弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が外国人が日本で働くために必要な「就労資格」について解説します。
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在留資格とは何か
外国人が日本で働くためには在留資格が必要です。
日本で働くことを目的として認められた在留資格を就労資格といいます。
外国人が日本で働くために必要な就労資格は、入管法別表第一の上覧の在留資格(活動資格)のうち、一の表と二の表にあげられています。
当ブログでは、入管法別表第一の表と二の表の就労資格に掲げられている就労資格のうち「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」
「法律・会計業務」「医療」「研究」について、対象職種・業種、取得条件、在留期間、その他の要件・注意点について解説します。
一の表(就労資格)
・教授(大学教授など)
主な対象職種・業種: 大学の教授、准教授、助教など高等教育機関での教育・研究職等。
取得条件: 日本の大学や高等専門機関との雇用契約が必要です。
法律上は学歴要件は明記されていない(博士号等は必須条件ではない)ものの、通常は博士号取得者やそれに相当する研究実績があることが望ましいです。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月
・芸術
主な対象職種・業種: 作曲家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など、芸術分野の創作活動従事者。
取得条件: 特定の学歴要件はありませんが、自身の芸術作品や受賞歴など十分な実績が重視されます。
収入を伴う芸術活動であることが前提です。商業目的ではない純粋な芸術活動は「文化活動」となります。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月
その他: 活動の継続性や収入が審査で考慮され、芸術活動以外の報酬を伴う仕事は認められません。
・宗教(Religious Activities)
主な対象職種・業種: 僧侶、司教、宣教師など宗教活動に従事する者。
例えば海外の宗教団体から派遣され日本で布教活動を行う宣教師などが該当します。
取得条件: 本国または所属先の宗教団体から派遣されていること。特定の資格や学歴要件はなく、日本で行う布教・宗教活動の内容が明確であることが求められます。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月。
その他: 純粋な宗教上の職務に従事する必要があります。家族の帯同が可能です。
その場合、帯同する家族は在留資格「家族滞在」になります。
・報道(Journalist)
主な対象職種・業種: 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動で外国の報道機関の新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、
アナウンサーなど報道機関の職員。
取得条件: 外国の報道機関に雇用されている者、またはフリーランスで契約を結んだ上で取材・報道のために来日する者が対象です。
国営か民間かは問われません。継続的な契約が必要です。
在留期間: 5年、3年、1年または3月
その他: 報道目的以外の収益活動は認められません。
二の表(就労資格、上陸許可基準の適用あり)
・高度専門職(Highly Skilled Professional)
主な対象職種・業種: 学術研究、専門技術、経営分野の高度人材(研究者、技術者、経営者など高度な専門能力を持つ人材)。
取得条件: ポイント制(ポイント表はこちら)による評価で70点以上を取得すること。
学歴、職歴、年収、年齢、日本語能力などの項目でポイントが与えられ、学歴(最大30点)、職歴(最大25点)、年収(最大50点)、年齢(最大15点)、
日本語能力(最大15点)といった評価基準があります。
ポイント合計が所定基準に達すれば認定されます。
在留期間: 原則5年(「高度専門職1号」)。
高度専門職として3年活動後は「高度専門職2号」への移行が可能です。
特に80点以上を取得した場合は最短1年で永住許可申請が可能になるなど、永住への優遇措置もあります。
・経営・管理(Business Manager)
主な対象職種・業種: 会社の経営者や役員、事業主など事業の経営・管理に携わる人。
例えば企業の社長、工場長、支店長、新規事業の起業家などが該当します。
取得条件: 日本国内に事業所(オフィス)を確保し、安定的・継続的な事業があると見込まれること。
独立した事業所の確保、事業の継続性・安定性の裏付けがあること、資本金または投資額が最低500万円以上であること、又は常勤社員が2名以上いること等の経営規模要件があります。
個人事業主として申請する場合も上記要件を満たす必要があります。
在留期間: 5年,3年、1年、4月、3月
起業準備段階では短期(4か月など)が付与され、その後事業の実態に応じて更新可能です。
・法律・会計業務(Legal/Accounting Services)
主な対象職種・業種: 外国法事務弁護士及び外国公認会計士の他、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など、日本の法律に基づく国家資格を有する専門職。
取得条件: 業務独占の資格を有する者でなければ行うことができないとされている法律又は会計に関する業務を有していること。
申請の際には、その資格証明書(弁護士登録証、公認会計士証など)を提出し有資格者であることを証明する必要があります。
在留期間: 5年、3年、1年又は3か月
企業に雇用される形でも独立開業する形でも就労可能です。
・医療(Medical Services)
主な対象職種・業種:日本の免許を持つ 医師、歯科医師、薬剤師、看護師など病院や診療所等の医療専門職。医師免許、看護師免許など国家資格の取得(日本の国家試験合格)が必要です。
在留期間: 5年、3年、1年又は3か月
その他: 資格取得が前提のため、来日前に日本の国家試験に合格しているか、日本の医療養成機関を卒業している必要があります。資格に基づく業務のみ許可され、それ以外の兼業は制限されます。
・研究(Researcher)
主な対象職種・業種: 政府機関や民間企業の研究員、調査員など研究活動従事者
(在留資格「教授」に該当する活動を除く)。
取得条件: 日本の公私の機関との契約に基づき研究活動を行うことが必要です。
学歴および研究経験に関する要件があり、大学卒業または同等の教育を受けた後に従事しようとする分野で修士以上の学位もしくは3年以上の研究経験を有すること、
あるいは当該分野で10年以上の研究経験があること等が求められます。
在留期間: 5年、3年、1年又は3月。
以上、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、日本で働ける就労資格のなかから「教授」「芸術」「宗教」「報道」「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」
「医療」「研究」について、対象職種・業種、取得条件、在留期間、その他の要件・注意点について解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、外国人の方の就労資格に関する在留申請手続きを取り扱っております。
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