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再入国手続きと転出入届について

2025-02-18

「再入国手続きと転出入届について」弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東海地方に住む日系ブラジル人のAさんは永住者です。Aさんは日本で株式会社を設立し代表取締役として自動車部品輸出関連の会社を経営しています。
最近Aさんは事業拡大のため、出身国のB国で新たに日本からの自動車関連部品輸入事業を立ち上げる予定です。AさんはB国で新規事業立ち上げにあたり、
事業を立ち上げ経営が軌道に乗るまでのおよそ3年~4年の間、B国に生活の拠点をおいて生活したいと考えています。Aさんは今後B国に拠点をおいて生活するにあたり、
事前に日本でどのような手続きをする必要があるでしょうか?

1.再入国許可手続きについて

再入国許可とは「我が国に在留する外国人が一時的に出国し再び我が国に入国しようとする場合に、入国・上陸手続を簡略化するために法務大臣が出国に先立って与える許可」です。
再入国許可には、1回限り有効のものと有効期間内であれば何回も使用できる数次有効のものの2種類があり、その有効期間は、現に有する在留期間の範囲内で、5年間(特別永住者の方は6年間)を最長として決定されます。

手続き対象者は「我が国に在留する外国人で在留期間(在留期間の定めのない者にあっては、我が国に在留し得る期間)の満了の日以前に再び入国する意図をもって出国しようとする外国人」です。
出入国在留管理庁HPより

まず最初にAさんは出国前に管轄の出入国在留管理局に行って「再入国許可」の手続きを行います。
Aさんは今後数年にわたりB国に生活の拠点をおいて日本とB国を行き来する生活を送る予定なので、
有効期間内であれば何回でも使用できる「再入国許可」の申請を行い「再入国許可」を取得します。手数料は1300円です。

手続きに必要なものはパスポートと在留カードで,窓口に提示します。

*再入国許可手続き又はみなし再入国許可手続きをしないまま日本から出国すると出国した時点でこれまでの日本での在留資格が失われてしまいます。
在留期限内に再び再入国を希望する場合は、必ず再入国許可またはみなし再入国許可を取得してから出国してください。

2.海外転出届とは:住民票は「除票」扱い。

海外転出届とは、日本の居住地から国外に移住、または長期間滞在する際に必要な届出です。この届け出が必要になるのは、1年以上の海外出張や海外旅行などで日本を離れるときです。
日本国籍者だけでなく、日本で住民登録されている外国籍者も届出の対象となります。出国の2週間前から手続きできます。
海外転出届を出すと、現住所での住民票は「除票」となり、住民ではなくなり住民税の支払いの対象外となります。住所地にある市町村役場に行って海外転出届を提出します。
この手続きにより日本での住民税の支払いを免除されます。Aさんの住民票は「除票」扱いとなります。Aさんが海外から戻って日本で生活を再開するときは、引っ越し先の市町村役場に「転入届」を海外から転居後2週間以内に提出します。
特に出国前に管轄の出入国在留管理局で「再入国許可」を取得することが重要です。
日本に在留資格のある外国人の方で1年以上日本を離れて生活するときは、必ず管轄の入管で「再入国許可」を取得し、住民票のある市町村役場で「海外転居届」を提出するのを忘れないようにしましょう。

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日本人が外国人配偶者と離婚するときの法の適用について

2025-02-11

事例

(架空の事例です)

Aさんは某県に在住している日本人男性です。10年前に会社を定年退職して、現在は年金暮らしをしています。
7年前に前妻と離婚し、5年前にB国籍の女性CとSNSを通して知り合い再婚しました。妻のCさんはA さんと結婚して3年後に念願の永住資格を取得しました。
Cさんは永住資格を取得するとすぐに実母の面倒を見てくると行ってB国に帰国しました。以降年に1回ほど妻はB国から日本に戻ってきますが、
1か月ほど日本に滞在してすぐにB国に戻ります。CさんはB国で現地の男性パートナーDさんと一緒に暮らしているようです。
AさんがCさんにこの件を問い合わせると弟と一緒に暮らしていると言います。しかしAさんがCさんと結婚するまで彼女に弟はいませんでした。
AさんはCさんと離婚したいと考えていますが、離婚にあたって日本の法律は適用されるのでしょうか。

1.適用される法律

日本人と外国人のカップルが離婚した場合、離婚に関してどちらの国の法律が適用されるか、国際結婚のカップルが離婚手続きをするにあたり、離婚手続きに関して日本の法律と配偶者の国の法律のどちらが適用されるかが問題となります。
この場合に日本の法律と海外の法律のどちらを適用させるかは「法の適用に関する通則法」により判断されます。
①法の適用に関する通則法25条(婚姻の効力)
「婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦の最も密接な関係がある地の法による。」
②法の適用に関する通則法第27条(離婚)
「第25条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。」

法の適用に関する通則法27条により、離婚については法第25条の規定が準用され、本ケースでは離婚にあたり夫であるAさんの常居所である日本法が適用されます。

2.離婚の種類

日本の法律では離婚の方法として①協議離婚②離婚調停③審判離婚④裁判離婚の4種類が定められています。
AさんとCさんの間で離婚の合意がまとまれば、戸籍法の定めるところに従い離婚届を提出することによって離婚が成立します。協議離婚(民法763条、739条、戸籍法第76条、第77条)。
AさんとCさんの間で離婚の合意がまとまらず、なおAさんがCさんと離婚を望む場合、Aさんは管轄の家庭裁判所に対して離婚調停の申立てを行うことになります。
逆にCさんの方から日本の法律に従いAさんとの離婚を求めていくことも可能です。
(法の適用に関する通則法第27条)

