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刑事・行政処分後の在留資格

在留期間中に刑事処分や行政処分を受けた場合、その後の在留手続きはどうなるのか?弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が1から5までのケースに分けて解説します。
1.在留期間中に刑事事件をおこして無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたケース
このケースでは、在留期間中に刑務所で服役することになります。服役期間中に在留期間が経過すると在留資格はなくなります。
服役中に入管審査官が退去強制手続きを進めることがあります。
どのような場合に退去強制(強制送還)となるのか,また,それはどのような手続きで進むのかは,出入国管理及び難民認定法に規定があります。
刑期満了又は仮釈放後は日本人のように刑務所から外に出られるわけではなく、刑務所から出入国在留管理署(以下入管)内にある入管収容施設に直接移送され収容されます。
収容令書により入管収容施設に収容されたまま退去強制手続きが進行します。
入管収容施設に収容される期間は原則として30日以内であり、収容されてから30日以内に被収容者に対して退去強制処分を出すか否かが決定されます。
被収容者に退去強制処分が出された場合、被収容者がどうしても帰国できない事情があって日本に在留したい場合は、入管の担当部署に在留許可申請(再審情願)を行います。
入管収容施設に収容されて収容施設から外に出て生活したい場合は、収容施設にある入管の担当部署に仮放免又は監理措置の申請をします。
2.出入国管理及び難民認定法(以下法)第24条で定める退去強制に該当する事由により刑事処分を受けたケース
法24条で定める退去強制事由により在留期間中に刑事処分を受けた場合は、仮に1年以下の懲役若しくは禁錮又は執行猶予付きの判決に処せられた場合であっても、法24条で定める退去強制事由以外の罪で無期又は1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられた場合と同様に、在留期間中に退去強制手続きが始まります。
入管で法24条が定める退去強制事由に該当すると判断された場合、入管収容施設に収容される場合とされない場合があります。
本ケースで引き続き日本に在留したい場合は、入管が退去強制処分を出す前に在留特別許可申請を行い在留許可を得る必要があります。
法24条に該当する事由があると認定され、法務大臣により在留を認めるべき特別の事情があるとの認定がされなければ退去強制処分が確定します。
退去強制処分を受けた者がどうしても日本に残らなければならない事情がある場合は、再度の在留許可申請(再審情願)を行います。
法24条で定める退去強制該当事由として、他人名義のパスポートによる不法入国、不法就労のあっせん、在留カードの偽造又は所持、在留カードの偽造、不法就労、在留期間超過、人身取引、旅券法違反、大麻取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反、覚醒剤取締法違反等で有罪判決を受けた場合、売春又は売春のあっせん、勧誘等があります。
出入国管理行政の根幹を揺るがしかねない犯罪類型を限定列挙しています。
3.法24条列挙事由以外の罪で、1年以下の懲役若しくは禁錮又は罰金に処せられたケース。
原則として在留期間中に退去強制手続きは始まらず次の在留期間まで在留資格は継続します。刑事処分後の在留更新の時に刑事処分時の在留状況を審査されます。
在留更新の審査で「素行に問題がある」と判断され在留更新が認められない場合があります。
4.法24条列挙事由以外の罪で1年を超える懲役若しくは禁錮に処せられたが執行猶予の言渡しを受けたケース。
3と同様の扱いとなりますが、4のケースでは刑事処分後の在留更新は「素行に問題あり」として更新が認められることはかなり厳しくなります。
5.在留期間中に速度超過や駐停車違反で行政処分を受けたケース。
速度超過や駐停車違反により行政処分を受けた場合、それだけで退去強制手続きに進むことはありませんが、
次の更新申請の時に「素行に問題あり」と判断され在留期間が短縮されることがあり得ます。
以上1から5までのケースに分けて刑事処分・行政処分を受けた後の在留手続きについて解説しました。
上記のケースから分かるように在留期間中に刑事処分を受けるとその後の在留更新手続きは極めて困難となります。
また行政処分のみの場合でも在留期間が従来の5年から1年に短縮したりすることもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は在留特別許可、再審情願の手続きを扱っています。
在留期間中に刑事・行政処分を受けてしまいどうしていいかわからずお悩みの方は、お一人で悩まずに是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
重国籍と国籍選択について

重国籍と国籍選択について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
(架空の事例です。)
1.重国籍と国籍選択について
A子さんの父は戦前日本の統治下にあったT国の国籍で、母は日本国籍です。
A子さんの両親はA子さんの父親が日本の大学に留学しているときに留学先で知合い結婚しました。
父がT国籍でありA子さんもT国で生まれたことから、A子さんの両親はA子さんにT国籍を取得させることにしました。
A子さんの父は、A子さんの母が日本人であり日本の血を引いていること、将来A子さんが日本に行って生活することもあるだろうと考え、T国にある日本大使館でA子さんが出生後まもなくして国籍留保の手続き(国籍法十二条、戸籍法百四条)を行いました。
