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刑事・行政処分後の在留資格

在留期間中に刑事処分や行政処分を受けた場合、その後の在留手続きはどうなるのか?弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が1から5までのケースに分けて解説します。
1.在留期間中に刑事事件をおこして無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたケース
このケースでは、在留期間中に刑務所で服役することになります。服役期間中に在留期間が経過すると在留資格はなくなります。
服役中に入管審査官が退去強制手続きを進めることがあります。
どのような場合に退去強制(強制送還)となるのか,また,それはどのような手続きで進むのかは,出入国管理及び難民認定法に規定があります。
刑期満了又は仮釈放後は日本人のように刑務所から外に出られるわけではなく、刑務所から出入国在留管理署(以下入管)内にある入管収容施設に直接移送され収容されます。
収容令書により入管収容施設に収容されたまま退去強制手続きが進行します。
入管収容施設に収容される期間は原則として30日以内であり、収容されてから30日以内に被収容者に対して退去強制処分を出すか否かが決定されます。
被収容者に退去強制処分が出された場合、被収容者がどうしても帰国できない事情があって日本に在留したい場合は、入管の担当部署に在留許可申請(再審情願)を行います。
入管収容施設に収容されて収容施設から外に出て生活したい場合は、収容施設にある入管の担当部署に仮放免又は監理措置の申請をします。
2.出入国管理及び難民認定法(以下法)第24条で定める退去強制に該当する事由により刑事処分を受けたケース
法24条で定める退去強制事由により在留期間中に刑事処分を受けた場合は、仮に1年以下の懲役若しくは禁錮又は執行猶予付きの判決に処せられた場合であっても、法24条で定める退去強制事由以外の罪で無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた場合と同様に、在留期間中に退去強制手続きが始まります。
入管で法24条が定める退去強制事由に該当すると判断された場合、入管収容施設に収容される場合とされない場合があります。
本ケースで引き続き日本に在留したい場合は、入管が退去強制処分を出す前に在留特別許可申請を行い在留許可を得る必要があります。
法24条に該当する事由があると認定され、法務大臣により在留を認めるべき特別の事情があるとの認定がされなければ退去強制処分が確定します。
退去強制処分を受けた者がどうしても日本に残らなければならない事情がある場合は、再度の在留許可申請(再審情願)を行います。
法24条で定める退去強制該当事由として、他人名義のパスポートによる不法入国、不法就労のあっせん、在留カードの偽造又は所持、在留カードの偽造、不法就労、在留期間超過、人身取引、旅券法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、覚醒剤取締法違反等で有罪判決を受けた場合、売春又は売春のあっせん、勧誘等があります。
出入国管理行政の根幹を揺るがしかねない犯罪類型を限定列挙しています。
3.法24条列挙事由以外の罪で、1年以下の懲役若しくは禁錮又は罰金に処せられたケース。
原則として在留期間中に退去強制手続きは始まらず次の在留期間まで在留資格は継続します。刑事処分後の在留更新の時に刑事処分時の在留状況を審査されます。
在留更新の審査で「素行に問題がある」と判断され在留更新が認められない場合があります。
4.法24条列挙事由以外の罪で1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたが執行猶予の言渡しを受けたケース。
3と同様の扱いとなりますが、4のケースでは刑事処分後の在留更新は「素行に問題あり」として更新が認められることはかなり厳しくなります。
5.在留期間中に速度超過や駐停車違反で行政処分を受けたケース。
速度超過や駐停車違反により行政処分を受けた場合、それだけで退去強制手続きに進むことはありませんが、
次の更新申請の時に「素行に問題あり」と判断され在留期間が短縮されることがあり得ます。
以上1から5までのケースに分けて刑事処分・行政処分を受けた後の在留手続きについて解説しました。
上記のケースから分かるように在留期間中に刑事処分を受けるとその後の在留更新手続きは極めて困難となります。
また行政処分のみの場合でも在留期間が従来の5年から1年に短縮したりすることもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は在留特別許可、再審情願の手続きを扱っています。
在留期間中に刑事・行政処分を受けてしまいどうしていいかわからずお悩みの方は、お一人で悩まずに是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
重国籍と国籍選択について

重国籍と国籍選択について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
(架空の事例です。)
1.重国籍と国籍選択について
A子さんの父は戦前日本の統治下にあったT国の国籍で、母は日本国籍です。
A子さんの両親はA子さんの父親が日本の大学に留学しているときに留学先で知合い結婚しました。
父がT国籍でありA子さんもT国で生まれたことから、A子さんの両親はA子さんにT国籍を取得させることにしました。
A子さんの父は、A子さんの母が日本人であり日本の血を引いていること、将来A子さんが日本に行って生活することもあるだろうと考え、T国にある日本大使館でA子さんが出生後まもなくして国籍留保の手続き(国籍法十二条、戸籍法百四条)を行いました。
