永住許可申請での永住許可セルフチェックシートの提出について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
令和6年12月から永住許可申請で永住許可セルフシートの提出が求められるようになりました。
出入国在留管理庁HPには、永住許可セルフチェックシートに関して以下のような内容が記載されています。
(重要1)
提出書類は、在留資格や身分・地位によって異なります。以下のチェックシートで在留資格や身分・地位に応じた資料を確認の上、提出してください。
・ 提出書類チェックシート(日本人の配偶者)
・ 提出書類チェックシート(日本人の実子)
・ 提出書類チェックシート(永住者又は特別永住者の配偶者)
・ 提出書類チェックシート(永住者又は特別永住者の実子)
※ 提出書類が不足していた場合は、追加資料を求めることとなり、資料が揃うまで審査を進めることが困難となります。
そのような場合は、書類が揃っている方の審査を優先的に行うこととなりますので、御承知おき願います。
(重要2)申請前に、永住許可の要件に該当するか、以下のチェックシートで確認してください。
・ 永住許可申請セルフチェックシート(「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」用)
※ 1つでも「いいえ(No)」に該当した場合、永住許可申請は「不許可」となる可能性が高くなります。
※ 「いいえ(No)」が1つもなかったとしても、永住許可申請の「許可」を約束するものではありません。
※ 申請に際しては、審査を円滑に行う観点から、本チェックシートも以下の書類と合わせて提出いただきますようお願いいたします。
このページの目次
セルフチェックシートの内容
チェックシートの内容は概ね次の通りです。
永住許可申請セルフチェックシート【在留資格「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の方】
・永住許可の要件に該当するか、事前に確認していただくためです。
・以下の質問について、「はい(YES)」か「いいえ(NO)のいずれかに「〇」をつけてください。
* 一つでも「いいえ(NO)」に該当した場合、永住許可申請は「不許可」となる可能性が高くなります。
(「いいえ(NO)が一つもなかったとしても、永住許可申請の「許可」を約束するものではありません。
1.(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の配偶者である場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、)日本に引き続き1年以上在留している。
はい(YES) いいえ(NO)
2.直近3年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、
住民税を適正な時期に納税している。 はい(YES) いいえ(NO)
*未納や当初の納税期間を超えて納税したことがある場合は、あなたの扶養者の納税状況を回答してください。 はい(YES) いいえ(NO)
3.国税(源泉所得税及び復興所得税特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税)の未納がない。 はい(YES」) いいえ(NO)
4.直近2年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、
、年金保険料(国民年金及び厚生年金)を適正な時期に納付している。 はい(YES) いいえ(NO)
5.直近2年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、医療保険(健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療保険)を適正な時期に納付している。
はい(YES) いいえ(NO)
6.現在の在留資格について、在留期間「3年」又は「5年」が決定されている。
はい(YES) いいえ(NO)
7.過去に、日本国の法令に違反して罰金刑・懲役刑・禁固刑を受けたことがない。
はい(YES) いいえ(NO)
これら1から7の項目に「はい」または「いいえ」をチェックして年月日を記入・署名の上、他の永住申請書類と一緒に入管に提出します。
1から7の項目の中で、従来の永住申請からの変更部分として2.4.5に(適正な時期に)の文言が追加されています。
住民税、年金保険料、医療保険料の支払いについての必要納付期間については従来通りですが、これらの「公租公課」を「適正な時期に納付していること」が追加され、住民税や年金保険料といった「公租公課」の支払いが例え一回でも納付期限に遅れると永住申請が不許可になる可能性が高くなるということが明記されました。
なぜチェックシートが導入されたのか?
永住許可セルフチェックシート導入の背景として以下の2点が考えられます。
①永住許可申請の審査期間長期化の解消
現在品川にある入管では永住申請から審査結果が出るまでに1年以上かかっています。コロナ禍での自粛期間が終了したことに伴い首都圏を中心に永住申請が増加しており、入管での永住審査が追いついていかないことが原因と考えられます。そこで申請人が永住申請をする前に自分の申請内容をチェックしてもらい、自ら許可の見込みがないと判断した場合は申請を控えてもらい、
許可の見込みのない申請を減らすことで永住審査をスムーズにすることがあげられます。
②2024年入管法改正での公租公課未払いによる永住資格取消事由追加との整合性
2024年入管法の改正で入管法第22条の4第1項8号の「故意に公租公課の支払いをしないないこと」が永住資格取消事由に追加されました。
この改正と連動して、永住申請における税金の支払いに対して従来よりも要件を厳しくして、対象期間中一度でも納付遅れがあると永住許可が困難であることを永住許可申請者に事前に周知する目的があげられます。
参考:永住許可での「公租公課」の支払いについてのQ&A:永住許可制度の適正化Q&A(出入国在留管理庁HP)
Q 公租公課の不払いが問題なのであれば、日本人と同様に催促や差押えで対応すれば十分であり、在留資格の取消しは永住者に対する過剰な措置ではないでしょうか?
A 永住者については、我が国で生活する上で最低限必要なルールを遵守することが見込まれる者として永住許可を受けているところ、今般の措置は、公的義務を適正に履行せず、在留状況が良好とは評価できないような場合に適切な在留管理を行うことを目的とするものであって、過剰な措置であるとは考えていません。
Q 改正後の入管法第22条の4第1項8号の「故意に公租公課の支払いをしないこと」とは、具体的にどのような場合を想定していますか?
病気や失業などでやむを得ず支払ができない場合にも、在留資格が取り消されるのですか?
A 「公租公課」とは、租税のほか、社会保険料などの公的負担金のことをいいます。そして、「故意に公租公課の支払をしないこと」とは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないことをいい、例えば、支払うべき公租公課があることを知っており、支払能力があるにもかかわらず、公租公課の支払をしない場合などを想定しています。このような場合は、在留状況が良好とは評価できず、「永住者」の在留資格を認め続けることは相当ではないと考えられます。
他方で、病気や失業など、本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず公租公課の支払ができないような場合は、在留資格を取り消すことは想定していません。取消事由に該当するとしても、取消しなどするかどうかは、不払に至った経緯や督促等に対する永住者の対応状況など個別具体的な事情に応じて判断することとなります。
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