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二重国籍の問題とは

2024-06-18

二重国籍について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

次のような報道がありましたので,それを基に解説をします。

国籍はく奪条項違憲訴訟 最高裁判決

みずからの希望で外国の国籍を取得すると、日本国籍を失い、二重国籍が認められない国籍法の規定が憲法違反かどうかが争われた裁判で、最高裁判所は2日までに原告側の訴えを退ける決定をし、「憲法に違反しない」とした判決が確定しました。
日本の国籍法は、外国の国籍をみずからの希望で取得した場合、日本国籍を失うと規定していて、二重国籍を認めていません。
国籍法の規定が、憲法違反かどうかが争われた裁判で、最高裁判所は2日までに原告側の上告を退ける決定をし、「憲法に違反しない」とした判決が確定しました。これについて、スイスやリヒテンシュタインに住み、現地の国籍を取得して日本国籍を失った人など、8人は「意思に反して国籍を奪う法律の規定は個人の尊重を定めた憲法に違反し、無効だ」と主張して、国に日本国籍があることの確認と賠償を求めました。
2審の東京高等裁判所は今年2月、「複数の国籍を認めると、どの国が個人を保護するかをめぐって国家間の摩擦が生じたり、納税や兵役などの義務について矛盾が生じたりするおそれがある。
国籍法の規定は、その原因となる二重国籍をできるかぎり防ぎつつ、国籍を変更する自由を保障していて合理的だ」として、1審に続いて憲法違反ではないと判断して、訴えを退けました。
原告側は上告していましたが、最高裁判所第1小法廷の岡正晶裁判長は、2日までに上告を退ける決定をし、国籍法の規定は「憲法に違反しない」とした判決が確定しました。
「二重国籍認めないのは“憲法に違反せず” 上告退け確定 最高裁NHK 2023年10月2日 17時52分」

この裁判は外国籍を取得すると日本国籍を失うとする国籍法の規定は憲法に違反すると原告側が裁判所に訴えた事件です。争点となった国籍法は国籍法11条1項です。
では国籍法11条1項の条文を見てみます。

〔国籍の喪失〕
第11条 日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得した時は、日本の国籍を失う。

「自己の志望によって外国の国籍を取得した時は、」とはどのような状況かというと、例えば日本人がアメリカにある企業に就職した。あるいは科学者等がアメリカの大学に研究目的で渡米して、アメリカの土地柄や会社、研究所が自分に合っていた等の理由で、最初はアメリカの永住権を取得して、そのうちアメリカで市民権を得たいのでアメリカ国籍を取得するといったことが考えられます。
日本人がアメリカ国籍を取得するとどうなるかというと、国籍法11条1項の手続に従うと、アメリカ国籍を取得すると自動的に日本の国籍を失います。自動的に失うとはどのような意味かというと
アメリカ国籍を取得するのと同時に日本国籍を失うということです。

この場合日本国籍を失っていても日本の戸籍簿に反映されているわけではないので、「実質的に失われている」と表現されます。
アメリカの国籍を取得していながら同時に日本の国籍も保持しておきたいとするのは認めません、
いわゆる二重国籍は認めませんというのが国籍法11条1項の趣旨です。

この場合、自分は日本国籍を失う意思はなかった。日本国籍を失うのならあえてアメリカ国籍を取得することはなかったと言い張ってもそれは後の祭りとなります。
法務省側から言うと、国籍法11条1項に「自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」と書いてあります。
法律で書いてあることに気が付かないのはあなたの責任で、こちらではきちんと法律に従った運用をしています。と言う見解です。
今問題になっているのは、国籍法11条1項の存在を知らず外国の国籍を取得したことで、自分の知らないうちに日本国籍を失った元日本人の方たちが少なからず実在していることです。
ここでは日本のパスポートの使用がどうなるのかということや、そもそも自身の日本人であるというアイデンティティはどうなっているのかが問題となってきます。
国籍法11条1項の問題は二重国籍に関する問題ですが、外国人が日本国籍を取得する場合の方法として帰化があります。

外国人が日本国籍を取得する場合と日本人が外国籍を取得する場合では扱いが異なります。
外国人が日本に帰化をすると日本に帰化をした外国人は元の国の国籍を離脱しなければ二重国籍となりますが、国籍法では帰化をした日本国籍取得者に本国での国籍を離脱することを強制する手続きは取っていません。
あくまで本国の国籍を離脱するか否かは自身の判断にゆだねられます。それゆえ日本国籍と本国の国籍の二重国籍が発生する余地が生じます。
しかしながら日本人が海外で外国の国籍を取得すると自動的に日本国籍を失うので、二重国籍が生じる余地はない、ということになっています。
国籍法第11条1項の規定は、日本人が海外国籍を取得した場合、自動的に日本国籍を喪失させる規定ですが、本人が例えこの条文を知ってても知らなくても(国籍法11条1項を知らないことに過失がなくても)外国籍を取得した日本国籍者は外国籍を取得した瞬間に日本国籍を失い外国人であることが確定されるというわけです。
せめて外国国籍を取得したことをもってあなたは日本国籍を失いました、と法務局から通知でもあればいいのですが、現状ではそれもありません。

従って外国の大使館や海外の外資系企業に勤務していて、周囲がみんな外国籍だから自分も周囲の人と同じ国籍を取得してみようかな、くらいの気持ちで海外にいる間にその国の国籍を取得して、しばらくたって海外の国籍を取得したことも忘れたころに日本に帰国すると、いつのまにか自分が知らない間に日本国籍を失っていた、ということもあり得るわけです。
自分はずっと日本人と思っていたのに知らないうちに日本国籍を失っていてなぜか外国人となりしかも日本にいる間は外国人として在留資格を取得していないので不法滞在状態になっているという、
これまで想像すらしていなかった恐ろしい現実に直面する危険性があるという事です。このように日本人が他の国籍を取得するという事は、同時に日本国籍を失う事と直結するということです。
海外の国籍の取得を希望する方は、是非国籍法11条1項について覚えておくとよいと思います。
日本国籍の喪失に関わる極めて重要な規定となっています。

国籍に関してお悩みの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

お問い合わせはこちらからどうぞ。

外国人が日本で起業する場合,ビザはどうなる?