3.離婚後の在留資格

永住者の場合離婚しても離婚の事実は永住資格に影響しないので、Cさんは離婚しても永住資格は変りません。Cさんは離婚後に再婚することも自由です。
CさんがB国で同棲しているDさんと再婚した場合、CさんはDさんを「永住者の配偶者等」の在留資格で日本に呼寄せることが可能です。
DさんはCさんと実態の伴った結婚を3年以上継続し、かつ、引き続き1年以上日本に住んでいれば永住許可申請の居住要件を充足します。
そのためDさんはCさんと結婚して最短で3年で日本での永住資格取得が可能となります。このように「日本人の配偶者等」の在留資格は在留制度上大変有利な資格となっています。
永住資格目的で日本人との国際結婚を望む場合があることも十分予測されます。
本ケースのAさんのように外国人配偶者が永住資格を取得したら急に冷たくなり離婚せざる負えない事態に追い込まれることは決してあり得ないことではありません。
Aさんのような事態にならないためには、特に再婚、再再婚で国際結婚をされている日本人の方は、永住資格は日本で暮らす外国人にとって、今まで自分が認識していたよりもはるかに重要で心強い在留資格であることを再認識する必要があるでしょう。

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出国命令制度の法改正,制度はどう変わった?

2025-02-04

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和5年6月9日入管法改正による出国命令制度の変更部分について解説します。

令和5年6月9日の入管法改正により「出国命令制度」が一部改正され令和6年6月10日から施行されています。
「出国命令制度」とは、入管法違反者のうち、一定の要件を満たす不法残留者について、収容をしないまま簡易な手続きにより出国させる制度です。」
(出入国管理及び難民認定法、以下法第55条の85)、「出国命令制度」はH16年12月2日に施行されました。

1.出国命令制度設立の背景

出国命令制度が設立された当時不法残留者が219418人いました。
(平成16年1月段階、令和6年1月1日現在では79113人)
不法残留者を減少させることが出入国管理行政における急務の課題でした。
当時からオーバーステイ等を理由に退去強制処分を受けると退去の日から5年は日本に上陸することが認められないとする規定は存在していました。
(退去強制1回目は5年、退去強制2回目以降は10年)
しかしながら不法残留者等を5年又は10年の上陸拒否とする従来からの規定だけでは不法残留者が減少しない状況がありました。
そこで一定の要件を充足し、不法残留の状態にある者が自ら出頭して帰国の意思を示した場合に、上陸特別拒否の期間を5年から1年とすることにより、
不法残留者の出頭を促進し不法残留を減らすことを目的として出国命令制度があらたに制定されました。

2.具体例

具体的に以下の(1)~(5)全てに該当する場合に出国命令が認められます。

(1)ア又はイのいずれかを満たすこと
ア 入国警備官の違反調査の開始前に、速やかに日本から出国する意思をもって自ら出入国在留管理局に出頭したこと
イ 入国警備官の違反調査の開始後、入国審査官の違反調査により退去強制事由に該当する旨の通知を受ける前に、
速やかに出国する意思があることを入国審査官又は入国警備官に表明したこと
(2)不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
(3)窃盗罪等の一定の犯罪により懲役又は禁錮に処せられたものでないこと
(4)過去に本邦から退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと
(5)速やかに日本から出国することが確実と認められること

3.出国命令が認められない場合について

日本国又は日本国以外の法令に違反して1年以上の懲役又は禁錮等に処せられた者や麻薬、
大麻、あへん、覚醒剤等の取締りに関する法令に違反して刑に処せられた者は、上陸拒否期間に定めなく、日本に上陸することができません。
そのため出国命令制度を利用することはできません。

4.出国命令制度の適用を受けるための出頭場所について

原則として全国に8か所ある地方出入国在留管理局(札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)又は3か所の地方出入国在留管理局(横浜、神戸、那覇)に出頭します。

5.法改正があった部分

令和5年度の改正では、さらに自発的な出国を更に促す観点から、出国意思をもって自ら出頭した場合に加え、
入国審査官から退去強制事由に該当すると認定される前に速やかに日本から出国する意思を表明した場合にも出国命令の対象が拡大されました。
①(法第24条の3第1項ロ)
「第二十七条の規定による違反調査の開始後、第四十七条第三項の規定による通知を受ける前に、
入国審査官又は入国警備官に対して速やかに本邦から出国する意思がある旨を表明した者であること。」
②その他改正による追加事項として、さらに退去強制を受けた者であっても、自分の費用負担で自ら帰国しようとする場合、その者の素行、退去強制の理由となった事実その他の事情を考慮して相当と認めるときは、上陸拒否期間を1年とする決定をすることができることになりました。(法第52条5項)
        
参考文献:出入国在留管理局HP

以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が令和5年6月9日改正の出入国管理及び難民認定法における「出国命令制度」の変更部分について解説しました。

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「トランプ大統領就任による出生地主義の制限に関する大統領令発付」について

