弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「経営・管理」について解説します。
日本で外国人が事業を開始する場合、永住、定住、日本人の配偶者等の身分による在留資格の場合を除いて、日本で事業活動や会社経営を行うために「経営・管理」という在留資格が必要となります。
日本での事業活動は多くの外国人起業家にとって魅力的な市場です。
ここではこの在留資格の概要から審査ポイントまでを詳しく解説します。
このページの目次
「経営・管理」とは何か
「経営・管理」は、事業の経営や管理に従事する外国人を対象とした就労資格です。
この在留資格は、外国人が新たに日本国内で事業を開始する場合や、すでに事業活動を行っている事業に参加して、経営や管理業務を行うために設けられています。「経営・管理」の在留資格で認められる活動内容には、貿易や他の商業活動、幅広い業種が該当します。
個人事業で始める場合と 法人事業で行う場合があります。
法人を設立して事業を始める場合、合名、合資、合同、株式4種類の会社形態の中から選択します。
「経営・管理」の在留資格を取得するには、規模の要件として500万円以上の出資を証明する必要があります。事業の規模は,出資金・資本金の形で証明します。
1.事業活動と在留資格について
定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、永住者といった身分によって在留する資格を持つ在留外国人については、日本で行う事業活動について特に制限はありません。
それ以外の外国人で日本で事業を行いたい場合は「経営・管理」の在留資格によることになります。
活動内容として、貿易やその他の事業の経営、またはこれらの事業の管理です。
「貿易」という言葉はあくまで例示であり、日本での合法的な商業活動が対象となります。
「経営・管理」の審査において、まず重要なのが事業所の存在です。
この審査基準では、事業を営むための事業所が日本国内に実際に存在することが求められます。
さらに、事業が開始されていない場合でも、将来の事業運営のための施設が日本国内に確保されている必要があります。この場合、事務所として独立していることが必要です。
2.事業の規模と資本要件
資本金の額が500万円以上、または出資の総額が500万円以上であることが必要です。
日本では会社を設立する時の資本金として1円以上あれば足りますが、経営・管理の在留資格を申請するためには、1円では足りず、資本金として500万円以上必要です。
3.申請手続きと必要書類
「経営・管理」の在留資格認定申請手続きに必要な書類は次のようなものです。
①在留資格認定証明書交付申請書:申請者の基本情報と希望する在留資格に関する詳細を記載します。
②事業計画書:事業の内容、計画、予算、収支予測等を詳細に説明します。この事業が本当に実現可能なのかについて、審査官が在留資格の該当性を判断する上で大変重要な書類です。
③その他の証明書類:事業所の賃貸契約書、従業員の雇用契約書など、事業の実態を証明するための書類が必要です。
在留資格「経営・管理」で注意すべき点
日本で法人を設立して事業を行いたい場合、資本金を入金するため個人名義の銀行口座が必要となりますが、まだ在留資格が日本にない段階では、日本国内で個人名義の口座を作ることは困難です。
事業活動を行う事務所の確保についても、住居が日本にない外国人の場合は困難です。
そこで海外にいる外国人が「経営・管理」の在留資格を取得したい場合は既に日本に居る人の協力を得るか、既に日本国内に存在している法人の役員に就任するという方法を取ることになります。
この点において、東京都や愛知県では外国人創業受入促進事業として特区を設け、事務所の設立と500万以上の出資について、従来の要件を緩和した基準を設け「経営・管理」の取得の容易化を図っています。