2024-06-13

外国人が日本で会社を設立して事業を開始したいときにどのような手続きが必要となるかについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

起業のためのビザ

定住、永住、日本人の配偶者等の身分による在留資格の場合を除き、外国人が日本国内で会社を設立して事業を始めるためには在留資格が必要です。

外国人が日本国内で起業を行い会社を設立して事業を行う際に必要となる在留資格として「経営・管理」があります。
この在留資格は事業の経営・管理業務に外国人が従事することができるようにするために設けられました。「経営・管理」の在留資格に該当する範囲として以下3つあります。

1.本邦において事業の経営を開始してその経営を行い又は当該事業の管理に従事する
活動
2.本邦において既に営まれている事業に参画してその経営を行い又は当該事業の管理に
従事する活動
3.本邦において事業の経営を行っている者(法人を含む)に代わってその経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

外国人が新たに日本で会社を設立して事業を行う場合は1に該当します。

外国人の会社設立について

日本の会社の種類として、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の4種類があります。
合名会社、合資会社は会社の債務に対して直接無限責任を負うメンバーが必要となり、
外国人が国内で設立する会社として一般的ではなく、株式会社、合同会社のどちらかの会社の設立となるのが一般的です。
ここでは日本国内で最も数の多い株式会社の設立について「経営・管理」の在留資格取得の観点からポイントとなる点について解説します。

外国人が日本で会社を作って事業を行う場合に問題となるのが、事業所の確保と会社の設立です。
株式会社設立の場合、会社を作って事業を開始したい方が発起人となり会社設立の手続きを行います。この発起人は外国人でもなれるのかですが、発起人については国籍、住所に特に制限はなく外国に住んでいる外国人でも発起人になれます。

会社設立に際して必要な書類で発起人のサインがいる場合、海外に住んでいる発起人あてに書類を郵送してサインをしてもらうことになります。この場合発起人のサインには公的な証明として、本国でのサイン証明書等の発行が必要となります。

またそのサイン証明書が本国の言語で書かれている場合は日本語に翻訳も必要です。
以下、外国人が会社を設立して在留資格「経営・管理」を取得する際の疑問点をQ&A形式で解説します。

Q 外国人の発起人だけの場合、会社設立は可能か?

発起人の住所に関しては法令上制限がなく、外国人だけで会社設立手続きは可能です。
しかしながら発起人が資本金を払い込む際に発起人の代表者の銀行口座で払い込む必要があり、
外国人が日本の金融機関で口座を開設するには在留資格と住民票が必要です。
海外に住んでいて日本に在留資格のない外国人はそもそも日本の住民票を取得していないため、日本国内の銀行口座を開設するのは出来ず、事実上海外に住む外国人の発起人だけで会社を設立するのは困難です。
この場合は日本に銀行口座のある発起人を発記人の代表者として、その発起人の銀行口座に資本金を払い込む方法を取ることで対応できます。
外国人が在留資格「経営・管理」を取得するためには、規模の要件として常勤2名以上の雇用又は500万以上の投資を行うことが求められますが、
株式会社設立による場合は、発起人が500万円以上を資本金として払い込むことでこの要件を充足することができます。

Q 外国人は取締役に就任できるか?

海外に住む外国人は日本にある会社の役員に就任できます。
この場合に公的な機関が発行したサイン証明書と日本語翻訳文が必要な場合があります。

Q 会社事業所について

外国人が「経営・管理」の在留資格を取得して日本国内で事業を行うためには事業所が必要となり、
この事業所は居住用の賃貸マンションやアパートではなく、
事業用の事務所として独立した区画であることが求められます。
外国人が事業用としてマンション等を所有していれば別ですが、通常は事業用の部屋を借りることが一般的であり、在留資格のない外国人が果たして事業用事務所を借りることができるかが問題となります。

この場合は資本金の払込みの場合と同様既に日本に居住している発起人に事業用事務所を借りてもらうことで対応すること可能です。
以上より外国人が単独で会社設立のための資本金の払込みや事業用事務所を借りることは、日本国内のパートナーが不在の場合事実上困難ということになります。

Q 外国人が日本でのパートナーなしで日本で会社設立を行い在留資格「経営・管理」を取得するにはどのような方法があるか?

この場合,外国人創業人材受入促進事業の活用としてInvest ToKyoの活用が考えられます。

「外国人が日本で創業する場合、在留資格「経営・管理」を取得する必要があります。
この在留資格を取得するためには、①入国前に事務所の開設に加え、②常勤2名以上の雇用又は500万以上の国内での投資等の要件を満たしている必要があります。
このため外国人が国内のパートナーなしに、一人で創業することは極めて困難となっています。

しかし,東京都の特区制度では、入国時の出入国在留管理局(入管)の審査前に、東京都が事業計画等を確認することで、①、②の要件が猶予され特例的に6か月間の在留資格「経営・管理」が認められます。

参考 Invest ToKyo HP

Invest Tokyoは外国人の東京での創業をスムーズに行うために、東京都が独自に支援を行うものです。国家戦略特区事業として東京都が独自に行うものです。

Invest ToKyoを活用した場合の在留資格「経営・管理」新規取得の流れについて

東京都で創業を希望する外国人(申請者)がビジネスコンシェルシュ東京(BDCT)赤坂窓口に申請書類一式を提出→東京都が確認申請→審査が通れば申請者に「創業活動確認証明書」が交付される→申請者が入管に「在留資格認定証明書」交付申請を行う→審査が通れば「在留資格認定証明書」が交付される。→日本入国時に在留資格「経営・管理」(6か月)の在留カードが交付される。
→入国後の6か月で①事務所の開設、②常勤2名以上の雇用又は500万以上の国内での資本金・投資等の要件の2つを満たせば良い。

外国人起業活動促進事業には経済産業省で行うものもあります。
この場合の在留資格は特定活動(44号)となります。
外国人起業活動促進事業は東京都以外にも、富山県、京都府、愛知県、岐阜県、兵庫県、三重県、北海道等の都道府県や大阪市、浜松市、加賀市、横浜市等でも行われています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、外国人の日本国内での創業活動を希望する外国人の在留資格取得手続きを行っております。
海外に住む外国人で日本国内で事業活動をしたいがどうしていいかわからなときは是非ご相談ください。

永住許可申請について

2024-06-11

永住資格許可申請について、あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

永住者の在留資格とは、在留活動に制限がなく、在留期限も制限のない在留資格であり、日本で暮らす外国人が生涯を日本に生活の本拠において暮らしていくことが想定されている在留資格です。

永住許可の要件

永住許可の要件として以下(1)から(3)までの要件があります。

(1)素行が善良であること
法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること。
(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格 (在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)
又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
イ 罰金刑や懲役刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)
を適正に履行していること。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
エ 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。
※ ただし、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合には、(1)及び(2)に適合することを要しない。
 また、難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けている者の場合には、(2)に適合することを要しない。

要件について解説

(1)素行が善良であること

素行善良要件と呼ばれます。
具体的には次のいずれにも該当しない状態を指します。
(ア)日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金に処せられた事がある者。
ただし、刑の消滅の規定の適用を受ける者又は執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを受けることなく当該執行猶予の期間を経過し、
その後更に5年を経過したときは、これに該当しないものとして扱う。
(イ)少年法による保護処分(少年法第24条第1項第1号又は第3号)が継続中の者。
(ウ)日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者。
(ア)(イ)(ウ)ともに普通に生活していれば特に問題になることはないでしょう。