2025-01-23

「All persons born or naturalized in the United States,and subject to the jurisdiction thereof,are citizens of the United States and of the State wherein they reside.」

合衆国憲法修正第14条は冒頭で「合衆国内で生まれ、または合衆国に帰化し、かつ、合衆国の管轄に服する者は、合衆国の市民であり、かつ、その居住する州の市民である」と記し、アメリカ合衆国が出生地主義の原則を定めていることを明らかにしています。

出生地主義とは

出生地主義とは、「父母の国籍の如何を問わず、子が出生によって出生地国の国籍を取得する主義であり、アメリカ、カナダ、オーストラリア及びブラジル等の南アメリカ大陸の多くの諸国で採られて」います。
アメリカ合衆国は国籍の取得にあたり出生地主義を採用する代表的な国の一つです。出生地主義と対になる主義として血統主義があります。
血統主義とは「子がその出生によって出生地の如何を問わず、親の血統に従って親と同じ国籍を取得する主義であり、自国民との血縁関係に基づいて自国の国籍を付与する主義で、フランス、ドイツ、イタリアなどヨーロッパ大陸諸国をはじめ、韓国、中国などでも原則として採られて」います。日本では子の出生時に父又は母のどちらかが日本国籍であれば子に日本国籍を認める父母両系血統主義を採用しています。
*逐条詳解 国籍法P106

新大統領令の内容は

トランプ大統領は大統領就任初日の2025年1月20日、合衆国憲法修正第14条で定められた出生地主義の適用をこれまでより大きく制限する大統領令に署名しました。

日本経済新聞 トランプ氏、「出生地主義」制度見直しの大統領令に署名

大統領令では出生地主義の制限にあたり、合衆国憲法修正第14条の冒頭にある「合衆国の管轄に服する者」という文言を重要視しています。

大統領令によると、元々合衆国憲法修正第14条はアメリカ合衆国国内で生まれた全ての人に生来的に市民権を与えるものではなく、アメリカ合衆国の「管轄に服さない者」は出生地主義による市民権の付与の対象から除外しているという理解に沿って、アメリカ国籍法コード8 U.S.C1401では「アメリカ合衆国で生まれその管轄に服する者」が出生時からアメリカ合衆国の国民及び市民であると規定しています。

今回の大統領令ではアメリカ合衆国で生まれながらもアメリカ合衆国の市民権が認められない者の範囲として、以下(1)、(2)をあげています。

(1)子の出生時に子の母親がアメリカ合衆国に不法滞在しており、子の父親が子の出生時米国市民又は永住者ではない場合。
(2)子の母親が子の出生時に適法な滞在ではあるが滞在が一時的なものである場合、例えばビザの免除を受けアメリカ合衆国の支援を受けての訪問、就労ビザ、留学ビザ、観光ビザ等の場合や子の父親が子の出生時にアメリカ合衆国市民や永住者ではない場合。

(1)及び(2)に該当する場合は、合衆国憲法修正第14条で定められた「アメリカ合衆国の管轄に服する者」に該当しないとして、子がアメリカ合衆国で生まれても自動的にアメリカ国籍を付与することを認めないとするものです。
この措置はアメリカ合衆国が採る出生地主義を否定するものではありませんが、従来よりも出生地主義による国籍付与の大幅な制限となるものです。
この大統領令は、大統領令の発令日より30日経過後からアメリカ合衆国国内で子が出生した場合に適用されます。大統領令発付即日から、この大統領令は合衆国憲法修正第14条に反し違憲であると提訴がありました。
この大統領令が出生地主義について定めた合衆国憲法修正第14条に反するか否かについては現段階ではまだはっきりしていません。

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不法就労者を雇用しないための対策

2025-01-21

「令和6年1月1日現在、日本国内に約7万9000人の不法残留者がおり、その多くが不法就労をしていると言われています」(警視庁HP)。
「不法残留者」の内訳は、短期滞在からの不法残留が49,801人、技能実習からの不法残留が11,210人、特定活動からの不法残留が8,189人、留学からの不法残留が2,288人、日本人の配偶者からの不残残留が1,880人,その他が5,745人(これらの在留資格に該当しないもの)で合計79,113人となっています。

1.不法残留者と不法就労ついて

不法残留者のうち短期滞在と技能実習からの不法残留が全体の約8割を占めており、警視庁HPにあるようにその多くが国内で不法就労をしていると思われます。
短期滞在は家族訪問・親族訪問、スポーツ、観光等の目的で最大90日間日本に滞在することが認められた在留資格です。
他の在留資格に比べて審査手続きが簡略化されており、比較的短期間で審査結果が出るところに特徴があります。短期滞在の在留資格では就労が認めらておらず、短期滞在からの不法就労者は、観光や家族訪問ではなく、初めから日本で働く目的で比較的許可が認められやすい短期滞在の在留資格を利用して入国していると思われます。

技能実習からの不法就労は①技能実習生と受け入れ先の事業所との間で何らかのトラブルがあり、技能実習生が受け入れ先から失踪した後に別の事業所で働き始めた,②受け入れ先の低賃金等、経済的な理由により、ブローカー等のあっせんを通して正規の手続きを経ずに転職したケースの2種類が考えられます。
他に③技能実習先を失踪した後、窃盗等の犯罪行為で生計を立てるというケースも考えられますが、窃盗等の犯罪行為はそもそも「就労」に入らないのでここでは除きます。

2.「不法就労助長罪」とは?

