4.オーバーステイにより在留資格がないケースでは、どの様な手続きが必要ですか?

オーバーステイの状態では,そもそもの在留資格が無いので、このままでは強制送還となります。
日本で生活していくためには退去強制処分が発令される前に在留特別許可申請をして
法務大臣に自分が在留を許可すべき特別な事情があること示して定住者資格を認めてもらう必要があります。
法務省では在留特別許可をするかどうかの判断において、審査の透明性を図る目的で在留特別許可のガイドラインを作成しています。
ガイドラインによれば、在留特別許可認める方向での積極的要素として「家族とともに生活する子の利益の保護の必要性」をあげています。
在留特別許可の判断において在留許可を認める方向で特に考慮する積極的要素として
①子が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子であること
②外国人親が子を扶養していること
③子が未成年かつ未婚であること
④外国人親が子と相当期間同居し、子を監護及び養育していること
①~④全ての事情を満たす場合には、法務大臣が在留を許可すべき特別な事情を判断するうえで、在留特別許可を認める方向で特に考慮する積極的要素となります。

5.「定住者」への在留資格変更申請手続き・在留特別許可申請手続きに関して必要となる資料はどのようなものがありますか?

子の戸籍謄本、住民票、子の在園証明書、在学証明書、子の扶養者の在職証明書、
外国人親の在職証明書、納税課税証明書、本邦に居住する身元保証人の身元保証書等
があります。これらの資料を元に「定住者」への在留資格変更申請手続き・在留特別許可申請手続きを行います。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、日本人の実子を監護・養育する外国人親の在留申請手続きを扱っています。
日本人の実子を監護・養育するために必要な在留申請手続きでお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

再入国手続きと転出入届について

2025-02-18

「再入国手続きと転出入届について」弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東海地方に住む日系ブラジル人のAさんは永住者です。Aさんは日本で株式会社を設立し代表取締役として自動車部品輸出関連の会社を経営しています。
最近Aさんは事業拡大のため、出身国のB国で新たに日本からの自動車関連部品輸入事業を立ち上げる予定です。AさんはB国で新規事業立ち上げにあたり、
事業を立ち上げ経営が軌道に乗るまでのおよそ3年~4年の間、B国に生活の拠点をおいて生活したいと考えています。Aさんは今後B国に拠点をおいて生活するにあたり、
事前に日本でどのような手続きをする必要があるでしょうか?

1.再入国許可手続きについて

再入国許可とは「我が国に在留する外国人が一時的に出国し再び我が国に入国しようとする場合に、入国・上陸手続を簡略化するために法務大臣が出国に先立って与える許可」です。
再入国許可には、1回限り有効のものと有効期間内であれば何回も使用できる数次有効のものの2種類があり、その有効期間は、現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。

手続き対象者は「我が国に在留する外国人で在留期間(在留期間の定めのない者にあっては、我が国に在留し得る期間)の満了の日以前に再び入国する意図をもって出国しようとする外国人」です。
出入国在留管理庁HPより

まず最初にAさんは出国前に管轄の出入国在留管理局に行って「再入国許可」の手続きを行います。
Aさんは今後数年にわたりB国に生活の拠点をおいて日本とB国を行き来する生活を送る予定なので、
有効期間内であれば何回でも使用できる「再入国許可」の申請を行い「再入国許可」を取得します。手数料は1300円です。

手続きに必要なものはパスポートと在留カードで,窓口に提示します。

*再入国許可手続き又はみなし再入国許可手続きをしないまま日本から出国すると出国した時点でこれまでの日本での在留資格が失われてしまいます。
在留期限内に再び再入国を希望する場合は、必ず再入国許可またはみなし再入国許可を取得してから出国してください。