A子さんは小学校、中学校、高校まではT国で学び、大学からは日本の大学で学ぶことになりました。
成績優秀のA子さんは日本の国立大学薬学部に日本の一般の受験生と同じ筆記試験を受けて見事に合格しました。
A子さんはT国と日本の重国籍者でしたが、日本で生活していくには日本国籍者である方が何かと都合がよいだろうと考え大学時代は日本人で通していました。
A子さんは大学卒業後はT国に帰国して、日系の製薬会社に就職しました。
就職してからほどなくして、A子さんの自宅に日本の法務省から1通の封筒が届きました。封を開けると中には国籍選択をすべきことを催告する書面が入っていました。
国籍法第十四条一項「外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有する事となったときが十八歳に達するときであるときは二十歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはそのときから二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。」日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は、国籍法で決められた一定の期限までにいずれかの国籍を選択する必要があります。
この期間を失念して国籍選択の手続きを取らなかったときの手続きについては国籍法十五条に規定されています。
第十五条一項「法務大臣は、外国の国籍を有する日本国民で前条第一項に定める期限内に日本の国籍を選択しないものに対して、書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる。」
A子さんは重国籍者であることから、本来十八歳になったら自ら国籍の選択をしなければなりませんが、A子さんはこの規定を知らなかったので国籍法十四条に規定されている国籍選択の意思表示をすることができませんでした。しかしながらこの期限を徒過していたとしても、重国籍者はいずれかの国籍を選択する必要があることから、T国にある日本大使館を通じて法務省からA子さんあてに国籍を選択すべきことを催告する書面が届いたのでした。
T国に家族や友人が多くおり、勤務先も日系薬品メーカーであるものの現地採用であり原則日本への転勤は原則ないことから、A子さんは自分の国籍はT国を選択することにして日本国籍は離脱することにし(国籍法十三条)、国籍離脱届をT国にある日本大使館に届けました。
2.国籍離脱後の手続きについて
A子さんが日本国籍離脱の届出をしてから数年経ちました。
A子さんは勤務する日系製薬会社で順調に昇進して管理職の立場になり、部下を数人持つようになりました。
A子さんが管理職に昇進した翌年、A子さんの日頃の実績を評価していたA子さんの上司がA子さんを日本本社の管理職に推薦しました。
日本本社は東京にあり、T国にある現地法人よりも規模が大きく、本社採用の管理職となると給与も現試採用より格段に高くなります。
A子さんは今後の社内でのキャリアを考え日本本社転勤の話を承諾しました。
Q 現在A子さんの手元には日本国のパスポートとT国のパスポートの2つがあります。A子さんは日本の会社で働くのだから日本人として日本のパスポートで入国する方がT国の外国人として生活するよりも楽だろうと考え、日本国のパスポートを使って来日する予定です。A子さんは日本国籍離脱の手続きをしているのにも関わらず日本のパスポートを使って入国できるでしょうか?
A A子さんは国籍離脱届を在T国日本大使館に提出しており、国籍離脱届を大使館に届け出た時点で日本国籍は失われます(国籍法第十三条)。
A子さんの手元には日本国のパスポートがあり、まだ有効期間が経過していないことからこのパスポートを使って日本に入国できるかが問題となりますが、A子さんは日本国のパスポートを使って日本入国は出来ません。なぜならA子さんは国籍離脱手続きにより既に日本国籍を失っており(実質的に国籍を失っている状態)、A子さんのパスポートは本来効力がありません。
無効なパスポートを使って有効であるように装って入国した場合は、不法入国(法第七十条一項)として3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
そこでA子さんはT国のパスポートを使って入国しなければなりません。
Q A子さんが日本本社で働くためにはどのような在留資格が該当するでしょうか?
A A子さんが日本本社で働くために必要な在留資格として、「企業内転勤」「技術・人文・国際業務」「研究」等が考えられます。
これらの活動の在留資格認定証明書によりA子さんを日本本社側から呼寄せます。
Q A子さんは日本本社で知り合った男性と結婚し子どもが生まれました。A子さんはこの先日本で生活していこうと考え、もう一度日本国籍を取得したいと考えています。
A子さんが再度日本国籍を取得するのはどのような手続きが必要になるでしょうか?
A A子さんが再度日本国籍を取得するためには帰化による方法があります。
A子さんは以前日本国籍をあり現在日本に住所があるので、国籍法第8条第3項により、通常の帰化手続きよりも、居住歴、行為能力、生計要件の点で優遇されます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、国籍・帰化に関する手続きを取り扱っています。
重国籍で国籍についてお悩みの方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

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「永住者の配偶者等」の在留資格

「永住者の配偶者等」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.「永住者の配偶者等」の在留資格とは?
