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採用難時代の外国人雇用について
外国人雇用の法的リスクと注意点
日本で働く外国人労働者は増加の一途をたどり、2023年10月時点で約205万人(全雇用者の3.4%)に達しています。しかし、中小企業や派遣業者の中には法的リスクへの認識が浅いケースも見られます。本稿では、外国人雇用に関する主要な法的リスクと注意点を平易な日本語で解説し、特に法的リスクを意識していない層に警鐘を鳴らします。 実際のトラブル事例や制度上の留意点、陥りやすい誤解、そして行政指導・罰則の例も紹介します。
代表的な法的リスク
- 入管法違反(不法就労): 適切な在留資格(ビザ)を持たない外国人を働かせたり、在留資格で認められていない職務に就かせたりすると「不法就労助長」に該当します。近年この取り締まりは厳しくなっており、実際に多くの派遣会社経営者が不法就労助長罪(入管法違反)の疑いで逮捕・送検されています。不法就労助長罪に問われた場合、外国人本人だけでなく雇用主も処罰対象となり、労働者派遣事業の許可取消しといった事業継続上のリスクもあります。法定刑は現行で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」ですが、2025年6月からは「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」に厳罰化されています。
- 労働基準法違反: 外国人労働者であっても労働基準法や最低賃金法など労働関係法令は日本人と同様に適用されます。賃金の未払い、最低賃金を下回る給与、長時間残業や休憩未取得、安全配慮義務違反などがあれば違法です。例えば、厚生労働省が外国人技能実習生の受入企業を調査したところ、約7割に当たる事業場で違法な残業や低賃金など労基法違反が確認され,監督機関は違反企業に是正指導を行い、重大・悪質な場合は書類送検など厳正に対処しています。
外国人だからといって違法な労働条件が許されることは決してなく、企業経営者や担当者も処罰対象となり得る点に注意が必要です。
- 社会保険未加入: 外国人であっても所定の条件を満たす労働者は健康保険・厚生年金保険、雇用保険などの社会保険に加入させる義務があります。「外国人だから社会保険はいらない」という誤解がありますが、国籍に関係なく違法行為となるので注意してください。企業が従業員を社会保険に加入させないままでいると、健康保険法・厚生年金保険法により6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される恐れがあります。また未加入だった分について最大2年遡って保険料を納付する義務が発生し、企業・従業員双方に追加負担が発生します。
- 在留資格の不適切運用: 在留資格ごとに認められた範囲を超える就労は資格外活動となり違法です。例えば、技術・人文知識・国際業務ビザの人に工場ライン作業や飲食店の調理・接客など単純労働をさせることはできません。留学生や家族滞在の在留資格で週28時間を超えてアルバイトをさせるのも資格外活動に当たります。また制度上、技能実習生を他社に派遣労働させることは禁止されており、特定技能も原則として受入企業との直接雇用が求められます(農業・漁業分野を除き派遣形態は不可)参考:政府HP。このように在留資格ごとの制約を無視した運用は入管法違反につながります。
実際に起きたトラブル事例
法令違反によりトラブルに発展した実例をいくつか紹介します。どの業種でも起こり得る問題であり、他人事ではありません。
- 飲食業の事例:ある飲食チェーンでは、外国人社員にビザで認められていない調理業務を担当させていました。その結果、入管難民法違反(資格外活動による不法就労助長)で社長と社員数名が逮捕され、法人も書類送検される事態となりました。摘発時、技術・人文知識・国際業務ビザを持つ外国人が厨房で調理をしており、同ビザでは飲食店の調理やホール接客は認められないにもかかわらず働かせていたことが問題視されました。
- 派遣業の事例:人材派遣会社が在留資格のない不法残留の外国人を派遣社員として登録し、製造業の工場へ違法に派遣していたケースがあります。その派遣会社の社長は出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で逮捕されました。調査の結果、その会社には約600人もの派遣労働者が登録されており、その半数近くが外国人でした。人手不足を背景に、不法滞在と知りつつ働かせていた悪質な例であり、派遣会社ぐるみで違法就労を助長していた実態が明らかになっています。
- 建設業の事例:建設現場でも違法就労の摘発例があります。金沢地裁では、不法滞在のベトナム人を工事現場で働かせた会社役員に対し、懲役3年・執行猶予5年および罰金50万円の有罪判決が言い渡されました。わずかな人件費削減のために不法就労を手助けした結果、刑事処分を受けた形です。このケースでは違法就労で得た利益の没収も命じられており、違反が発覚した場合のダメージの大きさが窺えます。
外国人雇用にあたっての制度上の留意点
外国人を雇用する際には、以下のような制度上のポイントを押さえておく必要があります。
- 在留資格ごとの就労範囲を把握する: 外国人が保有する在留資格が、その人に従事させる予定の業務内容に合致しているか確認することが最重要です。就労制限のない在留資格(永住者、日本人の配偶者等、定住者など)の場合は職種制限なく働けますが、それ以外の就労ビザでは認められた職種・業務のみ就労可能です。例えば、「技術・人文知識・国際業務」ビザでは通訳や設計など専門職はできますが、工場のライン作業や飲食店のホール業務などは該当せず許可されません。採用前に在留カードで資格種別と在留期限を確認し、職務内容との適合性を慎重に見極めましょう。
- 資格外活動許可と週28時間ルール: 留学生(在留資格「留学」)や家族滞在など、本来就労が認められていない在留資格の外国人でも、「資格外活動許可」を得れば週28時間以内のアルバイトが可能です。ただし週28時間という時間制限は全勤務先の合計であり、残業も含めて28時間以内に収める必要があります。
例えば2つの事業所で掛け持ちする場合、両方の労働時間を足して週28時間までです。また学業が本分の留学生等に深夜残業や長時間労働をさせることは認められていません。28時間を超えて働かせると企業・本人双方に罰則が及ぶ可能性があるため、シフト設定時には十分配慮してください。 - 技能実習・特定技能制度の理解: 技能実習生は人材育成を目的とした制度であり、「労働力の需給調整の手段」として利用することは禁止されています。