不法就労者を事業所で雇用する場合、

①不法就労を希望する者が偽造在留カードや偽造パスポートを雇用主に提示して、自分には仕事ができる在留資格があると信じ込ませ不法就労を行うというケース
②正規の在留資格はあるが、所持する在留資格では仕事をすることが認められていない者を雇用するケース
③不法就労者を雇用する事業所の方で就労できる在留資格がないことを把握しながらあえて雇用するケース
の3種類が考えられます。

①、②のケースの場合、不法就労を狙う外国人と不法就労をあっせんするブローカーがセットになって不法就労者であることを知らない事業者側に就労を持ち掛けるケースがあります。
③の場合は不法就労者を雇用する事業者側に「不法就労助長罪」が成立します。
①、②の場合、雇用する側に在留カードの確認をしていない等の過失がある場合は「不法就労助長罪」が成立します。
不法就労助長罪は「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はその併科」となっています。

参考記事 不法就労助長罪により逮捕された事例

3.偽造在留カード対策について

不法就労対策として「不法就労防止のために外国人を雇用する際には必ず在留カードを確認してください」(出入国在留管理庁HP)とあり、HP上で在留カードの確認箇所としてカード上でのチェツクポイントがいくつか示されています。
チェックポイントを確認すれば当該在留カードが本物かどうか見分けることが出来るということです。
しかしながら近年の偽造在留カードは極めて精巧に作られており、一般の人が在留カードの外見を見ただけでは本物かどうか見分けが難しく、さらに在留カードを偽造する側は、政府が示している在留カードの見分け方チェックポイント対策までしていることから、一般人が外見から当該在留カードが本物か偽物なのか判断するのはほぼ不可能となってきています。
そこで不法就労予防のためには、在留カードの外見チェックだけではなく、他の手段により在留カードをチェックする必要があります。

在留カードが真正なものかを確認するための有効な方法として、在留カード等読取アプリケーションを活用する方法があります。
在留カード等読取アプリケーションの説明について、

「在留カード等のICチップ内に保存されている身分事項や顔写真等の情報を読み取るためのものです。読み取った情報と、券面に記載された情報を見比べることにより、容易に偽変造の有無を確認することができます。
本アプリを出入国在留管理庁ホームページ等において無料配布することで、偽変造在留カード対策を強化し、より一層偽装滞在者対策を進めます。」(出入国管理庁HP

とされています。

このアプリを使用することで、在留カードが真正なものか確認することができます。
もう一つ有効な在留カードの確認方法として住民票を提出してもらうことで、住民票の記載内容と在留カードの記載内容を照合して在留カードの真正を確認する方法があります。
「住民基本台帳法の一部を改正する法律」により、2012年7月9日以降、日本で生活する外国人も住民基本台帳制度の対象となりました。そのため在留カードと住民票は連動しており、在留カードの対象者にはかならず住民票が発行されます。

住民票には、「中長期在留者である旨、在留カードに記載されている在留資格、在留期間及び在留期間の満了の日並びに在留カードの番号」の情報が記載されており、在留カードと住民票に記載されているこれらの情報を照合することで、在留カードが真正なものか確認することができます。
この二つの方法の両方又はどちらかを活用することで、在留カードが真正なものか判断することができます。

4.不法就労者であることを知らずに雇用して、あとから不法就労者であることが分かった場合どうすればよいか

最後に不法就労者とは気づかずに不法就労者を雇用してしまい、後日不法就労であることが発覚した場合についてです。
不法就労助長が認められた場合は、雇用側に刑事処分や行政処分に問われることが考えられますが、雇用側は不法就労者を雇用していたことを隠さずに警察や出入国在留管理局に報告する必要があります。
また既に管轄の出入国在留管理局の方で不法就労の状況を把握しており、雇用側の事業所に調査に来ることも考えられます。
この場合は、不法就労者を雇用するに至ったきっかけや今後不法就労者を雇用しないための事業所での取組みなどをまとめた報告書を提出する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、不法就労者の雇用に関する出入国在留管理局への報告書作成業務を扱っています。
不法就労者の雇用の件でお悩みの方は是非,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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オーバーステイ,不法残留とは何か

2025-01-14

「オーバーステイ」について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がQ&A方式で解説します。

Q そもそもオーバーステイとはどのようなものですか?

A オーバーステイとは直訳すると超過滞在という意味です。出入国在留管理上正当な理由がないのにもかかわらず在留期限を経過して本邦(日本)に滞在している状態をいいます。
法務省、外務省、警察等の行政官署ではオーバーステイは「不法滞在」として扱われています。「不法滞在」には①不法入国(他人名義でのパスポート使用による不正入国等)
②超過滞在(短期滞在や技能実習など正規の在留資格で来日した後、在留資格更新や在留資格変更手続きを経ずに在留期間を経過したのちも在留すること)の2種類があります。

Q ここでいう「非正規滞在者」とはそもそも誰のことですか?