永住者の在留資格をもって在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」という。)の配偶者又は永住者等の子として、日本で出生しその他引き続き日本に在留している者のために設けられた在留資格です。
「永住者の配偶者等」の該当範囲は入管法別表第2の「永住者の配偶者等」の項の下欄に記載されており、「永住者等の配偶者又は永住者等の子として日本で出生しその後引き続き日本に在留している者」が該当します。
「永住者の配偶者等」の活動として具体例として次の(1)と(2)があげられます。
(1)永住者の配偶者の身分を有する者
①「配偶者」とは、現に婚姻中の者をいい、相手方の配偶者が死亡した場合は含まれません。また、婚姻は法律上有効な婚姻であることを必要とし、 内縁の夫婦である場合や外国で有効に成立した同性婚は含まれません。
②社会通念上夫婦として共同生活を営むという婚姻の実体を伴っていない場合には、永住者の配偶者としての活動を行う者とは認められません。また社会通念上夫婦と言えるためには、合理的な理由がない限り同居して生活していることが必要です。
(2)永住者等の子として出生し、出生後引き続き日本に在留する者
①出生の時に父又は母のいずれか一方が永住者資格をもって在留していた場合又は本人の出生前に父が死亡し、かつ、その父が死亡のときに永住者の在留資格をもって在留していた場合が含まれます。
②本人の出生後、父又は母が永住者の在留資格を失った場合も、「永住者」の在留資格をもって在留する者の子として出生した場合も含まれます。
③「子として出生した者」とは実子をいい、嫡出子のほか、認知された非嫡出子も含まれますが養子は含まれません。
④永住者の親が本国で子を出産した場合、その子は「永住者の配偶者等」に含まれるかですが、「永住者の配偶者等」の在留資格が認められるためには、子が日本で出生したことが必要であり、母親が永住者の在留資格であっても、母親が再入国許可を受けて出国し外国で子を出産した場合は 「永住者の配偶者等」に該当しないので注意が必要です。
2.「取得在留許可」と「取得永住許可」について
(1)「取得在留許可」
入管法第22条の2第1項により、出生その他の事由により上陸手続きを経ることなく日本に在留することになる外国人は、
出生した日から60日以内に在留資格取得の手続きを行う必要があります。
この規定により新たに在留資格を取得することを「取得在留許可」といいます。
(2)「取得永住許可」
永住者の子が日本で出生した場合には、「取得在留許可」の手続きにより、「永住者の配偶者等」の在留申請手続きを行いますが、この時に「永住者の配偶者等」の在留資格取得申請と同時に永住資格の取得申請も行う事が認められています。
この手続きによる永住許可申請を「取得永住許可」といいます。
この手続きにより、本来日本で生まれた永住者の実子又は特別養子については、日本在留後引き続き1年以上日本に在留していることが永住許可申請の条件であるものの、1年以上の在留期間を経ないで永住許可申請をすることが可能となります。
子の出生から60日以内に「永住者の配偶者の配偶者等」と「永住許可申請」を同時に申請した場合に、万が一永住許可申請が不交付だった場合でも、永住者の配偶者等の在留資格の取得許可が認められる場合は、「永住者の配偶者等」の在留資格が許可されます。
永住者の子が出生してから1年を経過しなくても子の永住許可申請ができる点で、申請者側にはメリットの大きい規定となっています。
参考:出入国在留管理庁 入国・在留審査要領
永住許可申請手続きに関しては,出入国在留管理庁HPにて提出書類等についても案内があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「取得永住許可」手続きを扱っております。
永住者の在留資格をお持ちの方で、お子様の出生により日本での在留許可と併せて永住許可もお考えの方は是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問合せください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

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監理措置とは何なのか
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、2024年6月10日施行の改正「出入国管理及び難民認定法」に新たに創設された「監理措置制度」について解説します。
昨年の入管法改正では3回目以降の難民者は強制送還の対象になるという部分が大きな話題となりましたが、それ以外にもいくつか重要な改正や新規創設がなされました。
その中の一つに監理措置制度があります。
監理措置とは、「退去強制手続を受ける外国人について、監理人による監理の下で逃亡等を防止するとともに相当期間に渡って社会内での生活を許容しながら退去強制手続を進めるという措置」とされています。 *出入国在留管理局HP
これまで不法入国の場合や日本滞在中に何らかの事情により在留資格を失って国外退去が確定した者は、国外退去するまで入管収容施設に収容することを原則としていました。(全件収容主義)
全件収容主義の問題点として、国外退去が確定しても退去強制命令を拒み続ける外国人がいた場合、その外国人は長期に渡る入管施設への収容につながり、結果として被収容者の健康上の問題等が生じることがありました。
また被収容者の健康問題を考慮して仮放免を行った場合に、仮放免を受けた外国人が逃走するという事態が生じることもありました。
そこで問題点が多かった原則収容の入管法の規定(全件収容主義)を全面的に見直して、個別事案ごとに逃亡等のおそれの程度に加え、本人が受ける不利益の程度も考慮したうえで収容の要否を見極めて、収容か監理措置かを個別に判断することになりました。
新しい入管法から見た監理措置の流れ
(違反調査)27条
入国警備官は、退去強制事由に該当すると思われる外国人「(以下容疑者)」がいるときは、容疑者に対して退去強制事由に該当する事実があるかどうかを調査することができます。
(主任審査官の審査)39条1項
入国警備官は第27条による違反調査の結果、容疑者が退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があると認める場合は、容疑者が逃走する恐れがあるとして収容した場合を除いて主任審査官に、容疑者が退去強制事由に該当する相当の理由がある旨を通知します。
第39条2項(主任審査官の審査)
入国警備官から通知を受けた入国審査官は、容疑者が入管法24条各号で規定する退去強制事由のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、
第44条1項の規定による監理措置とするか入管施設に収容するかを審査しなければなりません。