したがって技能実習生を派遣社員のように他社で働かせることはできません。実習計画で定められた受入企業・職種以外で就労させると、技能実習法違反となり実習計画の取消しや受入れ停止処分につながります。一方、特定技能外国人は人手不足分野の即戦力として受入れが認められた在留資格ですが、受入企業との直接雇用が原則ですmhlw.go.jp。特定技能について派遣形態が例外的に許可されるのは農業・漁業の分野に限られておりmhlw.go.jp、それ以外の業種で派遣会社が特定技能の人材を他社に送ることはできません。これら制度の運用ルールを誤解すると違法行為となるため注意しましょう。 - 雇用状況の届出義務: 外国人を雇用した場合、事業主はその外国人の氏名や在留資格などをハローワーク(公共職業安定所)へ届け出る法的義務があります(雇用対策法第28条)。採用時だけでなく離職した場合にも届出が必要です。この「外国人雇用状況届出」を怠ったり虚偽申告したりすると、30万円以下の罰金対象となり得ます。うっかり提出を忘れている企業もありますが、行政からの指導やペナルティのリスクがあるため必ず期限内に届け出を行ってください。
無自覚な派遣業者が陥りやすい落とし穴
外国人雇用の現場では、悪意はなくとも誤解や思い込みから法令違反に陥るケースがあります。派遣業者や中小企業が特に注意すべき落とし穴や勘違いを整理します。
- 在留カード確認の不十分: 「有効な在留資格を持っているはず」と思い込み、在留カードの真偽や在留期限、就労制限内容をきちんと確認しないまま雇用契約を結んでしまうケースです。例えば派遣元が在留資格のチェックを怠り、派遣先で資格外の業務に就かせてしまうと、外国人本人だけでなく派遣元・派遣先も不法就労助長罪に問われる可能性があります。実際に本人が偽造在留カードを所持していて見抜けず違法就労させてしまった例もあります。雇用時には必ず在留カードの表裏をコピーして確認し、必要に応じて入管庁のサイトでカード番号の真偽照合を行うなど万全を期しましょう。
- 「ビザがあれば何でもできる」という誤解: 在留資格の内容まで考えず、「とにかく就労ビザを持っているから大丈夫だろう」と安易に受け入れてしまうミスです。重要なのはビザの種類ごとに許可された活動範囲であり(法律上“就労ビザ”という名前のビザは存在しません)、そこから外れる仕事は例え本人が希望しても違法になります。例えば留学生や家族滞在の人をフルタイムで働かせたり、技能ビザの料理人に別業種の作業をさせたりしてはいけません。前述の飲食店の例では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格者に調理業務をさせていたことが逮捕につながりました。このようにビザの内容と現実の業務が合致しているか、常に照らし合わせる意識が必要です。
- 社会保険手続き漏れ: 前述のとおり、外国人であっても一定の勤務形態であれば社会保険への加入が法律上の義務です。しかし一部の事業者には「短期滞在だし年金はかわいそう」「手取り減るから加入させない方が本人のため」といった誤った善意や慣行で未加入のまま働かせているケースがあります。国籍は関係なく社会保険加入は義務であり、加入させないこと自体が法令違反です。後から監督機関に発覚すれば会社として処罰・追徴を受けるだけでなく、従業員本人にも過去分の保険料負担が生じて迷惑をかけてしまいます。外国人にも制度の趣旨を丁寧に説明し、必ず加入手続きを取りましょう。
- 留学生アルバイトの時間超過: 深刻な人手不足から、つい留学生アルバイトに週28時間を超えてシフトに入ってもらうケースがあります。しかし28時間制限は厳守事項であり、1分でも超過すれば資格外活動となってしまいます。中には「複数店舗で28時間ずつ働けば大丈夫」と誤解する例もありますが、28時間は全職場合計です。もし留学生が複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は特に慎重に全体の労働時間を把握する必要があります。万一オーバーすれば、学生本人も処分を受け日本での将来を絶たれかねませんし、受け入れ企業側も罰則の対象となります。繁忙期でも28時間以内に抑える工夫(シフトの調整や日本人スタッフとの分担など)を徹底してください。
- 実質的な違法派遣: 派遣業の許可を持たないのに業務委託などの名目で実質的に労働者を他社へ送り出す行為も落とし穴です。特に外国人労働者を別会社で働かせる際、形式上は請負契約にしていても実態が指揮命令を受ける労働者派遣なら労働者派遣法違反となります。先述の事例では、派遣許可の無い会社がSNSで集めた在留不明のベトナム人を各地の職場に派遣し、結果的に社長が逮捕されています。派遣業は許可制であり、特に建設現場や警備業務など派遣自体が禁止されている業種もあります。無自覚に法律違反のスキームに手を染めないよう、疑わしい場合は専門家に相談しましょう。
行政指導や罰則の具体例
最後に、外国人雇用に関して違反が発覚した場合に科される行政指導や処罰の例を整理します。違反内容によって行政上の措置と刑事上の罰則の両面から制裁が科される可能性があります。
- 入管法違反に対する罰則: 不法就労助長罪に対しては、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金が科せられます。悪質な場合は懲役刑と罰金刑の両方が科されることもあり、法人が違反した場合は両罰規定により法人自体にもより重い罰金刑が科され得ます。実際に京都では、不法就労あっせんを行ったコンサル会社役員らが逮捕され、企業名が報道で公表され社会的信用を失墜する結果となっています。さらに一度摘発されると、既存の外国人受入れが停止されるなど実務面で大きな制裁もあります。
- 行政による事業停止・許可取消: 不法就労が発覚した企業には、行政指導により是正勧告や事業停止命令が出される場合があります。派遣会社の場合、不法就労助長で有罪になれば労働者派遣事業の許可取消しという厳しい処分が下されることがあります。また技能実習生や特定技能外国人の受入企業が入管法違反を犯すと、実習計画の取消しや5年間の受入れ禁止(実習生全員の帰国措置、特定技能は更新不許可)といった行政処分が科されます。これは当該企業にとって事実上の業務停止命令に等しい打撃となりかねません。
- その他の罰則例: 外国人雇用状況の届出を怠った場合は30万円以下の罰金の対象となります。社会保険未加入についても前述のとおり6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が規定されています。労働基準関係法令違反については内容に応じて6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金(例えば最低賃金法違反や労基法の罰則規定)などが科せられ、重大な労働違反企業は企業名公表や書類送検の対象となります。行政は監督指導による是正勧告を経ても従わない悪質事案について、積極的に刑事告発を行う姿勢を強めています。
以上のように、法令遵守を怠った場合のペナルティは刑事罰・行政処分・社会的信用の失墜と多岐にわたり、企業経営を揺るがします。外国人材の受け入れにはリスクに見合った慎重さと法令知識が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では外国人の雇用をお考えの事業主の方からの相談も受け付けています。
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「経営・管理」ビザの取得が難しくなる?