A子さんは小学校、中学校、高校まではT国で学び、大学からは日本の大学で学ぶことになりました。
成績優秀のA子さんは日本の国立大学薬学部に日本の一般の受験生と同じ筆記試験を受けて見事に合格しました。
A子さんはT国と日本の重国籍者でしたが、日本で生活していくには日本国籍者である方が何かと都合がよいだろうと考え大学時代は日本人で通していました。
A子さんは大学卒業後はT国に帰国して、日系の製薬会社に就職しました。
就職してからほどなくして、A子さんの自宅に日本の法務省から1通の封筒が届きました。封を開けると中には国籍選択をすべきことを催告する書面が入っていました。
国籍法第十四条一項「外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有する事となったときが十八歳に達するときであるときは二十歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはそのときから二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。」日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は、国籍法で決められた一定の期限までにいずれかの国籍を選択する必要があります。
この期間を失念して国籍選択の手続きを取らなかったときの手続きについては国籍法十五条に規定されています。
第十五条一項「法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍を選択しないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。」
A子さんは重国籍者であることから、本来十八歳になったら自ら国籍の選択をしなければなりませんが、A子さんはこの規定を知らなかったので国籍法十四条に規定されている国籍選択の意思表示をすることができませんでした。しかしながらこの期限を徒過していたとしても、重国籍者はいずれかの国籍を選択する必要があることから、T国にある日本大使館を通じて法務省からA子さんあてに国籍を選択すべきことを催告する書面が届いたのでした。
T国に家族や友人が多くおり、勤務先も日系薬品メーカーであるものの現地採用であり原則日本への転勤は原則ないことから、A子さんは自分の国籍はT国を選択することにして日本国籍は離脱することにし(国籍法十三条)、国籍離脱届をT国にある日本大使館に届けました。
2.国籍離脱後の手続きについて
A子さんが日本国籍離脱の届出をしてから数年経ちました。
A子さんは勤務する日系製薬会社で順調に昇進して管理職の立場になり、部下を数人持つようになりました。
A子さんが管理職に昇進した翌年、A子さんの日頃の実績を評価していたA子さんの上司がA子さんを日本本社の管理職に推薦しました。
日本本社は東京にあり、T国にある現地法人よりも規模が大きく、本社採用の管理職となると給与も現試採用より格段に高くなります。
A子さんは今後の社内でのキャリアを考え日本本社転勤の話を承諾しました。
Q 現在A子さんの手元には日本国のパスポートとT国のパスポートの2つがあります。A子さんは日本の会社で働くのだから日本人として日本のパスポートで入国する方がT国の外国人として生活するよりも楽だろうと考え、日本国のパスポートを使って来日する予定です。A子さんは日本国籍離脱の手続きをしているのにも関わらず日本のパスポートを使って入国できるでしょうか?
A A子さんは国籍離脱届を在T国日本大使館に提出しており、国籍離脱届を大使館に届け出た時点で日本国籍は失われます(国籍法第十三条)。
A子さんの手元には日本国のパスポートがあり、まだ有効期間が経過していないことからこのパスポートを使って日本に入国できるかが問題となりますが、A子さんは日本国のパスポートを使って日本入国は出来ません。なぜならA子さんは国籍離脱手続きにより既に日本国籍を失っており(実質的に国籍を失っている状態)、A子さんのパスポートは本来効力がありません。
無効なパスポートを使って有効であるように装って入国した場合は、不法入国(法第七十条一項)として3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
そこでA子さんはT国のパスポートを使って入国しなければなりません。
Q A子さんが日本本社で働くためにはどのような在留資格が該当するでしょうか?
A A子さんが日本本社で働くために必要な在留資格として、「企業内転勤」「技術・人文・国際業務」「研究」等が考えられます。
これらの活動の在留資格認定証明書によりA子さんを日本本社側から呼寄せます。
Q A子さんは日本本社で知り合った男性と結婚し子どもが生まれました。A子さんはこの先日本で生活していこうと考え、もう一度日本国籍を取得したいと考えています。
A子さんが再度日本国籍を取得するのはどのような手続きが必要になるでしょうか?
A A子さんが再度日本国籍を取得するためには帰化による方法があります。
A子さんは以前日本国籍をあり現在日本に住所があるので、国籍法第8条第3項により、通常の帰化手続きよりも、居住歴、行為能力、生計要件の点で優遇されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、国籍・帰化に関する手続きを取り扱っています。
重国籍で国籍についてお悩みの方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

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「永住者の配偶者等」の在留資格

「永住者の配偶者等」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.「永住者の配偶者等」の在留資格とは?