2.海外転出届とは:住民票は「除票」扱い。

海外転出届とは、日本の居住地から国外に移住、または長期間滞在する際に必要な届出です。この届け出が必要になるのは、1年以上の海外出張や海外旅行などで日本を離れるときです。
日本国籍者だけでなく、日本で住民登録されている外国籍者も届出の対象となります。出国の2週間前から手続きできます。
海外転出届を出すと、現住所での住民票は「除票」となり、住民ではなくなり住民税の支払いの対象外となります。住所地にある市町村役場に行って海外転出届を提出します。
この手続きにより日本での住民税の支払いを免除されます。Aさんの住民票は「除票」扱いとなります。Aさんが海外から戻って日本で生活を再開するときは、引っ越し先の市町村役場に「転入届」を海外から転居後2週間以内に提出します。
特に出国前に管轄の出入国在留管理局で「再入国許可」を取得することが重要です。
日本に在留資格のある外国人の方で1年以上日本を離れて生活するときは、必ず管轄の入管で「再入国許可」を取得し、住民票のある市町村役場で「海外転居届」を提出するのを忘れないようにしましょう。

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日本人が外国人配偶者と離婚するときの法の適用について

2025-02-11

事例

(架空の事例です)

Aさんは某県に在住している日本人男性です。10年前に会社を定年退職して、現在は年金暮らしをしています。
7年前に前妻と離婚し、5年前にB国籍の女性CとSNSを通して知り合い再婚しました。妻のCさんはA さんと結婚して3年後に念願の永住資格を取得しました。
Cさんは永住資格を取得するとすぐに実母の面倒を見てくると行ってB国に帰国しました。以降年に1回ほど妻はB国から日本に戻ってきますが、
1か月ほど日本に滞在してすぐにB国に戻ります。CさんはB国で現地の男性パートナーDさんと一緒に暮らしているようです。
AさんがCさんにこの件を問い合わせると弟と一緒に暮らしていると言います。しかしAさんがCさんと結婚するまで彼女に弟はいませんでした。
AさんはCさんと離婚したいと考えていますが、離婚にあたって日本の法律は適用されるのでしょうか。

1.適用される法律

日本人と外国人のカップルが離婚した場合、離婚に関してどちらの国の法律が適用されるか、国際結婚のカップルが離婚手続きをするにあたり、離婚手続きに関して日本の法律と配偶者の国の法律のどちらが適用されるかが問題となります。
この場合に日本の法律と海外の法律のどちらを適用させるかは「法の適用に関する通則法」により判断されます。
①法の適用に関する通則法25条(婚姻の効力)
「婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦の最も密接な関係がある地の法による。」
②法の適用に関する通則法第27条(離婚)
「第25条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。」

法の適用に関する通則法27条により、離婚については法第25条の規定が準用され、本ケースでは離婚にあたり夫であるAさんの常居所である日本法が適用されます。

2.離婚の種類

日本の法律では離婚の方法として①協議離婚②離婚調停③審判離婚④裁判離婚の4種類が定められています。
AさんとCさんの間で離婚の合意がまとまれば、戸籍法の定めるところに従い離婚届を提出することによって離婚が成立します。協議離婚(民法763条、739条、戸籍法第76条、第77条)。
AさんとCさんの間で離婚の合意がまとまらず、なおAさんがCさんと離婚を望む場合、Aさんは管轄の家庭裁判所に対して離婚調停の申立てを行うことになります。
逆にCさんの方から日本の法律に従いAさんとの離婚を求めていくことも可能です。
(法の適用に関する通則法第27条)