「経営・管理」ビザ要件引上げについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
起業外国人のビザ要件引き上げへ…現状は格安「資本金500万円以上」、中国人ら目的外の大量流入抑制 読売新聞オンライン
「出入国在留管理庁は、日本で起業する外国人経営者向けの在留資格「経営・管理ビザ」の取得について、「500万円以上」とする金額要件を引き上げる方向で調整に入った。
諸外国に比べて「格安」とされる要件を厳格化し、制度の趣旨から外れる中国人らの大量流入を抑える狙いがある。同ビザは、「500万円以上の資本金」か「2人以上の常勤職員」を用意し、日本国内に事業所を確保するなどの要件を満たせば、最長5年在留できる。
年齢や学歴、語学力などは問わず、近年は日本への滞在自体を主な目的とする中国人による取得している。家族の帯同が許されることも増加に拍車をかけている。
同庁によると、2024年6月時点で、中国人による取得者は15年の2倍超となる2万551人で、同ビザで在留する外国人全体の半数以上を占める。
大阪府などではビザ取得のために民泊の運営法人を設立し、移住するケースが目立つ。国会でも「手軽に定住できるルートになっている」(有村治子自民党参院議員)として、治安やビジネス環境への影響を指摘する声が出た。
中国の富裕層らが日本の教育や社会保障制度に魅力を感じて来日するケースもあるとみられる。韓国では同様のビザ取得に必要な資本金は3億ウォン(約3000万円)以上で、日本は格安だ。政府は、高度人材向けの在留資格としての役割は維持したい考えで、同庁は今年度中にも議論を開始し、法務省令の改正を目指しています。」
記事の解説
1.そもそも「経営・管理ビザ」とは、外国人が日本国内で事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動をするために必要とされる在留資格のことです。
記事にある「「500万円以上」とする金額要件を引き上げる方向で調整に入った。」とはどのようなことかということですが、在留資格「経営・管理」の審査基準の中で事業規模の要件という基準があり、その基準の中に「資本金の額又は出資の総額が5百万円以上であること」という規定があります。
事業が会社形態で営まれる場合に、株式会社における資本金の額又は合名会社の出資の総額が500万以上の事業であることを要件とするものです。
この規定は「経営・管理」ビザを判断するうえで絶対的な要件ではありませんが、「経営・管理」ビザの審査において重要な考慮要素となります。「法務省令の改正を目指しています。」とは事業規模の要件として規定されている「資本金の額又は出資の総額が5百万以上であること」の「5百万円」の部分を引き上げる方向で法務省令の改正を検討しているということです。
なぜ資本金の額又は出資の総額を引き上げることを検討しているのかというと、「経営・管理ビザ」を取得する際の出資金額が低すぎる。という指摘がされていることにあります。
日本の「経営・管理ビザ」と同様のビザを取得するのに韓国やアメリカでは3000万以上必要ですが、日本の場合500万以上あればよいので韓国やアメリカに比べ一桁違います。
近年の円安により円の価値が相対的に低下していることもあり、諸外国に比べて格段に格安でビザを取得することが可能となっている現状があります。
2.記事にある「制度の趣旨から外れる中国人らの流入を抑える目的」とはどのようなことかというと日本での在留を希望する中国人の間で、500万さえ出資すれば日本で在留資格が取得できる、という噂が広まっており、日本で事業をやる気がないのに、単に在留資格を取得する目的でとりあえず「経営・管理」ビザを申請するケースが増加しているということです。
この在留資格を取得して日本で在留する者の中には、本音としては特に日本で事業経営をすることに対して特に興味・関心があるわけではなく、日本で子弟の教育を受けさせるたい、日本の治安の良さや充実した社会保障制度に魅力を感じて日本で生活するために在留資格を取得したいが、そのような需要を直接満たす在留資格は存在しないので、諸外国に比べ格段に費用がかからずリーズナブルな在留資格である「経営・管理」ビザを取得して家族を家族滞在で日本に呼寄る方法を取ることで「経営・管理」ビザを日本在留の隠れ蓑として利用していると指摘があり、こうした考えを持つ外国人の日本への流入を事前に食い止めたいということです。
ここ2~3年経営・管理ビザで入国する外国人の約7割は中国人と圧倒的なシェアを占めていることから、記事では「制度の趣旨から外れる中国人らの大量流入を抑える狙い」という表現になっていると思われます。
3.法務省令の改正により実際にどれくらいの金額に引き上げられるのか?ということですが、類似の事例として、一般貨物運送事業(緑ナンバートラックでの運送事業)を新規で許可を取得するケースが参考になります。
2019年の貨物運送業法改正により、一般貨物運送事業の新規の許可申請では資産要件が500万以上から1500万円以上と一気に3倍に引き上げられました。
こうした前例から「経営・管理」の「資本金の額又は出資の総額」は従来の500万円から3倍程度は引き上げられることも十分想定されます。
いずれにしても近い将来経営・管理ビザの取得は確実にハードルが上がっていくのは間違いないでしょう。
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「後で発覚」では手遅れに:留学生の出席率とビザ更新の関係
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外国人留学生を受け入れている日本語学校にとって、学生の「出席率」は在留資格更新の鍵を握る重要な指標です。
しかし、日々の管理が甘く、出席率の低下に気づくのが遅れた結果、留学生のビザが更新できずに帰国を余儀なくされる事例が後を絶ちません。
本記事では、「出席率の問題が後から発覚した場合の法的リスク」と「学校運営者が今すぐできる具体的な対策」について、事例や法律の根拠を交えて分かりやすく解説します。
出席率とビザ更新の関係
外国人留学生の在留資格、いわゆる「留学ビザ」は、学業を目的として日本に滞在することを前提に付与されています。
このため、入国管理局は「授業に出ていない=本来の目的を果たしていない」と判断し、出席率を厳しく審査します。
一般的には出席率が80%以上あればビザ更新に支障はありませんが、70〜80%では理由書の提出が求められ、60%未満の場合は原則として更新が認められないと考えられています。
また、出席率が悪いと「本来の学習活動をしていないのではないか」,「学業より就労が目的ではないか」と疑念を持たれ、資格外活動(アルバイト)の実態まで精査される可能性があります。
つまり、学生が日々教室に来ているかどうかが、在留継続の可否を左右する極めて重要なポイントなのです。
事例
実際に、出席率が原因で留学生が在留資格の更新を拒否されたり、資格そのものを取り消されたケースは数多く存在します。
例えば、ある日本語学校に通う留学生Aさんは、出席率が約50%と著しく低下していました。
理由を尋ねると、生活費を補うため夜間のアルバイトに励み、朝の授業に出られなかったとのことでした。
更新時には事情を記載した理由書を提出しましたが、入管は「学業より就労を優先している」と判断。
その結果、Aさんの在留期間更新は不許可となり、やむなく母国へ帰国することとなりました。
また別の留学生Bさんは、ほとんど授業に出席せずにフルタイムに近い形で働いていたことが発覚。
その情報が学校から入管へ報告され、ビザの期限を待たずして在留資格が取り消されました。
このような事例は決して例外ではなく、留学生活が一瞬で終わるリスクをはらんでいます。
入管法に基づくリスクと取消し制度
出席率の低下が続くと、単にビザ更新ができないだけでなく、「在留資格の取消し」という厳しい措置が取られる可能性があります。
出入国管理及び難民認定法(入管法)第22条の4では、外国人が在留資格に基づく活動を正当な理由なく一定期間行っていない場合、法務大臣はその在留資格を取り消すことができると定めています。
留学生にとっての「在留資格に基づく活動」とは、当然「学業=授業への出席」です。
したがって、極端な怠学状態が3か月以上続くと、取消事由に該当し得ると解釈されています。
さらに、資格外活動許可(アルバイト)はあくまで学業が順調であることが前提です。
週28時間の上限を超えて働いていた場合や、出席率不良の原因が就労にあると判断されれば、悪質なケースとして在留資格が途中で取り消される可能性があります。
2016年の法改正でこの取消し制度は強化され、「就学せずに就労する外国人」への対応は一層厳格になりました。
学校運営に及ぶ影響
怠学によるトラブルは、学生本人だけでなく学校側にも深刻な影響を及ぼします。
出席率不良の学生を放置していると、入管から「適切に管理していない学校」として警告や行政指導を受けることがあります。
さらに悪質なケースでは、日本語教育機関としての「告示校指定」が取り消されることもあります。
実際、ある日本語学校では、留学生の在留手続に関する不適切な対応が原因で、法務省から告示校指定の取消し処分を受けました。
この処分により、その学校は5年間にわたり留学生を新たに受け入れることができなくなりました。
学校の信用は大きく損なわれ、経営面にも甚大な打撃となります。