永住者の在留資格をもって在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」という。)の配偶者又は永住者等の子として、日本で出生しその他引き続き日本に在留している者のために設けられた在留資格です。
「永住者の配偶者等」の該当範囲は入管法別表第2の「永住者の配偶者等」の項の下欄に記載されており、「永住者等の配偶者又は永住者等の子として日本で出生しその後引き続き日本に在留している者」が該当します。
「永住者の配偶者等」の活動として具体例として次の(1)と(2)があげられます。
(1)永住者の配偶者の身分を有する者
①「配偶者」とは、現に婚姻中の者をいい、相手方の配偶者が死亡した場合は含まれません。また、婚姻は法律上有効な婚姻であることを必要とし、 内縁の夫婦である場合や外国で有効に成立した同性婚は含まれません。
②社会通念上夫婦として共同生活を営むという婚姻の実体を伴っていない場合には、永住者の配偶者としての活動を行う者とは認められません。また社会通念上夫婦と言えるためには、合理的な理由がない限り同居して生活していることが必要です。
(2)永住者等の子として出生し、出生後引き続き日本に在留する者
①出生の時に父又は母のいずれか一方が永住者資格をもって在留していた場合又は本人の出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡のときに永住者の在留資格をもって在留していた場合が含まれます。
②本人の出生後、父又は母が永住者の在留資格を失った場合も、「永住者」の在留資格をもって在留する者の子として出生した場合も含まれます。
③「子として出生した者」とは実子をいい、嫡出子のほか、認知された非嫡出子も含まれますが養子は含まれません。
④永住者の親が本国で子を出産した場合、その子は「永住者の配偶者等」に含まれるかですが、「永住者の配偶者等」の在留資格が認められるためには、子が日本で出生したことが必要であり、母親が永住者の在留資格であっても、母親が再入国許可を受けて出国し外国で子を出産した場合は 「永住者の配偶者等」に該当しないので注意が必要です。
2.「取得在留許可」と「取得永住許可」について
(1)「取得在留許可」
入管法第22条の2第1項により、出生その他の事由により上陸手続きを経ることなく日本に在留することになる外国人は、
出生した日から60日以内に在留資格取得の手続きを行う必要があります。
この規定により新たに在留資格を取得することを「取得在留許可」といいます。
(2)「取得永住許可」
永住者の子が日本で出生した場合には、「取得在留許可」の手続きにより、「永住者の配偶者等」の在留申請手続きを行いますが、この時に「永住者の配偶者等」の在留資格取得申請と同時に永住資格の取得申請も行う事が認められています。
この手続きによる永住許可申請を「取得永住許可」といいます。
この手続きにより、本来日本で生まれた永住者の実子又は特別養子については、日本在留後引き続き1年以上日本に在留していることが永住許可申請の条件であるものの、1年以上の在留期間を経ないで永住許可申請をすることが可能となります。
子の出生から60日以内に「永住者の配偶者の配偶者等」と「永住許可申請」を同時に申請した場合に、万が一永住許可申請が不交付だった場合でも、永住者の配偶者等の在留資格の取得許可が認められる場合は、「永住者の配偶者等」の在留資格が許可されます。
永住者の子が出生してから1年を経過しなくても子の永住許可申請ができる点で、申請者側にはメリットの大きい規定となっています。
参考:出入国在留管理庁 入国・在留審査要領
永住許可申請手続きに関しては,出入国在留管理庁HPにて提出書類等についても案内があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「取得永住許可」手続きを扱っております。
永住者の在留資格をお持ちの方で、お子様の出生により日本での在留許可と併せて永住許可もお考えの方は是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問合せください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

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「日本人の配偶者等」在留資格認定証明書の標準処理期間

・外国人の夫又は妻を日本に呼び寄せるため、在留資格認定証明書の申請をしたが、2か月経ってもまだ入管から返事が何も来ていない。
・一体どうなっているのかとても心配しています。どうしたらいいでしょうか。
時折,このような内容のお問合せを頂きます。
大切なパートナを日本に呼び寄せるべく、入管からの許可通知を一日千秋の思いで待っている場合も多いと思います。
申請結果通知が来るまで2か月も3か月もかかっていると本当に審査しているのだろうか、自分の書類に何か問題があるのだろうか。本当に審査が通るのだろうか、色々不安になってくることがあるでしょう。
しかしながら入管は配偶者の日本への呼び寄せ等、申請する側にとって大変重要な申請書類を忙しいからと言って放置しているわけでは当然ありません。
申請書が役所に届いたら、役所は遅滞なく審査を開始することになっており、申請を受け取らない、受け取っても放置しておく、申請書を返却するなどの取扱いをしてはいけないことになっています(行政手続法第7条)。限られた人員の中で慎重に審査を進めると当然審査に時間はかかります。
しかしながら申請人側は申請結果が出るのを一日千秋の思いで待っているのに、入管側が審査に慎重なあまり審査に1年も2年もかけていては、申請側は受入れの準備もしなければならない中で大変な負担となってしまいます。そこでこうした状況に対処するため、入管は行政手続法第6条に基づき標準処理期間
(申請を受け付けてから許可が出るまでの期間)を公表しています。
入管HPでそれぞれの在留資格の標準処理期間について,これまでの処理状況が資料として掲載されています。
弊所でお問合せの多い外国人の夫、又は妻を日本に呼び寄せるための申請「日本人の配偶者等」の標準処理期間は、令和6年1月1日から令和6年3月31日までの平均で76,8日となっています。
ちなみに就労資格である「経営・管理」では在留資格認定証明書の標準処理期間は100,2日、技能が101,0日となっています。短い方では、技能実習1号イが29,1日、技能実習2号ロが25,2日、技能実習3号イが22,5日、技能実習ロが21,6日となっています。
技能実習の在留資格認定証明書の標準処理期間は「経営・管理」の標準処理期間の3分の1くらいですが、なぜ技能実習の審査機関が短いかというと、
技能実習の在留申請書類は日本の監理団体が一括して作成しているので、入管側は技能実習部門の審査人員が少ないこともあり、監理団体が作成した書類の内容を基本的に信用することにしているのでしょう。
自分がした在留申請が入管HPで公表されている標準処理期間より明らかに時間がかかっている場合は何らかの事情があって審査が遅れている可能性もあります。
その時は在留資格申請をした入管に審査状況を問い合わせてみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書を取り扱っています。在留審査の申請状況の確認も申請人に代わって弊所の申請手続き担当者が行いますので安心です。
「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書による申請は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお任せください。

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在留資格「技術・人文・国際業務」について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際国際業務(出入国管理居HP)」について解説します。
事例
Q A国に本社がある化学メーカーの東京支店で、今回新たに研究開発部門の新規事業立ち上げを行うことになりました。
研究開発事業に携わるの技術職の社員を10名をA国から中途採用して東京支店に呼び寄せる予定です。この場合採用した技術職社員を東京支店に受け入れるには、どのような在留手続きが必要でしょうか?また申請にあたりどの様な点に留意したらよいでしょうか?