オーバーステイの状態にある人を「不法滞在者」と呼ばずに「非正規滞在者」と呼びましょう、という主張が一部学者やNPO団体等から提起されています。

A 一部の学者やNPO団体から在留資格がないまま日本に滞在している人たちを「不法滞在者」と呼ばずに「非正規滞在者」と呼びましょう。という見解があります。
なぜ「不法滞在」ではなく「非正規滞在」と呼ぶ必要があるのかについて、以下の理由があげられています。
「日本には2023年時点で約7万人の非正規滞在移民がいます。非正規滞在とは、入国管理法に定められた在留資格を持たない外国人が日本に留まることを指します。これは確かに法律には違反していますが、法律の方がグローバル化した現代社会に適合していないがゆえの現象と考えるべきです。」
(上智大学 グローバル化する日本における非正規滞在移民があぶりだす制度の矛盾とはhttp://www.sophia,ac.jp/ 一部抜粋)
令和6年1月1日現在、政府が公表している「不法滞在者」は79,113人います。
*なお日本の政府機関は在留資格を持たない外国人を「非正規滞在者」ではなく「不法滞在者」の呼称で統一しており、ここでは「非正規滞在者」ではなく「不法滞在者」の表現で統一します。

日本での「不法滞在者」内訳は、短期滞在からの不法滞在が49,801人、技能実習からの不法滞在が11,210人、特定活動からの不法滞在が8,189人、留学からの不法滞在が2,288人、日本人の配偶者からの不法滞在が1,880人,その他が5,745人(これらの在留資格に該当しないもの)で合計79,113人となっています。

「特定活動」からの不法滞在が8,189人となっていますが、これは「難民認定交付申請」で不交付となったが、難民申請不認定となって在留資格が認められなくなったにもかかわらず、母国に帰国せずに仮放免等で日本に残っている人たちと推測されます。
日本にいる「不法滞在者」全体の約93%は正規の在留資格を持って来日後になんらかの事情により在留期間を経過したもので、いわゆるオーバーステイ(超過滞在)といわれるものに該当します。
日本における不法滞在者の内訳をみると、本当に「法律のほうがグローバル化した現代社会に適合していないがゆえに」だけの理由で不法滞在者が発生しているのか検討の余地はあるでしょう。

Q3 そもそも「非正規滞在」の何が悪いのですか?なぜ悪いことをしていないのに逮捕されたり、入管施設に収容されたりするのですか?

A 「オーバーステイは非正規滞在者だ。一体それのどこが悪いのか」という相談を受けることがあります。
「正当な理由がなく在留資格を得ないまま日本に滞在することの一体どこに問題があるのか。「非正規滞在者」でいることは別に人を傷つけたり、物を盗んでいるわけではないのだから何ら問題はないではないか。」という見解ですが、確かに不法入国や不法滞在は殺人罪や傷害罪のように人を殺したり、
人を傷つけたりする行為ではなく、被害者がそもそも誰なのか、何が悪いのかよく分からないところがあり、不法滞在や不法就労が悪いこと(違法)であると認識するのは難しい部分があるのは事実だと思います。

不法入国者・超過滞在者はなぜ処罰を受けるのか?ということですが、不法入国・不法滞在が「入国管理の適正な運営」という国家的法益に対する侵害行為とみなされ処罰されます。
人の生命・身体・財産等を不正な侵害から保護すべき利益(個人的法益)があるのと同じように、国家にも不正な侵害から保護されるべき利益(国家的法益)が存在します。
日本の出入国在留管理行政においては「入国管理の適正な運営」が国家的法益として保護すべき対象となっています。
不法入国や不法滞在が我が国の「入国管理の適正な運営」を侵害する行為として裁判所で違法と判断され刑事罰を受けることがあります。

*入管法第70条各号で不法入国・不法滞在等での罰則が規定されており、不法入国、不法滞在いずれも「三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万以下の罰金に処し、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する」となっています。オーバーステイ(超過滞在)状態での期間によってはオーバーステイ(超過滞在)の事実だけでも起訴され、有罪判決を受ける場合があります。超過滞在の期間が長ければ長いほど違法性が高いと判断される傾向です。

あいち刑事事件総合法律事務所では不法滞在からの在留許可申請業務を扱っています。不法入国・オーバーステイ(超過滞在)により在留資格がないことでお悩みの方は是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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「永住者の配偶者等」ビザ

2025-01-07

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が「永住者の配偶者等」について解説します。

1.ケース紹介

Y国籍のAさんは、10年前に同じY国籍のBさんとY国で結婚しました。2人の間に子(X1)がいます。7年前に夫のBさんが病気で亡くなり母国で独身生活を過ごしていました。
4年前に婚活サイトで日本に在住する永住者のCさんと知り合いました。3年前にCさんと再婚するために子(X1)と来日しました。来日後Cさんとの間に子どもが2人(X2,X3)出来ました。
最近Aさんは夫のBさんとの関係がうまくいっておらずAさんはBさんと離婚を考えています。Aさんは夫のBさんと離婚した場合、Aさんと3人の子(X1,2,3)の在留資格はどうなるのでしょうか。

①在留資格「永住者の配偶者等」
日本において有する身分又は地位:「永住者等の配偶者又は永住者等の子として日本で出生しその後も引き続き日本に在留している者。」
②「配偶者」とは法律上有効な婚姻状態にある配偶者を指します。内縁の配偶者は含まれません。現に婚姻中であることを指すので、死亡した配偶者及び離婚した配偶者は該当しません。
また、永住者との婚姻関係により永住者の配偶者等と当該外国人が法律上有効な婚姻状態にあるという形式的要件の他に、夫婦として互いに協力し扶助しあって社会観念上の共同生活を営むという婚姻の実体を伴うものでなければなりません。
③「子として出生」とは、実子のみ(嫡出子・認知された非嫡出子)です。特別養子及び養子は含まれません。