怠学の放置は、単なる「一人の学生の問題」ではなく、「学校全体の存続にも関わる問題」だと認識すべきです。そのため、留学生の出席管理と指導体制の強化は、学校運営上の最重要課題といえます。
リスク回避のためのチェックポイント
留学生の怠学によるビザ問題を防ぐには、学校としての管理体制を日常的に整えることが不可欠です。
まず、出席管理は毎日・毎月単位で徹底しましょう。出席率が80%を下回る兆候が見られた段階で、面談などを通じて原因を早期に把握し、改善を促す必要があります。
次に、1か月の出席率が50%未満となった学生については、法務省の指針により翌月末までに地方入国管理局への報告義務が生じます。
この報告を怠ると、学校自体の認定取消しに繋がるおそれがあるため、制度への正確な理解と対応が求められます。
また、欠席理由が病気や家庭事情等であれば、必ず診断書などの証明書類を提出させて保管し、ビザ更新時に説明できるよう準備します。
さらに、学生には入学時や定期的な指導の中で、「出席率の低下=ビザ更新の危機」であることを繰り返し啓発し、自己管理の意識を高めてもらうことも大切です。
日頃からの小さな積み重ねが、大きなリスクの未然防止につながります。
ビザ更新申請時の対応実務
在留期間の更新申請時には、学生本人の出席状況が審査の重要なポイントとなります。
出席率がボーダーライン(70%前後)を下回っている場合には、学校側のサポートが成否を左右するカギとなります。
まず必要なのは、欠席の理由を明確に説明する理由書の作成です。
本人の反省文や担任教員の指導記録、改善計画書などを添えて、入管に誠意と改善の見込みを伝えましょう。
可能であれば、行政書士などの専門家に事前相談し、提出書類の内容を精査しておくことも有効です。
また、今後の進学先の合格通知や学業継続の意思を示す文書がある場合は、それも添付資料として活用できます。
一方で、出席簿の改ざんや虚偽の報告は絶対にいけません。
不正が発覚すれば、学校全体の信頼が失われるばかりか、関係者が入管法違反に問われる可能性すらあります。
更新申請は、正確な記録と誠実な説明に基づくことが、最も重要な対応となります。
最後に
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、外国人の在留資格問題や入管手続に精通した専門家が多数在籍する、刑事事件と入管法務を中心に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、出席率不良によりビザ更新が困難となった留学生の代理申請支援をはじめ、在留資格取消処分に対する不服申立てや異議申請、さらには学校運営者への法務アドバイスにも積極的に対応しています。
また、入国管理局との対応に不安を抱える方には、事情説明書の作成や提出書類のリーガルチェックを通じて、的確かつ実務的な支援を行っています。
留学生を受け入れている日本語学校や専門学校からの相談にも対応しており、法務省告示校の認定維持に必要な管理体制構築のアドバイスも提供しております。
出席率やアルバイトの問題で在留資格の継続が危ぶまれる場合や、学校としての体制に不安がある場合には、ぜひ一度ご相談ください。
私たちは、学校と留学生双方が安心して学びの環境を築けるよう、法的な側面から全力で支援いたします。
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上陸特別許可制度の解説

上陸特別許可について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
1.上陸特別許可とは?
上陸特別許可とは日本への上陸が認められない事情を持つ外国人に対して,法務大臣の裁量により当該外国人が日本に上陸することを特別に認める制度です。
上陸特別許可の根拠となる法律として出入国管理及び難民認定法(以下法)第12条があります。法12条では,以下①~③に該当する場合に,法務大臣は上陸特別許可をすることができると規定しています。
① 再入国許可を受けているとき
② 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に入ったものであるとき。
③ その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき。
特に③の場合に法務大臣に広範な裁量を認めています。
上陸を禁止されている外国人を日本に入国することに人道上の特別な理由がある場合に,上陸特別許可が認められる場合があります。
本来日本への上陸の条件に適合しない外国人は日本に入国することはできませんが,個別的事情によっては例外として上陸を認める必要性のある場合もあり,個々の事情を斟酌して柔軟な対応をすることで上陸拒否の外国人の日本への入国を可能としたのが上陸特別許可の制度です。
従って上陸特別許可を申請したからと言って必ず許可されるものではなく,内容によっては上陸特別許可がされないこともあります。
比較的上陸特別許可が認められやすいケースとして,「上陸拒否となった理由がオーバーステイのみである場合」や「当該外国人の配偶者が日本国籍者で2人の間に日本国籍の子がいる場合」等は比較的上陸特別許可が認められやすいです。
逆に日本で1年以上の有罪判決が確定してから本国に帰国した場合(執行猶予も含む)は無期限に上陸が禁止されるため,上陸特別許可が認められにくいです。
当該外国人が1年以上の有罪判決を受けている場合は,上陸を認めるに足りる「相当の理由」の有無について厳しく問われます。
参考:在留特別許可について
2.上陸特別許可申請の申請方法
上陸特別許可の申請方法については,一般的に在留資格認定証明書による申請に方法がとられています。
認定審査の結果,申請人に日本に上陸を許可することに特別な事情があると法務大臣が認めた場合は在留資格認定証明書が交付されて在外公館で有効な査証(ビザ)を取得した場合は,当該上陸拒否事由に該当すること以外に上陸の条件に適合しないものがなければ,日本への上陸を認められることとなります。
3.上陸特別許可申請の流れ
日本に上陸を希望する外国人は日本国外にいるため,外国人本人が自分で書類を作成して入国管理局に申請することができません。
そこで日本にいる申請人(就職先の代表や外国人の夫・妻等)が外国人本人の代わりに在留資格認定証明書書類を作成して管轄の入国管理局に申請します。
当該外国人を日本に受け入れる必要性や人道上の理由を証拠資料とともに丁寧に説明していくことが求められます。
審査には通常の申請よりも時間がかかることが一般的です。
上陸特別許可は法務大臣の裁量の幅が広く,審査も慎重になされるため一度の申請では許可が出ないこともあります。
何度も繰り返し申請してやっと上陸特別許可が認められる場合も珍しくありません。
こうした点から見て上陸特別許可は非常に難易度の高い在留資格申請手続きになります。
4.在留資格認定証明書交付後の手続きについて
審査の結果,法務大臣(入国管理局)の判断により上陸特別許可が認められると,申請人あてに在留資格認定証明書が申請人が申請した入管から送付されます。
申請人は自分宛てに届いた在留資格認定証明書を国外にいる日本への上陸を希望する外国人本人に送付します。
外国人本人が在留資格認定証明書を受け取ったら自国にある日本大使館又は総領事館で査証(ビザ)発行手続きを行います。ビザが発行されたら,日本にいる申請人の方から管轄の入国管理局に当該外国人が来日する日時・空港名・便名等を連絡します。
連絡を受け取った入管は当該外国人が入国手続きの際,スムーズに入国できるよう関係部署に手配をします。
以上,上陸特別許可について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説しました。
日本滞在中に何らかのトラブルをおこしてしまい上陸拒否となったが日本への入国を再度希望している方はお人で悩まずに,是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
日本で働く外国人の状況

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「厚労省の発表 日本で働く外国人労働者が過去最多。」について解説します。
厚労省が1月31日に公表した外国人雇用状況によると、令和6年10月末時点で日本で働く外国人労働者は2,302,587人でした。前年比で253,912人増え、率にして12,4%の増加、2013年から12年連続で過去最多を更新しました。
厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
これを基に,外国人の雇用状況を解説していきます。
1.在留資格別外国人労働者の割合
1位~5位までは以下の通りとなっています。
①専門的・技術的分野の在留資格 718,812人、31,2%
②身分に基づく資格629,117人 27,3%
③技能実習470,725人、20,4%
④資格外活動398,167人17,3%
⑤特定活動85,686人3,7%
2.日本で働くことが認められる在留資格について
①専門的・技術的分野
教授、芸術、宗教、報道、専門職1号、2号、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文・国際業務・企業内転勤、介護、興行、技能、「特定技能1号、2号」
の在留資格が専門的・技術的分野の在留資格に含まれます。
このうち「技術・人文・国際業務」と特定技能の2つで専門的・技術的分野全体の外国人労働者数の約90%を占めています。
