在留特別許可のガイドラインの改正について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、令和6年3月に改定され,同年6月10日から施行されたについて解説します。

1.ガイドライン

令和6年3月に在留特別許可のガイドラインが変更になり、同年6月10日に入管法50条に創設された在留特別許可の申請手続きが施行されました。
そもそも在留特別許可とは何かというと、外国人が退去強制対象者に該当する場合でも、以下の(1)~(5)のいずれかに該当する場合は、法務大臣は在留を特別に許可することができます。
この法務大臣による特別な許可を在留特別許可といいます。

(1)永住許可を受けているとき
(2)かって日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
(3)人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に在留するとき
(4)難民の認定又は補完的保護の対象者の認定をうけているとき
(5)その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認められるとき

ただし、当該外国人が、無期若しくは一年を超える実刑に処せられるなど一定の前科を有する者又は一定の退去強制事由に該当する者である場合は、在留特別許可をしないことが人道上の配慮にかけると認められる「特別の事情」がない限り、在留特別許可は認められません。
ここでの「特別な事情」とは、本邦で疾病の治療を受けている者で、相当な期間本邦で治療を受けなければ生命に危険が及ぶ具体的なおそれがあることなど、在留を許可しないことが人道的見地からみて明らかに適切ではないとき認められる事情をいいます。      

2.在留特別許可の性質

退去強制されるべき外国人について例外的・恩恵的に行われる措置であり、その判断は、法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられます。
在留特別許可をするかどうかは、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断されます。

3.ガイドラインの内容

令和6年3月に在留特別許可のガイドラインが改定され、在留特別許可を認めるかどうかについていかなる事情が有利(積極要素)または不利な事情(消極要素)として認められるかが明示されました。以下どのような場合が積極要素となり、どのような事例が消極要素となるのかについて、解説していきます。

(1)在留許可の判断において有利(積極要素)となるものとして子の家族関係・家族とともに生活するという子の利益から積極的要素として認められるもの。
特に考慮する要素として、日本人又は特別永住者との家族関係
・当該外国人(在留特別許可を求める者)が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子であること
当該外国人が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子を扶養している場合であって、
次のいずれにも当てはまること。
・当該実子が未成年かつ未婚であること、又は成年である者の身体的若しくは精神的障害により監護を要すること。
・当該実子と実際に相当期間同居し、当該実子を監護又は養育していること。
・当該外国人(在留特別許可を求める者)が、入管法別表第二に掲げる在留資格で在留している者「永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」の扶養を受けている未成年かつ未婚の実子であること
・当該外国人が「永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」の実子をを扶養している場合であって、前記(1)の①及び②のいずれにも該当すること
・当該外国人が「永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」と法的に婚姻している場合であって、夫婦として相当長期間共同生活をし、お互いに助け合って生活していて夫婦の間に子供がいるなど婚姻が安定かつ成熟していること。

(2)素行について、積極要素として認められるもの
・当該外国人が日本の小中学校、高等学校で相当期間教育を受けているなどの事情により、現に相当程度に地域社会との関係が構築されていること、将来の仕事先が決まっていて雇用主等の第三者による支援が得られること、地域社会に溶け込み貢献している等の事情があること。
・当該外国人が、社会、経済、文化等の各分野において、日本に貢献し不可欠や役割を担っていること

(3)日本に入国することになった経緯において積極要素としてみとめられるもの
・入国のいきさつで人道上の配慮の必要性が認められる場合
特に有利となる積極要素として認められるもの
・当該外国人が、インドシナ難民、第三国定住難民、中国残留邦人であること。
・当該外国人が、難病等により日本での治療を必要としていること、またこのような治療を必要とする親族が日本にいて監護することが必要と認められること
・当該外国人が、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けていなくても、出身国での情勢不安に照らして、当該外国人が帰国困難な状況にあることが客観的にあること
・当該外国人が、いずれの国籍又は市民権も有しておらず、入管法で定めたいずれの国ににも送還できないこと。

(4)人道上の配慮の必要性から特に考慮する積極要素としてみとめられるもの
・当該外国人が、難病等により日本での治療を必要としていること、またこのような治療を必要とする親族が日本にいて監護することが必要と認められること
・当該外国人が、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けていなくても、出身国での情勢不安に照らして、当該外国人が帰国困難な状況にあることが客観的にあること
・当該外国人が、いずれの国籍又は市民権も有しておらず、入管法で定めたいずれの国ににも送還できないこと。

4.特に在留特別許可が認められなく方向になる消極的要素

(1)当該外国人が以下に掲げるような出入国管理行政の根幹に関わる違反又は反社会性の高い違反に及んだことがあること
・集団密航への関与や、他の外国人の不法入国を容易にする行為等を行ったことがあること。
・他の外国人の不法就労や、在留資格の偽装に関わる行為等をおこなったことがあること。
・在留カード等公的書類の偽変造や不正受交付、偽変造された在留カード等の行使、所持等を行ったこと
・自ら売春を行い、あるいは他人に売春を行わせるなど、日本の社会秩序を著しく乱す行為。
・当該外国人が、反社会的勢力であること他、消極的要素として判断されるものとして
・不法滞在の期間が長期に及んでいること

5.積極要素及び消極要素の考慮の在り方

在留特別許可の拒否の判断においては、個々の事案ごとに当該外国人の申立ての内容だけでなく、具体的根拠の有無や客観的な事情も考慮した結果、各考慮事情に認められる積極要素及び消極要素を総合的に勘案して、積極要素として考慮すべき事情が消極要素として考慮すべき事情を明らかに上回る場合には在留特別許可をする方向で検討されます。

以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和6年3月に改定された在留特別許可のガイドラインについて解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在留特別許可申請を取り扱っています。
在留特別許可についてのご検討の際は、是非こちらから弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

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