「特定活動(告示46号)」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
(ケース紹介)
このページの目次
1.事例
Aさんはある政令指定都市でコンビニエンスストアを数店舗経営する経営者です。
Aさんは大手コンビニストアのフランチャイズに加盟しており、株式会社を設立して自ら代表取締役となり店舗運営を行っています。
最近コンビニエンスストアのアルバイト募集は求人難に直面しており、Aさんが経営する店舗も例外ではなく、アルバイトを募集してもさっぱり応募がなく、たまに応募が来ても採用後すぐにやめてしまいます。そこでAさんは日本人アルバイトの採用をあきらめ外国人留学生(大学・専門学校生)に絞ってアルバイトを採用をしています。
アルバイトの中にB子さんという外国人留学生がいます。
B子さんは現在大学3年生で今年でアルバイト歴5年目になります。日本語がとても堪能で仕事をてきぱきとこなします。AさんはB子さんの仕事ぶりを高く評価していおり、最近ではB子さんにレジ業務の他、商品の仕入れや商品企画、新人アルバイトの接客指導も任せています。
AさんとしてはB子さんが大学を卒業したらぜひ自分の会社で採用したいと考えています。
AさんはB子さんが大学卒業後、B子さんを自社の社員として採用してAさんが経営するコンビニ店舗の管理・運営を任せることができるでしょうか?
2.「特定活動(告示46号)」とは?設立の背景
従来から日本の大学等で学ぶ留学生が大学等を卒業後、日本の会社等で働く場合の在留資格として「技術・人文・国際業務」があります。
この在留資格は会社等に入社後、専門的・技術的な業務に従事することを目的としており①小売店における仕入れ、商品の企画や、通訳を兼ねた接客販売業務、②ホテルや旅館での翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設、更新作業等の広報活動を行うものや、外国人の通訳(案内)を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客をおこなうもの③介護施設において、外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、日本語を用いて介護業務に従事するもの等、事業所での事業活動としては大変重要度が高いものの、業務の中に「単純作業」が含まれるためにこれらの業務を行う場合は、在留資格「技術・人文・国際業務」での許可が認められてきませんでした。
近年インバウンド政策による来日外国人観光客の急増、技能実習生や特定技能外国人、外国人留学生アルバイト等外国人労働者の大幅な増加により、日本の様々な事業所における業務活動の中で、日本語があまり話せない外国人と日本人事業者側との橋渡し役となる日本語が堪能で、事業所の業務に精通した外国人人材の需要が高まってきました。
そこで上記①~③の事例にあるような、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務を含む幅広い業務に対応できる外国人が日本で働くことができるようにするため、特定活動告示46号が2019年5月に制定されました。
3.特定活動告示46号のポイント
単純作業を含む幅広い業務に対応が可能です。
例えば、食品製造会社において、商品製造ライン業務を特定技能外国人や技能実習生等の外国人に担う場合、彼らへの業務指導を行う者の存在が必要不可欠となりますが、この業務を特定活動46号の在留資格を持つ外国人社員に任せることができます。
日本語能力が十分でない技能実習生や特定技能外国人に対して、日本人が日本語で業務指導しても細かい情報の伝達が困難な場合があります。
意思疎通がうまくいかないことによる製造ラインでの作業ミスは、時として企業側にも作業者側にも甚大な損害を与えるおそれがあります。
外国人作業員に対して、日本語ではなく母国語による業務指導ができれば業務の伝達がスムーズに行われ伝達ミスによる重大事故を防ぐことが可能になります。
4.特定活動46号の対象者について
学歴要件として、日本の大学等を卒業した外国籍者が対象です。
対象となる者の学歴の範囲として①大学・大学院卒業、②短期大学、高等専門学校を卒業した者で学士の学位を付与されている者、③専修学校の専門課程を修了した高度専門士の称号が認められた者です。
日本語能力要件として、日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上、日本の大学・大学院で「日本語」を専攻して卒業した者です。
日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務について、単に雇用主等からの作業指示を理解し、自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず、いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務や、自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ、他者との双方向のコミュケーションを要する業務であることを意味します。
*具体例として2.①~③。
従事する予定の業務内容について、通常の業務の中に一般的に日本の大学等において修得する知識が必要となるような業務、例えば商品企画、技術開発、営業、管理業務、企画業務(広報、教育等)が含まれている必要があります。
契約形態等について、日本の公私の機関との契約に基づき「常勤」の職員としての採用となります。
契約機関の業務に従事する活動のみが認められ、派遣社員として派遣先で就労活動を行うことは認められていません。「常勤」の職員としての採用となることから短時間のパートタイムやアルバイトは対象になりません。社会保険の加入は必須となります。報酬について、同種の業務に従事する日本人と同等額以上であるか、また、他の企業の同種の業務に従事する者の賃金を参考にして日本人と同等額以上であるかについて判断します。
家族の滞在について「配偶者」「子」については「特定活動」の在留資格により日本滞在が可能です。
参考:出入国在留管理局HP
以上、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「特定活動(告示46号)」について解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「特定活動(告示46号)」の在留申請業務を扱っております。
「特定活動(告示46号)」で外国人の採用をお考えの方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。