出生の時に父又は母が永住者であるとき又は出生の前に死亡した父が死亡の時に永住者又は特別永住者であった時が該当します。
なお、本人の出生後、死去や犯罪での実刑判決等による父及び母の永住者の在留資格や特別永住者の地位の喪失は,「永住者の子として出生」という事実に影響を与えません。
「本邦で出生し、その後引き続いて日本に在留している」ことが必要で、海外で出生しその後日本に入国した者は、本件在留資格に該当しません。
これらの者は「定住者」の在留資格に該当します。

在留資格(ビザ)の種類 入管HP

2.ケース分析(Aさんと子(X1,X2,X3)の在留資格)

①離婚前のAさんと子(X1,X2,X3)の在留資格について
Aさんは子ども(X1)を連れて3年前に来日、日本に住んでいる永住者Bと結婚して、その後永住者Bさんとの間に子ども(X2,X3)が生まれました。
Aさんの在留資格は永住者であるBさんと結婚したことにより、「永住者の配偶者等」になります。
Aさんの連れ子X1は、「定住者告示第6号二」により「日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未婚の実子」として「定住者」となります。Aさんと永住者Bさんとの間に生まれた子(X2,X3)は「永住者の配偶者等」になります。

②離婚後のAさんと子(X1,X2,X3)の在留資格について
子(X2,X3)の在留資格は1③のとおり両親の在留資格に影響されず「永住者の配偶者等」のままとなります。
ここで問題となるのは元々母の連れ子の立場で在留資格が認められた子X1と離婚した母の在留資格が母の離婚によりどうなるかということです。Aさんが永住者の夫Bさんと離婚したときは、Aさんは「永住者の配偶者」としての身分を失いそのままでは在留資格がなくなります。
AさんがBさんと離婚後引き続き日本に滞在するためには「永住者の配偶者等」から他の在留資格に在留資格変更手続きを行う必要があります。

このような場合に想定されている在留資格として、定住者告示に定めがないもの(告示外定住)に含まれる「離婚定住」と呼ばれるものがあります。
「離婚定住」とは「日本人、永住者又は特別永住者である配偶者等と離婚後引き続き日本に在留を希望する者」に該当する「定住者」資格です。
告示外なので活動内容が事前に決められおらず、個別案件ごとに審査されます。

「離婚定住」の許可要件として
1.おおむね日本での3年以上の婚姻期間
2.生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、
3.日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことができることが困難となるものでないこと
4.公的義務(納税・社会保険・国税等の支払い)を履行していること
Aさんの子X1の在留資格についてはX1の実母であるAさんが「定住者」資格を取得することにより、「定住者告示第6号二」によりこれまで同様「定住者」の在留資格となります。

*「日常生活に不自由しない程度の日本語能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となる者ではない」とは、
申請書の記載や面接において、申請人との意思の疎通が可能であればよく、特定の日本語の試験に合格していることまでは求められません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「永住者配偶者等」を取り扱っております。
「永住者の配偶者等」の在留資格についてご不明の点がございましたら是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

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技術人文知識国際業務・特定活動46号ビザについて

2024-12-24

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際業務」について解説します。

1.在留資格とは?

在留資格とは、外国人が日本で行うことができる活動内容を類型化したもので、現在日本には在留資格が29種類あります。
在留資格はおおまかに身分又は地位に基づく資格(永住・日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の4種類)と日本での活動に応じて認められる資格(技能、技術・人文・国際業務、技能実習、特定技能、経営・管理等全部で25種類)に分けられます。

日本で認められるビザの種類について 入管HP

2.在留資格「技術・人文・国際業務」とは?

日本の大学や専門学校に留学している外国人学生が学校を卒業後、日本の会社や役所に就職して働く場合に必要となる在留資格が「技術・人文・国際業務」です。
日本での活動に応じて認められる在留資格です。「技術・人文・国際業務」の活動内容は大きく2つあります。
①理学、工学その他の自然科学の分野又は法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を要する活動。
例えばメーカーが理工系の大学を卒業した外国人をSE、設計、技術開発、品質管理部門、商品開発、事業会社で企画、営業、財務、マーケティング、人事等に従事する活動等が該当します。
②海外の文化に基盤を有する技術又は感受性を必要とする活動。例えば、翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝又は海外取引業務、服飾若しくは室内装飾に係るデザイン、商品開発、英会話教室の講師等に従事する活動が該当します。
在留資格「技術・人文・国際業務」の特徴として、原則として「単純作業」は出来ないということが挙げられます。

ここで「単純作業」とは一体どのような作業なのかが問題となりますが、具体的には、製造業でのライン作業、飲食店でのホール作業、小売店でのレジ業務、コンビニエンスストアでの接客、レジ業務等が考えられます。
日本の大学や専門学校で学ぶ外国人留学生の多くがこれらのアルバイトでこれらの業務に携わっていますが、これらの業務は入管法上「単純作業」とみなされ、原則として「技術・人文・国際業務」でこれらの業務に従事することは認められません。
そのため、飲食店やコンビニでのアルバイトチーフや製造業でのラインリーダーで働いてもらうため「技術・人文・国際業務」の資格では採用することはできません。また大学や専門学校での専攻科目と入社後携わる業務との関連性が求められます。