最近の傾向として、特定技能の外国人労働者数206,995人(前年比で68,477人(49,4%)増加しており「特定技能」の増加分だけで専門的・技術的分野全体の増加分の56%を占めています。「特定技能制度」とは、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。
2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。*JITCO HP
特定技能では「転職」は他の専門的・技術的分野における在留資格よりも大きく宣言されており、「同一の業務区分内又は試験等により
その技能水準の共通性が確認されている業務区分間」においてのみ転職が認められる場合があるという条件があります。
②身分に基づく在留資格
日本において有する身分又は地位に基づいて認められる在留資格です。
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者の在留資格です。
身分に基づく在留資格の特徴として、就労について制限がないことがあげられます。
③技能実習
外国人技能実習制度により海外から日本の技術を修得するため日本に在留する外国人のために設けられた在留資格です。技能実習制度は、
我が国で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として1993年に創設されました。
2017年11月、「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。*JITCO 「外国人技能実習制度とは」HP
2024年6月現在約39万人の外国人が「技能実習」で日本に在留しています。技能実習には1号から3号まであります。コロナ禍で一時減少しましたが、コロナ禍以降大きく回復傾向にあります。
④資格外活動
資格外活動許可とは、現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。
出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます。)別表第一に掲げる在留資格の方(就労資格を有する方や留学生等)が対象です。*入管HP
例えば留学の在留資格で日本の専門学校や大学に通う外国人が授業後や長期休暇の間アリバイトをするときに資格外活動許可が必要となります。
3.外国人労働者数上位3国について
国籍別上位3か国はベトナムが570,708人(全体の24,8%)、中国が408,805人(17,8%)、フィリピンが245,565人(10,8%)となっています。
対前年増加率が大きい上位3か国は、ミャンマーが114,618人(前年比61,0%増の43430人増加。インドネシアが169,539人(39,5%増)48032人増加、
スリランカが39,136人(33,7%増)9863人の増加となっています。ミャンマーとインドネシアでの増加率が大きい理由として、
特定技能 留学 技能実習が前年度と比較して大きく増加していることが挙げられます。
最近の傾向として、特定技能の外国人労働者数206,995人(前年比で68,477人(49,4%)増加しており「特定技能」の増加分だけで専門的・技術的分野全体の増加分の56%を占めています。「特定技能制度」とは、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的とする制度です。2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」が創設され、2019年4月から受入れが可能となりました。*JITCO HP。特定技能では「転職」は他の専門的・技術的分野における在留資格よりも大きく宣言されており、「同一の業務区分内又は試験等によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間」においてのみ転職が認められる場合があるという条件があります。
4.外国人労働者数が多い上位3都府県
・東京585,791人(全体の25,4%)
・愛知県229,627人(10,0%)
・大阪174,699人(7,6%)
専門的・技術的分野と資格外活動(留学)は東京が一番多く、技能実習は愛知県が一番多くなっており、地域により外国人労働者の在留資格に地域性が現れています。
外国人の雇用に関して分からないことがある方やご不安なことがある方はこちらからお問い合わせください。

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永住許可申請におけるセルフチェックシート

永住許可申請での永住許可セルフチェックシートの提出について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
令和6年12月から永住許可申請で永住許可セルフシートの提出が求められるようになりました。
出入国在留管理庁HPには、永住許可セルフチェックシートに関して以下のような内容が記載されています。
(重要1)
提出書類は、在留資格や身分・地位によって異なります。以下のチェックシートで在留資格や身分・地位に応じた資料を確認の上、提出してください。
・ 提出書類チェックシート(日本人の配偶者)
・ 提出書類チェックシート(日本人の実子)
・ 提出書類チェックシート(永住者又は特別永住者の配偶者)
・ 提出書類チェックシート(永住者又は特別永住者の実子)
※ 提出書類が不足していた場合は、追加資料を求めることとなり、資料が揃うまで審査を進めることが困難となります。
そのような場合は、書類が揃っている方の審査を優先的に行うこととなりますので、御承知おき願います。
(重要2)申請前に、永住許可の要件に該当するか、以下のチェックシートで確認してください。
・ 永住許可申請セルフチェックシート(「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」用)
※ 1つでも「いいえ(No)」に該当した場合、永住許可申請は「不許可」となる可能性が高くなります。
※ 「いいえ(No)」が1つもなかったとしても、永住許可申請の「許可」を約束するものではありません。
※ 申請に際しては、審査を円滑に行う観点から、本チェックシートも以下の書類と合わせて提出いただきますようお願いいたします。
セルフチェックシートの内容
チェックシートの内容は概ね次の通りです。
永住許可申請セルフチェックシート【在留資格「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」の方】
・永住許可の要件に該当するか、事前に確認していただくためです。
・以下の質問について、「はい(YES)」か「いいえ(NO)のいずれかに「〇」をつけてください。
* 一つでも「いいえ(NO)」に該当した場合、永住許可申請は「不許可」となる可能性が高くなります。
(「いいえ(NO)が一つもなかったとしても、永住許可申請の「許可」を約束するものではありません。
1.(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の配偶者である場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、)日本に引き続き1年以上在留している。
はい(YES) いいえ(NO)
2.直近3年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、
住民税を適正な時期に納税している。 はい(YES) いいえ(NO)
*未納や当初の納税期間を超えて納税したことがある場合は、あなたの扶養者の納税状況を回答してください。 はい(YES) いいえ(NO)
3.国税(源泉所得税及び復興所得税特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税)の未納がない。 はい(YES」) いいえ(NO)
4.直近2年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、
、年金保険料(国民年金及び厚生年金)を適正な時期に納付している。 はい(YES) いいえ(NO)
5.直近2年間(あなたが日本人、永住者又は特別永住者の子である場合は、直近1年間)、医療保険(健康保険、国民健康保険及び後期高齢者医療保険)を適正な時期に納付している。
はい(YES) いいえ(NO)
6.現在の在留資格について、在留期間「3年」又は「5年」が決定されている。
はい(YES) いいえ(NO)
7.過去に、日本国の法令に違反して罰金刑・懲役刑・禁固刑を受けたことがない。
はい(YES) いいえ(NO)
これら1から7の項目に「はい」または「いいえ」をチェックして年月日を記入・署名の上、他の永住申請書類と一緒に入管に提出します。
1から7の項目の中で、従来の永住申請からの変更部分として2.4.5に(適正な時期に)の文言が追加されています。
住民税、年金保険料、医療保険料の支払いについての必要納付期間については従来通りですが、これらの「公租公課」を「適正な時期に納付していること」が追加され、住民税や年金保険料といった「公租公課」の支払いが例え一回でも納付期限に遅れると永住申請が不許可になる可能性が高くなるということが明記されました。
なぜチェックシートが導入されたのか?