(収容に代わる監理措置)第44条の2項
第39条2項による調査の結果、主任審査官は容疑者が入管法第24条各号(退去強制該当事由)のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由がある場合に、容疑者が逃亡し、又は証拠を隠滅するおそれの程度、収容により容疑者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮して、容疑者を収容しないで退去強制の手続きを行うことが相当であると判断する場合は、容疑者を監理措置に付ける旨の決定をすることになります。
第44条の2第4項
入管法に定める規定により入管収容施設に収容された容疑者は、法務省令で定める方法により、主任審査官に対して、自分を監理措置に付けるよう主任審査官に請求することが出来ます。
第44条の2第6項
主任審査官は容疑者からの請求(法44条の2第4項)又は職権で、収容されている容疑者が逃亡し、又は証拠を隠滅するおそれの程度、収容により収容されている容疑者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮して、容疑者を収容施設から放免(入管収容施設から外に出すこと)して退去強制手続きを行うことが相当と認めるときは、その者を放免して監理措置に付ける決定をします。
この場合、監理措置に付ける者に対して監理条件を付けることができ、また監理措置につけた者が逃亡又は証拠の隠滅を防止するために必要がある場合は、300万円を超えない範囲内で法務省令で定める額の保証金を納付されることができます。
以上が改正入管法で新たに創設された監理措置について条文から見た流れです。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
「日本人の配偶者等」在留資格認定証明書の標準処理期間

・外国人の夫又は妻を日本に呼び寄せるため、在留資格認定証明書の申請をしたが、2か月経ってもまだ入管から返事が何も来ていない。
・一体どうなっているのかとても心配しています。どうしたらいいでしょうか。
時折,このような内容のお問合せを頂きます。
大切なパートナを日本に呼び寄せるべく、入管からの許可通知を一日千秋の思いで待っている場合も多いと思います。
申請結果通知が来るまで2か月も3か月もかかっていると本当に審査しているのだろうか、自分の書類に何か問題があるのだろうか。本当に審査が通るのだろうか、色々不安になってくることがあるでしょう。
しかしながら入管は配偶者の日本への呼び寄せ等、申請する側にとって大変重要な申請書類を忙しいからと言って放置しているわけでは当然ありません。
申請書が役所に届いたら、役所は遅滞なく審査を開始することになっており、申請を受け取らない、受け取っても放置しておく、申請書を返却するなどの取扱いをしてはいけないことになっています(行政手続法第7条)。限られた人員の中で慎重に審査を進めると当然審査に時間はかかります。
しかしながら申請人側は申請結果が出るのを一日千秋の思いで待っているのに、入管側が審査に慎重なあまり審査に1年も2年もかけていては、申請側は受入れの準備もしなければならない中で大変な負担となってしまいます。そこでこうした状況に対処するため、入管は行政手続法第6条に基づき標準処理期間
(申請を受け付けてから許可が出るまでの期間)を公表しています。
入管HPでそれぞれの在留資格の標準処理期間について,これまでの処理状況が資料として掲載されています。
弊所でお問合せの多い外国人の夫、又は妻を日本に呼び寄せるための申請「日本人の配偶者等」の標準処理期間は、令和6年1月1日から令和6年3月31日までの平均で76,8日となっています。
ちなみに就労資格である「経営・管理」では在留資格認定証明書の標準処理期間は100,2日、技能が101,0日となっています。短い方では、技能実習1号イが29,1日、技能実習2号ロが25,2日、技能実習3号イが22,5日、技能実習ロが21,6日となっています。
技能実習の在留資格認定証明書の標準処理期間は「経営・管理」の標準処理期間の3分の1くらいですが、なぜ技能実習の審査機関が短いかというと、
技能実習の在留申請書類は日本の監理団体が一括して作成しているので、入管側は技能実習部門の審査人員が少ないこともあり、監理団体が作成した書類の内容を基本的に信用することにしているのでしょう。
自分がした在留申請が入管HPで公表されている標準処理期間より明らかに時間がかかっている場合は何らかの事情があって審査が遅れている可能性もあります。
その時は在留資格申請をした入管に審査状況を問い合わせてみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書を取り扱っています。在留審査の申請状況の確認も申請人に代わって弊所の申請手続き担当者が行いますので安心です。
「日本人の配偶者等」の在留資格認定証明書による申請は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお任せください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する政府方針について

令和5年8月に出入国在留管理庁が発出した「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」という方針を、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.送還停止効にある難民申請3回目以降の人の強制送還を可能にする入管法改正が、2023年6月9日に国会で成立しました。
政府は改正に伴い強制送還の対象となっている日本生まれの小中高生と親を対象に今回限りの特例として、子と親を家族一体として在留特別許可をして在留資格を認める方針
「送還忌避者のうち本邦で出生した子どもの在留特別許可に関する対応方針について」を表明しました。
対象となるのは、改正法施行(令和6年6月10日)までに、日本で出生して小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き日本で生活していくことを強く希望している子どもとその家族です。ただし、親に「見逃しがたい消極的事情」がある場合を除きます。
見逃しがたい消極的事情として以下の5つの事項があげられています。
①不法入国・不法上陸②偽造在留カード行使や偽装結婚等の出入国管理行政の根幹機関わる違反、③薬物使用や売春等の反社会性の高い違反、④懲役1年以上の実刑⑤複数回の前科刑を有している場合、の5つです。
但し見逃しがたい事情があっても、個別の事案毎に諸般の事情を総合考慮して在留特別許可を認める場合もあります。
2.在留特別許可を認める子どもと認めない子どもについて
令和4年12月末時点で、在留資格のない送還忌避者は4,233人でした。