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

独立生計要件といいます。
生活保護を受給しておらず、現在及び将来においていわゆる自活をすることが可能な状態であることです。
独立生計要件は必ずしも申請人自身が具備している必要はなく、申請人が配偶者等とともに構成する世帯単位で見た場合に安定した生活を続けることが出来ると認められる場合には、これに適合するものとして扱います。
申請人及び申請人の扶養者の所得及び納税状況を証明する資料が求められます。
住民税の納付状況を明らかにする資料として住民税の課税(非課税)証明書及び納税証明書が必須の提出書類となります。
・日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子は直近3年分
・日本人、永住者及び特別永住者の実子の場合は、直近1年分
・「定住者」就労資格又は「家族滞在」の場合直近5年分の申請人及び申請人の扶養者の所得及び納税状況を証明する資料が必要です。
納税については滞納がないことが必要です。

収入について

同一世帯で共働きの場合、申請人の夫又は妻の収入もカウントされます。
永住申請手続きでの最近の取り扱いとして、近年永住審査における申請人の収入の判断基準が上がってきており、収入の基準として日本人の平均年収程度まで求められるようです(出入国在留管理局ごとで基準に差があるかもしれません)。

最近の永住審査では税金の滞納や社会保険の支払いは当然のこととして、特に申請人の収入を大変重要視しているように感じます。
総じて永住許可のハードルが年々上昇しているのは間違いありません。
社会保険の加入については、直近2年分の社会保険の加入履歴が求められます。
ただし、日本人、永住者又は特別永住者の実子又は特別養子に該当する人は直近1年間です。注意すべき点として社会保険加入について、
直近2年間の社会保険加入確認対象期間において、途中未納があるのに永住申請をした場合に、新たに未納した分を追納しても有効にはならず、
追納が完了したのちの新たな確認対象期間で未納がない状態を証明する必要があります。要するに1からやり直しということですね。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

ア 原則として引き続き10年以上日本に在留していることが必要です。
但しこの期間のうち就労資格または居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが必要です。
原則10年の特例として
(1)日本人、永住者及び特別永住者の配偶者の場合、実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上本邦に在留していること。
その実子等の場合は1年以上本邦に継続して在留していること
(2)「定住者」の在留資格で5年以上継続して本邦に在留していること
(3)難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けた者の場合、認定後5年以上継続して本邦に在留していること
(4)~(7)
イ について特に解説はありません。
ウ について現在最長の在留期間は5年ですが、3年の在留期間でも永住申請ができるように運用されています。
最近の永住申請において注意すべきことについて
近年永住許可の取得が困難になっており、特に独立生計独立要件の審査が厳しくなってきています。この中でも収入要件のハードルが上がっています。
税金の滞納がないことはもとより社会保険(国民年金及び厚生年金・健康保険及び国民健康保険)は加入は義務とされ、
永住申請の場合は直近2年分の支払い納付状況について完納していることが求められるので、直近2年間で未納期間がある場合は、完納してから永住申請しましょう。
できるだけ収入を増やすことも永住審査においては重要なポイントとなります。

以上、あいち刑事事件総合法律事務所が永住許可申請について解説しました。

永住許可に関しては出入国管理局が公表しているガイドライン(リンクはこちらから)もありますので,そちらも参考にしてください。

永住許可申請についてご不安なことや分からないことがある方は,こちらからお問い合わせください。

他人名義のパスポートによる不法入国

2024-06-06

他人名義のパスポートによる不法入国について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

※以下の事例はフィクションです。

F国出身のAさんは今から15年前に、F国から「興行」の在留資格で来日しました。
当時「興行」ビザでF国から日本に働きに来る人が大勢いました。
F国から「興行」ビザで来日した人の多くが、日本の各都道府県にあるパブやクラブでショーをしたり、歌手として、時には接客として働きました。
Aさんは自分が日本で働くために必要な手続きについてAさん自身がよくわかっておらず、日本への在留申請手続きは全てブローカーに任せていました。
ほどなくしてAさんはクラブで働き始め、時々お客さんの席に同席して接客をすることもありました。
Aさんがお店で働き始めてからしばらくして、お店の常連だった日本人のBさんと親しくなり、二人は知り合ってから半年後に結婚しました。
結婚してから今年で10年がたち、AさんとBさんの間には男の子と女の子が出来ました。
2人の子供たちは日本国籍です。Aさんはやさしい夫と2人の子供たちに囲まれて大変幸せな毎日を過ごしています。そんなAさんですが、Aさんには人には言えない悩みがありました。
実はAさんの本国での名前とパスポートや在留カードの名前が違うのです。
Aさんが初めて日本に来日したときはまだ19歳でした。

当時Aさんは日本の法律では未成年になることから、ブローカーがAさんが日本で
「タレント」として働けなくなることを恐れ、2つ年上で当時21歳のいとこの名前を使ってパスポートを作ったのでした。Aさんも自分のパスポートの名前と誕生日が違うことについて、これも来日して働くための方法だろうと特に気にすることはありませんでした。
最近F国にいるいとこから「海外に住んでいる男性と結婚して海外で暮らします。パスポートを作るので私の名前を返してください」と連絡がありました。
Aさん自身はいとこの幸せを祝福する気持ちはやぶさかではありませんが、いとこに名前を返して自分が本名になると、自分がいとこの名前を使って不正に日本に入国したことが入管や警察に発覚してしまうかもしれません。そうなると自分の在留資格が取消されてF国に強制送還されるかもしれないことをAさんは心配しています。Aさんは今の幸せな生活を失いたくありません。
いとこは「Aさんが名前を返してくれないなら、入管に報告します」とまで言っています。
Aさんは一体どうすればいいのでしょうか?

Aさんは他人名義のパスポートでパスポートで入国していますが、このことは一体何罪にあたるのでしょうか?出入国管理及び難民認定法の条文には何と書いてあるでしょう?

外国人の来日について

出入国管理及び難民認定法(以下法)
第3条  次の各号のいずれかに該当する外国人は、本邦に入ってはならない。
一 有効な旅券を所持しない者(有効な乗員手帳を所持する乗員を除く。)

以下,条文の解説をします。

日本に入国する外国人が、自分の旅券(パスポート)ではなく他人名義の旅券を所持している場合には、その旅券が旅券自体としては有効なものであっても、当該外国人は、「有効な旅券」を所持していることにはならないとされています。

いとこの名義を使ったパスポートで日本に入国したAさんは、法3条違反となります。
それでは、他人名義のパスポートで入国した場合はどれくらいの罪になるのでしょうか?
法文では,次のように規定されています。

法第70条 次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。
一 第3条の規定に違反して本邦に入った者

Aさんのいとこ名義のパスポートでの入国は、入管法3条違反であり、「3年以下懲役若しくは禁錮若しくは300万円以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科」の刑罰が規定されています。
また、不法入国の場合は、法70条第2項により公訴時効がありません。
従ってAさんは不法入国で何年たっても刑事罰に問われる可能性があります。

在留資格への影響

Aさんは来日当初、「興行」の在留資格でした。
その後Bさんと結婚して「日本人の配偶者等」に変更になり、その後は永住資格申請をして申請が認められ、現在の在留資格は「永住者」です。
この場合、Aさんの「永住者」の在留資格はどうなるのでしょうか?

