帰化について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
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帰化とは何か?
帰化とは、日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して、法務大臣の許可によって、日本の国籍を与える制度です
国籍法には法第4条から第9条までで帰化について規定されています。
まずは国籍法第四条を見てみましょう。
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
第四条では、外国人は帰化により日本国籍を取得することができると規定されています。
そして帰化のためには法務大臣に許可を得なければなりません。
外国人の申請者が帰化許可申請手に始まり、帰化を許可するだけの条件がそろっているかの調査を経て、法務大臣が帰化の可否の処分を行うことで終了する一連の流れが帰化手続きになります。
帰化の一般的条件については五条で規定されています。
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
三 素行が善良であること。
四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。
第五条は、帰化許可を希望する外国人に対して法務大臣が日本への許可を与える条件を定めたものです。
日本国と特別な関係に立たない外国人の帰化である帰化の条件を定めています。このような帰化を普通帰化といいます。
本条の1から6までの帰化に関する条件は、帰化許可の最小限の必須条件であり、これらの条件を満たしていたとしても、必ず帰化が許可されるとは限りません。次に条文の内容について確認していきます。
1 住所条件(国籍法第5条第1項第1号)
帰化申請者が日本と場所的関連性があることが帰化の判断をするうえで重要な条件として最初に規定されています。帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。
これまでに五年間以上、継続して住所を有していても、帰化申請時に外国に住所があったり、前後を通じて五年以上住所があったとしても途中で中断していた場合は、「引き続き五年以上日本に住んでいる」の要件には該当しません。
なお、住所は、適法なものである必要があり、正当な在留資格を有していることが求められます。在留資格のない不法滞在者は帰化申請ができません。
2 能力条件(国籍法第5条第1項第2号)
年齢が18歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。
日本の成人年齢は18歳以上ですが本国(帰化申請をする外国人の出身国)の成人年齢が20歳の場合は20歳になるまでは能力要件を満たさないことになります。
3 素行条件(国籍法第5条第1項第3号)
帰化により日本人となった者により社会の安全が害されては困るのでこのような規定が設けられました。素行が善良であることが必要です。
素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されることとなります。
4 生計条件(国籍法第5条第1項第4号)
生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすこととなります。
生計を一つにする親族単位で判断されるので、たとえば親と別居し、親の仕送りで大学に通っている成年の子供もこの条件を満たすことになります。
5 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。
なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2項)。
6 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。
なお、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、上記の帰化の条件を一部緩和しています(国籍法第6条から第8条までに規定されています)。これを簡易帰化といいます。
簡易帰化について
簡易帰化については、条文上次のように定められています。
第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有する者については、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えていないときでも、帰化を許可することができる。
一 日本国民であった子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有する者
二 日本で生まれた者で三年以上日本に住居若しくは居所を有し、又はその父若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
三 引き続き一〇年以上日本に居所を有する者
本条は、日本国民と一定の血縁関係があるか、日本と一定の地縁関係がある外国人であって日本に住所がある外国人が帰化をする場合には、帰化条件の一つである居住要件(五条一項一号)を必要としないこととしたものです。帰化条件の一部を緩和した簡易帰化に関する規定です。
第六条では居住要件を緩和しています。
国籍法第七条
日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても同様とする。
三年以上日本に住所または居所を有し、かつ、現在日本に住所を有する者であるか、または、婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有する場合に、国籍法第五条一項、二項で規定する住所要件と能力要件を緩和するものです。
日本国民の配偶者である外国人というためには、日本国民と外国人の婚姻が有効に成立し、かつ、帰化申請時に婚姻が継続していることが必要です。いわゆる偽装結婚は対象にはなりません。
第八条
次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えていないときでも、帰化を許可することができる。
一 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
三 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有していない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの
本条は前二条よりもさらに日本社会と密接な関係を有する者につき居住要件(五条二項一号)、能力条件(同条同項二号)および生計条件(同条同項四号)を、免除して、五条に規定する帰化条件のうち素行条件、重国籍防止要件、憲法遵守条件を満たせば、法務大臣が帰化を許可することができるというものです。
第九条
日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。
日本に特別の功労のある外国人に対して、五条第一項に定める帰化条件を全く備えていなくても、法務大臣は国会の承認を得て帰化を許可することができます。
大帰化と呼ばれています。
帰化許可申請の方法について
本人(15歳未満のときは、父母などの法定代理人)が自ら申請先に出向き、書面によって申請することが必要です。
その際には、帰化に必要な条件を備えていることを証する書類を添付するとともに、帰化が許可された場合には、その方について戸籍を創設することになりますので、申請者の身分関係を証する書類も併せて提出する必要があります。
帰化の手続きに関しては、こちらの法務省HPにも手続きの説明があります。
申請先
住所地を管轄する法務局・地方法務局
帰化許可申請に必要となる主な書類
1 帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
2 親族の概要を記載した書類
3 帰化の動機書
4 履歴書
5 生計の概要を記載した書類
6 事業の概要を記載した書類
7 住民票の写し
8 国籍を証明する書類
9 親族関係を証明する書類
10 納税を証明する書類
11 収入を証明する書類
以上、帰化申請について該当条文を中心に解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、帰化申請手続きを取り扱っております。
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