「日本人の配偶者等」ビザと偽装結婚

在留資格「日本人の配偶者等」の偽装結婚について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。

この「日本人の配偶者等」の在留資格に該当する方としては、日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者です。
「日本人の配偶者等」の該当例としては、日本人の方の夫又は妻・実子・特別養子などです。
「日本人の配偶者等」在留期間は、5年・3年・1年又は6月です。

この「日本人の配偶者等」の在留資格を取得するメリットとしては、就労制限がないため、自由に仕事をしたり、パート、アルバイトをすることができ、他業種への転職もできます。

この「日本人の配偶者等」の在留資格には、在留活動に制限がないので大学や専門学校に通うこともできます。

また、永住者の申請をする場合に、日本人と婚姻していることにより永住者の在留要件が3年に短縮されます。

さらに、帰化申請をする場合にも、日本人と婚姻していることにより簡易帰化による在留期間の短縮特例があり帰化しやすいということもあります。

「日本人の配偶者等」の在留資格は、上記のように様々な点につき優遇されていることから、日本人と偽装結婚をして当該在留資格を取得しようとする人が少なくはありません。

日本人と結婚をした日本人の配偶者である外国人は、「日本人の配偶者等」の在留資格を申請することができる立場にありますが、ここにでいう「配偶者」とは、形式的には現に日本人と法律上の婚姻関係にある者をいい、実質的には同居しお互いに扶助しあう社会通念上の夫婦としての共同生活を営む者をいい、この形式的側面と実質的側面の両方が必要となります。

また、出入国管理及び難民認定法に規定されている在留資格等不正取得罪(同法第70条1項)では、虚偽の内容の申請をし、不正に在留資格を得て日本に上陸又は滞在し続けた方に、3年以下の懲役若しくは禁固若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁固若しくは罰金を併科することを予定しています。

偽装結婚に対する刑事責任についてはこちらのページでも解説をしています。

さらに、「偽計を用いて日本に上陸したことが発覚すること」や、「不実を記載した文書を提出した結果、上陸をしたことが発覚すること」という事情があれば、在留資格の取消(入管法第22条の4)をされることもあります。

以上より、「偽装結婚」は「日本人の配偶者等」の在留資格の不許可理由に該当します。

しかし、「結婚」というものは、その「当事者の合意」に基づくものであり、その真意は客観的には把握することが困難です。

たとえ出会いから結婚までの期間が短い、2人の年齢が離れているなどの事情があったとしても、お互いが急速に惹かれあい結婚に至ることは、人間である以上はあり得ないとは言い切れません。

一方、この結婚の性質をうまく利用して、偽装結婚をした上で「日本人の配偶者等」の在留資格の申請をする外国人が後を断たないのも事実です。

このような状況から、「申請をしている外国人と配偶者である日本人は、真意に基づいた結婚をしているのか否か」という点について、慎重に審査がなされ、「偽装結婚」に該当すると判断された場合は、前述のペナルティを受けることとなりますので、「偽装結婚」に基づく「日本人の配偶者等」の在留資格の申請はやめましょう。

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