弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際業務」について解説します。
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1.在留資格とは?
在留資格とは、外国人が日本で行うことができる活動内容を類型化したもので、現在日本には在留資格が29種類あります。
在留資格はおおまかに身分又は地位に基づく資格(永住・日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4種類)と日本での活動に応じて認められる資格(技能、技術・人文・国際業務、技能実習、特定技能、経営・管理等全部で25種類)に分けられます。
2.在留資格「技術・人文・国際業務」とは?
日本の大学や専門学校に留学している外国人学生が学校を卒業後、日本の会社や役所に就職して働く場合に必要となる在留資格が「技術・人文・国際業務」です。
日本での活動に応じて認められる在留資格です。「技術・人文・国際業務」の活動内容は大きく2つあります。
①理学、工学その他の自然科学の分野又は法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を要する活動。
例えばメーカーが理工系の大学を卒業した外国人をSE、設計、技術開発、品質管理部門、商品開発、事業会社で企画、営業、財務、マーケティング、人事等に従事する活動等が該当します。
②海外の文化に基盤を有する技術又は感受性を必要とする活動。例えば、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発、英会話教室の講師等に従事する活動が該当します。
在留資格「技術・人文・国際業務」の特徴として、原則として「単純作業」は出来ないということが挙げられます。
ここで「単純作業」とは一体どのような作業なのかが問題となりますが、具体的には、製造業でのライン作業、飲食店でのホール作業、小売店でのレジ業務、コンビニエンスストアでの接客、レジ業務等が考えられます。
日本の大学や専門学校で学ぶ外国人留学生の多くがこれらのアルバイトでこれらの業務に携わっていますが、これらの業務は入管法上「単純作業」とみなされ、原則として「技術・人文・国際業務」でこれらの業務に従事することは認められません。
そのため、飲食店やコンビニでのアルバイトチーフや製造業でのラインリーダーで働いてもらうため「技術・人文・国際業務」の資格では採用することはできません。また大学や専門学校での専攻科目と入社後携わる業務との関連性が求められます。
大学卒業者については、大学の教育機関としての性格をふまえ専攻科目は従事しようとする業務の関連性は比較的緩やかに判断するとしています。
実務上の感覚からみると、専攻科目と入社後従事する業務の関連性よりも入社後従事する業務が「単純作業」かどうかが重要視されているようです。
3.特定活動46号と技術・人文・国際業務の違い
外国人が日本の会社等で商品企画、技術開発、営業、管理業務、広報、教育等に従事するために必要な資格として「技術・人文・国際業務」がありますが、これらの業務は他の就労資格でも認められる場合があります。「特定活動46号」という在留資格です。
「特定活動46号」の対象となるのは、日本の大学卒業者であって、高い日本語能力を有する外国人です。高い日本語能力とは、日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方です。その他、大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方も対象となります。
「特定活動46号」の具体的な活動例として、
①工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインの入って業務を行うもの
②小売店において、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客業務を兼ねた接客販売業務を行うもの(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能)
③食品製造会社において、他の従業員との間で日本語を用いたコミュケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ、自らも商品製造ラインに入って作業をおこなうもの
があります。
上記①~③の業務は「技術・人文・国際業務」では認められませんが「特定活動46号」では対応可能となります。
「特定活動46号」で求められる語学レベルはN1以上ですが、外国人留学生が日本の大学で日本語で授業を受けるために必要なレベルはN2以上なので、日本の大学で4年間日本語で授業を受け卒業単位を取得し卒業した留学生であれば、N1取得も不可能ではないかもしれません。
介護やコンビニ、製造業等で、技能実習生や特定技能、留学生アルバイト等の外国人従業員を多く抱える事業所にとって、現場で働く外国人のリーダーになりうる外国人は大変貴重な存在であることから、「特定活動46号」は大変有用性が高い在留資格になるでしょう。
外国人従業員が多い現場で作業リーダーの役割を担ってもらいたい場合は、「技術・人文・国際業務」ではなく「特定活動46号」での採用となります。
以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際業務」について解説しました。
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