A 中途採用の技術職社員を海外から日本にある支店に呼び寄せるには、在留資格「技術・人文・国際業務」での手続きとなります。
在留資格「技術・人文・国際業務」とは、日本にある公私の機関との契約に基づいて行われる自然科学の分野若しくは人文科学の分野の専門的技術若しくは知識を必要とする業務に従事する外国人又は外国人特有の感性を必要とする業務に従事する外国人を受け入れるために設けられたものです。
1.「技術・人文知識・国際業務」の該当範囲について
入管法別表第1の2の表の「技術・人文知識・国際業務」の項の下蘭は、本邦において行うことのできる活動を以下の通り規定しています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項から興業の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
「自然科学の分野の属する技術又は知識を有する業務」とは、どのようなものかというと、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務であることを示すものであり、自然科学の分野に属する技術又は知識がなければ出来ない業務であることをいいます。
代表的なものとして、以下の分野があげられます。
数理科学、物理化学、化学、生物化学、人類学、地質化学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核化学、基礎工学、応用物理学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用科学、資源開発工学、造船学、計測、制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、薬学、農学、農芸化学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、地域農学、生理科学、病理化学、内科系化学、外科系化学、社会医学、歯科学、薬科学等です。
A化学メーカー東京支社での採用に関しては、大学等で化学、生物化学、応用科学、化学工学、薬学、農学、農芸化学、畜産学、生理科学、病理化学、内科系化学、外科系化学、社会医学、薬科学等を専攻した人材を中心に募集をかけて選考し採用していくことになるでしょう。
2.在留申請における留意点
(1)従事しようとする業務と専攻科目との関連性について
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、従事しようとする業務と大学等において専攻した科目との関連性が必要です。
ただし、専攻科目と従事しようとする業務が一致していることまでは求められません。
大学卒業者に対しては、大学における学術機関としての社会における役割(学校教育基本法第83条第1項、第2項)から、大学における専攻科目と実際に従事しようとする業務との関連性については比較的緩やかに判断されます。
(2)採用当初に行われる実務研修に係わる扱いについて
外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で在留するためには、当該在留資格に該当する活動に従事することが必要であるところ、企業においては、採用当初に一定の実務研修期間が設けられていることがあります。
実務研修期間に行う活動のみを捉えれば「技術・人文・国際業務」の在留資格に該当しないように見えるとしても、それが日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって、在留期間の大半を占めるようなものでない場合は、相当性を判断したうえで当該活動が許容されます。
3.実務研修での研修期間について
研修期間を含めた在留資格該当性については、在留期間中の活動を全体として捉えて判断します。ここでいう「在留期間中」とは、一回の許可毎に決定される「在留期間」を意味するものでなく雇用契約書や研修計画に係わる企業側の説明資料等の記載から、申請人が今後日本で活動することが想定される「技術・人文・国際業務」の在留資格をもって在留する期間全体を意味します。
そのため、例えば、今後相当期間、日本において「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動に従事することが予定されている者が、在留期間「1年」を決定された場合、決定された1年間全て実務研修に従事することも考えられます。
他方で、例えば、雇用契約期間が3年間のみで、契約更新も予定されていないような場合、採用から2年間実務研修を行う、といった雇用契約は認められません。
なお、採用から1年間を超えて実務研修に従事するような申請については、研修計画の提出を求め、実務研修計画の合理性を審査することがあります。
以上、在留資格「技術・人文・国際業務」について、採用と採用後の留意点の観点から解説しました。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在留資格「技術・人文・国際業務」を取り扱っております。
海外から在留資格「技術・人文・国際業務」での呼び寄せをご検討の際は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問合せください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
