「外国人技能実習制度に代わる新制度」について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が紹介します。
現在、有識者会議で検討される方向性としては、技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討するべきであるとしています。
直近の報道においても,技能実習制度について関連する法案が国会に提出される予定です。
人材確保という目的は特定技能に即しており、人材育成という目的は技能実習制度に即しているので、技能実習制度に変わる新制度は、特定技能と技能実習制度を合体させたような制度というイメージです。
技能実習制度と廃止後の新制度をわかりやすく、以下のように比較しました。
なお,現在の技能実習制度についてはこちらでも解説をしています。
① 制度の目的
技能実習制度については人材育成を通じた国際貢献であるのに対して、新制度では人材育成プラスα人材確保をも目的とします。
② 対応している職種
技能実習制度については特定技能と不一致(特定技能より幅広い)であるのに対して、新制度では特定技能の12職種に合わせることを想定されています。
③ 受入れる外国人の人数設定
技能実習制度については人数設定のプロセスが不透明であるのに対して、新制度では人数設定のプロセスを透明化する(〇年間で○○人の受入れといった制度上の受入れ人数設定のこと)ことを想定されています。
④ 外国人の転職の可否
技能実習制度については原則として外国人は転職できないのに対して、新制度では技能実習制度に比べて転職しやすくするようですが、詳細は未定(日本人のように完全に自由な転職はできない)となっています。
⑤ 管理監督や外国人への支援
技能実習制度については不十分な実情であるのに対して、新制度では監理団体や登録支援機関の要件を厳格化し、技能実習制度で不十分だった点を改善することを想定されています。
⑥ 日本語能力の向上施策
技能実習制度については、特に外国人の日本語能力の水準を設定していないため入国直後は日本語を話せない外国人も多いのに対して、新制度では企業での就労開始前に、一定の日本語能力を求めることを想定されています。また、就労開始後は日本語能力が上がるような仕組みを制度として設けられる予定です。
技能実習生制度の廃止は現時点では、未だ確定ではありませんが、2023年秋頃に有識者会議にて最終報告を政府に提出し、早ければ2024年の通常国会に関連法案が提出される可能性があります。
このように、技能実習制度については今後大きな変更があることが予想されており、現在技能実習生を受け入れている企業にとっても関心の高いトピックであるといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所としても、今後の動向に注目したいと思います。