オーバーステイ,不法残留とは何か

「オーバーステイ」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がQ&A方式で解説します。

Q そもそもオーバーステイとはどのようなものですか?

A オーバーステイとは直訳すると超過滞在という意味です。出入国在留管理上正当な理由がないのにもかかわらず在留期限を経過して本邦(日本)に滞在している状態をいいます。
法務省、外務省、警察等の行政官署ではオーバーステイは「不法滞在」として扱われています。「不法滞在」には①不法入国(他人名義でのパスポート使用による不正入国等)
②超過滞在(短期滞在や技能実習など正規の在留資格で来日した後、在留資格更新や在留資格変更手続きを経ずに在留期間を経過したのちも在留すること)の2種類があります。

Q ここでいう「非正規滞在者」とはそもそも誰のことですか?

オーバーステイの状態にある人を「不法滞在者」と呼ばずに「非正規滞在者」と呼びましょう、という主張が一部学者やNPO団体等から提起されています。

A 一部の学者やNPO団体から在留資格がないまま日本に滞在している人たちを「不法滞在者」と呼ばずに「非正規滞在者」と呼びましょう。という見解があります。
なぜ「不法滞在」ではなく「非正規滞在」と呼ぶ必要があるのかについて、以下の理由があげられています。
「日本には2023年時点で約7万人の非正規滞在移民がいます。非正規滞在とは、入国管理法に定められた在留資格を持たない外国人が日本に留まることを指します。これは確かに法律には違反していますが、法律の方がグローバル化した現代社会に適合していないがゆえの現象と考えるべきです。」
(上智大学 グローバル化する日本における非正規滞在移民があぶりだす制度の矛盾とはhttp://www.sophia,ac.jp/ 一部抜粋)
令和6年1月1日現在、政府が公表している「不法滞在者」は79,113人います。
*なお日本の政府機関は在留資格を持たない外国人を「非正規滞在者」ではなく「不法滞在者」の呼称で統一しており、ここでは「非正規滞在者」ではなく「不法滞在者」の表現で統一します。

日本での「不法滞在者」内訳は、短期滞在からの不法滞在が49,801人、技能実習からの不法滞在が11,210人、特定活動からの不法滞在が8,189人、留学からの不法滞在が2,288人、日本人の配偶者からの不法滞在が1,880人,その他が5,745人(これらの在留資格に該当しないもの)で合計79,113人となっています。

「特定活動」からの不法滞在が8,189人となっていますが、これは「難民認定交付申請」で不交付となったが、難民申請不認定となって在留資格が認められなくなったにもかかわらず、母国に帰国せずに仮放免等で日本に残っている人たちと推測されます。
日本にいる「不法滞在者」全体の約93%は正規の在留資格を持って来日後になんらかの事情により在留期間を経過したもので、いわゆるオーバーステイ(超過滞在)といわれるものに該当します。
日本における不法滞在者の内訳をみると、本当に「法律のほうがグローバル化した現代社会に適合していないがゆえに」だけの理由で不法滞在者が発生しているのか検討の余地はあるでしょう。

Q3 そもそも「非正規滞在」の何が悪いのですか?なぜ悪いことをしていないのに逮捕されたり、入管施設に収容されたりするのですか?

A 「オーバーステイは非正規滞在者だ。一体それのどこが悪いのか」という相談を受けることがあります。
「正当な理由がなく在留資格を得ないまま日本に滞在することの一体どこに問題があるのか。「非正規滞在者」でいることは別に人を傷つけたり、物を盗んでいるわけではないのだから何ら問題はないではないか。」という見解ですが、確かに不法入国や不法滞在は殺人罪や傷害罪のように人を殺したり、
人を傷つけたりする行為ではなく、被害者がそもそも誰なのか、何が悪いのかよく分からないところがあり、不法滞在や不法就労が悪いこと(違法)であると認識するのは難しい部分があるのは事実だと思います。

不法入国者・超過滞在者はなぜ処罰を受けるのか?ということですが、不法入国・不法滞在が「入国管理の適正な運営」という国家的法益に対する侵害行為とみなされ処罰されます。
人の生命・身体・財産等を不正な侵害から保護すべき利益(個人的法益)があるのと同じように、国家にも不正な侵害から保護されるべき利益(国家的法益)が存在します。
日本の出入国在留管理行政においては「入国管理の適正な運営」が国家的法益として保護すべき対象となっています。
不法入国や不法滞在が我が国の「入国管理の適正な運営」を侵害する行為として裁判所で違法と判断され刑事罰を受けることがあります。

*入管法第70条各号で不法入国・不法滞在等での罰則が規定されており、不法入国、不法滞在いずれも「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する」となっています。オーバーステイ(超過滞在)状態での期間によってはオーバーステイ(超過滞在)の事実だけでも起訴され、有罪判決を受ける場合があります。超過滞在の期間が長ければ長いほど違法性が高いと判断される傾向です。

あいち刑事事件総合法律事務所では不法滞在からの在留許可申請業務を扱っています。不法入国・オーバーステイ(超過滞在)により在留資格がないことでお悩みの方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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