そのうち「日本で生まれ育った」在留資格のない子どもは201人で、自らの意思で帰国した者を除き、
少なくともそのうちの7割、就学年齢に達している子どもの8割程度に在留特別許可をすることが見込まれています。
以下在留特別許可が認められる子と認められない子の内訳です。
強制送還を拒否している外国人4233人
↓
このうち18歳未満の子どもは295人
↓
日本以外で生まれた子(救済対象外)94人
+
子が日本で生まれたが、親が不法入国・不法上陸、
懲役1年以上の実刑等(救済対象外)約60人
↓
295-(94+60)=140
約140人の子供が救済対象となる見込みです。 子どもの在留資格は「留学」となります。
3.在留を認める子どもと認めない子どもの線引きについて
①子どもが日本で生まれたか否か
②親が受けた刑事処分や行政処分の軽重
子どもの在留特別許可の認定基準について、①と②の判断基準が示されています。
①に対しては子どもが日本で生まれたか否かという本来子どもにとってなんら関係のない事情で線引きされています。
国籍について出生地主義(血筋によらず生まれた場所が自国内であれば国籍を認める)が取られている国々がありますが、日本は出生地主義ではなく血統主義(両親のどちらかが日本国籍であれば日本国籍を認める)を採用しており、なぜ子どもが生まれた国が日本であれば在留特別許可を認め、そうでない場合は最初から在留特別許可を認めないのか、その判断基準が漠然不明確な部分があります。
4.親の刑事処分や行政処分の軽重
仮に日本生まれの子どもであっても親の犯罪歴や行政処分歴により在留特別許可が認められるか否かが決まるという点についてですが、親が品行方正な不法滞在者であれば子の在留資格を認め、そうでない場合は子どもの在留資格を認めないということで、子どもの在留資格は親の在留状況次第、まさに親ガチャで決定されるということになります。
子の在留特別許可を認めるか否かは、子にとって一生を左右する重大事である以上、①子が日本で生まれたか否か、②親の犯罪歴、行政処分違反歴の軽重といった形式的判断によるのではなく、子ども一人一人の個別具体的・実質的判断によるべきと思います。
また今回の在留特別許可が入管法の大改正による一回限りの特例であるなら、在留特別許可を認める子どもの対象は出来るだけ広くすべきでしょう。
参考:東京新聞WEB版 2023年12月18日付
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では在留特別許可についても取り扱っています。
仮放免や在留特別許可についてお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
在留資格「技術・人文・国際業務」について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際国際業務(出入国管理居HP)」について解説します。
事例
Q A国に本社がある化学メーカーの東京支店で、今回新たに研究開発部門の新規事業立ち上げを行うことになりました。
研究開発事業に携わるの技術職の社員を10名をA国から中途採用して東京支店に呼び寄せる予定です。この場合採用した技術職社員を東京支店に受け入れるには、どのような在留手続きが必要でしょうか?また申請にあたりどの様な点に留意したらよいでしょうか?
A 中途採用の技術職社員を海外から日本にある支店に呼び寄せるには、在留資格「技術・人文・国際業務」での手続きとなります。
在留資格「技術・人文・国際業務」とは、日本にある公私の機関との契約に基づいて行われる自然科学の分野若しくは人文科学の分野の専門的技術若しくは知識を必要とする業務に従事する外国人又は外国人特有の感性を必要とする業務に従事する外国人を受け入れるために設けられたものです。
1.「技術・人文知識・国際業務」の該当範囲について
入管法別表第1の2の表の「技術・人文知識・国際業務」の項の下蘭は、本邦において行うことのできる活動を以下の通り規定しています。
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで、企業内転勤の項から興業の項までの下欄に掲げる活動を除く。)
「自然科学の分野の属する技術又は知識を有する業務」とは、どのようなものかというと、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務であることを示すものであり、自然科学の分野に属する技術又は知識がなければ出来ない業務であることをいいます。
代表的なものとして、以下の分野があげられます。
数理科学、物理化学、化学、生物化学、人類学、地質化学、地理学、地球物理学、科学教育、統計学、情報学、核化学、基礎工学、応用物理学、基礎工学、応用物理学、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学、土木工学、建築学、金属工学、応用科学、資源開発工学、造船学、計測、制御工学、化学工学、航空宇宙工学、原子力工学、経営工学、薬学、農学、農芸化学、林学、水産学、農業経済学、農業工学、畜産学、獣医学、地域農学、生理科学、病理化学、内科系化学、外科系化学、社会医学、歯科学、薬科学等です。
A化学メーカー東京支社での採用に関しては、大学等で化学、生物化学、応用科学、化学工学、薬学、農学、農芸化学、畜産学、生理科学、病理化学、内科系化学、外科系化学、社会医学、薬科学等を専攻した人材を中心に募集をかけて選考し採用していくことになるでしょう。
2.在留申請における留意点
(1)従事しようとする業務と専攻科目との関連性について
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格においては、従事しようとする業務と大学等において専攻した科目との関連性が必要です。
ただし、専攻科目と従事しようとする業務が一致していることまでは求められません。
大学卒業者に対しては、大学における学術機関としての社会における役割(学校教育基本法第83条第1項、第2項)から、大学における専攻科目と実際に従事しようとする業務との関連性については比較的緩やかに判断されます。
(2)採用当初に行われる実務研修に係わる扱いについて
外国人が「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で在留するためには、当該在留資格に該当する活動に従事することが必要であるところ、企業においては、採用当初に一定の実務研修期間が設けられていることがあります。
実務研修期間に行う活動のみを捉えれば「技術・人文・国際業務」の在留資格に該当しないように見えるとしても、それが日本人の大卒社員等に対しても同様に行われる実務研修の一環であって、在留期間の大半を占めるようなものでない場合は、相当性を判断したうえで当該活動が許容されます。
3.実務研修での研修期間について