3.離婚後の在留資格

永住者の場合離婚しても離婚の事実は永住資格に影響しないので、Cさんは離婚しても永住資格は変りません。Cさんは離婚後に再婚することも自由です。
CさんがB国で同棲しているDさんと再婚した場合、CさんはDさんを「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に呼寄せることが可能です。
DさんはCさんと実態の伴った結婚を3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に住んでいれば永住許可申請の居住要件を充足します。
そのためDさんはCさんと結婚して最短で3年で日本での永住資格取得が可能となります。このように「日本人の配偶者等」の在留資格は在留制度上大変有利な資格となっています。
永住資格目的で日本人との国際結婚を望む場合があることも十分予測されます。
本ケースのAさんのように外国人配偶者が永住資格を取得したら急に冷たくなり離婚せざる負えない事態に追い込まれることは決してあり得ないことではありません。
Aさんのような事態にならないためには、特に再婚、再再婚で国際結婚をされている日本人の方は、永住資格は日本で暮らす外国人にとって、今まで自分が認識していたよりもはるかに重要で心強い在留資格であることを再認識する必要があるでしょう。

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不法就労者を雇用しないための対策

2025-01-21

「令和6年1月1日現在、日本国内に約7万9000人の不法残留者がおり、その多くが不法就労をしていると言われています」(警視庁HP)。
「不法残留者」の内訳は、短期滞在からの不法残留が49,801人、技能実習からの不法残留が11,210人、特定活動からの不法残留が8,189人、留学からの不法残留が2,288人、日本人の配偶者からの不残残留が1,880人,その他が5,745人(これらの在留資格に該当しないもの)で合計79,113人となっています。

1.不法残留者と不法就労ついて

不法残留者のうち短期滞在と技能実習からの不法残留が全体の約8割を占めており、警視庁HPにあるようにその多くが国内で不法就労をしていると思われます。
短期滞在は家族訪問・親族訪問、スポーツ、観光等の目的で最大90日間日本に滞在することが認められた在留資格です。
他の在留資格に比べて審査手続きが簡略化されており、比較的短期間で審査結果が出るところに特徴があります。短期滞在の在留資格では就労が認めらておらず、短期滞在からの不法就労者は、観光や家族訪問ではなく、初めから日本で働く目的で比較的許可が認められやすい短期滞在の在留資格を利用して入国していると思われます。

技能実習からの不法就労は①技能実習生と受け入れ先の事業所との間で何らかのトラブルがあり、技能実習生が受け入れ先から失踪した後に別の事業所で働き始めた,②受け入れ先の低賃金等、経済的な理由により、ブローカー等のあっせんを通して正規の手続きを経ずに転職したケースの2種類が考えられます。
他に③技能実習先を失踪した後、窃盗等の犯罪行為で生計を立てるというケースも考えられますが、窃盗等の犯罪行為はそもそも「就労」に入らないのでここでは除きます。

2.「不法就労助長罪」とは?

不法就労者を事業所で雇用する場合、

①不法就労を希望する者が偽造在留カードや偽造パスポートを雇用主に提示して、自分には仕事ができる在留資格があると信じ込ませ不法就労を行うというケース
②正規の在留資格はあるが、所持する在留資格では仕事をすることが認められていない者を雇用するケース
③不法就労者を雇用する事業所の方で就労できる在留資格がないことを把握しながらあえて雇用するケース
の3種類が考えられます。

①、②のケースの場合、不法就労を狙う外国人と不法就労をあっせんするブローカーがセットになって不法就労者であることを知らない事業者側に就労を持ち掛けるケースがあります。
③の場合は不法就労者を雇用する事業者側に「不法就労助長罪」が成立します。
①、②の場合、雇用する側に在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は「不法就労助長罪」が成立します。
不法就労助長罪は「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科」となっています。

参考記事 不法就労助長罪により逮捕された事例

3.偽造在留カード対策について

不法就労対策として「不法就労防止のために外国人を雇用する際には必ず在留カードを確認してください」(出入国在留管理庁HP)とあり、HP上で在留カードの確認箇所としてカード上でのチェツクポイントがいくつか示されています。
チェックポイントを確認すれば当該在留カードが本物かどうか見分けることが出来るということです。
しかしながら近年の偽造在留カードは極めて精巧に作られており、一般の人が在留カードの外見を見ただけでは本物かどうか見分けが難しく、さらに在留カードを偽造する側は、政府が示している在留カードの見分け方チェックポイント対策までしていることから、一般人が外見から当該在留カードが本物か偽物なのか判断するのはほぼ不可能となってきています。
そこで不法就労予防のためには、在留カードの外見チェックだけではなく、他の手段により在留カードをチェックする必要があります。