法律上次のような規定があります。

【在留資格の取消し】法22条の4
法務大臣は、別表第一又は別表第二の上覧の在留資格をもって本邦に在留する外国人
(第61条の2第1項の難員の認定を受けている場合を除く。)について、次の各号に掲げる事実が判明したときは、法務省令で定める手続きにより、当該外国人が現に有する在留資格を取消すことができる。
一 偽りその他の不正の手段により、当該外国人が第5条第1項各号のいずれにも該当しないものとして、前章第1節又は第2節の規定による上陸許可の証印(第9条第4項の規定による記録を含む。)又は許可を受けたこと。

他人名義によるパスポートでの入国は法3条違反となり、法3条違反は法第5条1項第八号ハに該当します。
在留資格の取消しを定めた法22条の4第1項1号に法第5条1項第八号ハが含まれるので、Aさんの現在の在留資格である「永住資格」は取消しの対象となります。
また、Aさんの他人名義のパスポートによる不法入国は法第24条第1項1号により、退去強制の対象となります。

入管当局も他人名義のパスポートの使用については監視を強め、摘発に積極的になっています。
参考:出入国管理局 他人になりすまして旅券(パスポート)を不正に取得する事案が発生していることから、不正取得防止のため審査を強化します

まとめ

まとめるとAさんはいとこ名義のパスポートで入国したことにより、現在の在留資格である法22条の4第1項第1号から「永住資格」の取消し、法24条第1項第1号により退去強制、法70条第1項第1号により3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは300万以下の罰金、場合によっては懲役刑と罰金刑の両方を受ける可能性があります。

結論として、Aさんはどうしたらいいのでしょうか?
Aさんの他人名義での不法入国が入管に報告されると、Aさんは刑事罰の対象となっていることから逮捕・起訴され有罪判決を受けるかもしれません。仮に逮捕・起訴されなくても行政処分として在留資格は取消され、強制送還されることは十分考えられます。
そうなるとAさんがこれまで日本で築き上げてきた生活は根底から覆ってしまう恐れがあります。
このままAさんは何もせず無事に時間が過ぎ去るのを待つのも一つの方法ですが、いつか予期せぬことで不法入国が警察や入管に発覚することは十分に考えられます。
Aさんにとって一番ベストな選択は、入管手続きを専門にしている弁護士・行政書士に相談してみることです。
Aさんのケースは事実と法(出入国及び難民認定法)が複雑に絡みあっており、これを1人で解決するのは非常に困難です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では不法入国からの在留資格再取得も取り扱っております。他人名義のパスポートを使用して不法入国され、現在の在留資格についてお困りの方は、お一人で悩まずに是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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上陸拒否の特例

2024-06-04

上陸拒否の特例について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.上陸拒否の特例とはなにか。

一定の類型の上陸拒否事由に該当する(出入国管理及び難民認定法第5条に列挙されています)者であったとしても、法務大臣が再入国の許可を与えた場合その他法務省令で定める場合において、相当と認めたときは、当該違反事由のみによっては上陸を拒否しない(他に違反事由がなければ日本への上陸を認める)ことができます。

この特例を上陸拒否の特例といいます(出入国管理及び難民認定法第5条2項)。
たとえ上陸拒否に該当する者であっても上陸を認めるだけの相当の理由がある場合は、日本への上陸を希望する当該外国人の上陸を認められる場合があるということを定めたものです。

2.上陸拒否事由とは?

上陸拒否事由とは、入管法第5条に規定される事由で、外国人が当該事由のいずれかに該当する場合は、上陸拒否の対象となります。
各主権国家が、その国家にとって 好ましからざる外国人の入国を禁じ又は適当と認める条件を具備する外国人のみの入国を許可する権限を有することは国際法上確立した原則であり、我が国でも、公衆 衛生、公の秩序、国内の治安等が害されるおそれがあると認める外国人について、上陸拒否事由に該当する場合は上陸を拒否することとしています。

3.上陸拒否の対象となる人

過去に不法残留等を理由に退去強制された者や出国命令を受けて出国した者は、一定期間、我が国に上陸することはできません。上陸拒否期間は下記のとおりです。
① 退去強制された者で、その退去の日前に退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことがないものの上陸拒否期間は、退去強制された日から5年
② 退去強制された者で、その退去の日前に退去強制されたり、出国命令を受けて出国したことがあるものの上陸拒否期間は、退去強制された日から10年
③ 出国命令により出国した場合の上陸拒否期間は、出国した日から1年
④ 日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた場合等の上陸拒否期間は無期限となります。

4.上陸特別許可の特例の申請と申請書類

上陸拒否事由に該当する外国人が、日本に上陸を希望する場合、在留資格認定証明書の交付申請により在留許可申請を行います。
管轄の地方出入国在留管理局への申請により審査が行われることとなりますが、審査の結果とし て同証明書が交付され、在外公館において有効な査証を取得した場合は、当該外国人が我が国の出入国港で上陸申請を行った際に、当該上陸拒否事由に該当すること以外に上陸の条件に適合しないものがなければ、上陸特別許可の手続を経ずに上陸を認められることとなります。

5.実際に上陸特別許可を受けた事例の紹介

出入国在留管理庁からから出ている上陸特別許可事例によると、退去強制後の日本人配偶者との婚姻による場合に上陸特別許可が出ているケースが見られます。
日本国内で何らかの犯罪を行った結果、1年以上の有罪判決を受けて無期限上陸拒否となったケースで上陸特別許可が認められたケースもありますが、いずれも執行猶予がついている事例であり、実刑判決を受けて帰国してから上陸特別許可で認められた事例はこれまでのところ見当たりません。

6.上陸特別許可の重要性と専門家のアドバイス

上陸特別許可(上陸拒否の特例)は、出入国管理及び難民認定法の規定によると、上陸拒否に該当する外国人が日本への上陸を希望する場合、

原則として上陸を認めない、

例外として上陸を認める「相当の理由」が認められる場合に上陸を認める場合がある

というように通常の在留許可申請と違い「原則」と「例外」が逆転しており、上陸特別許可を認めてもらうには申請側が上陸を認めてもらうに足りる「相当の理由」を証拠となる根拠となる資料とともに立証していく必要があります。

現実には上陸特別許可での在留資格の取得は大変難しい状況となっており、上陸特別許可の申請には大変高度な書類作成能力と事案の判断分析能力が必要となります。
上陸特別許可の申請を考えている方は、可能であれば入管業務を専門に取り扱う弁護士・行政書士のアドバイスを受けてみることをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、上陸特別許可の案件で在留許可を獲得した実績があります。                
上陸拒否を受けていて日本への上陸が認められずお困りの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所入管部門までお問合せください。

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帰化について

2024-05-31

帰化について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

帰化とは何か?