研修期間を含めた在留資格該当性については、在留期間中の活動を全体として捉えて判断します。ここでいう「在留期間中」とは、一回の許可毎に決定される「在留期間」を意味するものでなく雇用契約書や研修計画に係わる企業側の説明資料等の記載から、申請人が今後日本で活動することが想定される「技術・人文・国際業務」の在留資格をもって在留する期間全体を意味します。
そのため、例えば、今後相当期間、日本において「技術・人文知識・国際業務」に該当する活動に従事することが予定されている者が、在留期間「1年」を決定された場合、決定された1年間全て実務研修に従事することも考えられます。
他方で、例えば、雇用契約期間が3年間のみで、契約更新も予定されていないような場合、採用から2年間実務研修を行う、といった雇用契約は認められません。
なお、採用から1年間を超えて実務研修に従事するような申請については、研修計画の提出を求め、実務研修計画の合理性を審査することがあります。
以上、在留資格「技術・人文・国際業務」について、採用と採用後の留意点の観点から解説しました。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在留資格「技術・人文・国際業務」を取り扱っております。
海外から在留資格「技術・人文・国際業務」での呼び寄せをご検討の際は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお問合せください。

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再審情願について

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が再審情願について解説します。
(架空の事例です)
A君とB子さんは南米にあるC国出身の恋人同士です。ともに20代前半でお互い小学校低学年の頃に日系2世の両親に連れられて日本に来ました。
2人は小学校・中学校まで一緒の学校で二人は幼馴染でした。
A君は中学卒業後、両親の都合でいったん家族と一緒にC国に帰りましたが、最近また日本に戻ってきました。今度は単身での来日で、A君はD県にある大手自動車部品メーカーに派遣社員として働くことになりました。
B子さんは現在D県にある有名国立大学の4年生で、昨年日本国籍を取得しました。
来春から地元の大手自動車メーカーのT社に就職も決まっています。
2人は昨年5年ぶりに再会して恋人同士になりました。
2人はB子さんが大学を卒業したら結婚しようと誓い合いました。
2人が交際を始めてから2年目の夏、A君はお盆期間で会社が長期連休の時に市内の繁華街にあるクラブに友達と遊びに行きました。
少し羽目を外してお酒を飲み過ぎたので、酔い覚ましに友達と入った喫茶店で、たまたま店にいたお客さんとささいなことで口論となり、思わず相手を殴ってしまいました。
A君は体が大きく相手が小柄だったこともあり、相手の鼻を骨折させてしまいました。
相手側が骨折した診断書を警察に提出したこともあり、A君は傷害罪で起訴されました。
A君は裁判所で懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を受けました。A君は控訴することなく判決は確定しました。
判決の日から3か月後がA君の在留期間の満了日でした。
A君は在留期間満了日の20日前に自分の在留更新申請手続きを行いましたが、在留期間経過後に入管から在留更新結果の通知が来ました。
A君は入管からの通知のハガキを持って出頭しました。
A君の在留更新申請は不許可でした。A君は在留申請不交付通知を受けたのち、その場で帰国準備の為の特定活動30日に在留資格変更手続きをしましたが、A君は既に仕事をやめていて所持金がないこともあり、結局C国行きの航空チケットを買わずに帰国することなく特定活動の30日間が過ぎてしまいました。
その後A君は入管から呼び出しがあり入管に出頭したところ、A君は入管施設には収容されずに仮放免となりました。それからA君は毎月1回入管に出頭していましたが、入管に出頭を始めてから半年後、いつものように入管に出頭したところ、そのまま入管施設に収容されてしまいました。
入管施設に収容されてしばらくしてからA君に退去強制命令が発布されました。
退去強制命令がA君に出された後、B子さんがA君の監理人となりA君は入管の収容施設から出てB子さんと一緒に暮らし始めました。
A君としてはB子さんと結婚の約束をしているし、C国に帰ったら無期限で日本に入国できないと知人から聞いていたので、A君は絶対にC国に帰りたくありません。
B子さんもA君を帰国させたくありません。
A君が日本に残ってB子さんとの生活を続けていくためにはどうしたらいいのでしょうか?
A君は退去強制命令を受けているので、このままでは日本に残ることができません。
いずれ退去強制手続きが執行され、A君は日本を離れることになります。
A君が日本に残るためには入管に在留許可を認めてもらう必要があり、A君が日本に残るための申請手続きとして、再審情願という手続きがあります。
再審情願とは
再審情願とは、退去強制発布処分後に事後的に生じた事情に鑑み、適法になされた当該処分を撤回して日本での在留を認めなければ人道上極めて問題であるといえる場合に、法務大臣に退去強制処分を撤回して在留を特別にお願いするものです。
法律によって手続きが定められているものではなく,あくまで法務大臣が裁量によって処分を撤回して在留を認めるという例外的な手続きです。裁判上も,法務大臣が再審情願に対して何かしらの回答をする義務までは認められていません(参考判例平成26年1月30日判決)。
具体例として日本人と恋愛関係にある外国人が日本人の交際相手と結婚を予定していたところ、何らかの理由で在留資格を失ってしまい、退去強制処分が出る前に婚姻手続きが間に合わず、退去強制処分後になって婚姻手続きが成立した場合等があげられます。
A君、B子さんのケースでは、まず第一にA君、B子さんの結婚手続きを済ませることが必要です。
B子さんは日本国籍なので、AさんはB子さんと結婚して「日本人の配偶者」となり、「日本人の配偶者等」の在留資格を認めてもらう申請をします。
A君の再審情願を認めるかどうかは法務大臣の裁量となりますが、再審情願の裁量は在留特別許可を判断する時の法務大臣の裁量よりも広いとされています。
従って再審情願を認めてもらうためには、単にA君とB子さんの2人が結婚したという事実のみを伝えるのではなく、結婚に至ったいきさつや動機も含めて、本来退去強制処分が発布されて本国に帰国しなければならないA君が、なぜ日本に残ることが必要なのかを丁寧に訴えていく必要があります。
理由書を作成してA君の在留許可の必要性を訴えたり、家族や知人に嘆願書を書いてもらうことも必要かもしれません。本ケースではB子さんはまだ大学生で就職しておらず、就職しない段階で結婚して再審情願をしても、2人は独立して生計を立てていく能力が乏しいと判断されるかも知れません。
