一度限りで在留特別許可?報道記事を解説

「令和6年6月10日に施行された改正入管法に伴う今回限りの在留特別許可について」あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

まずはこちらの参考報道をご覧ください。

子ども212人、在留特別許可 人道上配慮で日本生まれ外国人に(共同通信) Yahoo!ニュース 9/27(金)12:03 

出入国在留管理庁は27日、在留資格がなく強制送還の対象となり得る18歳未満の外国籍の子ども212人とその家族183人に、法相の裁量で例外的に在留を認める「在留特別許可」を付与したと発表した。
日本で生まれ、学校に通っている児童・生徒で、親に犯罪歴がない場合などは、人道上の配慮から今回に限って特例的に家族を含めて付与する方針を示していた。
入管庁によると、改正入管難民法が施行された今年6月10日までの時点で対象の子どもは263人いて、このうち212人に付与。11人が自らの意思で帰国し、40人が親に不法入国といった犯罪歴があることや、就学年齢に達していないなどの理由で付与されなかった。
212人の在留資格の内訳は、「留学」が155人で、「特定活動」が29人、「定住者」が23人など。不法残留などで退去を求められても帰国を拒む外国人の中には、日本の学校で学び、日本語しか話せない子どもも多い。国会審議などで人道的配慮を求める声が上がり、斎藤健前法相が昨年8月、家族も含めて付与する方針を表明した。

こちらの記事をもとに解説をします。

令和5年6月9日、出入国管理及び入管改正法が抜本的に改正され、令和6年6月10日に施行されました。
改正の重要な目的の一つとして送還忌避者の問題解決がありました。
新しい入管法では,「送還停止効の例外規定」というものが設けられています。

「送還停止効の例外規定」とは、退去強制処分を受けている者でも難民申請をしている間は送還が一時的に停止されるという規定です。

新しい入管法ではこの規定に例外を設け、①3回目以降の難民申請者、②3年以上の実刑前科者、③テロリスト等は難民等と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出しなければ、強制送還の一時停止効を認めないというものです。

送還忌避問題と関連して、政府は令和6年6月10日 施行の出入国管理及び難民認定法の改正に伴う送還忌避者の一部に今回限りの在留特別許可を実施しました。
在留特別許可の対象となったのは、日本で不法滞在の状況にある日本で生まれ学校に通っている外国籍の子とその家族合わせて212人、その内訳は「留学」が155人、「特定活動」が29人、「定住者」が23人でした。
「留学」の155人は日本の小学校、中学校等に通学する外国籍の児童が対象となり、「特定活動」29人と「定住者」23人は主に学校に通っている児童の家族に許可されました。

今回の在留特別許可の実施については、出入国管理及び難民認定法改正と関連して以下のような事情がありました。
令和4年12月末時点で、在留資格のない送還忌避者4,233人のうち本邦で出生した子どもは201人いました。現行法上、法務大臣の裁量的判断により、在留特別許可は可能であることから養育する親に在留を特別に許可する事情がない場合には、基本的に子どもにも在留特別許可を認めていませんでした。

そこで子どもと親を家族一体として扱い子どもと親に在留を特別に許可する事となりました。
令和5年6月9日に改正された入管法改正法により、庇護すべき者は適切に庇護する一方、送還すべき者はより迅速に送還することが可能になる結果、今後は在留資格のないまま在留が長期化する子どもの増加を抑止することが可能となりました。

(送還停止効の例外規定の実施により、難民であることについて相当の理由がある資料 を提出できない難民申請者を速やかに帰国させるため) 既に在留が長期化した子どもに対して、現行法で迅速な送還を実現することができなかったことを考慮して今回限りの特例措置として、家族一体として在留特別許可をして在留資格を与える方向で検討をしました。
在留特別許可の対象は、改正法施行時までに、本邦で出生して小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き本邦で生活 をしていくことを真に希望している子どもとその家族です。ただし、在留特別許可は親に看過し難い消極事情がある場合を除かれます。
(注1)看過し難い消極事情とは、①不法入国・不法上陸、②偽造在留カード行使や偽装結婚等の出入国在留管理 行政の根幹に関わる違反、③薬物使用や売春等の反社会性の高い違反、④懲役1年超の実刑、⑤複数回の前科を有していることを想定しています。

(注2)看過し難い消極事情があっても、個別の事案ごとに諸般の事情を総合考慮して在留特別許可をする場合もあり得ます。

本方針により、本邦で生まれ育った在留資格のない子ども201人のうち、自らの意思で帰国した者を除き、少なくとも7割、就学年齢に達している子どもの8割程度に在留特別許可をすることが見込まれます。

今回行われた日本で生まれ在留資格のない子どもに対する在留特別許可は、あくまで今回限りの特別措置であり、次回以降、在留資格のない子どもの在留特別許可は個別に審査されることになります。

あいち刑事事件総合法律事務所では、在留資格のない子どもの在留特別許可を扱っています。お子様の在留資格でお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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