このページの目次
難民認定手続き
保護の意義とその法的枠組み
日本国内における難民認定手続きは、人道的な観点から大切な役割を果たしています。しかし、その複雑な手続きや、制度への理解不足からくる誤解も見られます。
今回の記事では、難民認定手続きについて、その法的な枠組みや手続き、そして制度の使用とその問題について詳しく解説します。
難民申請のための手続き及びこれらに伴う在留資格の取得、変更、延長といった入管手続きについてお困りのことがある方は「在留資格/ビザ」専門家までご相談ください。
難民認定制度とは、難民の地位に関する条約(以下「難民条約」という。)及び難民の地位に関する議定書(以下「議定書」という。)が1982年に我が国について発効したことに伴い、難民条約及び議定書の諸規定を国内で実施するために整備された制度です。
この制度では、難民である外国人は難民認定申請を行い、法務大臣から難民であるとの認定を受けることができれば、また難民条約に規定する難民としての保護を受けることができます。
ここでいう「難民」とは、難民条約第1条又は議定書第1条の規定により定義される難民を意味し、それは、人種・宗教・国籍・特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないか又はそれを望まない者とされています。
難民認定手続とは、外国人がこの難民の地位に該当するかどうかを審査し決定する手続です。
難民の認定を受けた外国人は、次のような権利又は利益を受けることができます。
1. 永住許可要件の一部緩和
日本に在留する外国人が永住許可を受けるためには、
- 素行が善良であること
- 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
の2つの要件を満たさなければならないこととされています。
しかし、難民の認定を受けて在留する外国人は、このうち(2)の要件を満たさない場合であっても、法務大臣の裁量により永住許可を受けることができます。
2. 難民旅行証明書の交付
難民の認定を受けた外国人が外国に旅行しようとするときは、難民旅行証明書の交付を受けることができ、難民旅行証明書を所持する外国人は、その証明書に記載されている有効期間内であれば、何度でも日本から出国し、日本に入国することができます。
3. 難民条約に定める各種の権利
難民の認定を受けた外国人は、原則として締約国の国民あるいは一般外国人と同じように待遇され、我が国においては国民年金、児童扶養手当、福祉手当などの受給資格が得られることとなっており、日本国民と同じ待遇を受けることができます。
本来、この難民認定制度は、無国籍者や人身取引の被害者等が保護を求めて難民申請をすることを想定されていますが、実際には、正規滞在の期限が切れる間近で別の在留資格への変更ができなかったため、期限を更新することができなくなった外国人がとりあえず日本で今の仕事を続けたい場合の法律の抜け道になっている状況は否定できません。
それゆえ、制度の悪用や濫用が増加することで、本来保護されるべき難民申請者の保護が迅速かつ適切に行われなくなれば、国としても重大な問題になります。
また、現在の日本の難民認定は非常に厳しい(難民として認められにくい)と言われています。
日本で難民と認められるためには、単に「祖国に帰ったら借金取りに脅されたりマフィアの抗争に巻き込まれるかもしれない/特定の人に恨みを買っていて殺されたりするかもしれない」というだけでは足りず、これが、人種、宗教、国籍、政治的思想等の特定の集団に属することを理由として国家ないし特定の集団から迫害を受けていることが立証されなければ、難民であるとは認めないというスタンスを取っています。
難民であるとして難民認定申請をするのであれば、世界情勢などについても詳細な資料を提出して難民性を主張しなければならないのです。
難民申請手続きを含む在留資格/ビザの取得、変更、延長といった入管手続きについてお困りのことがある方は「在留資格/ビザ」専門家までご相談ください。