帰化許可申請と永住許可申請について
帰化許可申請と永住許可申請について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.帰化とは,永住者資格とは何か
帰化とは外国籍者が日本国籍を取得することをいいます。
永住者資格とは、外国籍のままで在留期間に制限がなくなる在留資格のことを言います。
原則として1年以上の実刑が確定しない限り永住資格は失われません(一部例外あり)。
2.帰化申請と永住許可申請の申請要件について
帰化の申請要件については、国籍法5条(普通帰化)に規定されています。
(1)引き続き5年以上日本に住所を有すること(住居要件)
(2)18歳以上であること(年齢要件)
(3)素行が善良であること(素行善良要件)
(4)自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むこ とができること(独立生計要件)
(5)重国籍でないこと(国籍要件)
(6)日本国憲法を遵守し、暴力などで政府を破壊することを企てたり、主張しないこと
(憲法遵守要件)
以上(1)~(6)までが法律で定められた帰化の要件です。
また法律で定められていませんが、帰化申請の際の重要な要件として、日本語要件があります。日本国内で初等、中等教育を受けていない帰化申請者には日本語テストが課せられます。
テストがどの段階で行われるかはそれぞれの管轄の法務局により異なります。日本語テストのレベルはおよそ日本の小学校2~3年程度の国語力が求められます。ひらがな、カタカナ、漢字の読み書きが出題されます。
3.永住許可申請の要件について
どのような場合に永住許可が認められるかについて,法務省出入国在留管理庁ではガイドラインが策定・公開されています。
永住許可が認められるための条件は以下の通りとされています。
素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと、公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格において、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間ををもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないこと。
* ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。また難民認定を受けている者、補完的保護対象者の 認定を受けている者又は第三国難民の場合には、(2)に適合することを要しない。
4.帰化許可申請と永住許可申請の相違点について
永住許可申請と帰化許可申請で求められる申請要件の違いとして、帰化許可申請で求められる重国籍でないことや憲法尊重擁護義務を除けば、永住と帰化申請で求められる要件には大きな違いはないようです。
但し、帰化申請の要件として法律では規定されていませんが、日本語要件があり、帰化申請の場合、日本語が全く出来なければ帰化は通りません(正確には帰化申請を却下されます)。
永住許可申請の場合、日本語要件がないので全く日本語が話せなくても永住資格が許可される場合も考えられます。
5.帰化申請と永住許可申請のどちらの取得難易度が高いか?
帰化申請と永住許可申請と取得難易度ですが、永住資格取得申請の近年の許可率は、2021年度の統計で、東京入管で5割強、名古屋入管で約5割、約半分が不交付になっています。
帰化許可申請の許可率ですが、ここ2~3年は92~93%。数年前は95~97%で、最近やや許可率が低下しています。
許可率でみると圧倒的に永住許可申請の方が許可率が低いですが、元々帰化許可申請の場合は永住者・特別永住者からの申請が多く、元々の申請者の基準が高いこと、法務局での帰化相談の段階で帰化許可になりそうな案件だけに絞って申請していることから判断すると、必ずしも許可率が取得難易度の証明にはならないように思います。
近年の永住許可申請の傾向をみると、永住許可申請の要件として「独立生計要件」を重視しており、永住許可後、生活保護になったり何らかの社会負担にならないことを念頭においているように感じられます。
一方帰化許可申請に対しては従来と比較してそれほど傾向に変化はないようです。帰化許可申請はこの申請者に日本国籍を認めてよいか、全方位的角度から審査されるのに対して、永住許可申請は特に永住し許可後生計を維持できるかという、「独立生計要件」を重視しているようです。
申請資料についてですが、帰化許可申請は永住許可申請の約3~4倍程度の分量になります。
審査期間は永住許可申請で4~6か月程度、帰化許可申請の場合は7か月~1年程度です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、帰化許可申請・永住許可申請を取り扱っております。
帰化許可申請・永住許可申請について申請をお考えの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

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日本人パートナーに先立たれた外国人配偶者の在留資格はどうなるのか?