在留カードが真正なものかを確認するための有効な方法として、在留カード等読取アプリケーションを活用する方法があります。
在留カード等読取アプリケーションの説明について、

「在留カード等のICチップ内に保存されている身分事項や顔写真等の情報を読み取るためのものです。読み取った情報と、券面に記載された情報を見比べることにより、容易に偽変造の有無を確認することができます。
本アプリを出入国在留管理庁ホームページ等において無料配布することで、偽変造在留カード対策を強化し、より一層偽装滞在者対策を進めます。」(出入国管理庁HP

とされています。

このアプリを使用することで、在留カードが真正なものか確認することができます。
もう一つ有効な在留カードの確認方法として住民票を提出してもらうことで、住民票の記載内容と在留カードの記載内容を照合して在留カードの真正を確認する方法があります。
「住民基本台帳法の一部を改正する法律」により、2012年7月9日以降、日本で生活する外国人も住民基本台帳制度の対象となりました。そのため在留カードと住民票は連動しており、在留カードの対象者にはかならず住民票が発行されます。

住民票には、「中長期在留者である旨、在留カードに記載されている在留資格、在留期間及び在留期間の満了の日並びに在留カードの番号」の情報が記載されており、在留カードと住民票に記載されているこれらの情報を照合することで、在留カードが真正なものか確認することができます。
この二つの方法の両方又はどちらかを活用することで、在留カードが真正なものか判断することができます。

4.不法就労者であることを知らずに雇用して、あとから不法就労者であることが分かった場合どうすればよいか

最後に不法就労者とは気づかずに不法就労者を雇用してしまい、後日不法就労であることが発覚した場合についてです。
不法就労助長が認められた場合は、雇用側に刑事処分や行政処分に問われることが考えられますが、雇用側は不法就労者を雇用していたことを隠さずに警察や出入国在留管理局に報告する必要があります。
また既に管轄の出入国在留管理局の方で不法就労の状況を把握しており、雇用側の事業所に調査に来ることも考えられます。
この場合は、不法就労者を雇用するに至ったきっかけや今後不法就労者を雇用しないための事業所での取組みなどをまとめた報告書を提出する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、不法就労者の雇用に関する出入国在留管理局への報告書作成業務を扱っています。
不法就労者の雇用の件でお悩みの方は是非,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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オーバーステイ,不法残留とは何か

2025-01-14

「オーバーステイ」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がQ&A方式で解説します。

Q そもそもオーバーステイとはどのようなものですか?

A オーバーステイとは直訳すると超過滞在という意味です。出入国在留管理上正当な理由がないのにもかかわらず在留期限を経過して本邦(日本)に滞在している状態をいいます。
法務省、外務省、警察等の行政官署ではオーバーステイは「不法滞在」として扱われています。「不法滞在」には①不法入国(他人名義でのパスポート使用による不正入国等)
②超過滞在(短期滞在や技能実習など正規の在留資格で来日した後、在留資格更新や在留資格変更手続きを経ずに在留期間を経過したのちも在留すること)の2種類があります。

Q ここでいう「非正規滞在者」とはそもそも誰のことですか?

