弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「永住者の配偶者等」について解説します。
1.ケース紹介
Y国籍のAさんは、10年前に同じY国籍のBさんとY国で結婚しました。2人の間に子(X1)がいます。7年前に夫のBさんが病気で亡くなり母国で独身生活を過ごしていました。
4年前に婚活サイトで日本に在住する永住者のCさんと知り合いました。3年前にCさんと再婚するために子(X1)と来日しました。来日後Cさんとの間に子どもが2人(X2,X3)出来ました。
最近Aさんは夫のBさんとの関係がうまくいっておらずAさんはBさんと離婚を考えています。Aさんは夫のBさんと離婚した場合、Aさんと3人の子(X1,2,3)の在留資格はどうなるのでしょうか。
①在留資格「永住者の配偶者等」
日本において有する身分又は地位:「永住者等の配偶者又は永住者等の子として日本で出生しその後も引き続き日本に在留している者。」
②「配偶者」とは法律上有効な婚姻状態にある配偶者を指します。内縁の配偶者は含まれません。現に婚姻中であることを指すので、死亡した配偶者及び離婚した配偶者は該当しません。
また、永住者との婚姻関係により永住者の配偶者等と当該外国人が法律上有効な婚姻状態にあるという形式的要件の他に、夫婦として互いに協力し扶助しあって社会観念上の共同生活を営むという婚姻の実体を伴うものでなければなりません。
③「子として出生」とは、実子のみ(嫡出子・認知された非嫡出子)です。特別養子及び養子は含まれません。
出生の時に父又は母が永住者であるとき又は出生の前に死亡した父が死亡の時に永住者又は特別永住者であった時が該当します。
なお、本人の出生後、死去や犯罪での実刑判決等による父及び母の永住者の在留資格や特別永住者の地位の喪失は,「永住者の子として出生」という事実に影響を与えません。
「本邦で出生し、その後引き続いて日本に在留している」ことが必要で、海外で出生しその後日本に入国した者は、本件在留資格に該当しません。
これらの者は「定住者」の在留資格に該当します。
2.ケース分析(Aさんと子(X1,X2,X3)の在留資格)
①離婚前のAさんと子(X1,X2,X3)の在留資格について
Aさんは子ども(X1)を連れて3年前に来日、日本に住んでいる永住者Bと結婚して、その後永住者Bさんとの間に子ども(X2,X3)が生まれました。
Aさんの在留資格は永住者であるBさんと結婚したことにより、「永住者の配偶者等」になります。
Aさんの連れ子X1は、「定住者告示第6号二」により「日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未婚の実子」として「定住者」となります。Aさんと永住者Bさんとの間に生まれた子(X2,X3)は「永住者の配偶者等」になります。
②離婚後のAさんと子(X1,X2,X3)の在留資格について
子(X2,X3)の在留資格は1③のとおり両親の在留資格に影響されず「永住者の配偶者等」のままとなります。
ここで問題となるのは元々母の連れ子の立場で在留資格が認められた子X1と離婚した母の在留資格が母の離婚によりどうなるかということです。Aさんが永住者の夫Bさんと離婚したときは、Aさんは「永住者の配偶者」としての身分を失いそのままでは在留資格がなくなります。
AさんがBさんと離婚後引き続き日本に滞在するためには「永住者の配偶者等」から他の在留資格に在留資格変更手続きを行う必要があります。
このような場合に想定されている在留資格として、定住者告示に定めがないもの(告示外定住)に含まれる「離婚定住」と呼ばれるものがあります。
「離婚定住」とは「日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚後引き続き日本に在留を希望する者」に該当する「定住者」資格です。
告示外なので活動内容が事前に決められおらず、個別案件ごとに審査されます。
「離婚定住」の許可要件として
1.おおむね日本での3年以上の婚姻期間
2.生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、
3.日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことができることが困難となるものでないこと
4.公的義務(納税・社会保険・国税等の支払い)を履行していること
Aさんの子X1の在留資格についてはX1の実母であるAさんが「定住者」資格を取得することにより、「定住者告示第6号二」によりこれまで同様「定住者」の在留資格となります。
*「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となる者ではない」とは、
申請書の記載や面接において、申請人との意思の疎通が可能であればよく、特定の日本語の試験に合格していることまでは求められません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「永住者配偶者等」を取り扱っております。
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