帰化とは、日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して、法務大臣の許可によって、日本の国籍を与える制度です
国籍法には法第4条から第9条までで帰化について規定されています。

まずは国籍法第四条を見てみましょう。
第四条 日本国民でない者(以下「外国人」という。)は、帰化によって、日本の国籍を取得することができる。
2 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。

第四条では、外国人は帰化により日本国籍を取得することができると規定されています。
そして帰化のためには法務大臣に許可を得なければなりません。
外国人の申請者が帰化許可申請手に始まり、帰化を許可するだけの条件がそろっているかの調査を経て、法務大臣が帰化の可否の処分を行うことで終了する一連の流れが帰化手続きになります。
帰化の一般的条件については五条で規定されています。

第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
三 素行が善良であること。
四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
六 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

第五条は、帰化許可を希望する外国人に対して法務大臣が日本への許可を与える条件を定めたものです。
日本国と特別な関係に立たない外国人の帰化である帰化の条件を定めています。このような帰化を普通帰化といいます。
本条の1から6までの帰化に関する条件は、帰化許可の最小限の必須条件であり、これらの条件を満たしていたとしても、必ず帰化が許可されるとは限りません。次に条文の内容について確認していきます。

1 住所条件(国籍法第5条第1項第1号)

帰化申請者が日本と場所的関連性があることが帰化の判断をするうえで重要な条件として最初に規定されています。帰化の申請をする時まで、引き続き5年以上日本に住んでいることが必要です。
これまでに五年間以上、継続して住所を有していても、帰化申請時に外国に住所があったり、前後を通じて五年以上住所があったとしても途中で中断していた場合は、「引き続き五年以上日本に住んでいる」の要件には該当しません。
なお、住所は、適法なものである必要があり、正当な在留資格を有していることが求められます。在留資格のない不法滞在者は帰化申請ができません。

2 能力条件(国籍法第5条第1項第2号)

年齢が18歳以上であって、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していることが必要です。
日本の成人年齢は18歳以上ですが本国(帰化申請をする外国人の出身国)の成人年齢が20歳の場合は20歳になるまでは能力要件を満たさないことになります。

3 素行条件(国籍法第5条第1項第3号)

帰化により日本人となった者により社会の安全が害されては困るのでこのような規定が設けられました。素行が善良であることが必要です。
素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や態様、納税状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、通常人を基準として、社会通念によって判断されることとなります。

4 生計条件(国籍法第5条第1項第4号)

生活に困るようなことがなく、日本で暮らしていけることが必要です。この条件は生計を一つにする親族単位で判断されますので、申請者自身に収入がなくても、配偶者やその他の親族の資産又は技能によって安定した生活を送ることができれば、この条件を満たすこととなります。
生計を一つにする親族単位で判断されるので、たとえば親と別居し、親の仕送りで大学に通っている成年の子供もこの条件を満たすことになります。

5 重国籍防止条件(国籍法第5条第1項第5号)

帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。
なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合については、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります(国籍法第5条第2項)。

6 憲法遵守条件(国籍法第5条第1項第6号)

日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。 
なお、日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等で、一定の者)については、上記の帰化の条件を一部緩和しています(国籍法第6条から第8条までに規定されています)。これを簡易帰化といいます。 

簡易帰化について

簡易帰化については、条文上次のように定められています。

第六条 次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有する者については、法務大臣は、その者が前条第一項第一号に掲げる条件を備えていないときでも、帰化を許可することができる。
一 日本国民であった子(養子を除く。)で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有する者
二 日本で生まれた者で三年以上日本に住居若しくは居所を有し、又はその父若しくは居所を有し、又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの
三 引き続き一〇年以上日本に居所を有する者

本条は、日本国民と一定の血縁関係があるか、日本と一定の地縁関係がある外国人であって日本に住所がある外国人が帰化をする場合には、帰化条件の一つである居住要件(五条一項一号)を必要としないこととしたものです。帰化条件の一部を緩和した簡易帰化に関する規定です。
第六条では居住要件を緩和しています。

国籍法第七条
日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有する者については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても同様とする。

三年以上日本に住所または居所を有し、かつ、現在日本に住所を有する者であるか、または、婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有する場合に、国籍法第五条一項、二項で規定する住所要件と能力要件を緩和するものです。
日本国民の配偶者である外国人というためには、日本国民と外国人の婚姻が有効に成立し、かつ、帰化申請時に婚姻が継続していることが必要です。いわゆる偽装結婚は対象にはなりません。

第八条
次の各号の一に該当する外国人については、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号、第二号及び第四号の条件を備えていないときでも、帰化を許可することができる。
一 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有するもの
二 日本国民の養子で引き続き一年以上日本に住所を有し、かつ、縁組の時本国法により未成年であったもの
三 日本で生まれ、かつ、出生の時から国籍を有していない者でその時から引き続き三年以上日本に住所を有するもの

本条は前二条よりもさらに日本社会と密接な関係を有する者につき居住要件(五条二項一号)、能力条件(同条同項二号)および生計条件(同条同項四号)を、免除して、五条に規定する帰化条件のうち素行条件、重国籍防止要件、憲法遵守条件を満たせば、法務大臣が帰化を許可することができるというものです。

第九条
日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第五条第一項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。

日本に特別の功労のある外国人に対して、五条第一項に定める帰化条件を全く備えていなくても、法務大臣は国会の承認を得て帰化を許可することができます。
大帰化と呼ばれています。

帰化許可申請の方法について

本人(15歳未満のときは、父母などの法定代理人)が自ら申請先に出向き、書面によって申請することが必要です。
その際には、帰化に必要な条件を備えていることを証する書類を添付するとともに、帰化が許可された場合には、その方について戸籍を創設することになりますので、申請者の身分関係を証する書類も併せて提出する必要があります。

帰化の手続きに関しては、こちらの法務省HPにも手続きの説明があります。

申請先

住所地を管轄する法務局・地方法務局

帰化許可申請に必要となる主な書類

1 帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
2 親族の概要を記載した書類
3 帰化の動機書
4 履歴書
5 生計の概要を記載した書類
6 事業の概要を記載した書類
7 住民票の写し
8 国籍を証明する書類
9 親族関係を証明する書類
10 納税を証明する書類
11 収入を証明する書類
   
以上、帰化申請について該当条文を中心に解説しました。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、帰化申請手続きを取り扱っております。
帰化について疑問等があるときは、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所まで
お問合せください。