永住許可セルフチェックシート導入の背景として以下の2点が考えられます。
①永住許可申請の審査期間長期化の解消
現在品川にある入管では永住申請から審査結果が出るまでに1年以上かかっています。コロナ禍での自粛期間が終了したことに伴い首都圏を中心に永住申請が増加しており、入管での永住審査が追いついていかないことが原因と考えられます。そこで申請人が永住申請をする前に自分の申請内容をチェックしてもらい、自ら許可の見込みがないと判断した場合は申請を控えてもらい、
許可の見込みのない申請を減らすことで永住審査をスムーズにすることがあげられます。
②2024年入管法改正での公租公課未払いによる永住資格取消事由追加との整合性
2024年入管法の改正で入管法第22条の4第1項8号の「故意に公租公課の支払いをしないないこと」が永住資格取消事由に追加されました。
この改正と連動して、永住申請における税金の支払いに対して従来よりも要件を厳しくして、対象期間中一度でも納付遅れがあると永住許可が困難であることを永住許可申請者に事前に周知する目的があげられます。
参考:永住許可での「公租公課」の支払いについてのQ&A:永住許可制度の適正化Q&A(出入国在留管理庁HP)
Q 公租公課の不払いが問題なのであれば、日本人と同様に催促や差押えで対応すれば十分であり、在留資格の取消しは永住者に対する過剰な措置ではないでしょうか?
A 永住者については、我が国で生活する上で最低限必要なルールを遵守することが見込まれる者として永住許可を受けているところ、今般の措置は、公的義務を適正に履行せず、在留状況が良好とは評価できないような場合に適切な在留管理を行うことを目的とするものであって、過剰な措置であるとは考えていません。
Q 改正後の入管法第22条の4第1項8号の「故意に公租公課の支払いをしないこと」とは、具体的にどのような場合を想定していますか?
病気や失業などでやむを得ず支払ができない場合にも、在留資格が取り消されるのですか?
A 「公租公課」とは、租税のほか、社会保険料などの公的負担金のことをいいます。そして、「故意に公租公課の支払をしないこと」とは、支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしないことをいい、例えば、支払うべき公租公課があることを知っており、支払能力があるにもかかわらず、公租公課の支払をしない場合などを想定しています。このような場合は、在留状況が良好とは評価できず、「永住者」の在留資格を認め続けることは相当ではないと考えられます。
他方で、病気や失業など、本人に帰責性があるとは認めがたく、やむを得ず公租公課の支払ができないような場合は、在留資格を取り消すことは想定していません。取消事由に該当するとしても、取消しなどするかどうかは、不払に至った経緯や督促等に対する永住者の対応状況など個別具体的な事情に応じて判断することとなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では永住許可申請を取り扱っています。永住許可申請をお考えの方はぜひ弁護士法人あいち検事事件総合法律事務所までお問合せください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

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出国命令制度の法改正,制度はどう変わった?

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和5年6月9日入管法改正による出国命令制度の変更部分について解説します。
令和5年6月9日の入管法改正により「出国命令制度」が一部改正され令和6年6月10日から施行されています。
「出国命令制度」とは、入管法違反者のうち、一定の要件を満たす不法残留者について、収容をしないまま簡易な手続きにより出国させる制度です。」
(出入国管理及び難民認定法、以下法第55条の85)、「出国命令制度」はH16年12月2日に施行されました。
1.出国命令制度設立の背景
出国命令制度が設立された当時不法残留者が219418人いました。
(平成16年1月段階、令和6年1月1日現在では79113人)
不法残留者を減少させることが出入国管理行政における急務の課題でした。
当時からオーバーステイ等を理由に退去強制処分を受けると退去の日から5年は日本に上陸することが認められないとする規定は存在していました。
(退去強制1回目は5年、退去強制2回目以降は10年)
しかしながら不法残留者等を5年又は10年の上陸拒否とする従来からの規定だけでは不法残留者が減少しない状況がありました。
そこで一定の要件を充足し、不法残留の状態にある者が自ら出頭して帰国の意思を示した場合に、上陸特別拒否の期間を5年から1年とすることにより、
不法残留者の出頭を促進し不法残留を減らすことを目的として出国命令制度があらたに制定されました。
2.具体例
具体的に以下の(1)~(5)全てに該当する場合に出国命令が認められます。
(1)ア又はイのいずれかを満たすこと
ア 入国警備官の違反調査の開始前に、速やかに日本から出国する意思をもって自ら出入国在留管理局に出頭したこと
イ 入国警備官の違反調査の開始後、入国審査官の違反調査により退去強制事由に該当する旨の通知を受ける前に、
速やかに出国する意思があることを入国審査官又は入国警備官に表明したこと
(2)不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
(3)窃盗罪等の一定の犯罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
(4)過去に本邦から退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
(5)速やかに日本から出国することが確実と認められること
3.出国命令が認められない場合について
日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた者や麻薬、
大麻、あへん、覚醒剤等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられた者は、上陸拒否期間に定めなく、日本に上陸することができません。
そのため出国命令制度を利用することはできません。
4.出国命令制度の適用を受けるための出頭場所について
原則として全国に8か所ある地方出入国在留管理局(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)又は3か所の地方出入国在留管理局(横浜、神戸、那覇)に出頭します。
5.法改正があった部分
令和5年度の改正では、さらに自発的な出国を更に促す観点から、出国意思をもって自ら出頭した場合に加え、
入国審査官から退去強制事由に該当すると認定される前に速やかに日本から出国する意思を表明した場合にも出国命令の対象が拡大されました。
①(法第24条の3第1項ロ)
「第二十七条の規定による違反調査の開始後、第四十七条第三項の規定による通知を受ける前に、
入国審査官又は入国警備官に対して速やかに本邦から出国する意思がある旨を表明した者であること。」
②その他改正による追加事項として、さらに退去強制を受けた者であっても、自分の費用負担で自ら帰国しようとする場合、その者の素行、退去強制の理由となった事実その他の事情を考慮して相当と認めるときは、上陸拒否期間を1年とする決定をすることができることになりました。(法第52条5項)