大学卒業者については、大学の教育機関としての性格をふまえ専攻科目は従事しようとする業務の関連性は比較的緩やかに判断するとしています。
実務上の感覚からみると、専攻科目と入社後従事する業務の関連性よりも入社後従事する業務が「単純作業」かどうかが重要視されているようです。

3.特定活動46号と技術・人文・国際業務の違い

外国人が日本の会社等で商品企画、技術開発、営業、管理業務、広報、教育等に従事するために必要な資格として「技術・人文・国際業務」がありますが、これらの業務は他の就労資格でも認められる場合があります。「特定活動46号」という在留資格です。


「特定活動46号」の対象となるのは、日本の大学卒業者であって、高い日本語能力を有する外国人です。高い日本語能力とは、日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する方です。その他、大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した方も対象となります。

「特定活動46号」の具体的な活動例として、
①工場のラインにおいて、日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ、自らもラインの入って業務を行うもの
②小売店において、仕入れ、商品企画や、通訳を兼ねた接客業務を兼ねた接客販売業務を行うもの(日本人に対する接客販売業務を行うことも可能)
③食品製造会社において、他の従業員との間で日本語を用いたコミュケーションを取りながら商品の企画・開発を行いつつ、自らも商品製造ラインに入って作業をおこなうもの
があります。

上記①~③の業務は「技術・人文・国際業務」では認められませんが「特定活動46号」では対応可能となります。

「特定活動46号」で求められる語学レベルはN1以上ですが、外国人留学生が日本の大学で日本語で授業を受けるために必要なレベルはN2以上なので、日本の大学で4年間日本語で授業を受け卒業単位を取得し卒業した留学生であれば、N1取得も不可能ではないかもしれません。
介護やコンビニ、製造業等で、技能実習生や特定技能、留学生アルバイト等の外国人従業員を多く抱える事業所にとって、現場で働く外国人のリーダーになりうる外国人は大変貴重な存在であることから、「特定活動46号」は大変有用性が高い在留資格になるでしょう。

外国人従業員が多い現場で作業リーダーの役割を担ってもらいたい場合は、「技術・人文・国際業務」ではなく「特定活動46号」での採用となります。

以上弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格「技術・人文・国際業務」について解説しました。
大卒の外国人社員の新規採用をお考えの事業者の方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

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資格外活動許可が必要になる場合とは?

2024-12-17

「資格外活動許可について」弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.事例

Aさんは母国の高校を卒業後、都内にある日本語学校で日本語を学ぶために来日、日本語学校卒業後、ビジネスを学ぶ為に都内にあるビジネス専門学校に進学しました。
Aさんの現在の在留資格は「留学」です。Aさんが住んでいる地域には、Aさんと同じB国出身の人が数多く住んでおり、また日本に滞在しているB国人同士で主にSNSを通して交流があります。Aさんは専門学校の授業の空き時間を利用して、副業目的でベトナムからたばこを輸入してSNSで販売することを計画しています。輸入に関する税関手続きは法令にのっとり適切に行い輸入にかかる税金はきちんと払う予定です。
Aさんの輸入たばこ販売計画はどこに問題があるでしょうか?

2.輸入たばこを無資格で販売する行為について

個人で輸入した「たばこ」を無許可で転売することは、法律により禁止されています。
輸入した製造たばこを販売するには「製造たばこの特定販売業」の登録をする必要があります。
製造たばこは葉たばこを原料を主原料とし、喫煙用、かみ用又はハガキ用に供しうる状態に製造したものをいいます。
製造たばこの特定販売業とは、自ら輸入した製造たばこの販売を業(仕事)として行うことをいい、営利を目的とするか否か、特定若しくは不特定の者に販売するかどうかを問いません。

<関連条文>
(製造たばこの特定販売業の登録)たばこ事業法第十一条一項
自ら輸入(関税法(昭和二十九年法律第六十一号)第二条第一項第一号に規定する輸入をいう。以下同じ。)をした製造たばこの販売を業として行おうとする者は、財務大臣の登録を受けなければならない。
(罰則)第四十八条次の各号の一に該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第十一条第一項の規定に違反して、自ら輸入をした製造たばこの販売を業として行つた者

3.許可なく輸入たばこを販売する行為がビザに影響するか

資格外活動について/資格外活動許可とは

「資格外活動許可」とは、現に有している在留資格に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。
Aさんの在留資格は「留学」です。たばこを第三者に販売して収入を得ることは、「留学」の活動内容に含まれないので、Aさんのたばこ販売行為は「資格外活動」となります。

そこでAさんはたばこ販売という「資格外活動」に対して、Aさんは管轄の出入国在留管理局から活動許可をもらわなければなりません。

Aさんがたばこの販売に対して許可を取っておらず、資格外活動許可も取得していないと、Aさんのたばこ販売行為は不法就労に当たります。
Aさんの場合、たばこ販売は専門学校の授業後の副業目的で行われており、たばこ販売を生業としていたわけではないので、Aさんのたばこ販売行為は入管法第73条に該当し1年以下の懲役もしくは禁錮もしくは200万円以下の罰金、又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科の罪に該当します。

Aさんのようなケースで資格外活動をした場合,退去強制事由に該当し,強制送還されてしまう場合もあるでしょう。
仮に,すぐには強制送還にならないとしても,Aさんが無許可での資格外活動により刑事罰を受けた場合、次回の在留更新の際に素行善良要件に問題があるとして、在留更新の許可が得られないこともあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では「資格外活動許可申請」について取り扱っております。「資格外活動許可申請」についてお困りの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

参考記事

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ビザ変更のガイドラインとは?