帰化について不安なこと,心配事がある方はこちらからお問い合わせください。

不法就労とは何か

2024-05-28

不法就労の実態と法的対応について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

在留外国人の増加に比例して、在留外国人の日本での不法就労が深刻な社会問題となりつつあります。
ここでは不法就労の定義、事例、および不法就労者を雇用した場合の法的対応について、事例を交えながら詳しく解説します。

不法就労とは何か

不法就労とは、適切な在留資格や就労許可なく日本で働く行為を指します。これには、在留資格の条件に反して働くことや、在留資格なしで働くことが含まれます。不法就労は、失踪者側が金銭を得る目的による経済的な必要性、雇用者側の責任による労働環境の悪化等によって引き起こされます。
不法就労は、不法就労者の労働者としての権利侵害や雇用保険・労働災害保険等、社会における労働保障システムへの悪影響をもたらします。

不法就労は出入国管理及び難民認定法(以下法)違反であり、刑事罰の対象となります。
また不法就労者だけではなく、不法就労者を雇用する側も罰せられる場合があります(不法就労助長罪:法73条の2第1項)。
不法就労は日本の法律に違反する行為であり、刑事罰の対象となります(法第70条第4項)。
具体的には、不法就労者は逮捕や拘留、罰金、さらには強制退去の対象となることがあります。(法第24条四項ロ

不法就労が発覚した場合、捜査機関はまず、在留資格の有無や就労の事実を調査します。
その後、不法就労者は出入国管理局による調査を受け、場合によっては退去強制令書が発行されます。
このプロセスは、個々の事情に応じて異なる場合があります。

雇い主として気をつけること

不法就労を助長する雇用者に対しては、罰金や刑事訴追の対象となることがあります。
これは、不法就労を防止し、社会における適切な労働環境を保持するための重要な措置です。
雇用者は、外国人労働者の在留資格を確認し、法律を遵守する責任があります。
不法就労を防止するためには、政府と企業の両方が積極的な役割を果たす必要があります。

外国籍の人を雇い入れる場合、雇い主としてはビザ・パスポートの有効性を確認しておきましょう。
昨今、偽造のパスポートや在留カードを用いて就労を図ろうという事案も発生してます。
偽造の在留カードやパスポートを使われた場合、事業主としても可能な限り「有効なものか/偽造ではないか」を確認しておかなければいけません。

出入国在留管理局のホームページで、在留カードが偽造のものではないかどうか簡単にチェックすることができます。

こちらのサイトから確認することができます。確認の際には在留カードの番号と在留期限を入力する必要がありますので、事前に確認しておきましょう。

この問題の厄介な所は、不法就労をした外国人のみならず、不法就労の外国人を雇い入れた事業者側も処罰の対象となることです。仮に雇い入れた外国人が不法就労者であったとしても、在留資格を確認しなかった等事業者側にも過失がある場合には不法就労助長罪が適用される虞があります。

不法就労について疑問点や気になることがあるときは、一人で悩まずに是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問い合わせください。

不法就労事件についてお困りの方、心配なことがある方はこちらからお問い合わせください。

在留期間の更新手続きについて

2024-05-24

「在留期間の更新について」弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

在留期間の更新とは文字通り、「現に有する在留資格を変更することなく在留期間を更新すること」をいいます(出典:入管法大全第2版P285)。

在留資格には在留期間が定められており、在留期間が満了したら帰国しなければなりません。在留期間満了後も引き続き同一の在留資格で日本に滞在したい場合、いったん帰国して再度、在留資格認定証明書を取得して再入国することは当該外国人にとって大変な負担になってしまいます。
そこで、法務大臣が我が国に在留する外国人の在留を引き続き認めることが適当であると判断した場合に、在留期間の更新を認め在留の継続を引き続き可能とすることができます。
この手続きが、在留期間の更新手続きです。

更新申請のために必要な書類についてはこちらの入管HP上でも公開されています。

在留更新の規定は入管法21条1項から4項に定められています。
この条文にはどの様なことが書かれているか見てみましょう。

条文解説

入管法第21条
第1項 本邦に入国する外国人は、現に有する在留資格を変更することなく、在留期間の更新を受けることができる。
趣旨:日本に在留する外国人は、現在取得している在留資格を変更することなく在留資格を更新できます。と定めています。

第2項 前項の規定により在留期間の更新を受けようとする外国人は、法務省令で定める手続きにより、法務大臣に対し在留期間の更新を申請しなけれなならない。
趣旨:在留更新を受けようとする外国人は、管轄の入管で在留期間の更新申請手続きを行わなければなりません。なお在留期間の更新を申請しようとするが外国人は、在留期間の満了日までに在留更新申請書を管轄の入管に提出する必要があります(入管法施行規則21条1項)。

第3項 前項の規定による申請があった場合には、法務大臣は、当該外国人が提出した文書により在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がある場合に限り、これを許可することができる。
趣旨:在留更新の審査は申請した外国人が提出した資料を元に審査を行います。
法務大臣が提出した申請書を元に在留更新を認めるに足りる「相当の理由」がある場合に更新を認めます。

どのような場合に更新が認められるのか

提出された資料に基づき更新申請の審査をするのは、実際には各地方出入国在留管理局の審査官です。
「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がある場合に限り」とありますが、在留許可を認めるかどうかは法務大臣の自由裁量とされ、在留の更新を希望する外国人が在留更新申請を在留期限内に行った事のみをもって、申請が必ず認められることを保障するものではありません。
在留期間の更新を認めるか否かの判断に当たっては、申請者の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性等を総合的に勘案して判断され、この判断に当たっては、在留更新申請の際のガイドラインとして、下記1~8までの事項が出入国在留管理局によって示されています。

1.在留更新により行おうとする活動が、申請に係わる入管法別表に掲げる在留資格に該当すること

在留更新で行おうとする活動が、入管法別表第一に掲げる在留資格に ついては同表の下欄に掲げる活動、入管法別表第二に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動であることが必要となります。
更新しようとする活動は上記の表に記載されているいずれかの在留資格に該当するものでなくてはなりません。

2.法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること

法務省令で定める上陸許可基準は、外国人が日本に入国する際の上陸審査の基準 ですが、入管法別表第1の2の表又は4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動 を行おうとする者については、在留資格変更及び在留期間更新に当たっても原則 として上陸許可基準に適合していることが求められます。

3.現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと

申請人である外国人が、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要です。
例えば、失踪した技能実習生や、除籍・退学後も在留を継続していた留学生については、現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことについて正当な理由がある場合を除き、消極的な要素(在留更新を認めない方向での判断)として評価されます。

4. 素行が不良でないこと

素行については、善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価され、具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。

5. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

申請人の生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります )が求められますが、仮に公共の負担となっている場合であっても在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には、その理由を十分勘案して判断することとなります。

6. 雇用・労働条件が適正であること

我が国で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。
なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して判断することとなります。

7.納税義務を履行していること

納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、納税 義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。
例えば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。
なお刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も悪質なものについては同様に取り扱います。

8. 入管法に定める届出等の義務を履行していること

入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は、入管法第 19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。

上記1~8までの要件を全て充足しなければ在留更新申請は認められないのか、仮に一つでも要件を充足できなければ在留更新は認められないのか気になるところです。

実際にはどのくらい認められるのか

実際在留更新申請の許可率はどれくらいの割合で許可されてのか、2022年度で裁決のあった入管全体の許可率と各地方出入国在留管理局での許可率の割合をみると、入管全体では在留更新の許可率は98%、各地方出入国在留管理局ごとでは、札幌が99%、仙台が98%、東京が98%、名古屋が99%、大阪が99%、広島が99%、高松が99%、福岡が%とどの入管も98%以上の高い割合で在留更新が許可されています。

認められない場合とは?