オーバーステイの状態にある人を「不法滞在者」と呼ばずに「非正規滞在者」と呼びましょう、という主張が一部学者やNPO団体等から提起されています。

A 一部の学者やNPO団体から在留資格がないまま日本に滞在している人たちを「不法滞在者」と呼ばずに「非正規滞在者」と呼びましょう。という見解があります。
なぜ「不法滞在」ではなく「非正規滞在」と呼ぶ必要があるのかについて、以下の理由があげられています。
「日本には2023年時点で約7万人の非正規滞在移民がいます。非正規滞在とは、入国管理法に定められた在留資格を持たない外国人が日本に留まることを指します。これは確かに法律には違反していますが、法律の方がグローバル化した現代社会に適合していないがゆえの現象と考えるべきです。」
(上智大学 グローバル化する日本における非正規滞在移民があぶりだす制度の矛盾とはhttp://www.sophia,ac.jp/ 一部抜粋)
令和6年1月1日現在、政府が公表している「不法滞在者」は79,113人います。
*なお日本の政府機関は在留資格を持たない外国人を「非正規滞在者」ではなく「不法滞在者」の呼称で統一しており、ここでは「非正規滞在者」ではなく「不法滞在者」の表現で統一します。

日本での「不法滞在者」内訳は、短期滞在からの不法滞在が49,801人、技能実習からの不法滞在が11,210人、特定活動からの不法滞在が8,189人、留学からの不法滞在が2,288人、日本人の配偶者からの不法滞在が1,880人,その他が5,745人(これらの在留資格に該当しないもの)で合計79,113人となっています。

「特定活動」からの不法滞在が8,189人となっていますが、これは「難民認定交付申請」で不交付となったが、難民申請不認定となって在留資格が認められなくなったにもかかわらず、母国に帰国せずに仮放免等で日本に残っている人たちと推測されます。
日本にいる「不法滞在者」全体の約93%は正規の在留資格を持って来日後になんらかの事情により在留期間を経過したもので、いわゆるオーバーステイ(超過滞在)といわれるものに該当します。
日本における不法滞在者の内訳をみると、本当に「法律のほうがグローバル化した現代社会に適合していないがゆえに」だけの理由で不法滞在者が発生しているのか検討の余地はあるでしょう。

Q3 そもそも「非正規滞在」の何が悪いのですか?なぜ悪いことをしていないのに逮捕されたり、入管施設に収容されたりするのですか?

A 「オーバーステイは非正規滞在者だ。一体それのどこが悪いのか」という相談を受けることがあります。
「正当な理由がなく在留資格を得ないまま日本に滞在することの一体どこに問題があるのか。「非正規滞在者」でいることは別に人を傷つけたり、物を盗んでいるわけではないのだから何ら問題はないではないか。」という見解ですが、確かに不法入国や不法滞在は殺人罪や傷害罪のように人を殺したり、
人を傷つけたりする行為ではなく、被害者がそもそも誰なのか、何が悪いのかよく分からないところがあり、不法滞在や不法就労が悪いこと(違法)であると認識するのは難しい部分があるのは事実だと思います。

不法入国者・超過滞在者はなぜ処罰を受けるのか?ということですが、不法入国・不法滞在が「入国管理の適正な運営」という国家的法益に対する侵害行為とみなされ処罰されます。
人の生命・身体・財産等を不正な侵害から保護すべき利益(個人的法益)があるのと同じように、国家にも不正な侵害から保護されるべき利益(国家的法益)が存在します。
日本の出入国在留管理行政においては「入国管理の適正な運営」が国家的法益として保護すべき対象となっています。
不法入国や不法滞在が我が国の「入国管理の適正な運営」を侵害する行為として裁判所で違法と判断され刑事罰を受けることがあります。

*入管法第70条各号で不法入国・不法滞在等での罰則が規定されており、不法入国、不法滞在いずれも「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する」となっています。オーバーステイ(超過滞在)状態での期間によってはオーバーステイ(超過滞在)の事実だけでも起訴され、有罪判決を受ける場合があります。超過滞在の期間が長ければ長いほど違法性が高いと判断される傾向です。

あいち刑事事件総合法律事務所では不法滞在からの在留許可申請業務を扱っています。不法入国・オーバーステイ(超過滞在)により在留資格がないことでお悩みの方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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「永住者の配偶者等」ビザ

