「帰化」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
外国籍の方が日本国籍を取得することを「帰化」といいます。
この「帰化」には、以下の3種類があります。
帰化の種類
①普通帰化
外国で生まれ、日本への留学や就労、日本人との国際結婚を機に来日し、一定期間以上日本に居住し、今後も日本でずっと住んでいくにあたり、日本国籍を取得したいという方が帰化をする場合です。
②簡易帰化
日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、帰化の条件を一部緩和しています(国籍法第6条から第8条まで)。
帰化の条件は緩和されますが、収集する書類の量は変わりませんし、むしろ特別永住者の方などは、一般の外国籍の方が帰化するより集める書類は多くなります。
③大帰化
大帰化とは、国籍法9条にある「日本に特別の功労のある外国人については、国会の承認を得て、帰化を許可することができる」というものです。
日本に特別の功労のある外国人は普通帰化の要件を満たしていなくても日本国籍を取得できますが、今まで大帰化がされたことは一度もありません。
以上のように、通常外国人の方が「帰化」する際は、上記①又は②のパターンになります。
なお,帰化申請のための書類はこちらにも公開されています。
ここでは、「簡易帰化」の要件について説明いたします。
簡易帰化が認められるための条件とは
1.素行条件
「普通帰化」と同様に、素行が善良であることが必要です。
素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されることも「普通帰化」と同様になります。
2.納税状況
これも「普通帰化」と同様に、各種税金をきちんと納税していることが必要です。
納税の有無については、帰化申請する本人だけでなく、同居の家族全員分が見られますので注意が必要です。
最近ケースとして多いのが、株や仮想通貨等で副収入を得ている方は、利益の額によっては自身で確定申告を行うことで納税の義務が発生しますので、株などをお持ちの方はこの点も確認を行いましょう。
また、経営者の方は、個人の税金だけでなく、会社の税金もしっかり納税を行っていることが必要です。
3.年金の支払い
これも「普通帰化」と同様に、税金だけでなく、年金の支払いも帰化申請においては確認をされます。
年金の支払いについては、直近1年分が必要です。
会社員の方で厚生年金に加入しており、給料から天引きされている方は問題ありませんが、国民年金の方で、自身での支払い義務がある方は、直近1年間で支払っていない月がないか確認を行いましょう。
4.交通違反
これも「普通帰化」と同様に、帰化申請前の過去5年間がチェックされます。
おおよその目安としては5回以上過去5年以内に交通違反があると、素行が善良ではないと判断されやすいです。
5.生計条件
これも「普通帰化」と同様に、日本で生活をしていくにあたり、生計を維持することができることが条件です。
この生計条件は生計をともにする同居のご家族を含めて判断されます。つまり、帰化申請人に十分な収入がなくても、帰化申請人と同居しているご家族(配偶者や成人した子ども)に十分な収入があり、世帯として生計を維持することができれば問題ありません。
おおよその収入の目安としては、手取りで月額18万以上あれば世帯として生計を維持することができると判断されやすいです。
なお、扶養者がいる場合には、月額18万円プラスαで考えていきます。
ちなみに、「帰化」については通常の在留資格とは異なり、出入国在留管理庁に申請するのではなく、帰化申請をしようとする者の住所地を管轄する法務局又は地方法務局(国籍事務取扱支局を含む)に申請をしますのでご注意ください。
簡易帰化と普通帰化の大きな条件の違いとして,居住要件(5年以上日本に住んでいること)と日本語能力の点が簡易帰化申請の時の方が緩和されています。
上記のように、「簡易帰化」という名前であることから、「普通帰化」よりも要件が緩和されているようにも思えますが、実際には日本の国籍を取得することに変わりはありませんので、「簡易帰化」の場合であっても、「普通帰化」と同様の審査がなされることとなります。
帰化についてはこちらのページでも解説しています。