そこでB子さんが就職して給料を得るようになってから再審情願を行うなど、2人が結婚してから生活できる経済力があることを示すことも重要になります。
またA君の在留許可が認められるまではA君は仕事ができません。
そこでA君が仕事が出来ない間は、B子さんがA君を養っていく必要があります。いつA君の在留許可が認められるかわからない状況で、B子さんが1人でA君の面倒を見ていくのは大変ですが、お互いの真摯な愛情を入管に伝えることができれば、A君の在留許可が認められるチャンスはあると思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では再審情願による申請手続きを扱っています。
現在仮放免等で再審情願による申請手続きをお考えの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。ご相談を希望する方は,こちらからお問い合わせください。

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在留特別許可のガイドラインの改正について
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、令和6年3月に改定され,同年6月10日から施行されたについて解説します。

1.ガイドライン
令和6年3月に在留特別許可のガイドラインが変更になり、同年6月10日に入管法50条に創設された在留特別許可の申請手続きが施行されました。
そもそも在留特別許可とは何かというと、外国人が退去強制対象者に該当する場合でも、以下の(1)~(5)のいずれかに該当する場合は、法務大臣は在留を特別に許可することができます。
この法務大臣による特別な許可を在留特別許可といいます。
(1)永住許可を受けているとき
(2)かって日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき
(3)人身取引等により他人の支配下に置かれて日本に在留するとき
(4)難民の認定又は補完的保護の対象者の認定をうけているとき
(5)その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認められるとき
ただし、当該外国人が、無期若しくは一年を超える実刑に処せられるなど一定の前科を有する者又は一定の退去強制事由に該当する者である場合は、在留特別許可をしないことが人道上の配慮にかけると認められる「特別の事情」がない限り、在留特別許可は認められません。
ここでの「特別な事情」とは、本邦で疾病の治療を受けている者で、相当な期間本邦で治療を受けなければ生命に危険が及ぶ具体的なおそれがあることなど、在留を許可しないことが人道的見地からみて明らかに適切ではないとき認められる事情をいいます。
2.在留特別許可の性質
退去強制されるべき外国人について例外的・恩恵的に行われる措置であり、その判断は、法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられます。
在留特別許可をするかどうかは、個々の事案ごとに諸般の事情を総合的に考慮したうえで判断されます。
3.ガイドラインの内容
令和6年3月に在留特別許可のガイドラインが改定され、在留特別許可を認めるかどうかについていかなる事情が有利(積極要素)または不利な事情(消極要素)として認められるかが明示されました。以下どのような場合が積極要素となり、どのような事例が消極要素となるのかについて、解説していきます。
(1)在留許可の判断において有利(積極要素)となるものとして子の家族関係・家族とともに生活するという子の利益から積極的要素として認められるもの。
特に考慮する要素として、日本人又は特別永住者との家族関係
・当該外国人(在留特別許可を求める者)が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子であること
当該外国人が、日本人又は特別永住者との間に出生した実子を扶養している場合であって、
次のいずれにも当てはまること。
・当該実子が未成年かつ未婚であること、又は成年である者の身体的若しくは精神的障害により監護を要すること。
・当該実子と実際に相当期間同居し、当該実子を監護又は養育していること。
・当該外国人(在留特別許可を求める者)が、入管法別表第二に掲げる在留資格で在留している者「永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」の扶養を受けている未成年かつ未婚の実子であること
・当該外国人が「永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」の実子をを扶養している場合であって、前記(1)の①及び②のいずれにも該当すること
・当該外国人が「永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者」と法的に婚姻している場合であって、夫婦として相当長期間共同生活をし、お互いに助け合って生活していて夫婦の間に子供がいるなど婚姻が安定かつ成熟していること。
(2)素行について、積極要素として認められるもの
・当該外国人が日本の小中学校、高等学校で相当期間教育を受けているなどの事情により、現に相当程度に地域社会との関係が構築されていること、将来の仕事先が決まっていて雇用主等の第三者による支援が得られること、地域社会に溶け込み貢献している等の事情があること。
・当該外国人が、社会、経済、文化等の各分野において、日本に貢献し不可欠や役割を担っていること
(3)日本に入国することになった経緯において積極要素としてみとめられるもの
・入国のいきさつで人道上の配慮の必要性が認められる場合
特に有利となる積極要素として認められるもの
・当該外国人が、インドシナ難民、第三国定住難民、中国残留邦人であること。
・当該外国人が、難病等により日本での治療を必要としていること、またこのような治療を必要とする親族が日本にいて監護することが必要と認められること
・当該外国人が、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けていなくても、出身国での情勢不安に照らして、当該外国人が帰国困難な状況にあることが客観的にあること
・当該外国人が、いずれの国籍又は市民権も有しておらず、入管法で定めたいずれの国ににも送還できないこと。
(4)人道上の配慮の必要性から特に考慮する積極要素としてみとめられるもの
・当該外国人が、難病等により日本での治療を必要としていること、またこのような治療を必要とする親族が日本にいて監護することが必要と認められること
・当該外国人が、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けていなくても、出身国での情勢不安に照らして、当該外国人が帰国困難な状況にあることが客観的にあること