2025-01-07

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「永住者の配偶者等」について解説します。

1.ケース紹介

Y国籍のAさんは、10年前に同じY国籍のBさんとY国で結婚しました。2人の間に子(X1)がいます。7年前に夫のBさんが病気で亡くなり母国で独身生活を過ごしていました。
4年前に婚活サイトで日本に在住する永住者のCさんと知り合いました。3年前にCさんと再婚するために子(X1)と来日しました。来日後Cさんとの間に子どもが2人(X2,X3)出来ました。
最近Aさんは夫のBさんとの関係がうまくいっておらずAさんはBさんと離婚を考えています。Aさんは夫のBさんと離婚した場合、Aさんと3人の子(X1,2,3)の在留資格はどうなるのでしょうか。

①在留資格「永住者の配偶者等」
日本において有する身分又は地位:「永住者等の配偶者又は永住者等の子として日本で出生しその後も引き続き日本に在留している者。」
②「配偶者」とは法律上有効な婚姻状態にある配偶者を指します。内縁の配偶者は含まれません。現に婚姻中であることを指すので、死亡した配偶者及び離婚した配偶者は該当しません。
また、永住者との婚姻関係により永住者の配偶者等と当該外国人が法律上有効な婚姻状態にあるという形式的要件の他に、夫婦として互いに協力し扶助しあって社会観念上の共同生活を営むという婚姻の実体を伴うものでなければなりません。
③「子として出生」とは、実子のみ(嫡出子・認知された非嫡出子)です。特別養子及び養子は含まれません。

出生の時に父又は母が永住者であるとき又は出生の前に死亡した父が死亡の時に永住者又は特別永住者であった時が該当します。
なお、本人の出生後、死去や犯罪での実刑判決等による父及び母の永住者の在留資格や特別永住者の地位の喪失は,「永住者の子として出生」という事実に影響を与えません。
「本邦で出生し、その後引き続いて日本に在留している」ことが必要で、海外で出生しその後日本に入国した者は、本件在留資格に該当しません。
これらの者は「定住者」の在留資格に該当します。

在留資格(ビザ)の種類 入管HP

2.ケース分析(Aさんと子(X1,X2,X3)の在留資格)

①離婚前のAさんと子(X1,X2,X3)の在留資格について
Aさんは子ども(X1)を連れて3年前に来日、日本に住んでいる永住者Bと結婚して、その後永住者Bさんとの間に子ども(X2,X3)が生まれました。
Aさんの在留資格は永住者であるBさんと結婚したことにより、「永住者の配偶者等」になります。
Aさんの連れ子X1は、「定住者告示第6号二」により「日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未婚の実子」として「定住者」となります。Aさんと永住者Bさんとの間に生まれた子(X2,X3)は「永住者の配偶者等」になります。

②離婚後のAさんと子(X1,X2,X3)の在留資格について
子(X2,X3)の在留資格は1③のとおり両親の在留資格に影響されず「永住者の配偶者等」のままとなります。
ここで問題となるのは元々母の連れ子の立場で在留資格が認められた子X1と離婚した母の在留資格が母の離婚によりどうなるかということです。Aさんが永住者の夫Bさんと離婚したときは、Aさんは「永住者の配偶者」としての身分を失いそのままでは在留資格がなくなります。
AさんがBさんと離婚後引き続き日本に滞在するためには「永住者の配偶者等」から他の在留資格に在留資格変更手続きを行う必要があります。

このような場合に想定されている在留資格として、定住者告示に定めがないもの(告示外定住)に含まれる「離婚定住」と呼ばれるものがあります。
「離婚定住」とは「日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚後引き続き日本に在留を希望する者」に該当する「定住者」資格です。
告示外なので活動内容が事前に決められおらず、個別案件ごとに審査されます。

「離婚定住」の許可要件として
1.おおむね日本での3年以上の婚姻期間
2.生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、
3.日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことができることが困難となるものでないこと
4.公的義務(納税・社会保険・国税等の支払い)を履行していること
Aさんの子X1の在留資格についてはX1の実母であるAさんが「定住者」資格を取得することにより、「定住者告示第6号二」によりこれまで同様「定住者」の在留資格となります。

*「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となる者ではない」とは、
申請書の記載や面接において、申請人との意思の疎通が可能であればよく、特定の日本語の試験に合格していることまでは求められません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「永住者配偶者等」を取り扱っております。
「永住者の配偶者等」の在留資格についてご不明の点がございましたら是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

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技術人文知識国際業務・特定活動46号ビザについて

2024-12-24

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際業務」について解説します。

1.在留資格とは?

