弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「外国人が日本で事業を開始する際の注意点について」について解説します。
このページの目次
1.日本で事業をするためのビザ
外国人が日本で事業を行うためには、日本国内で事業活動を行うための在留資格が必要です。
外国人が日本で事業活動をするのに必要な在留資格には2種類のタイプがあります。
一つ目が「永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」の地位又は身分による在留資格です。
地位又は身分による在留資格は日本で行う仕事内容に制限がないので犯罪を行う仕事等反社会的目的でない限り仕事の種類に制限はありません。
二つ目が在留資格「経営・管理」です。
この在留資格は外国人が日本で事業を行う目的で在留するために設立された在留資格です。
「経営・管理」に関する申請書類はこちらから。
外国人が日本で行う事業について、形態として個人事業と法人事業の2種類があります。個人事業は事業を行いたい人が自ら独立して事業を行う形態です。
法人事業は法人を設立して法人を主体として事業を行う形態です。
法人の種類として、営利法人と非営利法人の2種類があります。
営利法人として株式会社・合同会社・合名会社・合資会社の4種類があります。
非営利法人にはNPO法人、一般社団法人、一般財団法人等があります。
日本での新規会社設立数は現在株式会社が1位で次が合同会社の順となっています。
2022年度の新規会社設立数は、株式会社が92,371件、合同会社が37,121件です。
近年合同会社の設立数が増加傾向にあります。
合同会社は2006年施行の会社法改正によって設置されました。
株式会社と合同会社は間接有限責任を取ることは同じですが、合同会社の場合は出資者が全員合同会社の社員となり会社経営に関与する点で、所有と経営の分離を定めた株式会社と大きく違っています。
合同会社は株式会社と比べて設立が容易で設立費用も少額で済み、株式会社にくらべ会社内部の組織形態が簡略化されており少人数での事業経営に向いています。
2.事業の目的について
個人事業又は法人事業どちらにおいても、事業を開始する前に事業目的を定める事が必要です。
会社を設立するためには、事業目的を定めて定款に記載し登記する必要があります。
事業には自由に始められるものと事業を行う前に許認可が必要な場合の2種類があります。
官公庁への事前の許認可が必要な場合として、飲食店の営業を行う場合の飲食店営業許可やトラック運送事業を行う場合の一般貨物運送事業許可等があります。
飲食店営業を行う場合でもキャバクラ・ラウンジ・スナック等で接待を伴う営業形態の場合は、飲食店営業許可の他に風俗営業許可が必要となります。
許可を取らずにこれらの事業を行った場合は罰則が科せられることがあります。
例えば許可を取らずにトラック運送を行った場合は、貨物自動車運送事業法第3条1項・第35条1項に違反し「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」が科せられる場合があります。
3.株式会社の資本金について
2006年の会社法改正により、株式会社設立において最低資本金は1円以上あればよい事になっています。これは外国人が日本で株式会社を設立する場合も同様です。
但し、身分又は地位による在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)では資本金1円でも会社を設立して事業活動が可能ですが、在留資格「経営・管理」を取得するために株式会社を設立する場合は、事業規模の要件として500万円以上の投資が必要となっている関係で資本金1円では大きな問題となります。
在留資格「経営・管理」における投資の有無は払込済資本金で判断されるので、資本金が1円では「経営・管理」の在留資格は認められないことになります。
従って株式会社や合同会社を設立して「経営・管理」の在留資格を取得しようとする場合は、株式会社では500万円以上の資本金、合同会社では500万以上の出資金が必要となります。
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「外国人が日本で事業を開始するため注意点について」について解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では在留資格「経営・管理」の在留申請手続きを取り扱っています。日本で事業を行う目的で在留資格「経営・管理」をお考えの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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