弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「監理措置」について解説します。

ケース紹介(架空の事例です)
日本国籍のA子さんには結婚を前提に交際している外国人の恋人Bさんがいます。
A子さんがBさんから聞いた話によると、Bさんは難民申請者で現在「仮滞在」の資格で日本にいるということでした。
最近Bさんから連絡がないのでどうしているのか心配していたところ、突然Bさんから「今入管に収容されているので面会に来てほしい、
外に出るために手助けしてほしい」と連絡がありました。A子さんはBさんから「自分は適法に日本に滞在している」と聞いていたので、
なぜBさんが入管施設に収容されているのか事情がさっぱり分からず一時パニックになりましたが、気を取り直しなんとかBさんを入管施設から外に出してあげたいと考えています。
A子さんがBさんを入管収容施設から外に出すにはどの様な手続きをとればいいでしょうか?
このページの目次
1.そもそもなぜBさんは入管施設に収容されたのか。
Bさんが入管施設に収容されたこととBさんの滞在資格である「仮滞在」には大きな関係性があります。
「仮滞在」とは不法滞在者等で在留資格のない外国人から難民認定申請があったときは、その者の法的地位の安定を図るため、
当該外国人が日本に上陸した日(日本にある間に難民となる事由が生じた者にあっては、
その事実を知った日)から6か月以内に難民認定申請を行ったものであること又は難民条約上の迫害を受けるおそれのあった領域から直接日本に入ったものであることなどの一定の要件を満たす場合には、一定期間日本に滞在することを許可し、その間は退去強制手続が停止されるというものです。
仮滞在の期間は原則6か月です。Bさんは30日間の在留期間経過後6か月以内に難民申請をしており、本来ならオーバーステイで退去強制手続きが進められますが、「仮滞在」の要件を満たすとして「仮滞在」許可が認められたため適法に滞在することができました。
Bさんの[仮滞在」は「難民認定申請」手続きとセットになっており、「難民認定申請」が不認定になると同時に「仮滞在」も不許可となります。
Bさんは難民認定が不認定となったため「仮滞在」の更新も不許可となりました。
「仮滞在」が不許可になると適法に日本に滞在する事が出来なくなるため、正当な理由なく「仮滞在」不許可後も日本に滞在すると不法滞在となり、入管施設に収容される場合があります。
2.入管収容施設に収容された場合に、一時的に収容を解除され入管から外に出るための方法としてどの様な方法があるか
不法滞在その他の理由で入管収容施設に収容された人が一時的に収容施設外に出る方法として、監理措置と仮放免があります。監理措置は令和5年の入管法改正で新設されました。
監理措置とは監理人による監理の下で逃亡等を防止しつつ、相当長期間にわたり収容しないで退去強制手続きを進める措置です。
ここで注意すべき点として、監理措置の決定と在留特別許可は別の手続きであることから、監理措置の継続中も退去強制手続きは進行していきます。
仮放免とは,収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている被収容者について、健康上、人道上その他これらに準ずる理由により収容を一時的に解除することが相当と認められるときに、収容を一時的に解除する制度です(出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第54条)。
監理措置制度が設けられる以前は、収容者を一時的に収容を解除する場合は、健康上、人道上問題が無くても仮放免で対応していましたが、令和5年の法改正以降は、健康上、人道上の理由から一時的に収容を解く場合は「仮放免」それ以外は「監理措置」が取られることになりました。
3.監理措置を受けるためにはどうすればいいか
監理措置の申請は、原則として、監理措置決定を受けようとする外国人本人が行うこととされています(法44条の2第4項又は第52条の2第4項)。
必要書類をそろえて地方出入国在留管理官署の窓口に提出します。(施行規則第36条の2第8項)監理措置決定を受けようとする外国人本人が入管施設に収容されている場合は、施設内の担当職員に本人が直接提出します。
監理措置の申請をするためには監理人が必要です。
監理人とは、入管からの収容を一時的に解除された者(以下被監理者)の生活状況を把握したり、被管理者と定期的に連絡を取り合って、被監理人が入管への届出書類を提出しなければならないときに届け出しているか、被監理人が監理措置条件を守っているかを確認したりするなど被監理人の監督者の役割を担う人です。
監理人が決まらなければ監理措置は認められないので、監理人は「監理措置決定において大変重要な役割を担っています。
監理人は誰でもなれるわけではなく、監理人の犯罪歴や行政処分歴、資産状況、納税状況等の点から、監理人になろうとする者が監理人にふさわしいか判断されます。
本ケースではBさんの収容を解除するためにA子さん自らが監理人となり、被監理人であるBさんの指導・監督、相談、援助、入管への届出、報告を行うことで、Bさんの監理措置がスムーズに進んでいくでしょう。
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