在留資格とは、外国人が日本で行うことができる活動内容を類型化したもので、現在日本には在留資格が29種類あります。
在留資格はおおまかに身分又は地位に基づく資格(永住・日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4種類)と日本での活動に応じて認められる資格(技能、技術・人文・国際業務、技能実習、特定技能、経営・管理等全部で25種類)に分けられます。

日本で認められるビザの種類について 入管HP

2.在留資格「技術・人文・国際業務」とは?

日本の大学や専門学校に留学している外国人学生が学校を卒業後、日本の会社や役所に就職して働く場合に必要となる在留資格が「技術・人文・国際業務」です。
日本での活動に応じて認められる在留資格です。「技術・人文・国際業務」の活動内容は大きく2つあります。
①理学、工学その他の自然科学の分野又は法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を要する活動。
例えばメーカーが理工系の大学を卒業した外国人をSE、設計、技術開発、品質管理部門、商品開発、事業会社で企画、営業、財務、マーケティング、人事等に従事する活動等が該当します。
②海外の文化に基盤を有する技術又は感受性を必要とする活動。例えば、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発、英会話教室の講師等に従事する活動が該当します。
在留資格「技術・人文・国際業務」の特徴として、原則として「単純作業」は出来ないということが挙げられます。

ここで「単純作業」とは一体どのような作業なのかが問題となりますが、具体的には、製造業でのライン作業、飲食店でのホール作業、小売店でのレジ業務、コンビニエンスストアでの接客、レジ業務等が考えられます。
日本の大学や専門学校で学ぶ外国人留学生の多くがこれらのアルバイトでこれらの業務に携わっていますが、これらの業務は入管法上「単純作業」とみなされ、原則として「技術・人文・国際業務」でこれらの業務に従事することは認められません。
そのため、飲食店やコンビニでのアルバイトチーフや製造業でのラインリーダーで働いてもらうため「技術・人文・国際業務」の資格では採用することはできません。また大学や専門学校での専攻科目と入社後携わる業務との関連性が求められます。

大学卒業者については、大学の教育機関としての性格をふまえ専攻科目は従事しようとする業務の関連性は比較的緩やかに判断するとしています。
実務上の感覚からみると、専攻科目と入社後従事する業務の関連性よりも入社後従事する業務が「単純作業」かどうかが重要視されているようです。

3.特定活動46号と技術・人文・国際業務の違い

外国人が日本の会社等で商品企画、技術開発、営業、管理業務、広報、教育等に従事するために必要な資格として「技術・人文・国際業務」がありますが、これらの業務は他の就労資格でも認められる場合があります。「特定活動46号」という在留資格です。


「特定活動46号」の対象となるのは、日本の大学卒業者であって、高い日本語能力を有する外国人です。高い日本語能力とは、日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方です。その他、大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方も対象となります。

「特定活動46号」の具体的な活動例として、
①工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインの入って業務を行うもの
②小売店において、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客業務を兼ねた接客販売業務を行うもの(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能)
③食品製造会社において、他の従業員との間で日本語を用いたコミュケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ、自らも商品製造ラインに入って作業をおこなうもの
があります。