2024-12-10

在留資格の変更について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

1.在留資格の変更とは

在留資格の変更とは,在留資格を有する外国人が在留目的を変更して別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合に,法務大臣に対して在留資格の変更許可申請を行い,従来有していた在留資格を新しい在留資格に変更するために許可を受けることをいいます。

この手続により,我が国に在留する外国人は,現に有している在留資格の下では行うことができない他の在留資格に属する活動を行おうとする場合でも,我が国からいったん出国することなく別の在留資格が得られるよう申請することができます。在留資格の変更を受けようとする外国人は,法務省令で定める手続にしたがって法務大臣に対し在留資格の変更許可申請をしなければなりません。

参考 ビザの変更に関するQ&A 法務省HP

2.在留資格変更のガイドラインについて

① 行おうとする活動が申請に係る入管法別表に掲げる在留資格に該当すること
申請人である外国人が行おうとする活動が、入管法別表第一に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる活動、入管法別表第二に掲げる在留資格については同表の下欄に掲げる身分又は地位を有する者としての活動であることが必要となります。

② 法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること
法務省令で定める上陸許可基準は、外国人が日本に入国する際の上陸審査の基準ですが、入管法別表第1の2の表又は4の表に掲げる在留資格の下欄に掲げる活動を行おうとする者については、在留資格変更及び在留期間更新に当たっても、原則として上陸許可基準に適合していることが求められます。
また、在留資格「特定活動」については「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動を定める件」(特定活動告示)に該当するとして、在留資格「定住者」については「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の規定に基づき同法別表第二の定住者の項の下欄に掲げる地位を定める件」(定住者告示)に該当するとして、上陸を許可され在留している場合は、原則として引き続き同告示に定める要件に該当することを要します。
ただし、申請人の年齢や扶養を受けていること等の要件については、年齢を重ねたり、扶養を受ける状況が消滅する等、我が国入国後の事情の変更により、適合しなくなることがありますが、このことにより直ちに在留期間更新が不許可となるものではありません。

③ 現に有する在留資格に応じた活動を行っていたこと
申請人である外国人が、現に有する在留資格に応じた活動を行っていたことが必要です。例えば、失踪した技能実習生や、除籍・退学後も在留を継続していた留学生については、現に有する在留資格に応じた活動を行わないで在留していたことについて正当な理由がある場合を除き、消極的な要素として評価されます。

④ 素行が不良でないこと
素行については、善良であることが前提となり、良好でない場合には消極的な要素として評価され、具体的には、退去強制事由に準ずるような刑事処分を受けた行為、不法就労をあっせんするなど出入国在留管理行政上看過することのできない行為を行った場合は、素行が不良であると判断されることとなります。

⑤ 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
申請人の生活状況として、日常生活において公共の負担となっておらず、かつ、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること(世帯単位で認められれば足ります。)が求められますが、仮に公共の負担となっている場合であっても、在留を認めるべき人道上の理由が認められる場合には、その理由を十分勘案して判断することとなります。

⑥ 雇用・労働条件が適正であること
我が国で就労している(しようとする)場合には、アルバイトを含めその雇用・労働条件が、労働関係法規に適合していることが必要です。
なお、労働関係法規違反により勧告等が行われたことが判明した場合は、通常、申請人である外国人に責はないため、この点を十分に勘案して判断することとなります。

⑦ 納税義務等を履行していること
納税の義務がある場合には、当該納税義務を履行していることが求められ、履行していない場合には消極的な要素として評価されます。例えば、納税義務の不履行により刑を受けている場合は、納税義務を履行していないと判断されます。なお、刑を受けていなくても、高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱います。
また、国民健康保険料など、法令によって納付することとされているものについて高額の未納や長期間の未納などが判明した場合も、悪質なものについては同様に取り扱います。

⑧ 入管法に定める届出等の義務を履行していること
入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人の方は、入管法第 19条の7から第19条の13まで、第19条の15及び第19条の16に規定する在留カードの記載事項に係る届出、在留カードの有効期間更新申請、紛失等による在留カードの再交付申請、在留カードの返納、所属機関等に関する届出などの義務を履行していることが必要です。

3.在留資格変更が難しいケース

① 短期滞在から中長期在留資格への変更
短期滞在からの在留資格変更申請は「やむを得ない特別な事情」がある場合以外認められません。「やむを得ない特別な事情」とは、人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に認められるもので、例えば、病気治療をする必要がある場合などです。

② 技能実習からの在留変更
技能実習からの在留資格変更は原則として認められません。
技能実習制度は、我が国で開発され培われた技能、技術又は知識の開発途上地. 域等への移転を図り、その開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とするものであり、技能実習を終了しない段階での在留資格の変更は原則として認められません。

以上,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が在留資格変更申請手続きについて解説しました。
在留資格変更申請でお困りの方は、是非弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお問合せください。

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