では実際に在留更新が認められなかった1~2%の申請者には更新が認められなかった事情としてどのような消極的事情が考えられるかですが、在留更新申請を行い在留更新申請が認められなかった場合について、統計が出ているわけではありませんので実務上の感覚とありますが、およそガイドラインの4「素行善良要件」に問題があり、在留更新が認められないケースが多いように感じます。

例えば、1年以上の有罪判決が確定した場合や離婚や別居、失踪等で本来の在留資格に係わる活動を長期間行っていない場合等に在留更新が認められないケースがあるようです。
また、罰金刑でも素行が不良と判断される場合もありうるので要注意です。

では、在留期間中に何らかの犯罪を犯し有罪判決を受けた、あるいは罰金刑を受け確定した場合はどうすればいいのか?ということですが、申請者がやるべきことはまず第一に在留更新が認められるよう最大の努力をすべきということです。

在留期間の間に犯罪を犯し有罪判決が確定した場合は、反省文、理由書、嘆願書等を作成・提出して通常の在留更新審査で在留許可を認めてもらえるよう最善を尽くすということです。
それでも在留更新が認められなければ、在留特別許可等の方法を取ることを考えるべきです。仮に執行猶予がついたとしても1年以上の有罪判決が確定した場合、現行の入管の運用では更新不許可となり、自ら在留期限内に帰国した場合でも無期限上陸拒否(無期限で日本に入国できないこと)の処分が出されるので、上陸拒否の特例に該当しない限り二度と日本に再入国できなくなりますので注意が必要です。

在留期間中に罰金を含む刑事事件を起こしたときは、自分や周囲の意見だけで判断せずに、まずは入管業務を専門に行う弁護士・行政書士に相談することも重要だと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、在留期間中に事件をおこした方の在留更新申請も取り扱っておりますので、在留期間中に何らかの問題を起こして在留更新申請が通るかどうか不安な方は、お一人で悩まず是非ご相談ください。

お困りごとがある方はこちらからご相談ください。

難民認定制度とはなにか

2024-05-21

2023年6月9日、出入国管理及び難民認定法が改正され、令和5年12月1日から順次施行されることが決まりました。
我が国における難民認定についてどのような制度がとられているのかについて、難民認定申請で適用される条文の解説を中心に弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

難民認定手続きについてはこちらもご参考下さい。

「難民」とは?

そもそも難民とは具体的にどのような人たちを指しているのでしょうか?「難民」の定義については、難民条約1条において以下のように定義されています。

第1条【「難民」の定義】
(a)人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること
(b)国籍国の外にいる者であること
(c)その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること
の3つの要件に該当する人を定義しています。「外務省HP」

以下,それぞれ解説をします。

(a)「迫害」について

「迫害を受けるおそれ」があるというのは,次のような状況にあることを言います。

「原則として政府の行為であり、一般の私的機関や私人によるものは、通常「迫害」になりません。
ただし、事実上政府と同様の立場にある機関の行為や、私的機関の行為であっても、政府がそれを意図的に容認し若しくは放置している場合には、「迫害」にあたり得る。」

次に「迫害」は、「人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見」を理由とするものでなければいけません。」
「「迫害」を受ける恐れがあるという十分な理由のある恐怖を有していたとしても、その「迫害」がこれらの理由によらない「迫害」である場合には、「難民」に該当しない。」
とされています。

「恐怖」の要件について

恐怖が十分に理由のあるもの「十分に理由のある恐怖」であることが必要であり、「十分に理由のある恐怖」といえるためには内心の恐怖が、客観的な状況により裏付けられていなければなりません。
「入管法大全P570」

我が国における難民認定申請手続きについて

外国人が難民を求める手続きは、出入国管理及び難民認定法(以下法)第61条の2で規定されています。
【難民の認定】【第61条の2 】
法務大臣は、本邦にある外国人から法務省令で定める手続きにより申請があったときは、その提出した資料に基づき、その者が難民である旨の認定(以下「難民の認定」という。)を行うことができる。

以下,条文の要件について解説します。

【本邦にある外国人】

日本の領域内にいる外国人・日本の領域内にいる外国人。不法滞在も含まれます。実際に日本の領域内にいることが必要です。
我が国の在外公館に庇護を求めて入ってきた者が、そこで難民申請を行うことはできません。

【法務省令で定める手続きにより】

法務省令では以下のように定められています。
入管法施行規則55条により難民認定を申請しようとする外国人は、申請書及び難民に該当することを証する書類を資料並びに写真を地方入国管理局に出頭して提出しなければならない。ただし、身体の故障その他申請書を作成することができない特別な事情がある者にあっては、申請書の提出に代えて申請書に記載すべき事項を陳述することができる。

(規則55条3項)
当該外国人が16歳に満たない者であるとき又は疾病その他の事由により自ら出願することができないときは、当該外国人の父若しくは母、配偶者、子又は親族がその者に代わって申請を行うことができる。

【申請があったときは】

難民の認定は、認定を受けようとする外国人からの申請を受けて行われるという意味です。

【その提出した資料に基づき】

難民であることの立証責任は、難民の申請をした外国人にあるということです。  
なお法第61条の2の14で、法務大臣は、難民の認定に関する処分を行うために必要がある場合には、難民調査官に事実の調査をさせることができます。
難民調査官は、事実の調査として、難民の認定を行った外国人が提出した資料についてその真偽を調べ、また、必要があれば、当該外国人に対して更なる資料の提出を求め、自らも調査を行って法務大臣が難民の認定の可否を判断するために必要な資料の収集を行う。
法務大臣は難民調査官の調査の結果を踏まえ難民認定の可否を判断します。

「入管法大全562~563」

法務大臣の判断には以下3種類の判断があります。
①難民認定・在留許可
②難民不認定・人道的配慮による在留許可
③難民不認定・在留不許可

難民不認定の処分・難民認定の取消しの処分に不服のある外国人は、法第61条の2の9第一項により法務大臣に対して異議申し立てをすることができます。
「法第61条の2の9第一項」
次に掲げる処分に不服のある外国人は、法務省令で定める事項を記載した書面を提出して、法務大臣に対して異議申立てをすることができる。
一 難民の認定をしない処分
二 第61条の2の7第1項の規定による難民の認定の取消し