在留資格「日本人の配偶者等」の在留資格で日本に滞在する外国人が、在留期間中に夫と離婚や死別した場合、当該外国人の在留資格はどうなるのか?という点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
「日本人の配偶者等」の在留更新、変更許可のガイドラインについて
「行おうとする活動が申請に係わる入管法別表に掲げる入管法別表に掲げる在留資格に該当すること 申請人である外国人が行おうとする活動が、入管法別表第一に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる活動、入管法別表第二に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動」
(出入国在留管理庁ガイドライン)とあることから、原則として離婚や死別により、日本人の配偶者としての地位を失えば、日本人の配偶者としての在留資格の更新、変更許可は認められないことになります。
また入管法第22条の4第7項により、日本人又は永住者の配偶者が離婚又は死別により日本人又は永住者の配偶者としての活動を行っていない状態が6月以上続く場合は在留資格取消しの対象となります。
例えば長年日本人夫と連れ添い夫婦の間に日本人の子供がいて、その子供が日本の小学校や中学校に在学している場合でも、日本人の配偶者と離婚又は死別した外国人は日本人の配偶者としての活動が出来ないという理由で日本から退去しなければならないのでしょうか。
なお,配偶者が死亡した場合には,こちらのHPに従って必要な届出をしなければいけません。
法務省出入国在留管理局HP https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00016.html
配偶者と離婚や死別した場合、日本に引き続き在留する方法
日本人配偶者と離婚又は死別した場合の外国人の在留資格について、特別な事情を考慮して入国・在留を認めることが適当である場合、「定住者」として在留資格を認める場合があります。
定住者の在留資格については、①一定の類型の地位を定めておき、そのいずれかに該当する場合にその入国・在留を認めるもの(定住者告示第1号~第8号まである)と、②個々に活動内容を判断して、その入国・在留を認めるもの(告示外定住)があります。
日本人配偶者と離婚又は死別して日本人配偶者の立場で活動できなくなった外国人の在留資格については、②の告示外定住として判断されます。
離婚後の定住ビザ,死別後の定住ビザについてはこちらの解説もご覧ください。
「出入国在留管理庁 入国・在留審査要領」によると、日本人配偶者と離婚後引き続き日本に在留を希望する場合の許可要件について以下のように規定されています。
①生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
②日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
③公的義務を履行していること又は履行が認められること
上記の要件は日本人配偶者と離婚した元日本人配偶者の在留資格について、これらの要件を満たせば必ず「定住者」として在留資格が認められるわけではなく、最低限の許可要件を例示したものです。
日本人配偶者が死亡した後も引き続き日本に在留を希望する場合の許可要件についてですが、基本的に離婚して日本人の配偶者としての地位を失った場合と同じ許可要件です。
上記の要件を満たすことができる場合、離婚や死別して「日本人の配偶者等」の在留資格の要件を持たせなくなったとしても、「定住者」として日本に在留できる場合があります。
日本人パートナーと離婚又は死別したことで在留資格についてお悩みの時は是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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同性婚カップルの在留資格
同性婚カップルの在留資格について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
外国人同性婚カップルの在留資格は認められるか?
同性婚を法的に認めるべきか否かについて、最近日本国内で議論が盛んになってきています。海外の国々では同性婚を認めている国も多くあります。
2023年現在、196か国中37か国で同性婚が認められています。
同性婚を認める代表的な国としてアメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ、オーストラリア、台湾等があります。
日本はどうかというと現在日本では法律上同性婚を認めていません。
日本人同士、日本人と外国人の同性同士での結婚は、日本では法律上認められていないため、日本の市町村役場で同性婚者の婚姻届けが受理されません。
海外の同性婚カップルの在留資格について
海外の同性婚カップルには、「日本人の配偶者等」のようにあらかじめ法で定められた在留資格は存在していないため、在留資格認定証明書での申請が出来ません。
そこで双方の本国で同性婚が認められたカップルに日本で在留資格が認められるのかが問題となります。
入管法上「同性婚の配偶者」という在留資格は存在していないので、配偶者という身分によっては在留資格は認められませんが、「特定活動」という在留資格で同性婚者の在留資格を許可することがあります。
これは「日本人の配偶者」等と違って日本の法律で認められたものではなく、あくまで運用上認めているものです。
平成25年10月18日に法務省の担当課長から各地方入国管理局支局長あてに「同性婚の配偶者に対する入国・在留審査について」という内容で通知がなされました。
同性婚カップルの一方が適法な在留資格を取得し日本で経済的に独立した生活を営むことが可能な状態にある場合を前提として、もう一方のパートナーに在留資格を認める運用がなされています。
参考:同性パートナーの在留資格 東京弁護士会 性の平等に関する委員会
同性婚者の在留資格が認められる要件として、主に以下の3つがあります。
1.同性婚の双方の本国で法律上同性婚が正式な婚姻として認められていること。
2.呼び寄せる側のパートナーに呼び寄せる相手方を扶養できるだけの経済力があること。
3.呼び寄せる側パートナーが日本で就労が可能な在留資格を有していること。
在留資格申請の方法として、既に日本にいる一方のパートナーが日本から海外にいるパートナーを家族訪問等の短期滞在で呼び寄せます。
同性婚のパートナーを呼び寄せ後、短期滞在の在留期間内に「短期滞在」から「特定活動」に在留資格を変更します。
同性婚のカップルに認められる「特定活動」には原則として就労が認められていません。
従って日本で仕事をしたい場合は資格外就労の許可を得ることが必要です。また仕事は週28時間までしか認められません。
「特定活動」の在留資格を取得するにあたり、入管に提出する申請書類は定住者の配偶者が「定住者」の在留許可を取得するために必要な書類とほぼ同じです。
管轄の入管に短期滞在から特定活動に在留資格変更申請を行い,変更許可が認められれば「特定活動」が在留資格が与えられます。
日本が法律上同性婚を認めるようになれば、同性のパートナーの在留資格も大きく変わっていくでしょう。

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外国人が日本で起業する場合,ビザはどうなる?