・当該外国人が、いずれの国籍又は市民権も有しておらず、入管法で定めたいずれの国ににも送還できないこと。
4.特に在留特別許可が認められなく方向になる消極的要素
(1)当該外国人が以下に掲げるような出入国管理行政の根幹に関わる違反又は反社会性の高い違反に及んだことがあること
・集団密航への関与や、他の外国人の不法入国を容易にする行為等を行ったことがあること。
・他の外国人の不法就労や、在留資格の偽装に関わる行為等をおこなったことがあること。
・在留カード等公的書類の偽変造や不正受交付、偽変造された在留カード等の行使、所持等を行ったこと
・自ら売春を行い、あるいは他人に売春を行わせるなど、日本の社会秩序を著しく乱す行為。
・当該外国人が、反社会的勢力であること他、消極的要素として判断されるものとして
・不法滞在の期間が長期に及んでいること
5.積極要素及び消極要素の考慮の在り方
在留特別許可の拒否の判断においては、個々の事案ごとに当該外国人の申立ての内容だけでなく、具体的根拠の有無や客観的な事情も考慮した結果、各考慮事情に認められる積極要素及び消極要素を総合的に勘案して、積極要素として考慮すべき事情が消極要素として考慮すべき事情を明らかに上回る場合には在留特別許可をする方向で検討されます。
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和6年3月に改定された在留特別許可のガイドラインについて解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在留特別許可申請を取り扱っています。
在留特別許可についてのご検討の際は、是非こちらから弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
新設された「監理措置」とは何か

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「監理措置」制度について解説します。
1.監理措置について
2023年度の入管法の改正で,収容に代わる措置として「監理措置」(リンク先:出入国管理局)が新たに設けられ、2024年6月10日から施行されています。
監理措置とは、被収容者を監理人による監理の下で逃亡等を防止しつつ、相当期間にわたり社会の中で生活しながら退去強制手続きを進める措置です。
監理措置には、退去強制令書発布前のもの(法44条の2以下に規定)と退去強制令書発布後のもの(法第52条の2以下に規定)とがあります。
監理措置の目的は、全件収容主義の抜本的改善を図ることです。
監理措置が導入される前は、オーバーステイなどで在留資格のない者は原則収容の扱いとなり、これまで我が国で不法滞在にある者は原則として入管施設に収容する(全件収容主義)となっていたのを改め、主任審査官が個別案件ごとに逃亡等のおそれの程度に加え、本人が受ける不利益の程度も考慮したうえで、被監理人に対して収容か監理措置かを判断します。
また収容の長期化を防止するため、収容されている者については、3か月ごとに必要的に収容を見直し、収容の必要がない者は監理措置に移行する仕組みを導入しました。
監理措置制度の創設に伴い、仮放免制度については、本来の趣旨どおり、健康上又は人道上の理由等により収容を一時的に解除する措置としました。
監理措置の要件
退去強制令書が発布される前の監理措置の下で退去強制手続きを進める決定(以下「監理措置決定」)を受けるためには、以下の2つの要件を満たすことが必要です。
(1)監理人が選定できること
(2)主任審査官が監理措置の決定を受ける外国人が逃亡又は証拠隠滅の恐れの程度等、諸般の事情を総合的に判断して、収容しないで退去強制手続きを行うことが相当と認めること。
2.監理人とは何か
監理人とは、監理人の責務を理解し、監理措置決定を受けようとする外国人の監理人となることを承諾している者であって、その任務遂行能力を考慮して適当と認められる者の中から、主任審査官が選定します(法44条3第1項又は法第52条の3第1項)。
(1)監理人の責務については(法第44条の3第2項から第5項まで又は法第52条の3第2項から第5項まで。)に規定されています。
・被監理者の生活状況の把握、被監理者に対する指導・監督を行うこと
・被監理者からの相談に応じ、被監理者に対し援助を求めるように務めること
・主任審査官から報告を求められた時は、報告を行うこと
・法44条の3第4項・法第52条の3第4項が掲げる事由が発生したときは、事由が発 生したときから7日以内に届け出ること。
3.監理人の選定の取消・監理人の辞任について
主任審査官は、監理人が任務を遂行することが困難になったときにその他監理人のその職務を継続させることが相当出ないと認めるときは、監理人の選定を取消すことができます(法第44条の3第6項又は法第52条の3第6項)。
また、監理人を辞任する場合は、辞任しようとする日の30日前までに、主任審査官に届け出るように務めなければなりません(法第44条の3第7項又は法52条の3第6項)。
4.監理措置決定の取消しについて
(1)次に掲げる事由に該当する場合には、監理措置決定を取消さなければなりません。
(法第44条の4第1項又は法第52条の4第1項)
・監理措置決定にあたり、保証金を納付することが条件とすることが条件とされる場合において、被監理者が納付期限までに保証金を納付しなかったとき。
・監理人の選定が取消された場合や監理人が死亡した場合において、被監理者のために新たに監理人として選定される者がいないとき。
(2)次に掲げる事由に該当する場合は、監理措置決定が取消されることがあります。
(法第44条の4第2項又は法第52条の4第1項)
・被監理者が逃亡したときや逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるとき
・被監理者が逃亡したときや逃亡すると疑うに足りる相当の理由があるとき
・被監理者が監理措置条件に違反したとき
・被監理者が主任審査官に対して必要な届出をしなかったときや虚偽の届出をしたとき。
・被監理者が不法就労をしたとき(報酬を受ける活動の許可を受けずに働いた場合も含む)
5.報酬を受ける活動の許可について
在留資格のない外国人は、原則として働くことが認められていません。
ただし、退去強制令書発布前の被監理者の生計を維持するために必要であって、相当と認められるときは、被監理者の申請により、生計の維持に必要な範囲内で、就労先の指定するなど一定の厳格な要件の下で、例外的に就労が認められることがあります(法第44条の5第1項)。
外国人の在留に関してお困りのことがある方,ご心配なことがある方はこちらからお問い合わせ,ご相談ください。

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