この異議の申立ては難民申請を行った外国人が処分の通知を受けた日から7日以内に行う必要があります。

【申立て期間の特例】

法61条の2の9第二項で定める異議申立期間については行政不服審査法の特則を定める規定となっています。
行政不服審査法第4条第1項は、「外国人の出入国又は帰化に関する処分(第10号)」を行政不服審査法の規定による審査請求及び異議申立ての対象から除外していますが、
難民の認定に関する処分は除外していない。」ので、難民の認定をしない処分・難民の認定の取消しの処分に対しては、異議申立てが認められます。
行政不服審査法第45条の規定する異議申立期間は60日間のところ、難民の認定をしない処分については第61条の2第2項の通知を受けた日から、
また、難民の認定の取消しについては、第61条の2の7第2項の通知を受けた日からそれぞれ7日以内とすると定めています。
行政不服審査法による異議申立て期間よりも短い期間が定められているのは、難民であるか否かは、難民申請を行った外国人が最もよく知りうる立場にあることによります。

【法61条の2の9第3項ー難民審査参与員の意見聴取】

法務大臣は、難民の認定をしない処分又は難民の認定の取消しに対する異議申立てに対する決定を行うにあたっては、難民参与員の意見を聞かなければならないと定めています。
難民参与員は諮問機関であり難民参与員の意見には法的拘束力はありません。
3人の難民参与員によって構成される班が、一つの異議申立て案件を担当し合議制ではありません。それぞれが異なる意見を提出することもありえます。
法務大臣は難民参与員の意見を参考にしながら、難民の認定をしない処分又は難民の認定の取消しに対する異議申立てに対する決定を行います。

以上が難民認定申請から法務大臣の裁決までの条文上での流れになります。

日本の在留資格制度,ビザ制度とは何か?

2024-05-17

日本の在留資格制度について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

在留資格制度とは?

「在留資格制度は、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「入管法」という。)における外国人の管理の基本となる制度です。
入管法は、我が国の外国人の受入れに関する政策に基づいて、入国・在留を認める外国人を、日本に在留する外国人が日本に在留する目的として行う活動(以下「在留活動」という。)の観点から類型化して定めています。
すなわち、我が国が入国・在留を認める対象となる外国人が行う在留活動を類型化し、その類型化した活動のそれぞれについて、日本に在留して当該活動を行うことができる資格としての在留活動を定めています。
そして、外国人は、入管法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き在留資格がなければ日本在留することが出来ません(入管法第2条の2第1項)
 
日本に在留する外国人は、在留資格のいずれかに該当しなければ日本に滞在することはできません。 
例えば恋人と一緒に日本で暮らしていきたいから在留資格を下さいという場合、「恋人と暮らす在留資格」は存在していないので、そのような理由では在留資格は認められません。
在留資格の申請は①日本に入国するために申請する手続き、②日本に入国してから滞在し続けるための申請の2種類があり、日本に入国してからの在留申請手続には、在留更新申請手続と在留変更申請手続
の2種類があります。

在留資格認定証明書について

日本で3カ月以上の中長期滞在を希望する外国人が、在留資格を取得するための最初の申請手続を在留資格認定証明書交付申請と言います。
この証明書は、「日本への入国を希望する外国人が、日本で行おうとする活動内容がいずれかの在留資格に該当するものである等の上陸の為の条件に適合するしていることを証明する」ものです。

日本に来たい外国人の居住予定地を管轄する地方出入国在留管理局で申請します。また事前に登録すればオンライン申請も可能です。日本で活動したい内容に応じた申請書・資料を提出します。
例えば日本人と結婚した外国人配偶者が日本で日本人配偶者と生活したい場合は、在留資格は「日本人の配偶者等」となります。日本人の配偶者としての活動を行うために必要な資料としては、双方の国の結婚証明書や出会いから結婚までのいきさつについての説明したもの(質問書)等があります。

在留更新・変更手続について

在留更新申請手続は、既に在留資格がある外国人が在留期間満了後も引き続き従来と同一の在留資格で日本に滞在したい場合に行う在留手続の事をいいます。

在留資格の変更は、例えば留学から技術・人文・国際業務への変更など、一旦帰国せずに従来の在留資格から新たな在留資格を始める際に行う手続きです。
在留資格の変更を申請する際には、新しい活動に応じた在留資格を選び、変更手続に必要な書類を管轄の入国管理局に提出する必要があります。
留学から技術・人文・国際業務へ変更する場合は、大学の卒業証明書、成績証明書、勤務先の雇用契約書や雇用後の活動計画書などが必要な書類となります。

なおこれらの手続きにおいては、申請書類の正確性と必要書類の見極めが非常に重要です。
申請書類に不備があると、在留申請が却下される可能性があり、最悪の場合は在留資格を失うことにもなりかねないので注意が必要です。

また更新手続申請は必ず在留期間の満了前に申請を行う必要があり、期限満了後の申請は超過滞在として原則として申請が受理されないので注意が必要です。
したがって、在留資格の更新や変更申請手続をスムーズに行うためには、計画的に手続きを進め、必要な書類を事前に準備しておくことが肝心です。
また、不明点がある場合は、専門家に相談することで、手続きの不備を未然に防ぐことができます。

永住資格申請について

永住者の在留資格は、在留活動に制限がなく、在留期間にも制限がないことから、永住許可に係る申請は、日本で暮らす外国人にとって最終の在留審査となります。
永住者の在留資格を取得するための基本的な条件には、原則10年以上の継続して日本に在留している事、10年の内5年以上、就労資格又は居住資格をもって引き続き日本に在留していることが必要です。
5年間分の市県道民税、2年間分の社会保険料の未納がないこと、独立した生計能力があること(公共の負担になっていないこと)が求められます。また申請者の在留期間が3年以上あることが申請の条件となります。

永住資格を取得することは、単に在留期間に制限がなくなるというだけでなく、在留活動に制限がなくなる等、他の在留資格と比較して多くのメリットを享受できます。

今後の入管手続きに向けたアドバイスとして

外国人が日本で生活を始めるために必要な入管手続きは、複雑で時間がかかることがありますが、適切な準備によってスムーズに進めることが可能となります。
このブログでは、在留資格認定証明書、在留資格の更新と変更、永住資格の取得、入管法違反と退去強制について解説しました。
在留資格申請におけるアドバイスとして、以下の事をアドバイスいたします。
入管手続きは早めに始め、余裕を持って申請しましょう。
提出書類は最新のものを用意し、書類に不備がないようにしましょう。
普段の生活では日本の法律を遵守し、在留資格の条件に沿った活動を心がけましょう。
在留資格で不明点がある場合は、入管業務の法律専門家に相談することをお勧めします。

在留資格についてご不安なことがある方は,こちらからお問い合わせください。

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