(架空の事例)
永住者のAさんは現在外資系企業の日本支店で働いています。
Aさんは3年前に窃盗事件をおこし懲役1年、執行猶予3年の罪に処せられました。
判決後は幸い勤務先からの懲戒解雇は免れました。Aさんは事件後心機一転し仕事を頑張った結果、先日海外にある本社の管理職として異動の内示がでました。
Aさんは妻と子供を日本に残し単身で海外に赴任することを考えていますが、自分が以前おこした事件の影響で、日本出国後再び日本に再入国できるのかについてとても心配しています。
日本で有罪判決に処せられたAさんは、海外勤務修了後再び日本に戻ってくることは出来るでしょうか?
このページの目次
1.再入国許可
Q 再入国許可申請とは何ですか?
A 在留資格を取得した外国人は、当該在留資格に基づいて日本に滞在する法的資格がありますが、この資格は当該外国人が日本から出国することにより失われます。
そこで日本に在留する外国人が日本を出国後もこの法的資格を維持するための許可を受ける必要があります。この許可申請手続きを再入国許可申請といいます。
再入国許可を受けた場合は、従前の在留資格がそのまま維持されるので、日本出国後、再度日本に入国する際に改めて在留資格申請手続きをする必要がありません。
再入国の有効期間は現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。再入国許可を受けて出国している外国人は、その有効期間内に再入国することができない事情がある場合には、有効期間の延長を申請することができます。この場合の延長をすることができる期間は1年をこえず、かつ、当初の再入国許可が効力を生じた日から6年(特別永住者の場合は7年)を超えない範囲内です。
この有効期間の延長の許可は旅券又は再入国許可許可書にその旨を記載することによって行われ、その事務は、在外に日本国領事館等の委任するものとされています。
2.前科があっても再入国許可申請ができるのか
Aさんが海外勤務後日本に戻るためには、日本の在留資格を失わないために管轄の入管で再入国許可申請を行い再入国許可を受ける必要があります。
再入国許可申請にあたり、Aさんは3年前に窃盗事件をおこし懲役1年以上の有罪判決に処せられていますが、この場合Aさんの再入国はどうなるのでしょうか?
出入国管理及び難民認定法(以下法)第5条では日本への上陸拒否にあたる場合を例示しており、法5条1項4号では無期限上陸拒否にあたる場合として、
「日本国又は日本国以外の国に法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし、政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。」
と規定しています。
「1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられた」場合に執行猶予も含むとして運用されています。
Aさんには法5条1項4号が適用され、日本から出国すると日本への入国を拒否されAさんは海外転勤をすると永久に日本に戻ってこれないことになりますが、法5条1項4号には例外がないのでしょうか?
再入国許可が認められる場合もある
法5条1項4号に該当する場合、原則として永久に日本に入国することは禁止されますが、事情によりどうしても日本を出国して海外に行かなければならない場合もあります。
法5条1項4号に該当する場合は全て一律に上陸拒否とすることは人道的に問題生じるおそれがあります。そこで法5条の2では上陸拒否の特例を規定し、無期限上陸拒否の例外について規定しています。
法5条の2「当該外国人に第26条第1項の規定により再入国の許可を与えた場合その他の法務省令で定める場合において、相当と認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該事由のみによっては上陸を拒否しないこととすることができる。」
法5条の2が適用される典型的な事例として、「上陸特別拒否事由に該当することになる特定の事由と同じ事由に基づく退去強制手続きにおいて在留特別許可を受けた者に対して、再入国許可を行った場合」があります。
Aさんは再入国手続き申請の際に、自分が出国後に日本への再入国が必要であることについて法務大臣に相当の理由を示して、上陸拒否の特例を受けることができればAさんは海外転勤ができます。
3.通知書について
Aさんに上陸拒否の特例が認められると、「法5条1項4号のみを理由として上陸を拒否しない」との趣旨を記した通知書が発行されます。
入管法施行規則第4条の2第2項「特定の事由のみによっては上陸を拒否しないこととしたときは、その外国人に通知書を交付するものとする」
通知書には以下の記載があります。
氏名
生年月日
国籍・地域
住居地
期限
事由(法5条〇項〇号に規定された上陸拒否の対象となる事由)
この通知書を、入国の際に携行(通常はパスポートに添付)して、入国審査官に提示することで日本への入国が可能となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では上陸特別許可申請について取り扱っています。
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