上記①~③の業務は「技術・人文・国際業務」では認められませんが「特定活動46号」では対応可能となります。

「特定活動46号」で求められる語学レベルはN1以上ですが、外国人留学生が日本の大学で日本語で授業を受けるために必要なレベルはN2以上なので、日本の大学で4年間日本語で授業を受け卒業単位を取得し卒業した留学生であれば、N1取得も不可能ではないかもしれません。
介護やコンビニ、製造業等で、技能実習生や特定技能、留学生アルバイト等の外国人従業員を多く抱える事業所にとって、現場で働く外国人のリーダーになりうる外国人は大変貴重な存在であることから、「特定活動46号」は大変有用性が高い在留資格になるでしょう。

外国人従業員が多い現場で作業リーダーの役割を担ってもらいたい場合は、「技術・人文・国際業務」ではなく「特定活動46号」での採用となります。

以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際業務」について解説しました。
大卒の外国人社員の新規採用をお考えの事業者の方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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資格外活動許可が必要になる場合とは?

2024-12-17

「資格外活動許可について」弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.事例

Aさんは母国の高校を卒業後、都内にある日本語学校で日本語を学ぶために来日、日本語学校卒業後、ビジネスを学ぶ為に都内にあるビジネス専門学校に進学しました。
Aさんの現在の在留資格は「留学」です。Aさんが住んでいる地域には、Aさんと同じB国出身の人が数多く住んでおり、また日本に滞在しているB国人同士で主にSNSを通して交流があります。Aさんは専門学校の授業の空き時間を利用して、副業目的でベトナムからたばこを輸入してSNSで販売することを計画しています。輸入に関する税関手続きは法令にのっとり適切に行い輸入にかかる税金はきちんと払う予定です。
Aさんの輸入たばこ販売計画はどこに問題があるでしょうか?

2.輸入たばこを無資格で販売する行為について

個人で輸入した「たばこ」を無許可で転売することは、法律により禁止されています。
輸入した製造たばこを販売するには「製造たばこの特定販売業」の登録をする必要があります。
製造たばこは葉たばこを原料を主原料とし、喫煙用、かみ用又はハガキ用に供しうる状態に製造したものをいいます。
製造たばこの特定販売業とは、自ら輸入した製造たばこの販売を業(仕事)として行うことをいい、営利を目的とするか否か、特定若しくは不特定の者に販売するかどうかを問いません。

<関連条文>
(製造たばこの特定販売業の登録)たばこ事業法第十一条一項
自ら輸入(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二条第一項第一号に規定する輸入をいう。以下同じ。)をした製造たばこの販売を業として行おうとする者は、財務大臣の登録を受けなければならない。
(罰則)第四十八条次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項の規定に違反して、自ら輸入をした製造たばこの販売を業として行つた者

3.許可なく輸入たばこを販売する行為がビザに影響するか

資格外活動について/資格外活動許可とは

「資格外活動許可」とは、現に有している在留資格に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。
Aさんの在留資格は「留学」です。たばこを第三者に販売して収入を得ることは、「留学」の活動内容に含まれないので、Aさんのたばこ販売行為は「資格外活動」となります。

そこでAさんはたばこ販売という「資格外活動」に対して、Aさんは管轄の出入国在留管理局から活動許可をもらわなければなりません。

Aさんがたばこの販売に対して許可を取っておらず、資格外活動許可も取得していないと、Aさんのたばこ販売行為は不法就労に当たります。
Aさんの場合、たばこ販売は専門学校の授業後の副業目的で行われており、たばこ販売を生業としていたわけではないので、Aさんのたばこ販売行為は入管法第73条に該当し1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科の罪に該当します。

Aさんのようなケースで資格外活動をした場合,退去強制事由に該当し,強制送還されてしまう場合もあるでしょう。
仮に,すぐには強制送還にならないとしても,Aさんが無許可での資格外活動により刑事罰を受けた場合、次回の在留更新の際に素行善良要件に問題があるとして、在留更新の許可が得られないこともあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「資格外活動許可申請」について取り扱っております。「資格外活動許可申請」についてお困りの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

参考記事

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