外国籍の子が日本国籍を取得する方法について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

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国籍取得のための方法
日本に在留する外国人が日本国籍を取得する方法には、1出生 2届出 3帰化の3つの方法があります。
国籍取得に関しては国籍法に定めがあり、出生による取得に関しては国籍法2条、届出による取得は国籍法3条・17条、帰化による取得は国籍法4条~9条にそれぞれ規定されています。
出生によって国籍を取得する場合
外国籍の子が出生により日本国籍を取得する方法として、国籍法2条では以下のように定めています。
(出生による国籍の取得)
第二条 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
二 出生前に死亡した父がした父が死亡の時に日本国民であったとき
三 日本で生まれた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しない
とき
【条文解説】
一項、二項は父母両系血統主義、三項で補充的に生地主義を取り入れています。
国籍法二条でいう「父」又は「母」とは、子の出生の時に、子と法律上の親子関係がある父又は母をいいます(嫡出子)。
従って、法律上の親子関係にない父又は母から生まれた子(非嫡出子)の場合については適用がなく、
母の胎内にいる間に「父」又は「母」から認知されている場合は出生によって日本国籍を取得しますが、
出生後に「父」又は「母」から認知された場合は、出生の時に法律上の親子関係があったことにはなりませんので、出生により日本国籍を取得することはありません。
認知する場合
次に認知について解説します。
1.認知の【届出条件】として
(1)日本人の父が嫡出でない子の真実の父であり、自己の意思によって届出をすること
(2)子の出生時、母が独身であったこと
注:「嫡出でない子」とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子を「嫡出でない子」といいます。
なお、母親が婚姻中に懐胎した子は婚姻関係にある夫の子と推定されます(民法772条)。認知の【届出人】は、認知する日本人父本人(代理人不可)です。
2.外国籍である未婚の母から生まれた子は母親の国籍のみ取得します。
子の国籍取得は国籍法第三条による届出による国籍取得となります。
また子の認知の際、認知に関する法の適用において、父の本国法(国籍法)と子の本国法のどちらかが適用されるかが問題となりますが、
この場合にどちらの法を適用するかについては、法の適用に関する通則法第二十九条で定められています。
法の適用に関する通則法
(嫡出でない子の親子関係の成立)
第二十九条 嫡出でない子の親子関係の成立は、父との間の親子関係については子の出生当時における父の本国法により、母との間の親子関係についてはその当時における母の本国法による。この場合において、子の認知による親子関係の成立については、認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件も備えなければならない。
2 子の認知は、前項前段の規定により適用すべき法によるほか、認知の当時における認知する者又は子の本国法による。この場合において、認知する者の本国法によるときは、同項後段の規定を準用する。
【条文解説】
嫡出でない子と父との親子関係の成立は、「父の本国法」すなわち国籍法により判断され、子との親子関係については子の本国法により判断されます。
認知の当時における子の本国法によればその子又は第三者の承諾又は同意があることが認知の要件であるときは、その要件も必要となります。
国籍法二条一項、二項、三項に該当しない場合、例えば出生の時に両親が婚姻状態にない間柄から生まれた子のような場合は、出生による国籍取得の場合にあたりません。
このような場合は、国籍法三条による届出による国籍取得となります。
(認知された子の国籍の取得)
第三条 父または母が認知した子で十八際未満のもの(日本国民であった者を除く。)は、認知をした父または母が子の出生の時に日本国民であった場合において、その父又は母が日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であったときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。
【条文解説】
出生による国籍取得には年齢制限があり、認知の時で十八歳未満に限られています。
十八歳以上になると国籍法三条による届出による国籍取得は出来ません。
この場合は届出による国籍取得ではなく、国籍法4条~9条に定めにあるように帰化により
国籍取得を図ることになります。
帰化の手続きについてはこちらで解説しています。
以上のように外国人の子が日本国籍を取得するには大変複雑で困難な手続きとなります。
外国人の子の日本国籍を取得したい場合、専門家である弁護士・行政書士のサポートを得ることは、子の日本国籍取得の可能性を高めるうえで大変有効です。
外国人の子の日本国籍取得をお考えの際は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお任せください。