上陸拒否の特例

上陸拒否の特例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.上陸拒否の特例とはなにか。

一定の類型の上陸拒否事由に該当する(出入国管理及び難民認定法第5条に列挙されています)者であったとしても、法務大臣が再入国の許可を与えた場合その他法務省令で定める場合において、相当と認めたときは、当該違反事由のみによっては上陸を拒否しない(他に違反事由がなければ日本への上陸を認める)ことができます。

この特例を上陸拒否の特例といいます(出入国管理及び難民認定法第5条2項)。
たとえ上陸拒否に該当する者であっても上陸を認めるだけの相当の理由がある場合は、日本への上陸を希望する当該外国人の上陸を認められる場合があるということを定めたものです。

2.上陸拒否事由とは?

上陸拒否事由とは、入管法第5条に規定される事由で、外国人が当該事由のいずれかに該当する場合は、上陸拒否の対象となります。
各主権国家が、その国家にとって 好ましからざる外国人の入国を禁じ又は適当と認める条件を具備する外国人のみの入国を許可する権限を有することは国際法上確立した原則であり、我が国でも、公衆 衛生、公の秩序、国内の治安等が害されるおそれがあると認める外国人について、上陸拒否事由に該当する場合は上陸を拒否することとしています。

3.上陸拒否の対象となる人

過去に不法残留等を理由に退去強制された者や出国命令を受けて出国した者は、一定期間、我が国に上陸することはできません。上陸拒否期間は下記のとおりです。
① 退去強制された者で、その退去の日前に退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことがないものの上陸拒否期間は、退去強制された日から5年
② 退去強制された者で、その退去の日前に退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことがあるものの上陸拒否期間は、退去強制された日から10年
③ 出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は、出国した日から1年
④ 日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた場合等の上陸拒否期間は無期限となります。

4.上陸特別許可の特例の申請と申請書類

上陸拒否事由に該当する外国人が、日本に上陸を希望する場合、在留資格認定証明書の交付申請により在留許可申請を行います。
管轄の地方出入国在留管理局への申請により審査が行われることとなりますが、審査の結果とし て同証明書が交付され、在外公館において有効な査証を取得した場合は、当該外国人が我が国の出入国港で上陸申請を行った際に、当該上陸拒否事由に該当すること以外に上陸の条件に適合しないものがなければ、上陸特別許可の手続を経ずに上陸を認められることとなります。

5.実際に上陸特別許可を受けた事例の紹介

出入国在留管理庁からから出ている上陸特別許可事例によると、退去強制後の日本人配偶者との婚姻による場合に上陸特別許可が出ているケースが見られます。
日本国内で何らかの犯罪を行った結果、1年以上の有罪判決を受けて無期限上陸拒否となったケースで上陸特別許可が認められたケースもありますが、いずれも執行猶予がついている事例であり、実刑判決を受けて帰国してから上陸特別許可で認められた事例はこれまでのところ見当たりません。

6.上陸特別許可の重要性と専門家のアドバイス

上陸特別許可(上陸拒否の特例)は、出入国管理及び難民認定法の規定によると、上陸拒否に該当する外国人が日本への上陸を希望する場合、

原則として上陸を認めない、

例外として上陸を認める「相当の理由」が認められる場合に上陸を認める場合がある

というように通常の在留許可申請と違い「原則」と「例外」が逆転しており、上陸特別許可を認めてもらうには申請側が上陸を認めてもらうに足りる「相当の理由」を証拠となる根拠となる資料とともに立証していく必要があります。

現実には上陸特別許可での在留資格の取得は大変難しい状況となっており、上陸特別許可の申請には大変高度な書類作成能力と事案の判断分析能力が必要となります。
上陸特別許可の申請を考えている方は、可能であれば入管業務を専門に取り扱う弁護士・行政書士のアドバイスを受けてみることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、上陸特別許可の案件で在留許可を獲得した実績があります。                
上陸拒否を受けていて日本への上陸が認められずお困りの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所入管部門までお問合せください。

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