外国人が日本で会社を設立して事業を開始したいときにどのような手続きが必要となるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

起業のためのビザ
定住、永住、日本人の配偶者等の身分による在留資格の場合を除き、外国人が日本国内で会社を設立して事業を始めるためには在留資格が必要です。
外国人が日本国内で起業を行い会社を設立して事業を行う際に必要となる在留資格として「経営・管理」があります。
この在留資格は事業の経営・管理業務に外国人が従事することができるようにするために設けられました。「経営・管理」の在留資格に該当する範囲として以下3つあります。
1.本邦において事業の経営を開始してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する
活動
2.本邦において既に営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に
従事する活動
3.本邦において事業の経営を行っている者(法人を含む)に代わってその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動
外国人が新たに日本で会社を設立して事業を行う場合は1に該当します。
外国人の会社設立について
日本の会社の種類として、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類があります。
合名会社、合資会社は会社の債務に対して直接無限責任を負うメンバーが必要となり、
外国人が国内で設立する会社として一般的ではなく、株式会社、合同会社のどちらかの会社の設立となるのが一般的です。
ここでは日本国内で最も数の多い株式会社の設立について「経営・管理」の在留資格取得の観点からポイントとなる点について解説します。
外国人が日本で会社を作って事業を行う場合に問題となるのが、事業所の確保と会社の設立です。
株式会社設立の場合、会社を作って事業を開始したい方が発起人となり会社設立の手続きを行います。この発起人は外国人でもなれるのかですが、発起人については国籍、住所に特に制限はなく外国に住んでいる外国人でも発起人になれます。
会社設立に際して必要な書類で発起人のサインがいる場合、海外に住んでいる発起人あてに書類を郵送してサインをしてもらうことになります。この場合発起人のサインには公的な証明として、本国でのサイン証明書等の発行が必要となります。
またそのサイン証明書が本国の言語で書かれている場合は日本語に翻訳も必要です。
以下、外国人が会社を設立して在留資格「経営・管理」を取得する際の疑問点をQ&A形式で解説します。
Q 外国人の発起人だけの場合、会社設立は可能か?
発起人の住所に関しては法令上制限がなく、外国人だけで会社設立手続きは可能です。
しかしながら発起人が資本金を払い込む際に発起人の代表者の銀行口座で払い込む必要があり、
外国人が日本の金融機関で口座を開設するには在留資格と住民票が必要です。
海外に住んでいて日本に在留資格のない外国人はそもそも日本の住民票を取得していないため、日本国内の銀行口座を開設するのは出来ず、事実上海外に住む外国人の発起人だけで会社を設立するのは困難です。
この場合は日本に銀行口座のある発起人を発記人の代表者として、その発起人の銀行口座に資本金を払い込む方法を取ることで対応できます。
外国人が在留資格「経営・管理」を取得するためには、規模の要件として常勤2名以上の雇用又は500万以上の投資を行うことが求められますが、
株式会社設立による場合は、発起人が500万円以上を資本金として払い込むことでこの要件を充足することができます。
Q 外国人は取締役に就任できるか?
海外に住む外国人は日本にある会社の役員に就任できます。
この場合に公的な機関が発行したサイン証明書と日本語翻訳文が必要な場合があります。
Q 会社事業所について
外国人が「経営・管理」の在留資格を取得して日本国内で事業を行うためには事業所が必要となり、
この事業所は居住用の賃貸マンションやアパートではなく、
事業用の事務所として独立した区画であることが求められます。
外国人が事業用としてマンション等を所有していれば別ですが、通常は事業用の部屋を借りることが一般的であり、在留資格のない外国人が果たして事業用事務所を借りることができるかが問題となります。
この場合は資本金の払込みの場合と同様既に日本に居住している発起人に事業用事務所を借りてもらうことで対応すること可能です。
以上より外国人が単独で会社設立のための資本金の払込みや事業用事務所を借りることは、日本国内のパートナーが不在の場合事実上困難ということになります。
Q 外国人が日本でのパートナーなしで日本で会社設立を行い在留資格「経営・管理」を取得するにはどのような方法があるか?