参考文献:出入国在留管理局HP
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和5年6月9日改正の出入国管理及び難民認定法における「出国命令制度」の変更部分について解説しました。
具体的な手続きや事件についてはこちらからお問い合わせください。

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「トランプ大統領就任による出生地主義の制限に関する大統領令発付」について

「All persons born or naturalized in the United States,and subject to the jurisdiction thereof,are citizens of the United States and of the State wherein they reside.」
合衆国憲法修正第14条は冒頭で「合衆国内で生まれ、または合衆国に帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、かつ、その居住する州の市民である」と記し、アメリカ合衆国が出生地主義の原則を定めていることを明らかにしています。
出生地主義とは
出生地主義とは、「父母の国籍の如何を問わず、子が出生によって出生地国の国籍を取得する主義であり、アメリカ、カナダ、オーストラリア及びブラジル等の南アメリカ大陸の多くの諸国で採られて」います。
アメリカ合衆国は国籍の取得にあたり出生地主義を採用する代表的な国の一つです。出生地主義と対になる主義として血統主義があります。
血統主義とは「子がその出生によって出生地の如何を問わず、親の血統に従って親と同じ国籍を取得する主義であり、自国民との血縁関係に基づいて自国の国籍を付与する主義で、フランス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ大陸諸国をはじめ、韓国、中国などでも原則として採られて」います。日本では子の出生時に父又は母のどちらかが日本国籍であれば子に日本国籍を認める父母両系血統主義を採用しています。
*逐条詳解 国籍法P106
新大統領令の内容は
トランプ大統領は大統領就任初日の2025年1月20日、合衆国憲法修正第14条で定められた出生地主義の適用をこれまでより大きく制限する大統領令に署名しました。
日本経済新聞 トランプ氏、「出生地主義」制度見直しの大統領令に署名
大統領令では出生地主義の制限にあたり、合衆国憲法修正第14条の冒頭にある「合衆国の管轄に服する者」という文言を重要視しています。
大統領令によると、元々合衆国憲法修正第14条はアメリカ合衆国国内で生まれた全ての人に生来的に市民権を与えるものではなく、アメリカ合衆国の「管轄に服さない者」は出生地主義による市民権の付与の対象から除外しているという理解に沿って、アメリカ国籍法コード8 U.S.C1401では「アメリカ合衆国で生まれその管轄に服する者」が出生時からアメリカ合衆国の国民及び市民であると規定しています。
今回の大統領令ではアメリカ合衆国で生まれながらもアメリカ合衆国の市民権が認められない者の範囲として、以下(1)、(2)をあげています。
(1)子の出生時に子の母親がアメリカ合衆国に不法滞在しており、子の父親が子の出生時米国市民又は永住者ではない場合。
(2)子の母親が子の出生時に適法な滞在ではあるが滞在が一時的なものである場合、例えばビザの免除を受けアメリカ合衆国の支援を受けての訪問、就労ビザ、留学ビザ、観光ビザ等の場合や子の父親が子の出生時にアメリカ合衆国市民や永住者ではない場合。
(1)及び(2)に該当する場合は、合衆国憲法修正第14条で定められた「アメリカ合衆国の管轄に服する者」に該当しないとして、子がアメリカ合衆国で生まれても自動的にアメリカ国籍を付与することを認めないとするものです。
この措置はアメリカ合衆国が採る出生地主義を否定するものではありませんが、従来よりも出生地主義による国籍付与の大幅な制限となるものです。
この大統領令は、大統領令の発令日より30日経過後からアメリカ合衆国国内で子が出生した場合に適用されます。大統領令発付即日から、この大統領令は合衆国憲法修正第14条に反し違憲であると提訴がありました。
この大統領令が出生地主義について定めた合衆国憲法修正第14条に反するか否かについては現段階ではまだはっきりしていません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、日本国籍取得・帰化申請を取り扱っております。
日本国籍取得・帰化申請でお悩みの方は、ぜひ弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
一度限りで在留特別許可?報道記事を解説
「令和6年6月10日に施行された改正入管法に伴う今回限りの在留特別許可について」あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

まずはこちらの参考報道をご覧ください。
子ども212人、在留特別許可 人道上配慮で日本生まれ外国人に(共同通信) Yahoo!ニュース 9/27(金)12:03
出入国在留管理庁は27日、在留資格がなく強制送還の対象となり得る18歳未満の外国籍の子ども212人とその家族183人に、法相の裁量で例外的に在留を認める「在留特別許可」を付与したと発表した。
日本で生まれ、学校に通っている児童・生徒で、親に犯罪歴がない場合などは、人道上の配慮から今回に限って特例的に家族を含めて付与する方針を示していた。
入管庁によると、改正入管難民法が施行された今年6月10日までの時点で対象の子どもは263人いて、このうち212人に付与。11人が自らの意思で帰国し、40人が親に不法入国といった犯罪歴があることや、就学年齢に達していないなどの理由で付与されなかった。
212人の在留資格の内訳は、「留学」が155人で、「特定活動」が29人、「定住者」が23人など。不法残留などで退去を求められても帰国を拒む外国人の中には、日本の学校で学び、日本語しか話せない子どもも多い。国会審議などで人道的配慮を求める声が上がり、斎藤健前法相が昨年8月、家族も含めて付与する方針を表明した。
こちらの記事をもとに解説をします。
令和5年6月9日、出入国管理及び入管改正法が抜本的に改正され、令和6年6月10日に施行されました。
改正の重要な目的の一つとして送還忌避者の問題解決がありました。
新しい入管法では,「送還停止効の例外規定」というものが設けられています。
「送還停止効の例外規定」とは、退去強制処分を受けている者でも難民申請をしている間は送還が一時的に停止されるという規定です。
新しい入管法ではこの規定に例外を設け、①3回目以降の難民申請者、②3年以上の実刑前科者、③テロリスト等は難民等と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出しなければ、強制送還の一時停止効を認めないというものです。
送還忌避問題と関連して、政府は令和6年6月10日 施行の出入国管理及び難民認定法の改正に伴う送還忌避者の一部に今回限りの在留特別許可を実施しました。
在留特別許可の対象となったのは、日本で不法滞在の状況にある日本で生まれ学校に通っている外国籍の子とその家族合わせて212人、その内訳は「留学」が155人、「特定活動」が29人、「定住者」が23人でした。
