定住者の「素行善良要件」とは何か

定住者の「素行善良要件」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

在留資格「定住者」を取得又は更新する際に重要な審査要件一つが「素行善良要件」です。
この記事では、「素行善良要件」が具体的にどのようなものなのか、そしてそれがどのように在留資格に影響するのかを事例を交えて詳しく解説します。

定住者の在留資格とは?

定住者の在留資格は、日本で安定して長期間滞在するための資格の一つです。
この資格にはいくつかの種類があり、それぞれに独自の要件が設定されています。
例えば、日系3世やその配偶者、日本人の子として出生した者の実子などが対象となる場合(告示定住),日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚後引き続き日本に在留を希望する者が対象となる場合があります。(告示外定住)
定住者の在留資格を取得又は変更・更新するためには、いくつかの審査要件をクリアする必要があります。
その中でも重要なのが「素行善良要件」です。

「素行善良要件」とは何か?

素行善良要件」とは、在留資格「定住者」を取得又は変更・更新する際の審査要件の一つです。
具体的には、以下のような状況が該当します。

日本国または他の国の法令に違反して、懲役、禁錮、罰金などに処せられたことがない。
少年法による保護処分が継続中でない。
日常生活や社会生活で、違法行為や風紀を乱す行為を繰り返していない。
他人に不正な行為を行ったり、不法就労のあっせんを行っていない。

つまり,法律や社会規範に反するような言動が無いことを言います。

この「素行善良要件」が満たされていないと、定住者の取得又は変更・更新が認められない可能性が高くなります。

素行善良要件の審査基準

素行善良要件の審査には、出入国在留管理局が設定したガイドラインがあります。
このガイドラインに基づき、以下のような点が評価されます。

過去の犯罪歴: 日本国内外での法令違反が評価されます。
現在の生活状況: 違法行為があるかどうか。

審査はケースバイケースで行われるため、一概には言えませんが、上記のような点が総合的に評価されます。

参考:出入国管理局 在留資格の変更,更新時のガイドライン

以下の事例で素行善良性について考えてみましょう。

事例1:スピード違反での逮捕・起訴

スピード違反で逮捕・起訴された場合、この場合は「素行善良要件」に大きな影響を与える可能性があります。
特に、逮捕・起訴が繰り返されると、その都度、在留資格の取得や更新が困難になる可能性が高まります。
逮捕・起訴された場合、以下のような影響が考えられます。
在留資格の取得: 新規で在留資格を取得する際、素行善良要件を満たしていないと判断される可能性が高くなります。
在留資格の変更・更新: 既に在留資格を持っている場合でも、更新時に再度審査が行われ、素行善良要件を満たしていないと判断されると、更新が認められない可能性があります。
このような状況を避けるためには、法令を遵守し、交通ルールを遵守し交通違反で検挙されないよう注意を払う必要があります。

事例2:スピード違反での反則金

スピード違反で反則金を支払った場合でも、これが「素行善良要件」に影響を与える可能性があります。
ただし、反則金の場合は逮捕・起訴されるケースよりも影響は軽微であることが多いです。
具体的な影響は以下の通りです。
在留資格の取得: 反則金を支払った場合でも、その他の素行善良要件がしっかりと満たされていれば、新規での在留資格取得は可能です。
在留資格の変更・更新: 既に在留資格を持っている場合、反則金の支払いが一度か二度程度であれば、更新時の審査に大きな影響はないとされています。
しかし、反則金の支払いが繰り返されると、その都度「素行善良要件」の審査で不利に働く可能性があります。

素行善良要件」は、定住者の在留資格を取得または変更・更新する際に非常に重要な要素です。
事例を交えて説明しましたが、スピード違反などの法令違反を繰り返すと、この要件を満たしていないと判断される可能性が高くなります。
特に逮捕・起訴された場合や反則金の支払いが繰り返されると、在留資格の取得や変更・更新が困難になる可能性があります。
普段の生活では法令を遵守し、社会的に非難されるような行為を避けることが重要です。

「定住者」の在留資格について取得,変更,更新にお困りのことがある方は,こちらからお問い合わせください。

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