この場合,外国人創業人材受入促進事業の活用としてInvest ToKyoの活用が考えられます。
「外国人が日本で創業する場合、在留資格「経営・管理」を取得する必要があります。
この在留資格を取得するためには、①入国前に事務所の開設に加え、②常勤2名以上の雇用又は500万以上の国内での投資等の要件を満たしている必要があります。
このため外国人が国内のパートナーなしに、一人で創業することは極めて困難となっています。
しかし,東京都の特区制度では、入国時の出入国在留管理局(入管)の審査前に、東京都が事業計画等を確認することで、①、②の要件が猶予され特例的に6か月間の在留資格「経営・管理」が認められます。
Invest Tokyoは外国人の東京での創業をスムーズに行うために、東京都が独自に支援を行うものです。国家戦略特区事業として東京都が独自に行うものです。
Invest ToKyoを活用した場合の在留資格「経営・管理」新規取得の流れについて
東京都で創業を希望する外国人(申請者)がビジネスコンシェルシュ東京(BDCT)赤坂窓口に申請書類一式を提出→東京都が確認申請→審査が通れば申請者に「創業活動確認証明書」が交付される→申請者が入管に「在留資格認定証明書」交付申請を行う→審査が通れば「在留資格認定証明書」が交付される。→日本入国時に在留資格「経営・管理」(6か月)の在留カードが交付される。
→入国後の6か月で①事務所の開設、②常勤2名以上の雇用又は500万以上の国内での資本金・投資等の要件の2つを満たせば良い。
外国人起業活動促進事業には経済産業省で行うものもあります。
この場合の在留資格は特定活動(44号)となります。
外国人起業活動促進事業は東京都以外にも、富山県、京都府、愛知県、岐阜県、兵庫県、三重県、北海道等の都道府県や大阪市、浜松市、加賀市、横浜市等でも行われています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、外国人の日本国内での創業活動を希望する外国人の在留資格取得手続きを行っております。
海外に住む外国人で日本国内で事業活動をしたいがどうしていいかわからなときは是非ご相談ください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
永住許可申請について
永住資格許可申請について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

永住者の在留資格とは、在留活動に制限がなく、在留期限も制限のない在留資格であり、日本で暮らす外国人が生涯を日本に生活の本拠において暮らしていくことが想定されている在留資格です。
永住許可の要件
永住許可の要件として以下(1)から(3)までの要件があります。
(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格 (在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)
又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)
を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。
また、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。
要件について解説
(1)素行が善良であること
素行善良要件と呼ばれます。
具体的には次のいずれにも該当しない状態を指します。
(ア)日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金に処せられた事がある者。
ただし、刑の消滅の規定の適用を受ける者又は執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを受けることなく当該執行猶予の期間を経過し、
その後更に5年を経過したときは、これに該当しないものとして扱う。
(イ)少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号又は第3号)が継続中の者。
(ウ)日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者。
(ア)(イ)(ウ)ともに普通に生活していれば特に問題になることはないでしょう。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
独立生計要件といいます。
生活保護を受給しておらず、現在及び将来においていわゆる自活をすることが可能な状態であることです。
独立生計要件は必ずしも申請人自身が具備している必要はなく、申請人が配偶者等とともに構成する世帯単位で見た場合に安定した生活を続けることが出来ると認められる場合には、これに適合するものとして扱います。
申請人及び申請人の扶養者の所得及び納税状況を証明する資料が求められます。
住民税の納付状況を明らかにする資料として住民税の課税(非課税)証明書及び納税証明書が必須の提出書類となります。
・日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子は直近3年分
・日本人、永住者及び特別永住者の実子の場合は、直近1年分
・「定住者」就労資格又は「家族滞在」の場合直近5年分の申請人及び申請人の扶養者の所得及び納税状況を証明する資料が必要です。
納税については滞納がないことが必要です。
収入について
同一世帯で共働きの場合、申請人の夫又は妻の収入もカウントされます。
永住申請手続きでの最近の取り扱いとして、近年永住審査における申請人の収入の判断基準が上がってきており、収入の基準として日本人の平均年収程度まで求められるようです(出入国在留管理局ごとで基準に差があるかもしれません)。
最近の永住審査では税金の滞納や社会保険の支払いは当然のこととして、特に申請人の収入を大変重要視しているように感じます。
総じて永住許可のハードルが年々上昇しているのは間違いありません。
社会保険の加入については、直近2年分の社会保険の加入履歴が求められます。
ただし、日本人、永住者又は特別永住者の実子又は特別養子に該当する人は直近1年間です。注意すべき点として社会保険加入について、
直近2年間の社会保険加入確認対象期間において、途中未納があるのに永住申請をした場合に、新たに未納した分を追納しても有効にはならず、
追納が完了したのちの新たな確認対象期間で未納がない状態を証明する必要があります。要するに1からやり直しということですね。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。
但しこの期間のうち就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
原則10年の特例として
(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。
その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3)難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4)~(7)
イ について特に解説はありません。
ウ について現在最長の在留期間は5年ですが、3年の在留期間でも永住申請ができるように運用されています。
最近の永住申請において注意すべきことについて
近年永住許可の取得が困難になっており、特に独立生計独立要件の審査が厳しくなってきています。この中でも収入要件のハードルが上がっています。
税金の滞納がないことはもとより社会保険(国民年金及び厚生年金・健康保険及び国民健康保険)は加入は義務とされ、
永住申請の場合は直近2年分の支払い納付状況について完納していることが求められるので、直近2年間で未納期間がある場合は、完納してから永住申請しましょう。
できるだけ収入を増やすことも永住審査においては重要なポイントとなります。
以上、あいち刑事事件総合法律事務所が永住許可申請について解説しました。
永住許可に関しては出入国管理局が公表しているガイドライン(リンクはこちらから)もありますので,そちらも参考にしてください。
永住許可申請についてご不安なことや分からないことがある方は,こちらからお問い合わせください。

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