「留学」の155人は日本の小学校、中学校等に通学する外国籍の児童が対象となり、「特定活動」29人と「定住者」23人は主に学校に通っている児童の家族に許可されました。
今回の在留特別許可の実施については、出入国管理及び難民認定法改正と関連して以下のような事情がありました。
令和4年12月末時点で、在留資格のない送還忌避者4,233人のうち本邦で出生した子どもは201人いました。現行法上、法務大臣の裁量的判断により、在留特別許可は可能であることから養育する親に在留を特別に許可する事情がない場合には、基本的に子どもにも在留特別許可を認めていませんでした。
そこで子どもと親を家族一体として扱い子どもと親に在留を特別に許可する事となりました。
令和5年6月9日に改正された入管法改正法により、庇護すべき者は適切に庇護する一方、送還すべき者はより迅速に送還することが可能になる結果、今後は在留資格のないまま在留が長期化する子どもの増加を抑止することが可能となりました。
(送還停止効の例外規定の実施により、難民であることについて相当の理由がある資料 を提出できない難民申請者を速やかに帰国させるため) 既に在留が長期化した子どもに対して、現行法で迅速な送還を実現することができなかったことを考慮して今回限りの特例措置として、家族一体として在留特別許可をして在留資格を与える方向で検討をしました。
在留特別許可の対象は、改正法施行時までに、本邦で出生して小学校、中学校又は高校で教育を受けており、引き続き本邦で生活 をしていくことを真に希望している子どもとその家族です。ただし、在留特別許可は親に看過し難い消極事情がある場合を除かれます。
(注1)看過し難い消極事情とは、①不法入国・不法上陸、②偽造在留カード行使や偽装結婚等の出入国在留管理 行政の根幹に関わる違反、③薬物使用や売春等の反社会性の高い違反、④懲役1年超の実刑、⑤複数回の前科を有していることを想定しています。
(注2)看過し難い消極事情があっても、個別の事案ごとに諸般の事情を総合考慮して在留特別許可をする場合もあり得ます。
本方針により、本邦で生まれ育った在留資格のない子ども201人のうち、自らの意思で帰国した者を除き、少なくとも7割、就学年齢に達している子どもの8割程度に在留特別許可をすることが見込まれます。
今回行われた日本で生まれ在留資格のない子どもに対する在留特別許可は、あくまで今回限りの特別措置であり、次回以降、在留資格のない子どもの在留特別許可は個別に審査されることになります。
あいち刑事事件総合法律事務所では、在留資格のない子どもの在留特別許可を扱っています。お子様の在留資格でお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

日本に在留する外国人の方が増える中,ビザや在留資格の手続きは複雑で分かりにくく,誤ると収容や強制送還のリスクも伴います。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,日本に在留する外国人の方,日本に入国したいという外国人の方やそのご家族の方のために最大限のサポートをさせていただきます。自分たちだけで悩まずに,どうぞお気軽にお電話下さい。
監理措置とは何なのか
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が、2024年6月10日施行の改正「出入国管理及び難民認定法」に新たに創設された「監理措置制度」について解説します。
昨年の入管法改正では3回目以降の難民者は強制送還の対象になるという部分が大きな話題となりましたが、それ以外にもいくつか重要な改正や新規創設がなされました。
その中の一つに監理措置制度があります。
監理措置とは、「退去強制手続を受ける外国人について、監理人による監理の下で逃亡等を防止するとともに相当期間に渡って社会内での生活を許容しながら退去強制手続を進めるという措置」とされています。 *出入国在留管理局HP
これまで不法入国の場合や日本滞在中に何らかの事情により在留資格を失って国外退去が確定した者は、国外退去するまで入管収容施設に収容することを原則としていました。(全件収容主義)
全件収容主義の問題点として、国外退去が確定しても退去強制命令を拒み続ける外国人がいた場合、その外国人は長期に渡る入管施設への収容につながり、結果として被収容者の健康上の問題等が生じることがありました。
また被収容者の健康問題を考慮して仮放免を行った場合に、仮放免を受けた外国人が逃走するという事態が生じることもありました。
そこで問題点が多かった原則収容の入管法の規定(全件収容主義)を全面的に見直して、個別事案ごとに逃亡等のおそれの程度に加え、本人が受ける不利益の程度も考慮したうえで収容の要否を見極めて、収容か監理措置かを個別に判断することになりました。
新しい入管法から見た監理措置の流れ
(違反調査)27条
入国警備官は、退去強制事由に該当すると思われる外国人「(以下容疑者)」がいるときは、容疑者に対して退去強制事由に該当する事実があるかどうかを調査することができます。
(主任審査官の審査)39条1項
入国警備官は第27条による違反調査の結果、容疑者が退去強制事由に該当すると疑うに足りる相当の理由があると認める場合は、容疑者が逃走する恐れがあるとして収容した場合を除いて主任審査官に、容疑者が退去強制事由に該当する相当の理由がある旨を通知します。
第39条2項(主任審査官の審査)
入国警備官から通知を受けた入国審査官は、容疑者が入管法24条各号で規定する退去強制事由のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由があるときは、
第44条1項の規定による監理措置とするか入管施設に収容するかを審査しなければなりません。
(収容に代わる監理措置)第44条の2項
第39条2項による調査の結果、主任審査官は容疑者が入管法第24条各号(退去強制該当事由)のいずれかに該当すると疑うに足りる相当の理由がある場合に、容疑者が逃亡し、又は証拠を隠滅するおそれの程度、収容により容疑者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮して、容疑者を収容しないで退去強制の手続きを行うことが相当であると判断する場合は、容疑者を監理措置に付ける旨の決定をすることになります。
第44条の2第4項
入管法に定める規定により入管収容施設に収容された容疑者は、法務省令で定める方法により、主任審査官に対して、自分を監理措置に付けるよう主任審査官に請求することが出来ます。
第44条の2第6項
主任審査官は容疑者からの請求(法44条の2第4項)又は職権で、収容されている容疑者が逃亡し、又は証拠を隠滅するおそれの程度、収容により収容されている容疑者が受ける不利益の程度その他の事情を考慮して、容疑者を収容施設から放免(入管収容施設から外に出すこと)して退去強制手続きを行うことが相当と認めるときは、その者を放免して監理措置に付ける決定をします。
この場合、監理措置に付ける者に対して監理条件を付けることができ、また監理措置につけた者が逃亡又は証拠の隠滅を防止するために必要がある場合は、300万円を超えない範囲内で法務省令で定める額の保証金を納付されることができます。
以上が改正入管法で新たに創設された監理措置について条文から見た流れです。

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